ナナとワタシ
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ゆうべ、日記用にカタカタと文字を打っていたら、ナナから電話が。 1時ちょっと前頃でしたか。
「眠れなそうだし、時間ができたから、電話しちゃった」と。
結局3時間くらい話しまして。 というか、ほとんどナナがしゃべっているわけですが。
話の内容の8〜9割は子供の話です。 これ、好きな人の話でなかったら、超退屈だろうなあと思うんですが。 ワタシ、子供いないしもちろん。 でもとにかく子供のことで頭がいっぱいで、子供たちひとりひとりの話を一生懸命話しているナナを見ていると、まあちょっと心配ですけど、うんと安心もしたりしまして。
話の途中で気がついたじょりぃ。 「今日、誕生日じゃん」 「うん。でも別に嬉しくもないし」 「もう誕生日ってイヤだよね」 「うん」 「ケーキでも買っていきましょうか」 「いらない」 「ほしいものは?」 「ない」
やっぱりね。
そろそろ切らなきゃね、なんて頃になってからナナが 「明日・・・ていうか、もう今日だけど、○○の遊園地で、夜間営業してるんだよね。花火もあがるらしいよ」と。 「へえ。いいね」 「このあいだもそれを狙ってわざわざ家族で出掛けて行ったんだけど、雨でダメだったんだー」 「じゃあ、今日行ってくれば?子供たちもあまり夏休みにでかけられなかったのなら」 「んーーーーーー」 「パパが忙しいなら、ワタシが一緒に行ってもいいよ」 「ホント? ・・・・・でも、長女が塾だ。明日」 「そう。 休ませちゃえば?」 「それはダメ。長女に『ママの都合で休むなって言ったり休めって言ったりするのはずるい』と弱みをつかまれてしまう(笑)」 「そうか。 でも、次女ちゃんと末子ちゃんは喜ぶんじゃないの?」 「うん。長女も喜ぶと思う」 「じゃあ行こう」 「んーーーーー。 明日の朝、長女に訊いてみてからでもいい?」 「いいよ」
ということで電話を切りまして。
翌日。
午前中、会計士と打ち合わせ中にナナから電話。 この会計君は、中学のときの同級生で、しかも元カレ(というよりBFですか)ということで気心の知れた相手なんですけど。 まあ、電話に出まして。
「まだ決められない」となんだか不機嫌そうなナナ。 「ふうん」 「ていうかさ、今日、雨みたいだし」 「そう」 「でもどうしよう。行きたい気はするんだけど」 「うん」 「・・・・・・・・」 「・・・・・・・・」 「で? じょりぃは? 行くの?」
また! この言い方、ワタシ大っキライなんですよ。 よくされるんですが。 ワタシの都合でなく、そっちの都合であーだのうーだの言ってるくせに。 しかもエライ他人事みたいな言い方するんだもの。
「ていうかさ。 そっちの都合でしょ?そもそも」
冷たく言い放つじょりぃ。 めずらしいんですけどこういうことも。
「そっか。 じゃごめん。また電話する。何時頃まで待ってくれる?」 「いいよ。いつでも」 「わかった」
チン。
打ち合わせに戻ると会計君、ちょっとビックリしている様子で 「どうしたの? めずらしいね。すごく素っ気なかったけど、電話で何かあった?」と。 「んー。 ちょっとムッとしたー(笑)」 「あんな話し方、するんだ。 誰?」 おまえにゃ関係ないだろ、と思いつつ「友達」。
イライライライライライライライライライライラ。 らいららいららいららいららい。 だと、チャンピオンbyアリスなんですけどね。 って、どうでもいいことでした。
お昼は会計君と約束していたので外に。 政治経済の話なんかして、いろいろと情報をいただき、有意義に昼食を摂りまして。
家に戻ってから、少し仮眠を取ることに。寝てないんですもん。ほとんど。 遊園地に行くことになれば片道2時間のドライブです。 運転手は絶対ワタシだし。 け。 と、イライラしながら少しうとうととまどろんだら。
電話。
誰だよもう、と思いながらナンバー見たら、ナナ。
「もしもし?」 「やっぱ行く」とナナ。 「そう。でも、雨なんでしょ?」 ちょっと意地の悪いじょりぃ。 「そうかもしれないんだけど」 「ま、いっか」 「じょりぃ、行ける?」 「うん」 「ねえ、早めに来られないかな。 ムリならいいんだけど」 「? どういう事情?」 「長女がね、遅刻になってもいいから、塾にも行きたいんだって」
一家揃って勝手だなおまえら。
「ムリじゃないの? 時間的に」 「んー・・・・」 「でもいいよ。わかった。なるべく早く出る。すぐにはムリだけど」 「いいですけど。別に。ムリしなくて」
あっそ。
イライラぷんぷんしながら支度。
車の中でもイライラは持続しまして。
今日はずっとムッとしてようっと。 少し態度で表さないと。 じょりぃだって、そうそう都合良く動かないし、いつもなにされてもニコニコしてるというわけではないところを見せてやるぞ。てなもんです。 子供たちにはちゃんといつもどおり接して、ナナには冷たくするんだ。
なんて決意を固めながら運転してるうちに、ナナ宅に到着しまして。
子供たちは待ちきれなかったようで、3人とも庭で待っておりました。 最初にワタシを見つけた長女ちゃんが、嬉しそうに手を振りまして。 ワタシもニコニコと、それはもう、皇室のようににこやかに手を振り。 そのあとに気がついた次女ちゃんと末子ちゃんが「じょりぃちゃああああああああああああああん!」と叫びながら車に向かってダッシュ。 危ないから。停車するまで待ちなさい君たち。
車から降りると、抱きついてくるふたり。 「今日は次女とずっと手をつないでいてね?じょりぃちゃん」と次女ちゃん。 「末子と手をつないでるといいよじょりぃちゃん」と末子ちゃん。 「うん。手をつなごうね」 「あたしとはジェットコースターに一緒に乗ってくれればいいから、じょりぃちゃん」と長女ちゃん。 「うん。一緒に乗ろうね」
ああ、幸せ。 とっても満ち足りた気持ちになるじょりぃ。 考えてみれば、今日はナナの誕生日じゃないか。 つまらないことでイライラして、ナナの気を悪くしても申し訳ないよな。
いやいや。
それはそれ。 これはこれよ。
