『日々の映像』

2003年06月30日(月) 児童虐待の相談処理件数過去最高

 介護が必要な高齢者の家庭内の虐待が深刻になっているという。6月15日、厚生労働省は、全国規模の調査を行なうことを決めた。どのような人が、どんな環境で虐待に遇っているのだろう。高齢者、児童の虐待などは、本来あってはならないことだ。しかし、社会の片隅で信じられない虐待が行われているのが現実だ。

 厚生労働省の調べによると、昨年度の児童虐待の相談件数は「2万4196件と過去最高を更新した」(6月25日・毎日から)という。虐待の内容と人数は左記の通りで、親の暴力を受けている子供1万余名、食事を満足に与えられない子供9000余名、激しい言葉でののしられる子供約3000名、親から性的な虐待を受けている女の子800余名だ。

 総ての大人は、この虐待の内容と人数を深刻に受け止めるべきだ。そして、身近にこのような虐待があったら、声を上げるべきである。なんの関心も示さない心貧しき人もいる。このような人と現在の虐待の加害者が、年老いて虐待を受けるのだろう。

身体的虐待     46・5%   11251人
保護の怠慢・拒否  37・8%  9146人
心理的虐待     12・3%   2975人
性的虐待      3・4%     822人 
計                  24196人

      余   録

 この記述は41字×15行(約600字)で書いている。しかし、この文字数では収まらないと判断したテーマは、ページ一枚すなわち1200文字枠を使って書いてきた。今後は例外を除いて、600字以内に収めていきたいと思っている。そして、どうしても補足が必要な場合は、この余録で加筆したい。おびただしいニュースの中から、1日1テーマを選択するのがなかなか難しい。溢れ出るテーマの中で、どうしても書き留めておきたい事柄もこの余録で書き残しておきたい。
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 6月3日 DⅤ法(ドメスティック・バイオレンス)のことを書いた。法律が出来てもその内容を知っている人が少ないのには驚いた。六年ほど前は、確かDⅤで被害を受ける女性は15%であった。女性が夫や同居者から受ける暴力は、以前より増加しているようである。熊本県の調査によると「DⅤ被害の経験がある」と答えた人は、実に30%もいる。
 
 「女性の被害は『刃物を突きつける』『大声で怒鳴る』などの威嚇や脅しが多く、殴るなどの暴力もあった」(6日・毎日から)と報道されている。人間としての最低限の条件を身についていない人が増加している。社会全体の教育力が落ちて来ているのだ。
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 6月3日、フランスで開かれていたサミットが三日間の討議を終えて閉幕した。シラク大統領の議長総括は北朝鮮への対応で、日本人の拉致問題を初めて明言した。北朝鮮は日本の世論をこれだけ敵に回して、なお我が方に利があると思っているのだろうか。国内に何が起こっているのか、北朝鮮のトップは知っているのだろうか。報道によれば「朝鮮民主主義共和国(北朝鮮)は、飢餓が深刻化し、闇市で人肉の売買まで行われている」(3日・朝鮮日報から)この報道のもとは中国圏のマスコミが伝えたものだ。

 報道の根拠は約200人の脱北難民の証言が収録されている「朝鮮難民援助基金会議」の報告書なのだ。このなかで「通常、埋葬されて間もない遺体を掘り出したり、子供を拉致して殺害し、人肉を販売している」「人々は闇市で人肉を販売していることをみな知っている。公の場で言わないだけだ」北朝鮮当局は「一罰百戒」として、人肉売買者らを公開処刑に処しているという。

 人肉を調理する・・食べる・・などという人間の行為は、最低、極限のレベルの行動である。中国の過去の歴史の中で、儒教を変形させて人肉を食べる行為が容認された時期があった。この悪しき習慣に徹底的な批判を加えたのが、中国近代の精神革命のもととなった文豪魯迅の「狂人日記」である。この本を5年ほど前に読んだが、儒教が捻じ曲げられた封建社会がいかに救い難いかを思い知った。北朝鮮は、5月15日に書いたように、社会主義、封建主義、軍国主義がごちゃ混ぜになっている。このやりきれない暗さと恐怖、そして飢餓の中に支配されている大衆があまりにも哀れだ。
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 6月4日、イスラエル(シャロン首相)とパレスチナ自治政府(アッバス首相)は「2つの国家の平和的共存」を実現させる決意を宣言した。しかし、この宣言に対して、イスラエルの右派や入植者団体は強い反発と批判の声を上げている。イスラエル治安当局は、極右過激派がシャロン首相に危害を加える可能性があるとして、首相の身辺警護を強化するありさまだ。一方、パレスチナの「イスラム聖戦」は、平和的共存の宣言を酷評して武装闘争継続を宣言している。これでは、ブッシュ大統領が出席してまとめた、紛争終結宣言も砂上の楼閣のように崩れていくのだろう。これからも自爆テロと報復攻撃が避けられない。
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 6月4日、旧厚生省の汚職事件の最高裁判決は出た。収賄罪に問われた元事務次官・岡光序治被告(64)の裁判で最高裁第一小法廷は、被告側の上告を棄却する決定をした。これで懲役二年の実刑と追徴金6200万円が確定した。

 この人が逮捕されたのは、1977年のことであつた。ちょうど、日々の映像を書き始めた時であり、事件の記憶は鮮明に残っている。厚生省のトップが特養ホームの補助金に絡み、便宜を図った見返りに6000万円を受け取った事件であった。岡光被告は行政のトップから刑務所へ、まさに天国から地獄行きのモデルを示すことになった。なにしろ、戦後事務次官経験者が汚職事件で実刑が確定するのは初めてなのである。

 報道によれば、妻ら家族は、岡光から離れたという。少々プライドの高い女性であれば被告人の妻は耐えられなかったのだろう。元「ミスター厚生省」と称された岡光被告は官僚時代の仲間と会うことはほとんどなく、高齢の母親を介護しながら2人で暮らしているという。しかし、岡光被告は間もなく収監される。この時、老いた母はどんな顔で我が子を送り出すのだろう。
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 6月9日 万景峰号の新潟入港中止のことを書いた。前ページの余禄に書いたが、死者を掘り出す・・調理する・・売買する・・食べる・・など北朝鮮から伝えられる二ュースはショックな内容が多い。5月30日の朝鮮日報は次のことを伝えていた。

