靴をはく〜最暗部をつくらない 2004年06月29日(火)
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靴をはく。
靴をはくという動作がこんなにも魅力的だとは。
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エスキースをとって、ファンデーション地。
水平な卓上の、
高さのない、
シンプルな、
そういうモチーフ、いいなぁ。
今回は、水平・垂直で余計な心配をしないよう、
あらかじめ格子を引いてみる。
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結果から言うと、ファンデーションを塗った油性地でも、
テンペラはちゃんと固着する。
それから、吸収性地、あるいは半吸収性地に
テンペラで下素描して油彩で上層描きというのは、
とても理にかなった方法だということ。
今月は大部分を油彩でやってみて、気に入ったのもあるけれど、
やはり下素描はテンペラ、油彩との兼ね合いを図る、
この辺を再度挑戦することにする。
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これはクサカベの油彩用ジェッソ。
油彩用らしくつやが少しあり、
最初のテンペラ層ははじく。
が、あらかじめ水のついた布等でなじませば後は一応平気。
支持体はリキテックスキャンバス(Bonny社)NO.54
100%コットン(要するに綿布に合成樹脂塗料)。
今回は一層塗り。
いつもしっかりした下地を作ろうと5回以上塗ってるんだけれど、
1回だと布目が残って、今の気分では描きやすい。
モチーフはこないだ失敗した30号のヤツ。
早く作品仕上げていきたくてアセって
30号キャンバスでエスキースをしたようなもの。バカ。
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今日気を付けたことは、色数限定で明暗を詰める、
そのとき、最暗部を作らない。
最暗部を最初に設定すると、明暗の幅が見えなくなりがち。
黒い面でもその中に形があるならば。
テンペラオンリーで少し白っぽく描いていき、
後半に油彩でグラッシしよう。
by HPY
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下地。日本の近代史〜亀裂のない油絵がほとんどないなんて 2004年06月21日(月)
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この地は描きづらい。
油彩層がテカリ過ぎる。テンペラ層が剥がれる。
と思ったら、油彩層もヤスリがけで簡単に削れる。
形を気にしすぎて色はなくなり黒くなる。
失敗の原因は、エスキースを取らなかったこと、
テンペラで下地がとれる地を選ばなかったこと、
安直に始めて、完成図が見えてこないこと。
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下地の研究。
和蘭画房(オランダガボウ)にて、基底材のビデオを買う。
まだ全部見切れてないけれど、
活字と写真ではなく、ビデオで見るとわかりやすい。
基底材についていろいろ調べる。
ベルギー産のクレサンキャンバス販売のサイトを熟読する。
>>テオ画材舗 クレサンキャンバスとブロックス油絵具
吉村絵美留(著)『修復家だけが知る名画の真実』、
ホルベイン工業技術部編『絵具の事典』中央公論美術出版
を読む。本のリストは西洋絵画の画材と技法サイトから。
ホームページの画像を整理している。
下地が何か、描きだしは何かを、
画像を見ることで思い出している。
キャンバスペーパーがあまりに使いやすいので、
それは何故かと考えていたら、
どうやら「布目」にあるらしい。
今まで板絵を意識して、ツルツルにした地ばかり作っていたが、
やっぱり油彩はキャンバスの目に
ひっかけるように描くのが描きやすい。
荒目キャンバスを買ってきて、裏返す。
目止めに膠ではなく、アクリルメディウムのグロスメディウムを使う。
処方箋は、ホルベインのアクリルパンフレット。
ホルベインのオイルやアクリルメディウムのパンフは
ものすごくわかりやすい。必読。
リキテックス、ホルベイン、クサカベ油彩用ジェッソを
それぞれ試す。
クサカベ油彩用はエマルジョン地?つやがある。
リキテックスジェッソはビニル質が強く少し黄色っぽい?
ホルベインジェッソは青味がかかってる?