今日はびしっと、じょりぃにも「ナナのせいで」不機嫌になることはあるというところを見せてやろうじゃないか。 (なにが「びしっと」なのか全然わかりませんが。まあ、そう思ってしまっていたのです)
しばーーーらく待たされて(早く来いって言ったくせに!)、子供たちと踊りを踊ったり歌ったりして遊んでいると、ナナ登場。
うわ。
すんごい不機嫌そう。
「じょりぃの車でいいの?」 「いいよ」
早くもじょりぃ劣勢。
みんな乗り込み、出発。
1分も経たないうちに次女ちゃんが「ジュース飲みたい」と。
「子供たちの飲み物は、持ってきてあるの?」とワタシ。 「ないけど?」 「買っていく?」 「・・・・・・・・・」 無視。
ムッ。 ていうか、なんなのよ一体。
子供たちとの会話は楽しく弾むじょりぃ。 ナナは黙ったまま。
これではワタシがナナに対して不機嫌なことをアピールできません。
5分ほど走って、ふと助手席を見ると、窓に体をぐたっと寄せてだるそーーーにつまらなそーーーーにしているナナ。
何その態度。
と思ったのも束の間、「具合悪いのかな」とにわかに心配になるじょりぃ。 仕事が忙しくてあまり寝てないって言ってたし。 ゆうべは4時近くまで電話してたし。 今日も根詰めて仕事してたらしいし。
って、今これを打っていて「なんだ、自分だって同じじゃん」と気付いたじょりぃでありますが、そのときはもう心配で心配でしょーがなくなってしまいまして。
「具合悪いの?」 ああ。結局ワタシの負けか。 「眠い」 「それだけ? 大丈夫?」 「だるい」 「(ムッ)寝ていけば? 寝てないんでしょ?」 「・・・・・・・・」 無視。 「次女ちゃんが喉乾いたって言ってるけど」 「・・・・・・・・」 無視。
あのね。
その「・・・・・・・」は、本日ワタシがやろうと意気込んでいたものだったんですが。 取らないでください。 ていうか、ワタシ、何へこへこと気をつかっているのでしょう。 わああああん。 くやしいよううううううう。
絶対、ワタシが電話の時に不機嫌だったのはわかっているはず。 先手を打ったんですよきっと。 くやしい。 くやしいけど。
子供たちにイヤな思いはさせたくない。 今日はナナの誕生日。 ナナ、マジで顔色悪いし。
ということで。
勝ちを譲ってやったんです。
と、どんなにじょりぃが強がってみたところでですね。 わかってます。
結局今日も負けましたワタシ。
そのあともずっと気を遣いっぱなし。
遊園地でも、お互い子供にかかりっきりでほとんど話なんかしませんし、たまにふたりっきりになったときはさらに無言に。 まあ、いつものパターンと言えばいつものパターンですが。
「友達」なら、もうちょっと気をつかったら? ワタシに「友達」以上に甘えているのなら、言葉か態度で少しはそれを表してくれい。
キライだ。ナナなんて。
なんて言いながら、これ書きながら「今日はまだ仕事してるはず。あの顔色で大丈夫だろうか」なんて心配している自分がホントにもうイヤ。
本日の救いは、子供たちの笑顔と、みんなで乗った観覧車から見た花火でございました。
子供たちよ。 いつまでもじょりぃちゃんを愛しておくれ。 ママの分まで。
| 2003年08月15日(金) |
風俗なら「Sの女王」 |
「ねえ、じょりぃさー、風俗の仕事に就かなければいけないとしたら、何にする?」
またナナが唐突な質問を。
「なぜ風俗の仕事に?」
「今ぼんやりと考えていたんだけどね? もしパパが働けなくなっちゃったりして、あたしの稼ぎで食べていかなきゃならなくなってしまったら、あたしには何の技術もないからやっぱある程度稼ごうと思ったら、そっち系じゃん?」
「そうなんでしょうか」
「だとしたら、何がいちばんイヤな思いをせずに、できれば自分も楽しんでできるかなあと思って」
「ほお」
「で、あたし考えたんだけど、SMクラブはどうかなと思って」
「・・・・・・・・」 もうどこまでマジメなのかふざけてるのかこの人は。
「Sの女王とかになるの。良くない?」 なれるのかよ。
「あれは意外と技術がいるんですよ」 知らないけど。
「まずは見習いとして、先輩女王様のプレイをじっくりと観察することから始めるとして」
「誰が見せてくれるの」
「じゃあ、ビデオとか」
「・・・・・・。 それに、ああいうのは素質がないとね。臨機応変にいじめなきゃならないんだから。一口にSMと言ったって、いろんなタイプの人がいるんだろうし」
「そうか。 でもあたし、素質あると思うけどな」
「え」
「楽しめると思うんだけど。自分でも」
「そ、そう」
「ムチ使いとかもうまくなっちゃって。コトバ責めなんかもいけると思うんだけど」
「・・・・・・・」 想像中。妄想中。 こ、言葉で、せ、責めてほしいななんて思ってませんよ。
「じょりぃには女王様はムリだね」
「う、うん」
「『スミマセン、スミマセン』とかペコペコしながらいじめてたりして。きゃははははははは」
ばかにされてますじょりぃ。 くやしいので反撃したいと思います。
「パパにもたまにそういうことしたりするの?」
「しないよー! パパにはそんなことできないよー」
「なんで?」
「なんでもなにも。 できません」
「ふっ」
「だからその『ふっ』てやめてよ」
「パパにもできないのに、お客にできるのかな」
「仕事なら、できるでしょ」
「ふうん。 楽しめるかもとまで言っているのに、なんでパパとはしないのさ」
「・・・・・・・・パパには失礼でしょそんなことしたら」
「ふっ」
めずらしく、ちょっと勝ったかも。
しかし、「パパにはできないよー」と見せておいて、実際は何やってるかわかったもんじゃないですけどね。 こういうくだらない話はよく笑いながらするんですが、お互い性生活の話はまったくしないのでナゾに満ちております。
訊けば話してくれるんだろうか。 訊きたくないんですけどね。まったく。
とりあえず、ナナ女王様にいつも「放置プレイ」されているじょりぃであります。
| 2003年08月11日(月) |
「コ○ドームって、何?」 |
ナナとの会話で。
「ねえ、○×薬局って知ってる? 線路脇の」
「うん」
「あそこに、コンドームの自販機があるのね」
「う、うん」 どぎまぎ。
