『日々の映像』

2003年05月31日(土)  余  禄

 五月の最大のニュースは、やはり世界を震撼させているSARSになると思う。何しろ診察に当たった医師、看護師が次々と感染の後死亡しており、このようなことは近代ではほとんど無かったことである。それだけに、このSARSが今後どのようになっていくか、強い関心を持たなければならない。ここで、情報メモ①②③④に記述できなかったことを加筆して置きたい。 

 香港大学の研究チームは23日「新型肺炎の感染源について、ジャコウネコ科哺乳類であるハクビシンの可能性が高いと発表した」(24日・毎日から)ハクビシンの4匹の便からSARSウイルスと遺伝子がほぼ同じウイルスを検出したのだ。広東省での最初の感染者は、これら野生動物を取り扱っていた人、処理して(殺して)調理していた人に絞られてきたようだ。研究チームは「便や分泌物に触れて感染した」と推定している。 

 中国広東省の食文化を批判するつもりはない。ただ、この省ではネコ、ヘビ、ハリネズミなどの野生動物を食材に使う料理が「野味」と称してすっかり定着している。ここで「家禽蛇獣総合市場」(5月4日・読売から)がある。ここでは「ネコ、野豚、クジャク、ダチョウ、カメ、ハクビシン(ジャコウネコ科の哺乳類)ハリネズミなど、野生動物を中心に50種類以上の食用動物が金網や布袋に入れられて、生きたまま売られている」(同)この中のハクビシンにウイルスの感染源があるようだ。今回の騒動は、俺たちを(野生動物を)あまり食べるな!との警告のようにも感じられる。 

 SARSが怖いのは、感染力が極めて強いスーパースプレッダーの存在である。北京の隣の天津市では「男性1人から160人に感染が広がったことが26日分かった」(26日・毎日から)という。この1人の男性は「4月15日、心臓手術のため天津市武装警察病院に転院。38・5度の高熱が出たため17日、新型肺炎の疑いで指定病院に転送された。病状が悪化し、18日別の感染病院に再び転送された後、新型肺炎と診断され4月20日に死去した(5月26日・毎日から・要旨のみ)

 長々と引用した理由は15日から20日までの僅か6日間で医師ら医療関係者60人に感染させた他、2次感染も起きて160人に広がったのだ。この男性を診察した医師3人は全員感染し、2人は既に死亡している。医師、看護師にとっては、これほど恐怖に感じる感染症はないと思う。

 問題はこれからである。米国の専門家が上院で「今冬の訪れととも、・・更に深刻な感染が起こる可能性がある。最悪の状態はまだこれから」(世界日報から)と証言している。 

2003年05月30日(金) インドネシアアチェ州の内戦に想う

 日々の映像を書き始めた1997年5月に、スハルト独裁体制崩壊のことを書いた。この時の暴動で多くの中国系インドネシア人の家庭が十数人単位の暴徒に襲われた。「マティ!マティ!(死ね!死ね!)」と言いながら、中国系の家庭へ突入、女の子は犯され事が終わると火の中に投げ捨てられた・・などの残虐な報道もあった。この時人口2億人のインドネシアに、イスラム教はどんな文化的な貢献をしているのかと大いなる疑問を感じた。

 東ティモールは20日で独立から一周年を迎えた。独立までの、放火・殺し合いは凄まじいものであった。「昨年12月市民数千人が暴動を起こすなど社会不安も高まっている」(20日・世界日報から)人口80万人、「失業率70%」(同)では国家とはいい難いのである。

 インドネシアのメガワティ大統領は19日「ナングロアチェ州への軍事非常事態を宣言、大規模軍事作戦を発動した」(19日・世界日報から)これは独立派ゲリラ「自由アチェ運動」(GAM)の撃滅を目的とした軍事作戦である。「国軍かGAMどちらかに肩入れする発言をしただけで『GAMの1員』『国軍のスパイ』とみなされ、命が狙われた」(24日・朝日から)どちらかの烙印を押されると殺される・・こうして過去27年の紛争で1万人以上の犠牲者が出ているのだ。信じられないレベルで、国そのものの文化が問われる。

2003年05月29日(木) 上場企業の3月決算から

 ここ20日間余りの経済記事の中から、印象に残る事項を記述したい。先ずは、日本の乗用車8社が過去最高益を更新したことだ。なかでもトヨタの販売台数は「前年比4・1%増617万台となり、2位の米フォード・モーターとの差を65万台まで縮小した」(13日・共同通信)同じく1位の米ゼネラル・モーターズ(850万台)との差も詰めている。トヨタが2位のフォードを抜き去るのは時間の問題だろう。 

 日産の構造改革の成果、カルロス・ゴーン氏の経営手腕は神話になると思う。ゴーン氏は経営責任者就任後僅か4年で、日産を借金ゼロの優良企業にした。ともかく、2兆8000億円もあった借金が03年3月でゼロになったのである。ソニーの出井会長は「(社員の)モチベーションを上げながら構造改革をドラスティックにやることを謙虚に学びたい」としてゴーン氏をソニーの社外取締役に迎えることにした。

 26日大手銀行7グループの3月決算の発表があった。7グループ全銀行が赤字でその総額は4兆6199億円。赤字になった原因は①不良債権処理5兆3000億円、②保有株の評価損、売却損3兆1000億円という凄まじさだ。上場企業の決算はⅤ字の回復をしている。「税引き後の利益も前年同期の3126億円から6兆1354億円」に跳ね上がった。
  

     

2003年05月28日(水) 北朝鮮・国家ぐるみの麻薬生産の証言

 北朝鮮のことは、5月7日(核の増産)と14日(弾道ミサエル)に記述した。さまざまなニュースを総合すると「重大なその時」又は「最後のその時」は意外と近いのかもしれない。「米軍は北朝鮮の金正日体制崩壊に備えている」(5月12日・世界日報から)「ブッシュ大統領は北の政権崩壊に伴う混乱については懸念していない」(20日・同)との発言の通りその時を念頭に入れているのだ。
 