・ 中国は去年一年間、数万人もの脱北難民を北朝鮮へ強制送還している。
・ 五月二九日、米難民委員会は、『2003年世界難民報告書」を発表した。この中で中国から送還された数万人の脱北難民たちは収容所に収容されるか、処刑されたと伝えている。信じられないほどの過酷な環境で、なお、生き延びようとする人間がいる。これの人達の生きる権利を奪う国家権力は、まさに悪魔の存在だ。
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 6月11日、米国の信頼崩壊の危機と題して少々書いた。12日に書いた携帯メール信仰も視点は同じく信頼の崩壊ある。5年ほど前、日本生命の資料を参考にして「信は万事のもと」と題するエッセィを書いた。個人或いは社会にいろんな問題が起こるが、その背景を観察すると信の崩壊である場合が多い。10日に書いた離婚28万9000組は、まさに信の崩壊である。
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 6月12日に携帯メール信仰を書いた。こちらは公的メディアの信の崩壊だ、中国市民の病院に対する信頼の崩壊は深刻だ。市民が病院の感染を恐れて、診療を敬遠する傾向が続いているのである。最大の感染地域である北京では「外来収入が10の1に減少した病院もある」(6日・西日本新聞から)というから、病院の信頼がいかに崩壊したかである。病人を治す病院が、危険な場所になってしまったのだ。
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 6月13日最低賃金のことを書いた。多少加筆して置きたい。最低賃金には地域別、産業別の賃金がある。

             新 潟     東京都
地域別最低賃金      641円      708円
産業別最低賃金
・各種商品小売業     704円      761円
・電気関連製造業     739円      781円
・自動車関連小売業    736円      783円
・出版業          ―        783円
・鉄鋼業          ―        795円

 新潟の場合であれば、指定業種以外の最低賃金は641円になる。住居コストからいくと、東京都の最低賃金708円は安いと思う。
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 6月16日、イスラエルとハマスの戦争のことを書いた。ハマスの幹部は、クリントン時代のアメリカと、ブッシュ時代のアメリカの違いを冷静に理解しているのだろうか。パレスチナ自治区というネコのひたいのような土地に陣取り、アメリカ・イスラエルに対してテロで戦おうとしている。ハマスの最高幹部のランティーシ氏は「ハマスは占領下での停戦の呼び掛けは拒否する。停戦という言葉はわれわれの辞書にはない」(14日・世界日報)と明言しているのだ。よって、イスラム根本主義ハマスは話し合いも出来ない狂信的な団体と言わねばならない。

 ネオコン(新保守主義派)が支配するブッシュ政権から見れば、ハマスは次のように映るのである。ブッシュ大統領の語録を引用しよう

・ 中東には平和を憎む者たちがいるのは明らかだ。(6月11日)
・ 平和を破壊する存在であり、自由と平和を愛する世界は、ハマスと殺人者たちに厳しく対処しなければならない。(6月15日)

 米国務省の報道官はより具体的に「〔ハマスは〕明らかに和平の障害である。パレスチナ国家樹立を妨害しょうとするテロリストを撲滅するために、自治政府はあらゆる手段を尽くすべきだ。パレスチナの管轄地区を掌握できる治安部隊を設置する必要がある」と明言している。

 自治政府の治安部隊で、ハマス他の団体(テロリスト)を撲滅せよ!というのである。これが出来なければ、米軍の派遣もあり得るという思考なのである。自治政府がハマスの掃討にでれば、僅か290万人のパレスチナ人同士の内戦である。また、新たな悲劇が始まろうとしている。ハマスが停戦・和平を拒否しているので、ネオコンの思考に基づけば、テロ集団は撲滅・掃討・殲滅あるのみの結論が導き出される。悲劇の鐘が更に高く鳴り響こうとしている。
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 6月21日、米兵がイラン各地で襲撃されていることを書いた。米軍は深刻な事態に直面すると思う。最大の問題はイスラム原理主義に洗脳されている大衆に、アメリカが「自由と民主主義」を説いてもほとんど理解されないことだ。イラク人の過半数以上が「異教徒がイスラム社会を統治するのは許せない」という感覚だ。よって、少人数でアメリカ兵の装甲車輌をロケット砲で攻撃するような事件は限りなく続くだろう。

 アメリカがイラクを統治するに当たって、日本の占領政策を懐かしく語られたとの報道があった。日本は明治の時代に、西洋のあらゆる文化が怒涛のごとく翻訳されていた。よって、マッカーサーの占領政策を理解する文化的な土壌は完璧に出来ていたのだ。

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 6月23日、覚せい剤のことを書いた。一グラム6万円~12万円もするような覚せい剤から足を洗おうと呼び掛けた。しかし、薬物の依存者がそこから脱け出すには容易なことでない。彼らを違法な行為を行う犯罪者ではなく、一人の悩める人間として理解してやる人間の輪が必要なのだ。薬物依存者が信頼に足りる仲間、支えてくれる人を持つことによって初めて薬物から足を洗うことが出来る。

 6月23日の世界日報で「広がる若者の薬物汚染」という特集が組まれていた。アルコールや薬物依存症の治療を専門とする赤城高原ホスピタルの竹村院長は「治療者は、無条件の愛をもらえなかった子供たちの心の痛みや苦しみに共感する能力が必要」と強調していた。薬物に依存する若者のほぼ100%は、機能不全家庭の出身である。前段の指摘に補足を加えれば、薬物使用者は、子供の頃無条件の愛を受けなかった人達なのだ。

 具体的にいえば、6月30日に書いたように、子供の頃に無償の愛のかわりに虐待を受けていたのだ。この心の痛みから、解放してあげることは容易なことではない。薬物依存者は、この心の痛みを乗り越えられなかった人達と受け止めてやる必要があるのだ。この問題は行政が取り組む範囲を超えている。彼らを理解し、共感し、支えていくPK〇を含む人間の輪が必要なのだ。
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 6月24日に書いた早大の集団レイプ事件に、国会議員の解説が報道された。鹿児島市内で開かれた公開討論会で、大田誠一党行政改革推進本部長が「集団レイプする人は、まだ元気があるからいい。正常に近いんじゃないか」(6月26日・朝日から)と発言した。強姦は女性に対して支配・征服が性行為という形をとった最大の暴力であり、最大の人権蹂躙なのである。この認識・人権感覚が弱いので思わずこの発言となったのだろう。