たとえカマトト言われようとも、好きな人からこんな言葉が飛び出すと、やはりそわそわしてしまうじょりぃ。
「で、その自販機の前通ったときに長女が『あれ、何売ってるの?』って訊いてきたの」
「なんて答えたの?」
「どこまで知ってるのかな?と一瞬躊躇したんだけど、もう中1だし、なんとなく知ってるんじゃないのかなと思って、『コンドームだよ』ってそのまんま」
「そしたら?」
「『ああ、やっぱりね。ホントに売ってるんだ』って」
「落ち着いてるね」
「ドラマとかで知るみたいねやっぱり。それになんか、当時は黙ってたらしいんだけど、小6のときに学校にコンドーム持ってきちゃった子がいて、見たこともあるんだって」
「え! それってまさか、親が持たせたわけ?」
「まさか。 たまたま見つけて、ちょっと知ってたから持って来ちゃったんじゃないの? まだそんなにしっかりとした知識があるわけじゃないからさ、かえって気軽に扱ってしまったんじゃないかな」
「生々しくないんだ。本人たちにとっては」
「そういうことだと思うんだよね。 でね?そのときに次女ちゃんも一緒に車に乗っていたんだけど、その話を聞いてて、当然『コンドームってなあに?』ってことになっちゃったのよ」
次女ちゃんはまだ小4です。
「次女ちゃんの性格だと、教えてくれるまで引き下がらなかったでしょ」
穏やかなんだけど、一度こうと決めたら絶対譲らない、頑固な次女ちゃんです。
「そうなんだよ。しつこくてさ。教えても別にかまわないんだけど、どこまで知ってるのかわかんないじゃん?」
「やたらなことを教えてはマズイということ?」
「ていうか、何も知らないとすると、生理のこととか、もう一番最初から教えなきゃいけないのかなと思うと、めんどくさかったの」
「ああ。わかる気が」
「で、『次女ちゃん、もうちょっとそういういろんなことがわかるようになってきたら、ママがちゃんと教えてあげるから』って言ってごまかそうとしたんだけどさ」
「きかないだろうね」
「きかなかった。駄々こねちゃってさ。『次女、なんでも知ってるもーん。だから教えてよー。コンドームってなーにー?』とか言って、大騒ぎ」
「わははははは。なんでも知ってるから教えてって、つじつま合わなくておもしろいわはははは」
「そしたら長女が『おまえ、外でコンドームって何?とか訊きまくるなよー。恥ずかしいからそれ』と注意して」
「わははははは。確かに」
「次女ちゃんはもう真剣でさ。『次女、ホントになんでも知ってるから、教えて?』って懇願するわけ」
「で?」
「そんなに言うんじゃしょうがない。小4でも、そういうことに興味はもうあるかもとも思って。覚悟を決めて『知ってるって、何を知ってるの?』って訊いてみたら」
「うん」
「なんか自信たっぷりに『ゴミの分別はちゃんとしなきゃいけないとかさー。知ってるよなんでもー』って」
「わはははははははははははははははははコンドームの話にゴミの分別って」
「長女も大ウケしてた。次女ちゃんてやっぱりかわい〜おもしれ〜とか言って」
「わはははははは。 でもママがそういうことを教えるのが得意な人でよかったよね」
「どういう意味?」
「ワタシ、その手のことの基本は、ほとんどアナタから教わったんですよ」
「え。 そうだったっけ?」
「うん。 ありがとう。その節は」
「ええと、思い出してきたような。 たしか中1の夏ごろとかだよね?」
「うん。『じょりぃはまだ初潮がきてないから、今なら妊娠の心配なく、やりたい放題できるんだよ』とまで教えてくれた」
「どうかしてるねーあたし(笑)」
当時12歳だったじょりぃは、ナナの話すそういうことひとつひとつに、とてつもなくドキドキしていたのを覚えております。 「どういう行為をすると、子供ができるのか」をワタシに教えてくれたのもナナだったのです。 ナナってなんでも知っててすごいなー、と、心から尊敬していたあの夏。(遠い目) それまでは、ただの部活仲間くらいにしか思っていなかったのですが、そんな話を教えてくれるようになってから、ナナのことを妙に意識するようになったワタシでした。 あのときのドキドキがなければ、恋していなかったかもしれないな、なんてことも思ったりして。
だからまあその調子で。 娘にもいろいろ教えてやってくれたまえ。
でもやっぱ、次女ちゃんにはもうちょっと経ってからね。 ゴミの分別も、もしかしたらよくわかってなさそうだし。
温泉地へ向かう道すがら、ラブホテルの多い道を、ナナとドライブ。
「げ。 メル●ンの森だって」とワタシ。
「何がいけないの?(笑)」 わかってて訊くナナ。
「名前がメルヘン過ぎませんか?」
「恥ずかしい?」
「うん。もうちょっとフツウの名前にできないのかな、ラブホって」
「なんで?いいじゃん(笑)。『ねえ、今日、メル●ンの森に行きたいね』って会話が盛り上がっているふたりの間でうっとりと交わされるかと思うと、マヌケで楽しいじゃん」
「それがさ。イヤなのよ。カッコ悪い気がして」
「あ。ほら。天使の●●って言うのもあるよ。きゃはははは」
「げえ」
「なんだか、天使とか言われると、うっかり授かってしまいそうでイヤだよね」
「わはははははははは」
「結婚をたくらむ女とかがさ、しめしめ、と行きたがるホテルって感じ」
「わははははははわざと孕むんだね」
キミんち、できちゃった婚だったけど、その手を使ったのではあるまいね。
「でも、ラブホって楽しいよ。けっこうキレイだしさ。遊ぶものとかも色々あるし。カラオケとかビデオとか」
「ふうん」
「あんまり行かないの?」
「あんまり。 ていうか、ほとんど行かない」
「イヤなんだ」
「んー・・・なんだか、エッチするために、エッチするための場所に行く、というのがワタシ的に非常に恥ずかしい」
「ああ。 なるほどね。 なんか、やるぞー!と意気込んでいるような感じ?」
「そうそう。 カラオケなんかも、同じような感じがあって、なんだか気恥ずかしいんだよね」
「歌うぞー!と意気込んで、歌うための場所へ行くってことね」
「うん」
「でもだからといって、公園とか、本来エッチするべきでないところでされてもどうかと思いますけど(笑)」
「そんなところでするなんて言ってないじゃん!」