 北朝鮮の核開発や麻薬密輸の問題をめぐって、米上院の小委員会は、北朝鮮の元技師、元高官を招いて公聴会を開いた。元技師は「(ミサイルの)部品の90%は日本から来た」「万景峰号で3ヶ月ごとに運ばれた」(5月21日・朝日から)と証言している。問題の船が6月9日新潟港に入港するが、日本政府はどのような対応をとるだろう。

 麻薬について元高官は「北朝鮮は世界で唯一、麻薬の生産を国策事業にしている国家」「主要な市場は日本」(同)と証言している。何といっても、世界中の国家が「悪」断じている麻薬の生産を国家事業として行い、世界の悪の組織に密売しているのである。これがはたして近代の国家といえるのだろうか。核問題の他に麻薬の生産、通貨偽造、拉致という国際的な違法行に対して、アメリカはかなりの圧力を北朝鮮にかけていくだろう。

2003年05月27日(火) ヤミ金融の被害者12万2000人

 2月17日と3月5日に暴力が横行する日本の社会の一断面を記述した。今日はヤミ金融の視点から、横行する暴力の側面を取り上げたい。法外で違法な高金利を取り立てたとして「2002年の1年間で320人が逮捕された」(5月22日・毎日から)しかし、実刑判決を受けたのは、12人でその他は罰金刑が中心の行政罰程度で軽い。

 しかし、ヤミ金融の被害者の数は大変なものだ。「警視庁によると、昨年、摘発したヤミ金融事件は238件、被害者は12万2000人に上り、ともに過去最多になった。多重債務者や零細事業主らが狙われ暴力団の資金源になっている」(5月22日・読売から)資金源のなっている1例を書くと、「暴力団が闇金融業者を標的に『上前よこせ』恐喝相次ぐ」(12日・毎日から)という動きである。

 ヤミ金融とは貸金業の登録をせずに、貸金業を行う業者のこと。出資法の上限金利(年29・2%)をはるかにに超える高金利で金を貸し、脅迫的な言動で取り立てる。インターネットで注意を呼びかけるページは多くあり、少々言葉のみを拾ってみよう。「整理屋」「紹介屋」「買取(換金)屋」「トヨン」(10日で4割の金利)「トゴ」(10日で5割の金利)数万円を借りてトゴの被害にあっている人が続出しているのだ。

2003年05月26日(月) またネット集団自殺、6件16人 

 ネット集団自殺のことは、2月14日(自殺の相手を探しています、2件5人)と3月27日(集団自殺の連鎖、四件12人)に書いた。それから今日まで6件16人の集団自殺が左記の通り続いている。合計すると13件33人のネット集団自殺である。

・ 4月12日 千葉県市原市の山道で男性2人と女性1人(22)
・ 4月21日 佐賀県富士町の林道で福岡男性(54)と大田区の男性(30)
・ 5月六日 群馬県水上町の駐車場で、会社員(24)都内の女性2人 
・ 5月21日 群馬県上野村の林道で若い男性3人。
・ 5月24日 京都市桃山町のマンションで男性1人と若い女性2人
・ 5月27日 甘木市の林道で広島県の30代の男性と福岡市の20代の男性

 これらの人たちの知り会う動機は、共通してインターネットの自殺サイトだ。
 
 5月18日インターネットで知り合い、集団自殺をしようと宮城の20代の女性、大阪市の男子中学2年生、北九州の女子高校2年生の3人がJR古川駅に集まった。大阪の中学生の母親が、息子のメールを見て集団自殺計画を知り、大阪府警に通報して無事保護された。

 インターネットは、有効性と危険性の両刃の剣だ。

2003年05月25日(日) サーズ・新型肺炎情報メモ ④

 台湾は感染者、死者ともに増加の一途を辿っている。台湾発のサーズ死亡情報は、「看護師が新型肺炎の犠牲になったのは3人目」「和平病院の婦長が新型肺炎で死亡」「出産を数週間後に控えた看護師が死亡」などと家族のいる1人の人間の死亡記事となるので生々しい。

 日本を旅行した台湾の医師が、帰国後SARSの症状になるなど、日本国内の感染は必至の情勢となっている。そのため、日本のホテル観光地は、台湾や中国などから渡航してきたお客の宿泊を拒否する動きが広がっている。

 前記したとおり最近の一週間では、台湾の感染者が238人増と中国、香港を上回っている。よって、当面の新型肺炎の情報の焦点は台湾に移ってきた。
 
 台湾は院内感染が深刻な水準に達している。「台北市衛生局は19日、SARS感染者が前日比29人増となり、その内7人が台湾大学病院の関係者であることを明らかにした」(19日・世界日報から)とあるように、患者の治療に当たる医師及び看護師が次々と感染することが最も深刻な問題となっている。

 台湾の地元各紙によると「台湾では感染者の九割を院内感染が占めている。また、院内感染者のうち医療スタッフが3割を超えたという報道もある」(20日・西日本新聞から)という4四月24日の台湾の感染者は578人(死者72人)だ。医療スタッフの感染はこの報道によれば190人(578×0・9×0・3=190人)余りになる。

 前記したとおり和平病院の看護師(3人)婦長が死亡している。「恐ろしくて仕事を続けられない」として医療スタッフの辞職がパニック的に起こっている。「・・両病院では女性看護師ら医療スタッフの辞職が相次ぎ、19日時点で長庚医院の辞職者が124人、和平医院で21人。・・・行政院は医療スタッフの・・・引き留めに腐心している」(20日・世界日報から)医療スタッフが逃げ出す・・・この動きは過去の例を見ない深刻さである

2003年05月24日(土) フセイン政権大量虐殺の足跡

 イラク国民は「ノー・ブッシュ、ノー・サダム」と騒いでも何も生まれない。フセイン独裁政権は、どれだけイラク国民を殺害して来たか分からない。しかし、このような独裁を20年以上も許してきた責任もイラク国民にあるのだ。批判もあるが、今回のアメリカの行動がなかったら、独裁政治は続いていただろう。