 早稲田大学は26日までに、約5万人の学生に規律を正すよう呼びかける学生部長名で電子メールを送った。一部を引用すると「破廉恥な犯罪行為の容疑者として学生が逮捕された・・・大学は学生諸君を大人とみなし、自由を尊重してきましたが、自由と放縦とを混同してはなりません。・・・誇りとごう慢との混同が高じて事件に至った」「6月26日・共同通信から」メールは誰が読んでも分かる文章にすべきだと思う。放縦(ほうじゅう・勝手気まま)は常にはほとんど使われない。「誇りとごう慢との混同が高じ」と言われて、学生たちは意味を実感として理解できるのだろうか。
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 前記した事件は、強制わいせつ・婦女暴行事件として集計される。6月24日の閣議で2002年度の「青少年の現状と施策」(青少年白書)が報告されていた。その一部を引用すると、前記した婦女暴行事件などの性犯罪被害者は6903三件(前年6898件)と増加傾向にある。早大の集団レイプ事件、年間6900も起こる性犯罪の中の一件なのである。


2003年06月29日(日) 指導力不足の先生

 2001年に成立した教育関連3法は、「学力不足」「指導力不足」の先生の免職を含めた厳しい対応をうたっている。この法律に基づいて各県の教育委員会が取り組んでいる内容が時折報道される。取り組みの第1段階は、指導力不足と判定された教員を集めて、1ヵ年の研修を行うものだ。
 
 各県の指導力不足と認定された先生は10人~25人のようだ。熊本県9人、香川県24人(認定作業の段階で4名が退職)。広島県16人(この県は1年早く研修を開始)学校復帰が決まったのは4人、6人は判定委員会の判定待ちという内容だ。教育の現場で指導力不足と認定され、1ヵ年の研修を受けた後に学校に復帰できるのは3分の1のようだ。 
 
 これらのテーマを書く気になったのは、ビックリするような大阪の例である。府立高校の数学教諭(45)が研修を受ける。研修中に府立高校の数学の入試問題を解かせたところ、男性教諭の正解率は3割であったという。中学の数学の問題を高校の数学の先生が3割しか解けないというから唖然とする。生徒から授業が理解できないとの苦情も当然だ。
 
 こんな人を20年余りも数学の先生をさせていた責任は誰が取るのだろう。誰も取らないのが、日本のシステムのようだ。この先生は分権免職になった。

2003年06月28日(土) 共産論戦の「顔」筆坂議員がセクハラで辞職

 共産党は6月24日、論戦の「顔」であった筆坂議員を女性に対するセクハラ行為があったとして「23日付きで党中央委員を赦免した」と発表した。筆坂氏はこれに伴い議員辞職願いも提出した。

 余りにもあっけないので、釈然としない事柄が多い。①酒の席というが何時のことか。②この席で何を言ったのか。③同席していたのは何人か。④どこの女性か。これらマスコミの質問に対して、市田書記局長は相手の人権を守る理由を前面に出し、一切答えていないのである。酒の席で同席者がいたのか、いなかったのかも答えていない。

 本来、完全無欠の人間などいるはずがない。酒の席で筆坂が女性に何を言ったのか。(しんぶん赤旗によると、性的嫌がらせ問題としている)ただそれだけで共産党ナンバー4の筆坂氏の首を切り捨てる・・・やや異常な体質ではないだろうか。

 女性の人権が重要であることに異を唱えるものでない。女性の人権が重要なら筆坂氏の人権も重要なのである。少々乱暴な言葉を使っただけで、一切の職責から追われる筆坂氏の人権はどのように配慮されるのだ。加害者の人権はゼロなのか。事実関係を何も説明しない今回の赦免劇は、閉鎖的な党体質の矛盾をあぶり出している感じである。

2003年06月27日(金) 世界の軍事費93兆円

 ストックホルム国際平和研究所は、2002年の年次報告書を発表した。これによると2002年の世界の軍事費は「7940億ドル(約93兆円)」(世界日報から)であるという。この支出の43%がアメリカで、その他は英国戦略研究所の資料をもとに概要を示すと次の通りである。

   アメリカの軍事費は、03年に急増して50兆円に近づいている。
   こんな数字を見て意味が有るのかと言われそうだ。国連とワール
   ドウオッチ研究所の示すデータを並べて見よう。
   ① 飢餓に苦しむ八億人の一年分の食料援助      11兆円
   ② 世界中の人々に基礎的な教育を受けさせる。    1兆円
   ③ 世界中の人々に安全な飲み水を提供する。     1兆円
   ④ 世界中の女性の出産の関わる保健費       1・4兆円
   ⑤ 世界中の砂漠化の防止の費用            1兆円     
   ⑥ 世界中の地雷1億1000万個を撤去する費用     4兆円
 
       アメリカ  40兆円 
       ロシア   8兆円 
       中国    7兆円
       日本    5兆円
       フランス  4兆円
       ドイツ   4兆円
       イギリス  4兆円
       その他   23兆円 
       合計    93兆円

2003年06月26日(木) 「無保険船」入港拒否の新法案

 昨年12月、茨城県日立港で北朝鮮の貨物船(3144トン)が座礁した。船の油の抜き取りを含めた撤去費用が「6億5000万円」も掛かるという。この撤去費用が、日本の税金によって支出されている。北朝鮮の形式上の船会社がこの費用を払うはずもなく、これほどいまいましい話はないと思う。

 現在全国で12隻の外国船が座礁して放置されている。いずれも、船主責任保険に加入していない。これまで撤去された船の費用は、国と自治体が負担して来たのだ。国土交通省は「入港に際しては原則保険加入を義務化し、無保険船は、荷受業者などが賠償責任を保証しない限り入港を拒否する方針を固めた」という。このため、今年中に「無保険船規制法」をまとめ、来年の国会に提出する。
 
 保険加入状況を調査したところ、北朝鮮の船舶は来航した1344隻中保険に入っていたのは、38隻とわずか2・8%に過ぎないことが判明している。そして、座礁するとそのまま放置ではどうにもならない。どうすれば良いのだ。答えは「どうにもならない」だ。

 将軍様一人を崇めさせ、あとは命令だけの社会では、食べる食料すら満足に生産できなくなって来ている。今の体制のままを、世界が許して行くだろうか。

2003年06月25日(水) サーズ・新型肺炎情報メモ  ⑤

 新型肺炎が沈静化して、左記の一覧の通り新たな感染者のゼロの日が続くようになった。しかし、夏が過ぎ冬に向かうと、サーズの流行が再燃する指摘が多い。よって、新たな情報が目に留まった時、このメモを書いて行こうと思っている。一つの締めくくりとして、前回書いた5月24日からの主要感染地のデータをメモ。  
 日本人の感染者が出なかったことは、幸運であった。日本人には挨拶などで肌を触れ合う習慣がないことが、幸したという見方がある。しかし、ウィルスは完全に死滅しないので油断できない。「ウィルスは夏でも人の間で軽い症状の感染を繰り返しながら潜み、冬を待っている」(6月22日。毎日から)というから厄介だ。サーズウイルスも夏にひそかに感染が広がり、冬に拡大する危険があるのだ。なお、6月24日現在の世界の感染者は8456人、死者は809人であった。
                                              5月24日  6月24日 