「意地でもエッチしやすいところではしないぞっみたいな。マニアックなじょりぃのことですし(笑)」
「歌いたくなっても、カラオケには行かないで、わざわざ公園に行って歌い出しちゃったりしてね」
「きゃはははははははそれやだよーー」
「ジャイアンだよねそれじゃ」
またラブホの話で盛り上がってしまいました。 好きですねワタシたちこの話題。 ラブホ使うのが云々講釈たれる前に、この話題で年中盛り上がるおまえらのほうがずっとカッコ悪いんだよとツッコんでいただかなくても自覚しております。はい。
温泉帰りに、ナナと本屋さんに寄りまして。
ワタシは買うものが特になかったので、店内をふらふらとしておりました。 そしていつものくせで、耳のピアスの具合を確認していましたら。
ない。
右耳ぶんを紛失。 左の2個は無事でございましたので、ちょっと一安心。
温泉入った後、タオルでわしわしと髪を拭いたので、そのときにすっとんでしまったのでしょう。
心もとないなあ。 気になる気になる気になる。この「あるべきはずのものがない」状態が。イヤ。
ということで、ナナがレジで買い物を済ませている間、店内にある、やっすいアクセサリーコーナーで、臨時のピアスを物色するじょりぃ。
レジを済ませてやってきたナナ 「何見てんの?」 「ピアス。 なくしちゃったみたいなので」 「え? どこで?」 「たぶん温泉かな」 「全部?」 「右の1個だけ」 「金属アレルギーなんでしょ? こんなところの買っちゃっていいの?」 「シルバーなら、一度膿めば大丈夫なんだよワタシの場合」 「えええ。 でも、今、夏だよ?」 「うん」 「よくないでしょー」 「へーきでしょ」 「きっと化膿して、きのこが生えちゃったりするよ、ピアスの穴から(笑)」 「やだなそれ。でもそしたらもうピアス買わなくていいなあ」 きのこ生やしてるのもどうかとは思いますが。 「アレルギー用の、樹脂のとかもあるじゃん。こっちにしなよ」 「キャッチャーがついてるのは、買ったその日になくしちゃうくらいなくしやすいからイヤ」 「だからいつも輪っかのしてるの?」 「うん。それでもなくしちゃったけど」 「ふうん・・・・でも、膿むのわかっててするの、良くないなあ」 「ん。 じゃ、今日はあきらめる」
その場を離れまして。 しばらくふたり、無言で店内を物色したあと
「あたし、昔してたヤツが取っておいてあると思うんだけど、使ってたヤツでもよければあげようか? 確か輪っかのひとつくらいあったと思うんだよなー」とナナ。 「え! いいの?」 「あたしはもう穴ふさがっちゃってるし。じょりぃがお古でもイヤでなければ」
無言でちょうだいポーズ。にこにこにこにこ。
「でも、使ってたピアスってイヤじゃないですか? じょりぃさんは神経質ですし(笑)」 「イヤじゃない。ほしい。ちょうだい。くれ」 使ってたピアスだからこそほしい。 「でも、金なの。 じょりぃ、シルバーしてるよね、いつも」 「いい。金で。ちょうだい」
ワタシがナナに対して、こんなにモノを欲しがったのは初めてなので「よっぽどピアスをし忘れているような状態がイヤなのね」と思われてしまったかもしれません。 でももちろん、そういう理由ではなくて。 ナナがかつて自分でつけていたピアスがほしかったんです。
ピアスって、言ってみれば傷じゃないですか。 開けなくてもいいのに体に開けちゃった穴です。 薄皮ができているとはいえ、たまに膿んだりしますし、ワタシにとってピアスの穴って「生」な部分という意識があるのです。
ナナが体に刺していたピアスを、自分の体に刺す、という行為がですね、 ワタシにとってはなんだか儀式がかったような感じがして、 おまけになんだかエロティックな感じがしてですね。 非常に魅力的だったのです。 なんとしても欲しい。 ナナのお古のピアス。
なんて強く思って、めずらしくおねだりモードのじょりぃだったくせに、 ナナ宅へ着いて、子供たちと夢中で遊んでいるうちに、ねだったことをコロッと忘れてしまい。
しかし、子供たちと遊んでいるところへ、ナナがやってきて「これなんだけど、いいかなこんなので」と。 「何が?」 「ピアス」 「あ。 ホントにくれるの?」 「うん。 でも大きいねちょっと」 「いい。大きくても」 「パイプのだから、つけづらいけど」 「うんだいじょうぶ。ありがとう。うれしいな」にこにこにこにこ。 「あたしが使ったきりだから、今一応ざっと拭いたけど、消毒とかしてないよ」 「あい」 わくわくわく。
というわけで。
今現在、ワタシの耳には、金のピアスが。 ちょっとワタシには大きめで、恥ずかしいのですが。 しかしおかげさまでアレルギーもなく。 消毒なんてもちろんしてませんよ。 もったいないじゃないですか。ナナ菌が落ちちゃったら。わははは。
なんだかイマイチ似合っていないんですが、それでも嬉しくてしょーがないじょりぃであります。
| 2003年08月05日(火) |
嫉妬と葛藤とやさしさと |
ナナにはやさしいパパがおります。 それはそれは、大切にされております。甘やかされております。 「パパでなければ、あたしと生活できないよねー」とナナは言います。 ワタシもその通りだと思います。
そりゃ、ナナとパパにだって、問題がないわけではないですよ。
パパ、実はナナと笑いのツボなどがビミョーにずれている感があります。 考え方・価値観などもちょっとずれてるかもしれません。 このへんはワタシの方がパパよりナナと相性が良いでしょう。
しかしまあ、そんなことはどーでもいい、と思えるくらい、ナナとパパはバッチリの相性です。 良い夫婦です。 ワタシがヤキモチ妬いたりするのは、まったくの筋違いです。 そもそも、ナナはワタシのものでもないし、ワタシは自分の気持ちすらナナに伝えておりません。
ナナはパパのもの。 「のもの」という言い方にいろいろ問題があるのは承知しておりますが、でもまあ、この二人の場合、この表現がピッタリ来ると思います。
ヤキモチなんて妬かないもんね。そんな権利、ないもんね。
とまあ、とにかく、ワタシはそのことを常に大前提として、ナナと友達づきあいしているわけです。