 フセイン政権は、どれだけ反対勢力を殺害してきたのか、これが明らかになっていくのだろう。ここでは、虐殺された人々の大量の人骨発見の報道をメモ。

・5月4日バビロンで100体以上の人骨発見。埋葬地4箇所以上.埋葬人数不明。

・5月14日バグダットから南方100キロ地点にあるヒッラで1万5千の埋葬地発見。

・5月17日バグダットから北西80k地点ある空軍基地で1万5千埋葬地発見。

 ともかく、イラク当局の弾圧で10万人が殺されたと伝えられているのだ。

 ところで、フセイン大統領はどこにいるのだろう。「フセイン大統領は、次男クサイ氏や12~15人の腹心らと共にティクリート周辺に潜伏し、移動している」(5月12日・世界日報から)ともかく、20年以上も一国を代表してきた人間が逃げ回っているのだ。少なくとも日本の思考では考えられない行動だ。

2003年05月23日(金) 村上正邦元参院議員に懲役2年2月実刑判決

 「参院のドン」と呼ばれた村上元議員に実刑の判決が出た。村上元議員は01年3月にケーエスデー事業団に有利な国会質問をした見返りに、7300万円を受け取ったとして逮捕されていた。金を出した側のKSD元理事長は、贈賄を認めて有罪が確定している。金を受け取ったとされる村上被告は請託や現金授受を否認していた。

 しかし、東京地裁は、懲役2年2月、追徴金7280万円の実刑判決を言い渡した。これに対して村上被告側は即日控訴した。村上被告(70歳)は、現金授受を否認して最高裁まで争っていくのだろうか。今年1月に、94年ゼネコン汚職の中村喜四郎議員(茨城7区)は、1・2審の判決(懲役1年6月)を不満として、最高裁まで上告していたが棄却の判決で収監された。それにしても、国会議員の犯罪が多すぎると思う。左記は日々の映像で書き留めた00年以降国会議員の犯罪で六人が逮捕されている。

 00年・・・建設汚職の中村栄一 (衆)   秘書給与詐取の山元譲司
 01年・・・KSD汚職の小山孝雄(参)   KSD汚職の村上正邦参
 02年・・・口利き汚職の鈴木宗男(衆)    02年6月22日記述
 03年・・・献金不記載の坂井隆憲(衆)    03年3月8日記述

2003年05月22日(木) イスラエルの自爆テロ連続5件

 パレスチナのイスラム教過激組織「イスラム聖戦」のイスラエルに対する自爆テロは毎月のように起こってきた。ここの自爆テロは、あまりに多いので日本のニュースにならないほどだ。5月17日から3日間で、パレスチナ側からの自爆テロが5件も発生している。

 こちらの自爆テロは、自爆犯が体に火薬を装着する量なので、1度に数百人の死傷者を出すことは出来ない。しかし、1回の自爆テロで数十人の犠牲者は確実に出ているのだ。前記した5件の自爆テロの1件をここで取り上げてみよう。

 1件は北部の町アフラのショッピングセンターで起こった。「19日午後、自爆テロがあり、自爆犯を含め4人が死亡、70人が負傷した。負傷者のうち8人が重症」(20日・世界日報から)という凄まじさだ。この実行犯は大学に通う19歳の女子学生であった。このような未成年の女性にまで、火薬の装着と爆発方法を教え自爆犯として送り出すリーダーはいったいどんな顔をしているのだ。

 もう6年も前の話である。カンボジアのポルポト政権は100万人もの国民を虐殺した。なぜそうなったのかの質問に対してシアヌーク殿下は「これはアクモ(悪魔)のせいだ」と答えていた。中東には殺人を楽しむアクモ(サンタ)にリーダーたちが踊らされているのだ。

2003年05月21日(水) モロッコでも自爆テロ・死傷者140人

 4月12日チェチェン、13日サウジ、16日モロッコと連続して自爆テロが続いている。モロッコの自爆テロも規模が大きく、世界は再びテロの脅威にさらされている。モロッコのカサブランカで16日深夜発生した連続自爆テロは、ユダヤ人経営のレストラン、ユダヤ文化センター、高級ホテル、スペインレストランなどで起こった。
 
 スペインレストランでは爆発時「100人近くが食事を取っており、18人の死者が確認されている」(17日・世界日報から)とあるようにここだけで、100人近くの死傷者となっている。17日現在では死者40人、負傷者100人となっており、北アフリカ、欧州に大きな衝撃を与えている。

 これら一連のテロは、4月下旬のビンラーディンの録音テープで「自爆攻撃が始めれば、世界中の米国人が恐れおののくだろう」と予告していたのだ。アルカイダの戦士訓練責任者と名乗る男からの電子メールによると「最も重要な標的は、米国中枢に加えて、湾岸諸国と親米国、特にエジプトとヨルダンだ」(15日・世界日報から)と名指ししている。昨年末、国連は「アルカイダの組織網にはまだ推定1万人の活動家がいる」と分析していた。よって、親米政権のエジプト、ヨルダンへの自爆テロ攻撃があるのだろう。

2003年05月20日(火) 有事法制関連3法案衆院を通過 

 最近世界のニュースは、世界日報のページを開いて見ることにしている。その理由は事実だけの報道で、補足説明が少ないので分かりやすい。有事3法案のことを書こうと思って、新聞の説明を読み始めた。3分の2面を使った特集であったので、文章の初めから補足説明が展開されていた。

 これを読んでいたのでは、まとめるに時間がかかると思い、毎日の小学生新聞を開いた。ここでは、この記事に基づいて、箇条書きでまとめることにした。

・有事法制・・・日本が武力で攻撃を受けたときの対応を法律で決めておくこと。
 
・武力攻撃事態法案・・攻撃を受けた時の、国、自治体、国民のやるべきことを示す。

・自衛隊法改正案・・・攻撃を受けた時の、行動のあり方を示めす。

・安全保障会議設置法改正案・・攻撃を受けた時の、非常事態に対処するため、保障会議を強化することを定める。

 この有事法制関連三法案は、15日与党三党と民主、自由両党などの賛成多数で可決した。北朝鮮の弾道ミサイル・ノドンの脅威、拉致問題に対する不信感が日本の国会の足並みを揃えさせた感じである。