感染者     中国  5316人  5327人 
        香港   1725人  1755人
       

 死者     中国   315人  348人
        香港   266人   296人                                       

2003年06月24日(火) 早大生の起こした事件(つつもたせ・レイプ)

 早大生が最悪の2つの事件を起こした。そのひとは、早大生・日大生を含む四人で知人の少女に、会社員の男性とわいせつな行為をさせた。そしてその男性に言い掛かりをつけて、クレジクトカードを脅し取ったとして逮捕された。昔の言葉を使えば美人局(つつもたせ)事件である。この事件の余罪もかなりあるようで、早大の理工学部3年の金田大介容疑者は5月19日付けで退学処分となった。

 2つ目の事件は集団レイプだ。麻布暑は、女子大生(20)に集団レイプをしたとして、早稲田大生3人、日本大生1人、学習院大生1人の5人を婦女暴行容疑で逮捕した。5人と女子大生はパーティで知り合い2次会へ行く。酔いを醒まそうと女子大生を連れ出し、一階下の踊り場に連れ込んだ。「悲鳴を上げる女子大生を押さえつけるなどして、順番に乱暴した」(スポニチから)疑いだ。5人は順番に見張りに立ったというから、かなり悪質なレイプ事件である。早稲田大の副学長は記者会見を開き「反社会的行為事件を起こしたことを厳粛に受け止め・・・」と謝罪した。この5人のグループから、被害を受けたという相談が5~6件警察に寄せられている。6月5五日に書いた大学教授の女子大生に対するセクハラも、大学生の集団レイプも思想的には人権無視という点で同根なのである。

2003年06月23日(月) 覚せい剤密輸激減(?)で取引価額上昇

 覚せい剤がどんな価額で闇に流れているか学習してみよう。国内で密売されている覚せい剤の価額が急騰して、1ヶ月足らずで2~4倍になっているという。「捜査当局は・・・北朝鮮からの密輸が激減したことが理由」(6月30日・毎日から)としている。

 暴力団同士の取引価額は、先月中旬まで1キロ500万円(一グラム 5000円)だったという。しかし、最近では1キロ1700万円の取引も確認されている。問題は暴力団流通価額1グラム5000円の末端価額だ。「1グラム6万円とされてきた末端価額も、首都圏で倍に値上がりしたとの情報がある」(同)というから、覚せい剤に依存している人にとっては大変な経済的な負担だ。

 覚せい剤依存症の人に言いたい。「同じ苦しむなら、覚せい剤を止めて苦しもう。あなたの再起を祈っている人のために・・・1グラム5000円があなたのところへ行くと6万円から12万円になるのだ。こんなバカバカしい世界から抜け出そう。」

 検察庁によると、過去5五年間に押収した覚せい剤の集計は、北朝鮮から来たもの1467キロ(約70億円)中国からは1280キロ(約六〇億円)。2カ国で全体の4分3を占める。
この2カ国の覚せい剤の生産地はどこか・・・それは皆が知っていることだ。 

2003年06月22日(日) 高齢者世帯の収入

 日本のみでなく、ドイツ・フランスも年金問題は大変だ。ドイツは年金保健率を2030年までに現行の19・5%から22%に引き上げ、年金受給資格を2年引き上げ六七歳からとする案が検討されている。フランスは年金改革の強い反発が起こり、連続的なストライキが続いている。六月六日には、公共交通機関がマヒ状態になるストライキとなっている。「教員組合も断続的なストライキを続行、全国各地の学校閉鎖などが続いている」(世界日報から)年金改革に反対して、フランス社会が騒然となっている。

 これらの動きから比較すると、日本の大衆は実におとなしいものだ。年金の支給基準が大幅にダウンしても、なんの文句も言わないのだから、為政者にとって、これほど有り難い国民はないだろう。 

 厚生労働省が発表した生活基礎調査のポイントをメモして置こう。①65歳以上の高齢者世帯は、全世帯の15・6%の718万20000世帯。② 高齢者世帯の平均所得は「公的年金・恩給212万円」「稼働所得58万円」「財産所得18万円」となっている。③公的年金の所得に占める割合が100%の世帯は59・5%、80~100%の世帯が11%となっている。すなわち、7-8割の帯は公的年金に依存して生活しているのだ。

2003年06月21日(土) 米兵イラン各地で襲撃される。(死者50名)

 ブッシュ大統領が、戦闘終了宣言をしたのは5月1日であった。それから50日あまりで米兵が各地で襲撃・狙撃・手りゅう弾攻撃などに会って、6月20日現在で50人の死者(6月20日・世界日報から)を出している。おおざっぱに言えば、1日1人は何処かで殺されているのだ。この状況が延々と続くのが、イラク社会の思想的な土壌だ。ブッシュ政権はこれらのことを予測していたのだろうか。

 米軍は「砂漠のサソリ作戦」と名付けて、空てい師団4000人規模の作戦を展開している。相手は規模が小さいながら対戦車砲で攻撃してくるのだから、依然戦闘状態にあるといえる。今の米兵の死者は1~3人単位であるが、過去の事例を見ればいつ数百人の米兵がテロによって殺害されるかわからない。なにしろ、相手は自爆作戦で向かって来るのだ。

 1965五年に始まったベトナム戦争、最高時の1969年には54万人の米軍を派遣して6万人死者を出した。米国は何のためにベトナムで戦争をしたのか、「ドミノ理論」という作られた恐怖であった。今回のイラク攻撃も、いつ大量破壊兵器を使うか分からない、という作られた恐怖で開戦となっている。結果として何が生まれるのか。毎週のように米兵の死者を積み上げて、ベトナムと同じく撤退せざるを得ない時期が来るのだろう。(余録で補足)


2003年06月20日(金) 市販のかぜ薬で間質性肺炎の副作用

 2月15日市販の風邪薬(コルゲンコーワ)の副作用(全身に水泡が出来るスチーブン・ジヨンソン症候群)のことを書いた。まさか、風邪薬で皮膚や粘膜のただれが激しくなり、表皮壊死に移行して死者がでる例(年間300人の発症が報告されている。市販の風邪薬の発症は30人)があるとは思わなかった。単純な表現であるが、クスリはリスクがあるとの意識が必要だ。  
 