などという、能書きというか、自分への注意書きが全部頭からすっ飛んでしまうようなことがあるんですね。
上記の長いマクラは、ひとつの伏線と思っていただきですね。
ひとまず置いといて。
月曜日、ナナに誘われて、日帰り温泉小旅行に行ってまいりました。 片道2時間弱くらいの温泉宿で、お部屋を借りて、ゆっくりと温泉を楽しもう、という趣旨です。 「ご休憩」というやつですね。 この言葉、なんだか恥ずかしいんですけど。
温泉に入る前に、部屋でちょっとのんびりしましょうということになり、ナナが 「本でも読もうと思ってたのに、持ってくるの忘れたー」と。 「余分に持ってきたよ」 「ホント?何?」 「これ、昨日買ったんだけど、超おもしろかった。ナンシー関の『記憶スケッチアカデミー』」
ぱらっと見せたら、本に載っている、奇妙なイラストの数々に食い付いてきたナナ。
「なにこれおもしろーい!」
もう夢中。
ワタシなんていてもいなくてもいい感じで、ひとりで「ふふふふふ」「はははははははっ」 「おかしすぎるよこれー」と涙しながら笑いまくりで。
ゆうべ、きょんとやはり涙を流しながら一緒に読んだときは、ソファに並んで仲良く笑っていたのですが、今日はテーブルはさんで向かい合って座っているふたりですので、ワタシはひとりぽつんと残される形に。
それでも、ナナが楽しそうに笑ってる姿を見ていると、こっちまで「ふふっ」とか「ははは」とか非常におかしくなりましてね。 ワタシ、もともと「もらい笑い」がすごく得意なんですが、相手がナナだと、もう、一人取り残されていようがなんだろうが、笑顔が嬉しくて、もらい笑いの嵐でございます。
「この人、天才だね」とナナ、ナンシーを褒めまくり。 「うん。天才だよ。死んじゃったけどね」 「死んじゃったのかー。惜しい人をなくしたね」 「まったくね」 「この本、あたしも今日買って帰るー。長女とかは大笑いして読むだろうな」 「長女ちゃん、好きそう」 「パパにはこのおもしろさがわかるかなあ」 「わかるでしょ」 とは言ったものの。 どうかな。
(パパは結局、いまいちおもしろくなかったみたいです)
なんてやりながら、相変わらず替わりばんこに、ナナもお風呂に入ってきまして。
戻ってきたら、開きの大きい、白いタンクトップ。
わお。
露出度アップ。 首と肩が出ましたよみなさんはぁはぁ。
ていうより、本日の目玉は胸です。
でかいじゃんいつもより全然。今日の胸。どうしちゃったの。
たぶん、ナナ、ちょっと太ったせいだと思うんですけど。
まずいですねえ。 視線がどうしても胸に。 やめようやめようと思っても胸に。 危ない橋だぜそれ以上はやめときな自分、と思っても胸に。
なんだかこんなに悶々とというかムラムラとしてしまったの、すごく久しぶりなんですが。 困った困った困った。
もともと、淡泊なはずなんですけどねワタシ。 たぶん。 いや、他の人のことよくわかんないんですが。 「気がついたら押し倒してました」なんてことはしたことないんですが(フツウしませんかそうですか)、この日は気をつけてないとなんだかまずいことになってしまいそうなくらい、くらくらと。
いっそ見えてしまえば目をそらせるんですけど。 ダイレクトな刺激には弱虫なじょりぃですからね。 でも、見えそうで見えない、という感じですとね、見よう見ようとしてしまう、人間の心理の摩訶不思議。 って、おおげさですねワタシも。
とにかく、落ち着こうじゃないか。自分。
なんて思ったところへ、末子ちゃんからナナの携帯へ電話が。
「次女とケンカして泣きながら電話してきたんだけどさ、ママだけじょりぃちゃんと出掛けてずるいって怒られたー」と。
子供の名前が出て、現実に引き戻されるじょりぃ。
というわけで、温泉では、相変わらずもちろん当然案の定、何の進展もございませんでした。 もはや報告するまでもないと思いますが。 それでも道中は、そこはかとなく良い雰囲気のふたりではありました。 気のせいだよと言われれば何の反論もできない程度ですけれど。
ナナ宅へ戻ってからは、罪滅ぼしのために子供たちと遊び倒すじょりぃ。 次女ちゃんからも「ママだけじょりぃちゃんと遊んできてずるい!」と怒られておりましたのでナナ。
この日はとても蒸し暑くてですね。 おかげさまで、夜遅くなってから、ナナはふたたびタンクトップ姿に。 じょりぃ、色めき立ちます。 子供もパパもいるんだから落ち着こうよ、と思っても、視線は胸へ。
ワタシは子供たちと床に座って、「記憶スケッチアカデミー」のマネをして子供たちとお絵かき。 ナナはソファに座っています。 そうすると。
胸より下の位置から胸を見るって、なんだかいやらしい造形なんですね。 しかもやっぱり、今日はなんか大きいぞ胸。 ズルしてないか? 非常に薄い胸板と、下から見るとことさら盛り上がって見える胸の、対照的なコントラスト。 あ、かがんだ。ナナのそんな谷間、見たことないぞ。 あ! もうちょっとで全部見えちゃいますけど。わお。 困った困った思いながら、ちらちらと盗み見を続けるじょりぃ。
気がついていたんじゃないかと思うんですが。 ふと気付くと、顔見ないで胸見て会話してたりという愚かさを披露しておりましたので。
落ち着けよじょりぃ、と思われるでしょうね。 ワタシだって落ち着きたいんですよ。 でもコントロールできないんですよ。 今日のナナの胸はエッチなんですよ。 第三者からそれをみなさんに証明してほしい。 誰かいないか誰か。
なんて思っていたらですね。
証明してくれる人がいらっしゃいました。
子供たちと遊び、すっかり遅い時間になり「じゃあ帰るね」と立ち上がり、ナナも見送るために一緒に立ち上がって玄関に向かって歩き始めたとき。
パパの様子がヘン。 なんか、ビミョーな顔してニヤニヤしてるんですよ。
「なにパパ、その顔。 どしたの?」とナナ。 「ん? いや別に」とパパ。 「なんかヘンに嬉しそうだよ。なんで?」 「んー?」 ビミョーにニヤニヤ。ニヤニヤしないようにしようと思ってるのにニヤニヤって感じ。
「心がここにないとか? 他のこと考えて嬉しそうにも見える」とワタシ。 「んー?・・・ていうかさ」とパパ。 「なに?」とナナ。
「そのタンクトップ、 いいよなー」
え?