2003年05月19日(月) サウジ首都爆弾テロ・死傷者223人

 13日の未明にかけて、首都リアドの外国人居住区に4件の連続自動車爆破テロがあった。「犠牲者は20人となり、自爆犯9人を含め死者は29人に達した。負傷者は194人」(14日・世界日報から)この内、米国人の死者は10人、負傷者は50人以上となっている。米国にとっても重大なテロであり、サウジにとつては最悪のテロ事件となった。 

 サウジ当局によると、「今回の事件は、爆発物を大量に積み込んだ車両が、相次いで三つの外国人居住区に突っ込み、自爆した」(同)しかも、突っ込んで来た時、居住区の警備員を銃撃しているのだから、止めようがない。

 今回の爆弾攻撃もアル・カーイダの犯行との根拠、類似点などが多く報道されている。アル・カーイダの犯行だとすれば、この組織が強力なテロ実行能力を保持していることになる。それにしても次から次へと自爆要因を送り出す、アル・カーイダという組織は悪魔が棟梁ではないかと思わせる。そして悪魔の思想に洗脳された若者が次々と自爆する

 サウジ当局によると今回の実行犯15人は全員がサウジ人、すなわち自国民が引き起こした事件なのである。しかも、この組織の長であるビンラーディンもサウジ人である。悪魔のようなリーダーを生み出し、自爆要員を送り出すサウジアラビアという国は、どんな国家なのだとの疑問が生まれる。

 ネットの検索から少々引用したい。「この国は厳格なコーランの戒律を今もかたくななほどに守っている。そのためシャーリアといわれるイスラム法を基本原理とし、宗教と政治を一致させる絶対君主制をしいている」よって、国王は立法、司法、行政を司ると同時に宗教上の最高指導者でもあるのだ。

 憲法はなく、国の法はコーランとマホメットの言行録で規制されている。禁止事項の例を挙げると、アルコール・男女の混同・集会・賭博などの禁止がある。守らなければならないのは、1日5回のメッカの礼拝、外出する女性は、頭から足の先まで黒いマント(アバヤ)で包まなければならない。言ってみれば、マホメットが6世紀に作り上げた国家とほぼ同じなのである。

 4月27日に書いたが14世紀ヨーロッパのルネッサンスから、フランス革命に至る文明の歴史は、神と教会からの解放と自由なる精神の確立であった。この間、ダンテ・ミケランジェロ・シエクスピア・ゲーテ・ユゴーほか歴史をリードする多くの思想家が登場した。サウジは、6世紀の戒律で国家を治めようとしている・・・文化的な教育を受けていない若者は、いとも簡単に自爆要員になって行く文明の低さを自覚すべきだ。

2003年05月18日(日) サーズ・新型肺炎情報メモ ③

 新型肺炎はいつ国内に感染者が出るか分からない。日本はどの程度の対応が出来るのだろうか。「全国の都道府県が新型肺炎の患者に対応可能として公表している約200病院の内、日本感染症学会が認定する感染症専門医が常勤している施設は四分の一しかないことが分かった」(7日・毎日から)という。日本で感染症の専門医がいるのは全国で僅か50病院しかないのだ。

 専門医は、あまり関係ないのかも知れない。というのは、サーズウイルスに効く薬はないのである。ウイルスとの戦いは、人間が持っている免疫力で治すのである。よって、病気と戦う免疫力を整えておく必要があるのだ。ここで書くことでないが、食事と規則正しい生活がいちばん大切なのである。

 5月3日のNHK子供ニュースでウイルスと細菌の違いを分かりやすく説明していた。細菌は自らが分裂して増殖する。よって、細菌を攻撃する薬の開発ができる。ウイルスは、人間の細胞の中に入り込み増殖する。よって、ウイルス用の薬はないのだ。やがて細胞は破裂する。このとき細胞の中から大量のウイルスが飛び出し、近くの人の細胞に入り込むのだ。

 4月30日の余録で、中国の密航者によってSARSウイルスが持ち込まれるのでないかとの懸念を書いた。セルビアで摘発された不法移民の中から、新型肺炎の疑いのある男性が発見されている。

 詳しく書く紙幅はないが、中国の院内感染は、内陸部では深刻になっている。ここ1ヶ月で400万人もの出稼ぎ労働者が帰郷している。中国の出稼ぎ農民は9000万人で、農繁期に向けて更に増加する。インフラが未整備な農村部に爆発的な感染の危険があるのだ。

 新型肺炎は、世界の観光・旅行業界に深刻な影響を与え始めている。国際労働機関はSARSが労働市場に与える影響を発表した。「中国、香港、台湾、シンガポールなどでは、3割以上が失職する」など500万人の失業が予測されている。

2003年05月17日(土) りそな・公的資金注入、事実上国有化

 大手銀行の合併が進み、今は「みずほ」「東京三菱」「UFJ」「三井住友」「りそな」の5大銀行となった。りそなグループの母体は、旧大和、旧あさひ銀行でその概要は「02年9月末現在資本金7200億円、預金残高33兆円、貸出残高28兆円、従業員2万4990人、店舗数659店」(17日・毎日から)となっている。

 ここは、既に1兆円の公的資金(優先株・劣後ローン)の投入を受けている。そして、今回2兆円の公的資金の再投入をうける。「政府は、・・・・『金融危機対応会議』を開き、公的資金の再投入を決めるが、規模は2兆円になることが明らかになった」(同)これでりそなグループは、事実上国有化銀行となる。同行は今後、従業員の給与30%削減や人員削減など大幅なリストラを実施するという。 

 バブル経済崩壊で不良債権が増加する。赤字決算で自己資本が減少する。資本の減少に見合った資産の減少に迫られる。株式の売却で株価は下落する。銀行の株式評価損が拡大する・・という悪循環が続いている。大手銀行は、どれだけ資産を圧縮したのだろう。日本銀行の調査によると、02年2月国内銀行の海外資産は、円換算で60兆円。これは91年(162兆円)に比べ37%に減少している。