 5月30日の厚生労働省の発表によると「市販の風邪薬を服用した26人に間質性肺炎の副作用が生じたとして、似た成分を含む42品目の風邪薬の使用上の注意を改定し、注意を呼びかけるよう関係企業に指示した」(毎日から)という。この成分を含む風邪薬は、パブロン、ベンザブロックなど市販の風邪薬の7割が対象となっている。

 こまった副作用があるものだ。間質性肺炎とは、「間質と呼ばれる肺胞の壁に炎症が起きるもので、放置すると肺全体に炎症が広がり、死亡することもある」という。この副作用は、早期に治療すれば治るようで、前記の副作用ほど怖くないようだ。細かなことは省略するしかないが、市販の風邪薬は2日間・4回飲んで効果がなかったら、服用を中止して医師に見てもらうのが適切だと思う。

2003年06月19日(木) 室内汚染物質除去対策

 生活の中には、さまざまな小さな知恵があると思う。室内空気の入れ換えも重要である。特にシックハウス症候群にならないために、室内の空気の入れ替えを習慣化・システム化しなければならない。昼間留守にする人は、夕刻にはホルムアルデヒドなどの有害物質が、一定の濃度になっていることが予測される。このような生活パターンの人は、小型(10ワット程度)の排気フアンを取り付けて昼間の換気をすべきだ。

 6月15日、ホルムアルデヒドを吸収するために、ピーナツの殻が役立つことが出ていた。これは千葉大と国立医薬食品衛生研究所の研究で分かったもので、ピーナツの殻の細かい穴が空気汚染物質を吸収するという内容だ。データは、10リットルの容器にホルムアルデヒドと手で砕いたピーナツ殻を入れて測定した。約4時間で空気中のホルムアルデヒドの80%が消えたという。更に、ピーナツ殻をミキサーで砕いたものは、90%まで取り除けたという。

 この研究を進めた青柳教授は「殻を捨てないで、薄い紙(布)に包んでタンス内に置くだけでさまざまな汚染物質を吸収できる可能性がある」としている。ピーナツ殻を捨てないで活用しようというのだから、生活の一つの知恵になる。

2003年06月18日(水) 中高生は寝不足です    

 5月の日々の映像の内容について友人と語り合う機会があった。その友人の1番のショックは、5月15日に書いた高校生の3割が一日平均20本の喫煙をしていることであった。しかも3割の人の3割、すなわち10人に1人は、たばこの吸い始めが小学生であったこともショックであったようだ。

 厚生労働省の全国調査(回答者10万人)で、またまた考えさせられるデータの発表があった。中高生の平均で、一日の睡眠時間が6時間未満の生徒が30・6%もいるというのだ。睡眠6時間未満の内訳は、「中1・11%」「中2・16%」「中3・28%」「高1・37%」「高2・39%」「高3・43%」となっている。高校三年生の43%、実に半数近くの人が6時間未満の睡眠とは驚いた。体質的に6時間未満でも十分という人もいるかもしれないが、一般的には寝不足である。

 何が寝不足にさせているのだろう。それは自分の部屋にあるテレビとインターネットゲームでないか。情報が洪水のように氾濫している中で、自分なりの生活のリズムを作っていくのは、大変なことだ。出来たら活字を通して文化を吸収して欲しいものだ。一歩具体的にいえば、何回でも読みたい良書にめぐり合って欲しい。

2003年06月17日(火) 新入社員デートより仕事だ

 6月2日に書いたように、若者の就職戦線は厳しい。何しろフリーターで働く人417万人、失業者約200万人なのである。職を得ている人も、当然ながらこの現実を踏まえての意識変化がある。
 
 社会経済生産性本部(牛尾治朗会長)が長年まとめて来た「働くことの意識調査」によると、今春就職した新入社員の間でも「いずれリストラされるのではないか」との不安が大きいことが分かったという。この調査は、仕事に対する意識、生活と仕事のバランスなど幅広い意識調査を継続的にしているものだ。ここでは一つだけ引用しょう。

 質問の一つに「デートの約束があった時、残業を命じられたらどうする」の答えは「仕事 78・5%」(1991年調査 62%・1970年調査 69%)であったという。 まだまだ貧しく、若者がモーレツに働いた1970年、すなわち33年前の同じ質問で「69%」の人が「仕事」と答えていた。それが今では「78・5%」になっている。

この「78・5%」の内訳は「男性75%」に対して「女性85%」で、仕事に対する厳しい姿勢は女性の方が上になっている。女性の方がデートより仕事を優先しているとは思わなかった。苦労して得た仕事を大切にしょうという気持ちの表れなのだろう。

2003年06月16日(月) イスラエルとハマス全面戦争 

 6月4日、余録でイスラエルとパレスチナ自冶政府との平和的共存の宣言を書いた。しかし、こんなに早く最悪の状態になるとは思わなかった。主な経過を整理すると次の通りだ。

8日、 パレスチナがイスラエルの監視ポストを襲撃、テロを含めて10人死亡。パレスチナの三組織〔イスラム根本主義組織ハマス・イスラム聖戦・アルアクサ殉教者部隊〕が共同の犯行声明を出した。これで平和共存は消し飛んだ。

10日 イスラエルがハマスのナンバー二の幹部ランティーシ氏を狙った攻撃を行う。

11日 イスラエルの路線バスに自爆テロ。死者16人、負傷者80人。ハマス報復と声明。

11日 イスラエル、ハマスとの戦争状態を公式に認める。

 詳しくは、承知していないが、この争いの根は深く1948年のイスラエルの建国に始まる。イスラエル人口620万人、正規軍17万人とパレスチナ人口290万人、軍備・警察組織総員3万5000人との戦争状態が出来上がっているのだ。この中身は、イスラエル対ハマスの殺し合いだ。ハマスの指導者ヤシン師のコメントを読んだが、「報復は続く」の予告だけだ。これでは、イスラエルのハマス壊滅掃討作戦に勢いを与えるだけだ。イスラエルは戦争という旗が立ったので、ハマスの指導者を掃討していくだろう。(余録で補足)

2003年06月15日(日) 生活保護自給者128万1000人 

 6月4日の報道によると、生活保護の自給者は今年2月時点で128万1000人となっている。ここで、この根拠となる法律を確認しよう。日本国憲法第25条には「総ての国民は健康で文化的な最低限の生活を営む権利を有する」とある。生活保護法の第一条には「この法律は日本国憲法第二五条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮する総ての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする」とある。
 
