僕は、時々、「どうして自分は人間なんだろう?」って思う。 もっと、ふわあっとしたものだったらいいのにって思う。 たとえば、霧とか、もやとか、月の光とか。
何もしたいことなんてほんとはないんです。 行きたいところも、食べたいものも、欲しいものもありません。 誰かを愛しているわけでもないし、何かの使命を帯びていることもないのです。
そんなわけで、「人間」をしているのは、無駄っぽいのです。 ただ「生存」しているだけでも、ずいぶんつかれます。 人間って、メカニズムがややこしいですから。
もっと単純に、人間なんかじゃなく、霧とか、もやとか、雲とか、月光だったら。 やさしく、やさしく、この世界に降り注いでいられたのに。
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