2003年05月16日(金) チェチェン共和国のテロ・死傷者175人 

 ロシア・チェチェン共和国北西部の町にある行政庁舎で12日、大きな爆発テロが起こった。この爆発の規模が桁外れに大きいのだ。「チェチェン緊急事態省によれば、大型トラック1台が、警備隊の銃撃をかいくぐって、行政庁舎が並ぶ地区に侵入。連邦保安局ビルのコンクリートに衝突した直後、トラックが爆発した。現場の地面に深さ2・5メートルの穴(クレーター)が空き、周辺の6棟が損壊した」(5月13日・朝日から)

 自爆したトラックは吹き飛び、そこに深さ2・5メートル、直径約20メートルのクレーターが出来たというから、信じられない規模である。2階建ての連邦保安局のビルはあとかたもなく破壊され、周辺の3~4階建てのビル5棟が損壊している。15日の世界日報によれば「チェチェン行政府のカディロフ長官を狙って14日に発生した自爆テロ」なのである。

 今回の死傷は、死者60人、負傷者115人と報道されている。昨年の共和国行政府爆破のときは、12月28日現在で死者55人、負傷者123人(1月11日・日々の映像から)であった。2回の事件で実に353人もの死傷者が出ている。これはテロというより、1月11日にも書いたようにチェチェン人のロシアに対する非服従の戦いなのだ。

2003年05月15日(木) 高校生の喫煙3割が日常的

 3月3日15歳から19歳の少女たちの中絶に関することを書いた。いつものことだかイメージを越えるテーマがあると、しばし考え込むのが常である。高校生の喫煙3割は、小女たちの中絶の問題よりショックを受けた。

 高校生の3割が日常的にたばこを吸っているという調査は、京都府木津保健所が行ったものだ。この調査によると「常習喫煙者では、1日の喫煙本数は、10~19本が36%、20~29本が32%、30本以上も10%」(5月15日・毎日から)というから驚きだ。私の驚きの背景は、父母の経済的な負担である。平均の喫煙本数が20本としても、1ヵ月7500円の支出となる。

 次に驚いたのは、たばこの吸い始めの時期である。「中学生からが54%、小学生からも30%」となっている。論をあまり広げられないが、日本の家庭の根本が問われていると思う。

 例を一つだけ挙げれば、30%~40%の家庭で、小中学生専用のテレビがある。見る番組をコントロールしている家庭はほとんどない。子供たちは、ほとんど自分の部屋で5月5日に書いたように4時間あまりテレビを見ている。ここに1つ付け加えると、小学生の10人に1人は、自分の部屋でたばこを吸いながらテレビを見ているのだ。

 再度記述するが高校生の約30%の喫煙は深刻な問題だと思う。1996年の国立公衆衛生院当時の全国調査では、毎日吸う3年生男子は25%いたというから、今回の調査が特別なデーターではない。今回の調査では、毎日吸う3年生男子は33%だった。

 小~高校生に喫煙防止教育活動を行っている繁田赤十字病院の健診部長は「1日10本以上の喫煙は、大人ぶったり、見栄のためでなく、ニコチン中毒で吸い続けてしまう状態だ。・・・たばこの健康被害から子供を守るためにも『1度吸うと止められないたばこの怖さ』を教えていく必要がある」としている。

 高校生の30%が1日に20本ものたばこを吸うのだから、大人のニコチン依存と全く変わらない。喫煙は短期間で習慣化するから怖い。今回の調査で「禁煙は大変つらい」と「たばこ」依存症特有の回答も目立ったという。彼らも禁煙の必要を感じているのだろう。しかし出来ない。

 そもそも、扶養家族の分際で「たばこ」に毎月7~8000円も使うなどは、とんでもないことだ、とハッキリと言い切れる若いお父さんが少ないのだろう。よくいわれる子供をしかれない父親の存在である。この父性の喪失が小・中・高校生喫煙者を作っている背景だと思う。それにしても、高校生喫煙者の30%が小学生からとは驚いた。

2003年05月14日(水) 北朝鮮、最大750基の弾道ミサイル保有

 北朝鮮の動向に強い関心を持つようになったのは、1997年の黄(フアン)書記の亡命であった。なにしろ、この大物政治家が韓国の実業家に送った手紙が強烈であった。「自分だけを崇拝するよう強要し、無条件に服従させる独裁体制を築いた。総ての功績は自らにものとし、過ちは総て部下のせいにする。これが、まさに彼の偉大性の正体だ。・・・将軍様は天才だと自画自賛し、最近では、自分が本当に天才だと思うようになった」(1997年2月14日から)

 フアン書記は2月に亡命が成功して4月に韓国に到着した。この時の声明も強烈なもので、その一部を日々の映像から引用してみよう。「社会主義と現代版封建主義、軍国主義がごちゃまぜになっている。・・・強制と監視の中で、ろくに息さえできない。・・・北朝鮮当局が人民たちを餓死状態に置きながら、改革解放を拒否し、戦争準備に没頭している意図は明白である」(1997年4月22日から) 

 97年4月、すなわち6年前「戦争準備に没頭している」という声明にやや疑問を感じていた。しかし、最近の核兵器、その他の報道を見ると、戦争準備(兵器生産)に没頭しているようである。「在韓米軍司令官は2000年3月、米議会の公聴会で、北朝鮮のノドンミサイルを約100基としていた」(4月17日読売から)しかし、5月12日、在韓米軍当局者は「北朝鮮が600基~750基の弾道(ノドン)ミサイルを保有していると見ている」(世界日報から)という。3年前の100基の予測から6~7倍になっている。ノドンミサイルの射程は1300キロで、日本の大部分は射程圏内にはいっている。

 在韓米軍当局者はノドン保有数の他に、次のことを明らかにしている、「北朝鮮が2001年、中東地域などに5億8000万ドル(約700億円)に上る弾道ミサイル輸出を行ったと指摘。麻薬輸出は年5億ドル(約600億円)、偽造ドル紙幣の発行も年1500~2000千万ドル(18億円~24億円)に達する」(同)としている。北朝鮮が国を挙げて麻薬密輸をしているとされてきたが、推定金額まで明らかになったのは始めてである。