 ここで、多少の補足を加えれば、「必要な保護」とは、生活、教育、住宅、医療、介護、葬祭などの種類がある。以前に書いたが、消費者金融からお金を借りて、自己破産する人の10%は医療費の支払いなのである。医療費の支払いが出来なかったら、医療保護を申請すべきである。2年ほど前、夫が死んでそのまま放置していた事件があった。理由は、葬儀のお金がなかったのである。信じられない行動をとる人は、社会の仕組みに対して余りにも無知である。このようなテーマを取り上げる理由は無知に対する啓蒙である。
 
 生活保護自給者の内訳は、高齢者世帯59万人(45・9%)障害者世帯47万人(36・7%)母子家庭11万人(8・8%)などとなっている。

2003年06月14日(土) 電磁波で脳腫瘍発症の危険性

 電磁波の危険を、行政が初めて認める報道を見た。「一部の家電製品や高圧送電線から出る超低周波電磁波のレベルが高い環境で生活する子供は、脳腫瘍発症の危険性が上昇する」(6月6日・共同通信から)との研究結果が文部科学省のホームページに公開されたのだ。

 この研究結果の概要は、15歳以下の健康な約100人、脳腫瘍患者60人の子供部屋の電磁波を一週間測定。これに家庭全体の電磁波、送電線からの電磁波などを加えて統計処理したものだ。これによると「超低周波電磁波が通常の3倍以上に当たる0・3三マイクロテラス以上の部屋暮らす子供は、(脳腫瘍の)発症リスクが平均で10倍になった」(引用・同)国内外の電磁波の研究リポートはmG(ミリガウス)を使っているのに、どうして文部科学省は、耳慣れないマイクロテラスを使うのだろう。少々の報道で批判的なことは書けないが、報道の内容は国民に注意を促すような姿勢は全くなかった。 

 電磁の危険性の指摘は98年頃から、多くの民間発の報道があった。しかし、電磁波を多く浴びる子供が、どのようなメカニズムで脳腫瘍になるのか・・・この立証が難しいのである。日本の行政は、危険が立証されないと規制しない立場に立っている。よって、電磁波の悪影響を避けるための法律は皆無に等しい。このテーマは重要であり余録で補足したい。

2003年06月13日(金) 日本の法律が定める最低賃金

 65円、59円ハンバーガーは、外食産業の値下げ競争の象徴的な存在であった。しかし、マクドナルドは、業績悪化を理由に7月1日から以前の価額80円に戻す、と発表した。このテーマは、何回もここで記述してきた。マクドナルドは、低価額であれば需要が増える。・・・この見通し、判断を誤ったようだ。

 ここ2~3年の外食産業、食品加工・流通業界の競争は熾烈なものがある。この競争を支えているのが、6月2日に書いたフリター417万人、主婦を中心にしたパート約600万人だ。地域によって多少ことなるが、新潟市南部地域の時給は、720円前後のようだ。労働基準監督署のホームページで、最低賃金を確認すると各種商品小売業は704円(東京都761円)となっている。(余録で補足)

 論を広げられないが、時給720円から健康保険料・厚生年金などを、強制的に徴収することも考えられる。こうなると、毎月の手取り収入が大幅に減少する。要するに、低所得の若年フリーター417万人を、このまま放置して置くのかとのテーマがある。ロシアは今月6日、最低賃金を「33%引き上げ600ルーブルとする法案を圧倒的多数で採択した」(世界日報から)とある。この7年間、日本の最低賃金が論議された報道を読んだことはない。

2003年06月12日(木) 中国の携帯メール信仰

 中国のSARSの勢いは治まってきたが、この騒動で深刻な後遺症が残された。ここで言うまでもなく、統制メディアに対する深刻な不信感だ。中国の首脳陣は、統制されたメディアの隠ぺい体質が、感染拡大を招いた事実を否定することは出来ない。中国の統制メディアに対する不信感は、今後大きな影を落としていくのではないか。 

 市民のメディアに対する不信感を背景に、携帯メールサービスが絶大な人気を集めて「携帯メール信仰」(5日・世界日報から)という新現象が巻き起こっている。

 70文字の携帯メールが今年1月からSARS情報を流し始め、2月8日には「広東省都市部で致命的なインフルエンザが流行している」「広州で原因不明のウイルスによる奇病が発生。治療薬はない」などと携帯短信メールが、緊急情報のように全国に流されたのだ。2月8日時点で、このような警告を発した携帯メールの信頼は高まるばかりなのである。

 何よりも、公的メディアの信頼回復が求められるが、日本の10倍以上の巨大な政府機関が時代のニーズに合った敏速な対応が出来るのだろうか。中国社会は、共産党革命以前の封建社会に培われたワイロという悪しき伝統がある。公務員の汚職事件が年間で4万件も発生するお国柄である。公務員の収賄感覚が中国の深刻なウイルスだ。
 

2003年06月11日(水) 米国の信頼崩壊の危機 

 米国の信頼が1つの危機に直面している。米国は、政権のウソは許さない政治風土がある。5月2日にも書いたが、開戦の理由となった大量破壊兵器が見つかっていない。よって、開戦を決定した時点での、情報の精度が政治問題化している。短くいえば「危機の誇張疑惑」である。「米国内では、ブッシュ政権がイラク攻撃の大義名分を設けるため、大量破壊兵器に関する情報をわい曲したのでないかと指摘する声も強まり、議会が本格的な調査を始めるなど政治問題の焦点になっている。」「6日・世界日報から」

 この問題に火を付けたのが、昨年9月の国防情報局の報告書である。ここでは「イラクの化学兵器保有・製造を示す、信頼できる情報はない」としていたのだ。これに対して政権を挙げて「長い報告書の一つの文章に過ぎない」と指摘しているが説得の力がない。

 パウエル国務長官は「イラクは欺瞞の名人であり、(発見には)忍耐が必要だ」と訴え、ライス補佐官もテレビで「大量破壊兵器の実態が明らかになるには時間が掛かる」といっている。しかし、バグダット崩落から既に2ヶ月も経っている。しかも、専門家千名以上が捜査して見つからない。ブッシュ政権のイラク大量破壊兵器保有というウソの疑惑は、政権の交代の導火線につながって行くのではないだろうか。

2003年06月10日(火) 人口動態統計(出生・結婚・離婚・死亡)

 2002年に115万3866人が生まれ、出生率は更に下がって1・33となった。人口減少時代が早まることは必死の情勢だ。6月6日に書いたように、教育のお金がかかるシステムを根本から改正しないと、人口減は止めようがない。