カタログと処方箋もあることだし、
なんとなくホルベインジェッソが一番うまく行きそうな気がする。
昔、ホルベインのカラージェッソで黒が気に入ってたっけ。
質感が少し違う。
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先週の話だが、「再考:近代日本の絵画 美意識の形成と展開」
と、オノヨーコ展を見た。
近代〜の方はあまりにも感銘を受けて語りきれないけれど、
要は経年ではなく、時代の風潮で絵の具の使い方が異なり、
大正〜昭和のものは特にもろく、
ヨーロッパの美術館収蔵作品とは比べられない、
信じられないくらいの亀裂・その他の破損がひどい。
新聞紙をコラージュしている作品が昭和38年頃作品であったけれど、
新聞紙は黄ばんでいるもののさほど損傷なし、
その周りの油彩が亀裂しまくっている。
新聞紙よりも持たない油彩画面なんて。
例えば作品が作者よりも長く生きながらえるかは、
ひとえに、後世の人達の作品を残そうとする努力。
修復の本を読んでの第一の感想がそれだった。
しかし努力しても哀しい残骸になるとしたら悪いなぁ。
絵画作品は高価だ。でも、制作者は表現は一生懸命でも
材料の扱いに関しては無関心なことが多い。
ガラスケースに入って、ほとんどの絵の具層が剥がれ落ちた作品がある。
これはどういうことで、何故ここ美術館に収蔵されているのか。
ン万出してせっかく買った絵画が、数10年でひび割れ剥離損傷したら、
これはやっぱりマズイよね!!
by HPY
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画材の差 2004年06月17日(木)
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パステルの練習。パステル持ってないので、
CARAN D'ACHE(カランダッシュ)の水溶性クレヨンで。
同モチーフを水彩で。
水彩だと暗色がもたるので、インクを併用。途中。
by HPY
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修復と保存関係の本を読む 2004年06月16日(水)
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カップの方はやはり定着があまりよくない。
これはカオリン地に油性膜(たぶん)にヤスリがけし、
テンペラ描きだし〜油彩なのだけれど、
テンペラ層が全然定着してない。カッターで削ると、
アクリルみたいにめくれていってしまう。
このパネル地は人に貰ったものなのだけれど、
処方も分からないし、本人は油彩メイン。
それにいらないからくれたのね。きっと。(>.<)
油彩オンリーで行こう。
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もう一枚はボールペンでのエスキースを起こしたもの。
以前よく描いていた抽象日記に似ている。
川原にあるような丸い石のイメージ。
キャンバスペーパーにテンペラオンリー。
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今週読んでいる本は、修復関係の本。
画材・技法関係の本のお薦めリストは、
「西洋絵画の画材と技法」から。
特に日本洋画史を読むと、明治初期の油彩を見たくなる。
ちょうど東京芸大美術館で、
「再考:近代日本の絵画 美意識の形成と展開」を開催中(今週中)。
by HPY
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薬品の驚異の力 2004年06月15日(火)
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これ以上絵の具をのせてももたるだけと思って、
カッターでの削り出し描写、呼吸をさせる。
スリムアップしたところに油彩透層を一層乗せてなじます。
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樹脂系はべたべたするので、
先日買ったスプレーコートをかけてみた。
驚き。いいじゃん、これ
テンペラ層ちょっともろかったんだけれど、
20分して軽く固まったし、べたつきももちろん消えた。
成分が気になるけれど、
見てもよく意味が分からなかったよ。(o_o)
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このなんだか分からない空間は結構いいな、と
お気に召すのだけれど、この先思うようにいくかどうか、
今度は少々びくついてる。
途中うまくいくと、壊すのがコワイんだよね。
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こちらは最初から壊れてるので、どこまで持つか。
彫刻的にしたいイメージ。
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30号板に丹念に石膏地を作り磨いたパネル、
後日油彩をナイフでべたべた盛り上げて台無しに。
捨てるにはしのびなく、その上に描くのも気が進まない、
かさばるわ重いわでコマッていたが、
思い切ってストリッパーで薬品落としの荒技に出た。
ストリッパー、落ちるわ落ちるわ、
ガチガチの絵の具層がふやけてもろもろに。
手に触れるとぴりぴりやけどのように痛い。
きれい真っ白にはとれないけれど、なんか気が済んだ。
布張って、普通のパネルとして使うかも。
保存を考えていい支持体に描きたいのはやまやま、
でも失敗率高いんだよね、わたし。
by HPY
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地塗りで変わるライフワーク 2004年06月14日(月)
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缶入り速乾性地塗り剤、
ファンデーション(チューブ・リンシードとシルバーホワイト系)、
油彩用ジェッソ、アクリルジェルと
それぞれ板に施し、絵の具を一層ぬったところ、
一番発色がきれいだったのがファンデーションだった。
なので、地塗りはファンデーション・オーカーを塗っている。
膠を湯煎して作った石膏地に比べてめちゃくちゃ楽だぁ!