 ここで、硬派のお姉さまから登場していただこう。ライス米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は「国際協定を守らないと決め込んでいる北朝鮮のような国を扱うには(現状に比べて)よりよい手段が必要だ」(5月13日・読売)と述べている。具体的には「ミサイル輸出や麻薬密輸などの取り締まりを関係国と連携し強化していく方針」を表明しているのだ。既に、4月オーストラリアの連邦警察と国防軍は、麻薬密輸の疑いで、北朝鮮トロール船を拿捕し乗務員30人を拘束するなどの動きが出ている。

2003年05月13日(火) 大学教職員のセクハラ懲戒免職処分

 4年ほど前大学の教授によるセクハラ問題を何回か書いた。その後もたいした改善もなく今日に至っているようだ。遠山文部科学相は静岡大学でセクハラによる教職員の懲戒処分が相次いでいることに関連して「大学という知の拠点でこういうことが頻繁に起こるとすれば、大きな問題。大学関係者は襟を正して、本来やるべきことに力を尽くしてほしい」(9日・時事通信)と述べ、関係者の綱紀粛正を求めた。

 いったいどれだけの懲戒免職処分があったのか、この2週間の報道を少し拾ってみよう。福井県立大は4月30日、「男性講師(32)が昨年、女子学生2人にセクハラ行為をしたとして今年1月に懲戒免職にしていたと発表した」(毎日から)

 京都大大学院教育学研究科の60歳代の教授が「元院生の女性へのセクハラ・・辞職していたことが分かった」(3日・毎日から)元院生は、精神的苦痛を受け、進学の選択肢が狭まったとして400万円の損害賠償を求め、大阪地裁に提訴している。

 静岡大学は深刻だ。「静岡大学は8日、女子学生の意に反して性的関係を持ったとして教育学部の40代の男性助教授を懲戒免職処分にした。同大でセクハラ教官が処分されるのは今年3件目」(時事通信)というから、基本的な教養とはなんだと問いたくなる。

2003年05月12日(月) 飲酒運転事故同乗男性にも責任(東京地裁)

 飲酒運転のことは3月17日にも書いた。道路交通法の改定によって、従来の常識を超える損害賠償を請求される時代である。3~40年前であれば、なにか失敗しても「酒の上のことで」と言えば許される時代あった。現在はそんな言い訳は、一切通用しない時代である。
 
 道路交通の罰則が左記のとおり改定されていることを、確認しておく必要がある

酒酔い運転    15点から25点に改定・・免許の停止2年
酒気帯び運転  0・25mg以上・・6点から13点に改定・・免停90日
酒気帯び運転  0・15mg以上・・なし から6点に改定・・免停60日 

 車でなければ職場へいけない立地の人も多い。酒酔い運転で免許の停止2年ではどうにもならない。

 報道によると東京地裁は、飲酒運転事故で息子を失った夫婦の訴えを認め「同乗の男性2人の責任を認め、3人に約5170万円の支払いを命じた」(8日・毎日から)酒酔い運転を認めると「ほう助の責任」が追及されるのだ。運転者は元請の社員(37歳)同乗者2人は下請けの社員という関係であった。運転者は、危険運転致死罪で懲役8年が確定している。

 この37歳の元社員は、8年の刑期が終わっても、民事による損害賠償の請求があるのだ。

2003年05月11日(日) サーズ・新型肺炎情報メモ  ② 

 新型肺炎の死者のペースが加速している。世界保健機関(WHO)の発表によると日本時間11日現在世界の死者は530人、可能性例を含む感染者は7000人を超えた。いつ日本に感染者が出るか分からない。よって、出来るだけの情報を頭に入れておく必要がある。ここでは、先月書いた4月28日以降の身近な情報を少し拾ってみよう。

 北京は都市機能がマヒしているに等しい。ともかく、人が集まることを禁止している。婚姻届けの受理の中止、新型肺炎で死亡した人の葬式の禁止などである。結婚式の延期はやむを得ない。それにしても、新型肺炎で死亡すると可愛そうなものだ。臨終といっても家族がが立ち会うことは出来ない。この肺炎に罹って死ぬときは1人で死ぬしかないのだ。

 WHOはSARSの死亡率が14%~15%になるとする推定値を発表した。高齢者になるほど死亡率が上昇する。24歳以下の感染者の死亡率は1%以下であるが、25~44歳で6%、45~64歳では15%と死亡率が上昇する。最後の65歳以上は50%以上の死亡率だ。高齢者で持病を持っている人は、抵抗力が弱いので助かる可能性が少なくなる。日本で感染者が出たら、最も警戒をしなければならないのは高齢者である。    
 
 SARSウイルスは下痢患者の便のなかでは、4日間も生き続けるなど強い生存力を示す。「通常のコロナウイルスは、常温だと(くしゃみなどで)体外に排出されてから数時間で死滅するが、SARSウイルスは2日間生存した」(6日・毎日から)という。よって、感染者の飛沫で汚染されたドアやエレベーターボタンなどから感染が広まる可能性があるのだ。      

 一方、SARSは一般的な消毒液にさらされると5分以内に死滅することが分かった。日本のコーヒー店でお客が帰ったあとを、消毒液で濡らしたフキンで消毒する店が現れた。家庭でもこれらに順ずる対応が必要となってくる。北京ではタオル、ハンカチ、マスクなどを殺菌するために、電子レンジに人気が集まっている。料理用とは別に、消毒専門に電子レンジを家庭で備えて対応しようとしている。

2003年05月10日(土) C型肝炎ウイルスの感染者3万人確認 

 C型肝炎ウイルス感染者のことが時折り大きく報道される。日々の映像の文字数ではまとめ難いと思い記述しないで来た。しかし、5月1日に具体的に感染者3万人と報道されていたので、C型肺炎の要点を記述することにした。