 結婚したカップルは、75万7331組で昨年より4万組も減少している。この結婚数の減少は、6月2日に書いた若年のフリーターの急増と深く関係している。ここで論を広げられないが、若年層を守り育てる社会にする必要があるのだ。

 離婚が毎年確実に増加して来た。日々の映像を書き始めた1997年は22万組の離婚だった。2002年に離婚は28万9838組であった。離婚が成立するまで、かなりのエネルギーが必要で誠にご苦労なことである。この離婚数は結婚数の38・3%に当たる。これが少ないと思う人はいないだろう。以前、離婚の原因を推論してここで「別れのメカニズム」と題するエッセイーを書いたことが懐かしい。
 
 死亡者は、98万2371人でまもなく100万人の大台にのる。死因の上位はがん(31%)心疾患(15・5%)脳血管疾患(13・2%)の順だ。死亡の第6位は自殺で2万9920人となっている。自殺のことは、また後日に書き留めたい。(余録で補足)

2003年06月09日(月) 万景峰号、新潟入港を中止

 今日,新潟西港に入港する予定だった北朝鮮の貨客船「万景峰92」は、出港を中止し新潟入港を取りやめた。日本の関係機関が空前の検査・監視体制を敷いたことを受けた処置である。5月28日に書いたミサイル部品を運んでいたことは、これまでの警察当局の捜査で明らかになっていたという。

 北朝鮮は運行中断を「日本当局の不当な策動」(8日・毎日から)と非難している。問題がなかったら、堂々と入港すれば良いのだ。更に同船の検査強化が「制裁の始まりとなるなら、事態は予測できない状況へ転じ、(戦争の状況に転じるとの脅し)その結果は破局的なもになるだろう」といっている。

この声明は、海外同胞援護委員会の名で出されているが、内容からすれば北の当局者が言っているのと同じである。北朝鮮は今までも「経済制裁は宣戦布告とみなす」と繰り返し強調して来た。日米を相手に戦争をしようとでも言うのか。

 北朝鮮の脅威を必要以上に騒ぎ立てる必要はないと思う。例えば、問題になっている万景峰号(9672トン)のエンジン・エレベータ他主力機器はほとんど日本製なのである。北朝鮮は1万トンクラスの船舶ですら自国の技術だけでは作れないのだ。(余録で補足)

2003年06月08日(日) 出会い系サイト規制法成立

 6日、参院本会議で、出会い系サイト規制法が成立、サイトの運営者には利用者が18歳未満でないことの確認を義務付けた。18歳未満の少女には、援助交際を誘うような書き込みの禁止。大人に対しては金銭を払っての交際の持ちかけも禁止になった。考えて見れば、こんなことまで、法律が関与しなければならないのかと思う。

 少女の援助交際すなわち売春のことは1月6日に書いた。強く印象に残っているのは、摘発例によると93%は少女の側が誘いをかけていることだった。分からないのは、積極的に援助交際を行う少女たちの心の風景である。ただ、金のためだけとは考えにくい。

 米ヘリテージ財団が、14~17歳の学生を対象に性行動と自殺・うつの関係の調査を行った。性行動を活発に行う少女の25%は「いつもうつ状態にある」と答え、活発でない少女の8%を大幅に上回っている。これは何を意味しているのか。(自殺の関係は省略)
 
 アメリカは「婚姻外の性交渉は素晴らしいもので、若い人ほど素晴らしい経験をする」(世界日報から)という大衆文化がある。しかし、少女の25%がうつの状態では、この考え方は修正の必要があると思う。これらの少女たちは、満たされない何かを求めて行動しているように思える。援助交際を行う日本の少女たちの心も、類似した風景があるのではないか

2003年06月07日(土) ロシア強権政治の代償

 ロシアの行政関係者、兵士、民間人が、どれだけテロの攻撃にあって死亡するのだろう。昨年のモスクワ劇場占拠事件では、百数十名の死者がでた。昨年の暮れにはチェチェン共和国の庁舎が爆破され200人余りの政府職員の大半が死傷した。5月12日にもチェチェン西部の町の行政庁舎が爆破され170人の死傷者を出している。この日以降もチェチェン人によるテロ攻撃が下記の通り続いている。

5月24日 チェチェン南部べデノ地区に2件のテロ、連邦兵士14人死亡。
5月30日 チェチェン首都で仕掛けられた地雷をバスが踏み爆発、13人死傷。
5月31日 チェチェン西部境界近くロシア軍列車が攻撃を受ける。
      (モスクワAFP通信によれば、5月末3日間のテロで70人が死 亡とある)
6月5日  チェチェン隣接地ロシア軍バスに自爆テロ、パイロットら31人死傷。
6月6日  チェチェン首都でアパートが爆発、11人死亡 
 
 チェチェン人の抵抗によって、ロシア人はどれほどの犠牲をこうむるのか、その理由は抑圧という歴史的な強権政治の代償だ。モスクワ内務局は、SARS感染防止を理由に500人の中国人とベトナム人を市から強制退去させた。これもロシアの強権政治の一例だ。

2003年06月06日(金) 今世紀はアメリカの1人勝ち

 人口の増減は、その国の勢いを象徴していると思う。人口の減少が激しいのは東欧諸国でロシアでは年間70万人余り減少している。ロシアの人口は「1億4400百万人」(世界日報から)で今年1~3月だけでも25万人も減少している。国民が安心して暮らせる環境がなければ、人口が減少するのは必然の流れであろう。
 
アメリカの人口は、毎年3000万人増加して、2050年には現在の2億8000万人から4億2000千万人になると推定されている。ドイツ、イギリス、フランスなどの西欧15カ国の人口は3億9000千万人であるが、ここの人口が増加する見通しは全く立っていない。国立社会保障・人口問題研究所の資料によると、2050年までで、日本20%の減少(約2400万人の減少)、ドイツ10%、イギリス六%、フランス微減となっている。

 西欧15カ国の人口は、30年後にはアメリカ1国と同じになる。人口の面でいえば、21世紀はアメリカの1人勝ちになる。なぜ、アメリカだけが、2・1の出生率(日本1・32)を維持し人口の増加が続くのかを、深く理解する必要があると思う。日本の若い夫婦は、子供を1人か2人で止める。その理由は「子育てと教育に金がかかりすぎる」が一貫した調査結果である。ここに、手を加えない政治の責任は計り知れない。