パパ! 見るな! こら!
ナナ「は?」 パパ「なんかいいよ、そのタンクトップ着るとさ。 胸が、なんかね。 ママ似合うそれ」にまー ナナ「何言ってんの?」 <わざとつっけんどんに じょ「何を嬉しそうにしているのかと思えば」 <平静を装うじょりぃ ナナ「パパ、やらしー(笑)」
ワタシもやらしーんですよ、ナナ。 ねえねえっ。 ワタシもずっと見てたんだよ、胸。 ねえ。 そんなこと気付かれたくないはずだったのに、言ってもらえないというか、気付かれてさえいないかもしれない自分がなんだかですね。
ここで冒頭の能書きを思い出してください。 そうです。 日頃より常に思い続けているはずのあれらが、全部頭からすっ飛んでしまったじょりぃ。
ヤキモチなんて妬かないもんね。そんな権利、ないもんね。
って思ってたの、誰!?と、自分の胸ぐらをつかんで揺さぶりたくなるほどの、ものすごい嫉妬心に体中支配されてしまいまして。 小さい小さい虫が、心臓と、手足の先までざわざわとうごめいているような、あの、イヤな感じ。
本日の嫉妬心も本日の「悶々」同様、久々のコントロール不可状態。 なんだいあれくらいのことで、ふっ、と、自分に言い聞かせてみるも、効果なし。 生理前でもないのにな。 でもだってそうだよ、ものすごく好きなんだもんなナナのこと。 考えないようにしてたけどさ、なんて考えてみてしまったり。
なんだこのキモチ。 濡れた半紙に薄い墨汁をたらしたときのように、かなしいようなくやしいような感情がにじんでじわじわ広がっていくような。
玄関で靴を履きながら「パパ、ニヤニヤしてると思ったらあんなこと考えていたのか」と、ふたたびぼそっと口にしてみるじょりぃ。 「ホントだよねー」と、なんでもなさそうにしてるナナ。
「ワタシも同じ事思ってたんだよ。そのタンクトップ」
車まで歩く短いあいだに、何度も言おうとして、でも言ったらやっぱりヘンだよと葛藤したこのセリフ。 結局言えないまま車に乗り込むワタシ。
「気をつけてね」 「うん」
車を切り返しているうちに、いつの間にか次女ちゃんがナナの横に立って。 暗い中、手を振る二人に手を振りながら、走り去るじょりぃ。
では終わりにならず。 気持ちは治まらず。
嫉妬心と、やるせなさで、運転しながらどうにかなりそうでですね。 今日、パパはあの勢いで、ナナに★△×☆○?@なんてことまで考えてしまいまして。
イヤだイヤだ。 イヤだよう。 今日はふたりででかけてきたのに。 楽しく仲良くしていたのに。 どうしてもそれだけはイヤだ。今日はイヤだ。
自分的に、ものすごくホントに久しぶりの駄々のコネ具合。 良くない種類の過剰なエネルギー。負の激情。
イヤだって言ったって、どうしようもないんだから。 こんな気持ち、今日が初めてじゃないんだから。 と自分をなだめてみるものの。 効果なし。 ゼロ。 無効。
いいじゃん。 じゃあ、正直にそれを伝えてみるべきなんじゃないの?という声も聞こえ始め。 ナナだって、「何でも話してよ」って、いつも言ってるんだし。 自分の気持ちや感情を話さないワタシに不満すら持っているんだし。
「今日パパがその気になっても、そーゆーことはしないでほしい」って伝えてみてしまおう。
でも電話じゃとても言えない。 「なんで?」と突っ込まれてもそれ以上の説明は今のワタシにはできない。
じゃ、メールしてしまえ。 「なんで?」ってことになったら「深い意味はなかったんだけど」とか「4人目できちゃうって予感が」とか適当なことを言ってしまえ。 それにしても適当すぎるけど。特に4人目発言。
でも、携帯メールは、現在ナナと長女ちゃんと次女ちゃん3人の共有なのでありました。 さすがに見られちゃまずい。 ナナ宅にはパソコンがないため、メールと言えば携帯しかないのです。
運転しながらナナに電話。
「もしもし?」 「あ、じょりぃちゃん!どうしたの?戻ってきてくるの?」 次女ちゃんだ。 「うーんと、じょりぃちゃん、忘れ物しちゃったんだよ。ママに代わってくれる?」 「なんだ・・・・ママか・・・・いいよ・・」 あ、さびしそう。 「次女ちゃん、ちょっと待って! もしもし?」 「 もしもし? どうしたの? 忘れ物?」あ、ナナだ。 「あのさ、 ええと ちょっとメールを送りたいんだけどさ」 「うん」 「見られたくないんだ。子供たちに」 「あ、はい」 「でも今運転中だから、すぐには送れないんだけど」 「わかった。じゃ、待ってるから」
電話を切って。
でもこれ伝えてしまったら、事実上の告白になってしまうんだろうか。 それに、ものすごくさしでがましい。 夫婦のことに、なぜワタシが口出しできるのか。
でもパパがナナの胸に手をかけているところを想像すると、行き場のない負のエネルギーが体の中で膨張。 言わなきゃ。 こういうことは、逃げずにきちんと対処するんだ。がんばれじょりぃ。
・・・・・・・・でもやっぱり、すごくさしでがましい。 これって、ワタシひとりの感情の問題だ。 でも今日パパがナナに・・・って、バカな想像するとたまらない。 でもナナとパパには、ワタシのこの感情はまったく関係ない。 逃げずに対処するって、この場合、どうすることが正しいことなんだろう。
苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しいよう。
でもイヤなもんはイヤだ。 たまにはそういう感情をぶつけたっていいんじゃないのか。
結論が出ないまま、家に着き。
携帯を手に。 沈思黙考。
よく考えるんだじょりぃ。 早く考えるんだじょりぃ。 ナナが待ってる。
決まった。
携帯をぴぴぴぴと打ち、送信。
"ごめん。やっぱ、なんでもない。お騒がせしてすみません。"
ゴメン。 ひとりで大騒ぎして。 落ち着いて考えてみれば、まったくもってワタシが口を出せることではなかった。 告白すらしてないのに。 どうかしてた。
すぐにナナから返事が。
"どしたの? 気になるじゃん。"
"そうだよね。ごめん。落ち着きを取り戻したら、あまりにも意味不明なことを伝えようとしていたことに気付きました。頭がおかしくなっていたんでしょうきっと。子供たちに関係することではないから安心して。"
何か子供たちのこと?と思わせてしまうと、ナナがまた心配の塊になってしまって気の毒ですから、それだけは伝えておかないと。
"どしたの、大丈夫? 電話入れた方がいいですか? 私の方こそ帰り際に何か気に触るような事を言ったかな?"