 まず、C形肝炎ウイルス(HCⅤ)の感染者とは「集団予防接種時の注射器の使い回し、HCⅤに感染し血液の輸血などが原因で広がった」(1日・読売から)最近では、このような原因で感染することがないので、C型肝炎ウイルス感染者は、40歳以上がほとんどなのである。

 C型肝炎ウイルスに感染しても自覚症状がない。しかし、放置しておくと、慢性肝炎¦肝硬変¦肝臓がんと進んでいく。ウイルス性肝炎はある段階になれば、現代医療でも治すことは不可能だ。C型肝炎問題に詳しい吉沢広島大教授が「日本のHCV感染者は40歳以上に集中しており、肝炎・肝がん患者を減らすには、感染者の早期発見が重要だ」(同)と指摘する。

 このような背景から、C形肝炎の緊急対策として、昨年度から住民検診が導入された。厚生労働省の発表によると、今年3月末までの1年間に左記の通り約3万人の感染者が新たに発見された。
 
 今まで何回も報道されてきたが、国内のC型肝炎ウイルス感染者は150万人と推計されていたが、実際の感染者がこれほど大規模に確認されたのは初めてであるという。厚生労働省は、この住民健診の検査だけで、2006年までに更に12万人の新規感染者を発見出来ると試算している。

 C型肺炎は前記した通り慢性肝炎の段階ではほとんど自覚症状かない。更に進んで肝硬変になるとやっと症状(倦怠感・満腹感・吐き気・発熱・筋肉痛など)を感じるようになる。ここまで行く前に、健診によって発見する必要があるのだ。 

2003年05月09日(金) 不況を示す諸データー  

 不況を示す多くのデーターがあるが、そのなかの幾つかを拾ってみよう。
 
 4月25日総務庁が発表した2002年度の完全失業率は、前年度より0・2ポイント高い5・4%となり過去最悪を更新した。年間を通じて385万人もの失業者がいる。若者の失業が過去最悪の13・2%に達しているが、これが最も深刻なテーマーだ。

 同じく総務庁が発表した消費者物価は、前年度比0・8%下落して5年連続の下落となった。総務庁のデーターは、2ヵ年で1・8%となっているが、実際はもっと下落している。
 
 4月28日内閣府が発表した調査によると、「販売価額の下落が収益を圧迫している」と回答している企業が75%に達している。デフレ解決の教科書がないのが現実だ。

 最も不況を示すデーターは株価であろう。前にも記述したが、小泉政権発足時の株価は14500円であった。それが先月末には7600円と半値近くになった。この間、政府はどんな対策を取ったのか。ほとんど無策に近いと思う。政府は「市場不介入」などとカッコいい言葉を使うことがある。  
 
 しかし、政府は、税制で株式市場に深く介入している。以前ここでくどくどと書いたが、大衆が株式市場から逃げ出すような税制ではダメなのだ。15年前の証券税制と今の税制を比較して見るがいい。

2003年05月08日(木) スルメイカからカドミウムを検出

 ここで何回も書いてきたが、化学物質は出来るだけ口に入れないほうが良い。それには多少の知識を整理して置く必要がある。5月2日水産庁は、国内水産物の残留カドミウム調査結果を公表した。スルメイカの身3検体から「安全基準案の一PPMを超えるカドミウムが見つかった」(5月2日・毎日から)という。
 
 カドミウムはここで何回も書いてきたが、日本の代表的な公害である「イタイイタイ病」の原因物質である。前記の安全基準案1PPMとの表現はややおかしい。米の場合は〇・6PPMを超えると出荷停止になる。

 どのような調査内容かと思い、水産庁のページを開いてみた。1番カドミウムが多いのは軟体動物(いか・たこなど)と甲殻類(かに・えびなど)の内臓なのである。水産庁の資料によると、軟体・甲殻類九種(名前は示されていない)233検体の平均値が7・35PPMという凄い量である。イカの内臓を使う塩辛類は当然高くなる。

 ただし、水産庁の資料には、波紋があるので例えば「かにの内臓はカドミウム〇〇PPM」という表示はない。可食部の比較でも軟体・甲殻類は、魚類と比較すると7~17倍と多い。

 要は近海の「海底」に住む魚介類にカドミウムが多いのである。

2003年05月07日(水) 北朝鮮、核の増産、輸出で威嚇

 人間関係を破壊するのは「言葉」である。特に相手を侮辱する低次元の「言葉」は、人間関係に破局をもたらす。国と国との関係も同じであると思う。イラクのフセインは、自らが発した「言葉」で自らの「破滅」を呼び寄せた。

 北朝鮮は、核兵器保有を明言した席で次の「言葉」を発したという。「見せることもできるし、さらに造ることもできるし、移転(トランスファー)だってできる。米国の反応次第だ。時間をかけて考えるといい」(1日・日経から)米国に対して、実験も出来るし、さらに製造することも出来るし、輸出することも出来ると言っているのだ。あまりにも重大な言葉で3紙で確認したが同じであった。はたして米国がどう反応し、対応するだろう。

 今日の目次は、日経の目次をそのまま使った。パウエル米国務長官は、上院で証言し、先の米朝中の3カ国協議で「北朝鮮側が核兵器の増産や第3国への輸出をちらつかせ、米側を威嚇した」(同)と述べている。この威嚇の「言葉」は結果として何をもたらすのか。

 人口僅か2200万人で食料すら自給できない国が、米国に威嚇の「言葉」を発するとは笑止千万だ。米国から石油と食料の支援を受けてきた北朝鮮がいう「言葉」ではないと思う。北朝鮮は自らが発した「言葉」で自らの「破滅」を招くのではないだろうか。

2003年05月06日(火) みずほの最終赤字2兆3800億円

 いったい、株価はどこまで下落するのだろう。1兆4300億円の経常利益を上げるトヨタまでが、株価が昨年12月の3200円前後から、2600円前後に下落するのだからどうにもならない。4月下旬にソニーの株が2日連続ストップ安となって、昨年の5500円前後から5月2日現在は2860円に下落した。株価のじりじりとした下落は、深刻化する日本経済を象徴している。