2003年06月05日(木) セクハラ問題 その2

 5月13日数年ぶりに大学教職員のセクハラのことを書いた。これらのニュースは、余り目を留めなかったが、少し注意して見ると数多くのセクハラ問題が発生している。セクハラに関するサイトを開くと、おびただしい説明がある。しかし、この要点は、加害者の人間観、人権意識の貧弱さから来ている。よって、加害者の人達は、雇用機会均等法でセクハラを禁止しても、法律の基本理念すら理解出来ないようだ。セクハラという人権侵害を糾弾する意味で、毎月1回これらの目次のみでも記録に残すことにした。

5月13日 弘前大の女子2割がセクハラ被害。
5月21日 教授のセクハラで自殺未遂、文教大文学部の女子学生。
5月27日 桃山大学院大の男性教授がセクハラ、来月上旬に処分決定。
5月28日 名大大学院教授、セクハラで提訴される。
6月1日  参院職員のセクハラで11人処分、加害者の男性課長(46)は依願退職。
6月1日  教師養成の場(教育実習先)でのセクハラの悩み、3~4%

 この6件のセクハラ報道を見ると、加害者で共通しているのは、公務員又はこれに準ずる立場の人である。ショックを受けたのは、教員を養成する先生たちのセクハラだ。

2003年06月04日(水) 妊婦が食べると危険な魚

 5月8日に国内水産物の残留カドミウムのことを書いた。カドミウム、水銀、ダイオキシン(内分泌撹乱物質=環境ホルモン)などの有害化学物質のことを、僅かな文字数の中で記述することは難しい。1999年11月14日に記述したが、これら有害物質、有害商品を検討する大前提が二つある。ヨーロッパなどは「安全が確認されていないから規制する」という立場をとっているが、日本は「危険が立証されていないから規制しない」という立場を取っている。詳しくは省略するが、この前提の差は実に大きいのである。

 厚生労働省が6月3日、水銀が高濃度に含まれている七種類の魚(メカジキ、キンメダイなど)やクジラ類を妊婦が食べ過ぎないよう呼びかけることにした。呼びかけの内容は、魚類は1回当たりの摂取量を60~80グラムとした場合で週2回以下、クジラ類は週1回以下に抑えるよう求めている。果たして、クジラ類を1週間に1回食べても安全と確認されているのだろうか。

 大まかに整理すると、5月8日の沿岸部に住むかに・えび、これをエサとするいか・たこにカドミウムが多い。今回の発表も食物連鎖の上位の位置するカジキやクジラに有害物質が蓄積しているのだ。クジラは基準値の30倍のメチル水銀が検出されている。

2003年06月03日(火) 社会の動きを知らない人達

 法律が成立して社会全体が、一つの方向に進もうとしているのに、これを知らない人が実に多い。例を1つ挙げると、01年4月に成立した配偶者暴力防止法(DⅤ法・ドメスティック・バイオレンス)がある。内閣府が4月25日に発表した全国調査によると、この配偶者暴力防止法の内容を、8割の人が知らなかったという。しかも未婚者の4割の人が、法律があること事態を知らなかった。(余録で補足)

 この法律が成立して以来、どれだけ報道があったか分からない。それでも20代の4割の人達が、法律の成立すら知らないというから驚きである。若い人達が如何に狭い情報と限られた知的空間の中に日々を過ごしているかである。このDⅤ法は、配偶者からの暴力防止と被害者の保護を目的としている。このイロハを確認することも意味があろう。

身体的暴力
殴る、たたく、ける、髪を引っ張るなど身体へダメージを与えるなど。

精神的暴力 
暴言を吐く、殴るふりをする、物を壊す、などで恐怖心緊張感を与えるな ど。   

経済的暴力 
生活費を渡さない、支出を細かく管理しお金を自由に使うことを許さないなど。

性的暴力 
 無理やりセックスをする。女性を物扱いする行為で心身にダメージを与える。

社会的暴力
 外出先をチェックする。自由に行動することを制限し孤立させるなど。

2003年06月02日(月) 深刻な社会問題、若年フリーター急増

 竹中経財相は、2003年度国民生活白書を発表した。ニュースがあっても、人によって捉え方は千差万別である。白書の若年フリーターの現在に目を通して、これでは日本の人口が激減していくと思った。白書によると、フリーターの数は1990年の183万人から2001年には417万人になっている。このことを整理すると次の通りである。
              1990年       2001年
フリーター(15~34歳)184万人(10・1%)417万人(21・2%)
 
 ここ10年で若年のフリーターの数が2・3倍になっている。このテーマはここで何回も書いてきたが、フリーターの収入が10万円前後だ。パラサイト・シングルなら当面は困らないが、自立となると不可能に近い。このような若者が、学生と主婦を除く人数(1960万人)の21・2%の417万人もいる。

 さらに、1960万人の約10%少々(200万人)が失業中である。これでは、未婚・晩婚化が進み少子化に拍車がかかり、予想を超える人口減という結果になると思う。企業が取っている正社員べらしが、パート・アルバイトを増やす結果となっている。企業に社会性があるのは当然で、これらのデータを冷静に考え深刻に受け止める必要がある。

2003年06月01日(日) 北朝鮮の船すべて監視 ? 

 北朝鮮は、人道的にも国際法上も許されない日本人の拉致を何人実行したのだろう。北朝鮮に拉致された可能性も否定できない行方不明者を調査している「特別失踪者問題調査会」は5月30日、新たに61人の不明者を公表した。同会の公表者はこれで143人だ。

北朝鮮の麻薬密輸のナンバーワンのお客は日本であるというが、日本の闇組織にどれたけ麻薬を渡しているのか。日本を射程に入れているテポドンの主要部品は日本製であるというが、何時どこの港から運び出したのだろう。これらは総て闇に包まれているのだ。

 6月9日に北の貨物船「万景峰92」が新潟港に入る。政府は船の安全性の立ち入り検査(PSC)や役所(海上保安庁・法務省入国管理局・税関)の合同立ち入り検査をする。今は過日のアメリカの証言で万景峰だけが話題になっているが、その他の中小の港に、年間で1400隻もの北朝鮮の船舶が入っているのだ。政府はこれら1400隻もの船舶を監視して、麻薬などの不正輸入を防止できるとでも思っているのだろうか。

政府は、麻薬密輸を本当に防止するとの決意が有るのだろうか。もしそうであれば、すくなくとも入港の港を制限するとか、何らかの規制が必要だ。何もしないで、役所の監視だけで防げると思っているとすれば、お笑いに近い無責任体制だ。

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石田ふたみ