"いや、そんな気に触るような事なんて全然ないです。本当に超個人的感情なことで。しかも、怒ってるとか傷ついたとかでもないので、気にしないで。ごめんホントに。"
ここでナナからの返事もストップ。
せっかくの小旅行だったのに、やるせない気持ちになってしまったワガママじょりぃであります。 もしかしたら今頃ナナとパパは・・・なんて考えると、もうホント、いろんなものをしばき倒したくなります。 じょりぃのバカ。 パパのバカ。 ステキなタンクトップのバカ。
そして、 ナナ、ゴメン。
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と、ここまで書いて、朝の4時をまわってしまったのでちょいと寝たんですが。 それにしても、ワタシも元気ですね。 前の晩もろくに寝ていないというのに。
なんだか最悪な気分で目が覚めまして。 嫉妬心はもう自分の中である程度決着をつけたので落ち着いていたのですが、それをナナにぶつけようとした自分の甘えに対してかなりの自己嫌悪が。
なにやってるのかなワタシ。せっかく休み取って楽しんできたのに。自分でぶち壊したー。 なんて思いながら仕事部屋に入って、携帯を見るとメールが着信されておりました。
ナナからです。 どうやらゆうべのうちに送ってくれたらしかったのですが、着信が大幅に遅れたらしく。
"そうか。本当に今日はありがとう。楽しかったし、くつろげたけど、実は家に帰りたくなかった。なんでかな?"
泣くのをガマンしているときにできるような、熱くてせつない塊が。胸に。
このメールは「ナナが伝えたいから」送ってきたメールでなく、ワタシのために送ってくれたものだと思います。 ゆうべ「頭がおかしく」なっちゃって、自分の勝手で意味深なことを言ったにもかかわらず、自分の勝手で伝えるのをやめたワタシのために。 責めるでもなく追究するでもなく。 ナナにしてみれば、放っておいたってよかったのに。
「なんだかんだ言って、ナナがいちばんやさしいよね」というきょんのセリフをが頭をよぎりまして。
たぶん全部わかってるんだろうな。 ワタシの気持ちも。 ゆうべ言いたかったことも。 特にこのメールは、ゆうべのフォローをしてくれているような気がしたのです。 ワタシがそれらを伝えられないのもわかっていて、でももうちゃんと引き受けてくれているんだ。たぶん。 ナナのワタシに対する気持ちはまた別のこととして、でもワタシのナナに対する気持ちはワタシの勝手で伝えないまま、それでもわかってくれよ、そして何も壊したくないんだよというところまで、全部引き受けてくれているような気が。
それは受け手にとってはとてつもなくやっかいな代物だと思うのだけれど。
なにはともあれ、昨夜は茶化したりはぐらかしたりしないで、ちゃんと相手をしてくれてありがとう、ナナ。
今日は、きょんとなっちゃんと花火を見に行ってまいりました。 けっこう大きな花火でして。 早めに仕事を終わりにしてしまって、3人で仲良く出掛けて。 場所を取った後、屋台を巡って、ビールも買って、レジャーシートの上で飲んだり食べたりしながら花火を待ち。
大きいこうもりがばさばさと飛び始めた頃に、花火が始まりまして。
見てるウチに首が疲れるんですよね。 途中から3人で川の字になって、ごろんと寝転んで。 きょんとなっちゃんの間で花火見ながら、蒸し暑さに参っちゃったなこりゃなんて思ったりして。
花火を見ながら、ワタシの意識はタイムトリップ。 この蒸し暑さ、ナナと夏祭りに行ったときとよく似てるなあ、なんて。
中学2年の夏。 部活が終わって帰ろうとしていると、ナナがやってきて 「今日、じょりぃの家の近くの××神社で、夏祭りがあるでしょ?」と。 「知らない」 興味なかったもんで。 「あたし、行きたい」 「一緒に行く?」 「うん。 で、じょりぃんちにそのまま泊めてもらえないかな?」
どっきり。
その頃にはもう、ナナのことは好きで好きで仕方なかったですし、中2ともなると性的にもいろいろとドキドキしてくる頃であります。 「泊まる」なんて、けっこう一大事でありました。
「・・・・うん。いいよ。お母さんに訊いてみる。たぶん大丈夫だと思うよ」 「じゃ、ダメだったら電話して?」 「うん」 「それでさー、あたしんちまで、自転車で迎えに来てくれない?」 「? なんで?」
いったん家に帰ってから、またナナを迎えに行って、それから二人乗りで神社まで? すごく遠回りです。
「あたしね、今日、浴衣で行きたいの。お祭り」にこっ
くらくらくらっ。
ゆ、ゆかた?