小品中心にたくさん作る。
小品に気軽に絵が描けるというのは嬉しい。
今まで支持体準備が大変だったから。
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さて、透視図法を使った不思議な空間というのを描きたい。
描こう。
いざ、とエスキースをとりだしたら、
ありゃりゃ、透視図の導き方、忘れちゃってるよ。
アンチョコ見ながらまた明日だ。
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完成作品にはタブローワニスを塗ろうと、スプレー式を買ってきた。
6ヶ月以上経つ絵に描けるが、
よく見たらおぉっと、指触乾燥用の仮止めと書いてある。
間違えて買っちゃったよ。(^^;;
今週は天気が良く湿度は低め、塗装にはいい日じゃないかな。
ま、ツヅキは明日に。
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やりたいことをどんどんメモする。
透視図法的空間の他に、
レリーフ的な浅い空間、というのがある。
丸い石を並べるような感じはどうかな?
群衆より個。群衆は苦手だ。
電車の中でのクロッキーも、輪郭線主体ではなく、
今描いてるヤツ(興味のある形)に合わせて、
描き方、見方が変わる。
見方が変わるとまた面白いことがたくさんある。
「鼻」のレリーフも面白いかも、なんて、
クロッキー、はじめて本画の役にたちそう。
by HPY
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懐かしのペン画 2004年06月10日(木)
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前回の「愛でる」が気に入っていたので、
写真の細部なんか忘れよう、自分の形を信じようと
メモ魔と化す。動きだ動き。
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やばいくらいに眠い。言動もやばい。
ふと、ここは人がたくさんいるじゃないと、
気づいてまた描く。
ペンや筆を握っていると安心するなぁ。
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やっぱ小品素描は必要だ。
今は油彩で素描やチョイ画がしたいなと、
例のキャンバスペーパーにボールペンでスケッチ。
ここまでは普通。
ここからが正念場。
下地のペンタッチを活かそうと、
できるだけ油彩を透明に重ねてみるけれど、
どうしても暗く、形も曖昧になってしまう。
テンペラ白があればいいな、とも思ったけれど、
油彩白と豚毛筆で。
なんか違うなぁ!!
テンペラ白がないからでもなく、
面相筆がないからでもなくて多分、
ペン素描の時の方が、形がシャープで好きだ。
そうすると、色彩を乗せる意味がなくなってしまうものなぁ!!
なんとなくその点だけ納得。
下地にペン素描という、この自分の中で古い技法は
そろそろ終わりかも。次はそこまで来ている。化けるか。
by HPY
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余白を大きくとる 2004年06月09日(水)
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F10号板地と迷ったが、余白を大きくとりたい。
思い切って30号にチャレンジ。
たたずまい、わずかに上を向く女性。
上を向くと目線が対角線でいいかな、と思ったのだけれど、
不自然なのでラフイメージに戻る。
最初はスケッチの動きを意識していたのに
いつのまにか写真をあてにしている。
参考写真を一生懸命見ても、
最初のスケッチのようなシンプルな動きは出ないよ。
人物細密をする気はないんだから気を付けて。
イメージは…今朝見た美術図鑑の
古代イタリアの彫刻のような。(ギリシャ同化以前の)
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こちら、乾いたのでツヅキを描く。
う〜ん、板地だから滑るのか、
テンペラが古くて定着力が劣化したのか、
どうにも食いつきが悪い。
ハッチングができないので、途中から厚塗りに。
明暗ばっかりばりばり出て、『叙情的』ではないわね。
(なんかもっとピタッとくる形容詞ないかな。)
by HPY
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ハッチングか否か 2004年06月07日(月)
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初の叙情的作品は落ちたわね。
アトリエの人は4人中3人が落ちちゃって、(一人は不明)
やっぱ全国規模は難しい。
それは別にいいんだけれど、(^^;
それよりも今、傾向でふらついている。
人の意見を聞いて、余計。
描きながら考えるしかないな、と
小品実験にまたチャレンジする。
下地はカオリン。板絵。
板地は薄塗りがきれいに決まって、
好きなマチエールだなぁ。
でも方向性はまだちょっと不明。
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掃除中油彩パレットのにじみ。
なんとなく思うところがあって、
じーっっっっっっっと見つめている。
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例の絵。
ひとつは油彩ハッチング。
油彩ハッチにしたのは、線が強いから。
でも強すぎて背景の淡い色と合わない。
もうひとつは、テンペラ。ハッチングではない。
テンペラハッチは細すぎ鋭すぎ、
ちょっと大きな画面ではすぐに途方にくれてしまうから、
今回ハッチを潰すように描く。
後ろに下がってみるとぼぅーーっとした形態がいきなり現れてる。
こっちの方が好み。
今まで自分になかったものだなぁ。
発見。
by HPY
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