血圧高めだったら、鼻血だしてたかものじょりぃまだ13歳。もうすぐ14歳。
「浴衣だと、自転車こげないじゃん?」とナナ。 「そ、 そうだね」 「だから迎えに来てよ」 「うん。 いいよ」
当時から「おまえ何様だよ」的態度のナナでありますが。 ナナの浴衣姿を見るためなら自転車遠回りくらい。 どってことないです。
帰ってから、おそるおそる母におうかがい。
「あのね、今日××神社でお祭りがあるらしいんだけど・・・」 「あるみたいね」 「ナナがそれに行きたいから、今日うちに泊めてって言うんだけど、いい?」 「おうちの人は知ってるの?」 「たぶん」 「ナナが来てから、おかあさんがナナの家に電話して、おうちの人とお話できるのならいいよ」 「う・・・たぶん大丈夫だと思うけど。 でね、今日、浴衣で来るんだって」 「(笑) ナナはホントにませてるね。 じょりぃも着る?」 「ううん(ふるふるふる)。ワタシはいい(ぽ)」
たまに部活の子がみんなで泊まりにきたりしていたし、うちの親はすごくオープンでフレンドリーな人なのでたいてい心配ないのですが、ナナのことは「もしかしたらじょりぃに悪影響を与えるかもしれない娘」と認識していたフシもあり、ワタシとしてはびくびくしながら母におうかがいをたててました、このとき。 実際「つきあいを控えた方がいいんじゃないの?」と注意を受けたこともありましたし。(大きなお世話ですね今思えば)
で、シャワーを浴びて、ナナを迎えに行って。
ワタシ、ものすっっっっっっっっっっっごく緊張していたんですよこのとき。 アタマの中は、常にナナでいっぱい、なんて頃です。 お祭りなんかも、いつもは仲間みんなと一緒に行くのに、今日はふたりっきりで。 しかも、ナナは浴衣姿。 なんと言いましょうか、恥ずかしいですけど、ホルモン全開の頃ですしねえ。 興奮からくる緊張で、耳が遠くなっていたことを思い出しました。
そんなわけで、ナナの浴衣の色も覚えていないんですけどワタシ。もったいないなあ。
でも、はっきりと覚えているのは、初めて見る、ナナのうなじ。
後ろでひとつに縛れるほども髪の長さがなかったくせに、オシャレ娘だったナナは、「おねえちゃんに手伝ってもらった」と言って、手品みたいなことして髪をアップにしてきたのです。 アップ姿も初めて、浴衣姿も初めて。おまけにちょっとお化粧までしてるナナ。 ワタシが舞い上がって記憶がほとんど吹っ飛んでしまっていてもムリはありません。 と思いませんか。 思ってお願い。
浴衣の襟のところって、ぐいっと後ろに引っ張ってあって、うなじがすごく強調されるじゃありませんか。 そこに、初めて見る上げた髪。後ろ髪の生え際。長くて特徴のある、ナナの首筋。
人間の首って、こんなにいやらしいんだ。こんなにキレイなんだ。と。 この日がワタシの「首・肩フェチ」の始まりの日でございます。
お祭り自体はですね、田舎の小さい神社のお祭りですから、たいしておもしろいこともなくてですね。 なんだか、ワタシが異常に緊張していたせいか、ほとんど会話もなくて。 まだ子供のワタシは、「手をつなぎたいな」とか「髪に触ってみたいな」とか、そんなことばっかり考えてまして。 「今と一緒じゃん」というツッコミは控えていただいてですね。 顔はお化粧うっすらしていたので、ちょっと見るのがあまりにも恥ずかしくて、もう、ホントに首ばっかり見ていたので、もしナナが気付いていたとしたら相当気味が悪かったと思います。
気付いてなかったろうな。今になって心配ですが。
帰りは家までずっと上り坂。 二人乗りで上りは大変つらかったのを覚えております。
家に着きまして。
ワタシの部屋に入って「着替える」とナナが言ったので、適当に着替えてもらって。 見ないようにはしましたけど、「じゃ、部屋を出てるから、着替え終わったら声かけて」なんて気の利いたことを言う年頃ではまだなかったので、ワタシがそっぽ向いてる後ろでごそごそ着替えてましたけど。
パジャマになって、まだ髪がアップになったままで。 なんだかちぐはぐ。 アンバランス。 でもすごくオトナっぽく見えまして。
「寝る前に、ピンを取らないとアタマが痛くなっちゃう」とナナが言って、長くない髪を無理矢理まとめていたピンを外し始めました。
びっくり。
いくつ出てくるんだろう。 と、固唾を呑んで見守ってしまいました。 途中まで数えてましたけど。たしか25本くらいまで。 ワタシの中には、そこまでしてオシャレしたいなんていう感覚は皆無だったので、とにかく驚きまして。
「そんなにピンをとめてて、頭痛くなかったの?」 「痛いよ。つれるし」 「でもしてたんだ」 「髪を上げて、浴衣を着たかったの」
そして、髪がぱらりぱらりとほどけていくほどに。
シャンプーの香りが。
くらくらくら。
そのあともやっぱりお互いあまり話をせずに「おやすみ」と。 当時は無邪気に、当然のように、ワタシの小さいベッドにふたりで潜り込んで。
ナナはすぐに、ワタシに背を向けてしまいました。 ワタシは寝られるはずがなく。 キスしたいな、しちゃったらどうなっちゃうのかな、寝てるときならしてもバレないのかな、なんて考えながら。
一晩中、ナナのうなじを見つめておりました。
陽に灼けて、産毛の多い、今のナナのものよりずっと若くて青いうなじ。
蒸し暑い夜でした。とにかく暑かったです。
翌朝、ナナを家まで送って、帰ってきたら、ベッドの宮のところにナナのピンがごっそりと。 忘れて行っちゃったのか。お姉ちゃんのって言ってたのに、今頃怒られてるのかな、なんて思いながら
両手にピンをすくうように持って、やっぱり匂いをかいでしまいますよね、誰だって。 と、みなさんも巻き込んでみましたけど。
ちょっぴり鉄くさい匂いと、うっすらとナナの髪の匂いが。
どんっ どんっ と上がる花火を見ながら、 蒸し暑さの中、何十本ものピンのビミョーな香りを思い出していたじょりぃでありました。
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