 この株安は、株式を保有している大企業を、赤字決算に追い込む。電機大手5社は「株安に伴う評価損の計上が響いてリストラ努力が吹き飛び五社が最終赤字だった」(4月28日・毎日から)という有様だ。

 みづほフィナンシャルグループは4月28日、2003年3月期決算について「株価下落により株式関連の売却損、評価損が9000億円に膨らんだため、最終赤字額の見通しが2兆3800億円・・・に拡大すると発表した」(4月28日・共同通信)みずほの株価は、旧額面(50円)に換算すると、5月2日現在は69円でメガバンクとしては、空前の低水準に落ち込んでいる。株価が額面を割るようだと、「破綻を懸念する風評リスク」(4月29日・毎日から)が生まれてくる。万策尽きる大手行が出てくる気配である。

2003年05月05日(月) 子供の日に思うこと            

 子供の調査データを見ると、しばらく考え込む内容が多い。少し例を挙げてみる。昨年4月から学校は週5日制となった。1ヶ月ほど前の文部省の調査では、休みの増加を子供3人に1人が「することがなくて、つまらない」と答えている。せっかくの休みを有意義に過ごして欲しいものだ。

 5月2日、東京都が行った生活実態調査が発表した。考えさせられるのは、テレビを見る時間の長さである。「学校がある日でも、4割の小中学生が4時間以上、テレビを見ている」(5日・読売から)こんなに長くテレビを見ていれば、友達と遊ぶ時間も少ないし、勉強の時間もほとんどない。そして、よく指摘される親子の対話の時間もないと思う。各家庭で、テレビを見る時間を減らす工夫が必要だ。

 父親に関する生活実態調査も出ていた。これによると「父親の2人に1人は午後9時以降に帰宅し、子供と1緒に夕食を食べれない」(5月2日・共同通信から)という。なにしろ、子供と一緒に夕食を食べる午後7時より前に帰宅する父親は13%にすぎないのだ。そして、午後9時以降の帰宅者が47%もいる。これが果たして正常な社会の姿なのだろうか。子供と接触する時間が短いと悩む父親が55%もいるのは当然のことだ。  

2003年05月04日(日) サーズ・新型肺炎情報メノ ①

 新型肺炎SARSウイルスのメカニズムが分かっていない。「感染ルートはくしゃみ等の飛沫なのか」「空気感染の疑いも否定できない」「治療法も手探りだ。香港では免疫抑制剤ステロイドとC型肝炎等の抗ウイルス薬リバビリンを併用している。しかし、効果に懐疑的な見方があり、薬の副作用死もある可能性が出ている」「ウイルスの起源も謎だ」(5月1日・朝日から)要は分からないから、恐怖が広がっている。 

 北京の市民はテンヤ・ワンヤだ。感染者と接蝕したとして、隔離された市民は4月28日で9000人にのぼっている。「4月24日から閉鎖されている北京大学人民病院。ここには、患者のほか、約1000人の医師や看護師も隔離されている」というから、まさにテンヤ・ワンヤだ。1般市民はこの強制隔離の巻き添えになることを、極度に警戒している。医師や看護師が、隔離されたことがサーズ恐怖症の人を増やした原因だろう。

 冷静に考えてみると、症状が出ても若い人の8~9割は自然に回復するというから、少なくとも「キラー(殺人)ウイルス」ではないのだ。世界保健機関(WHO)の報告によると「アフリカ全土でマラリアによる子供の死亡者数は毎日3000人を上回ることが分かった」(4月29日・世界日報)いう。これが大きなニュースにならないのはおかしい。

2003年05月03日(土) ホルムアルデヒド

 4月25日と同月の余禄でフグの寄生虫駆除のことを書いた。ちょうど書いている4月29日の深夜、フグの生け簀にホルマリンを使用している実態の番組が放映されていた。このホルマリンの使用は、行政指導違反行為であるので、漁民も判らないよう早朝こっそりとやっている。この行為をマスコミが隠し撮りした番組であった。なんと、ホルマリンの原液を薄めることなく、直接フグの生け簀に入れているのには驚いた。ホルムアルデヒドとメチルアルコールという猛毒が主成分のホルマリンを、年間1000トン以上も海に撒き散らすこと自体、異常な行為と言わねばならない。

 身近に有害な物質が多くあるので、最後は消費者が賢明になるしかない。Tシャツに絵や写真を転写するアイロンプリントに、ホルムアルデヒドを使っていることが判明した。判明の動機は、消費者団体の調査だった。「アイロンプリントの1部にホルムアルデヒドが高濃度に含まれていることが判り、大手販売会社が出荷を停止した」(4月3日・朝日から)

 家庭用品規正法では、ホルムアルデヒドは乳幼児用衣類から、検出されてはならないことになっている。消費者団体がアイロンプリント紙を北陸公衆衛生研究所に持ち込み調べたところA社(社名省略)製品から850PPM、B社製品から750PPM、C社製品から170PPMのホルムアルデヒドが検出されている。

 この三社共消費者団体の指摘で、店頭から製品の回収を進めている。それでは、なぜ、子供が消費の対象であるアイロンプリント紙に猛毒のホルムアルデヒドを使うのか。「ホルムアルデヒドを使うと、洗濯しても色が落ちにくい」(同)ことが理由なのだ。この製品を販売していた3社は、ホルムアルデヒドが使われていたことは知らなかったと弁明しているのだからお粗末だ。ホルムアルデヒドは、微量でもシックハウス症候群を引き起こす元凶の化学物質であることは広く知られている。

 以前ミネラルウオーターの安全性に疑問があることを書いた。供給している会社が380社もあり1社当たりの規模が小さいことが理由であった。このミネラルウオーターの一部からホルムアルデヒドを検出したという。「横浜市衛生研究所が、国内で販売されているミネラルウオーターの1部から、化学物質のホルムアルデヒドやアセトアルデヒドを検出したことが判った。同市の水道水の実測値と比べ80倍以上の製品もあった」(4月20日・毎日から)という。ミネラルウオーターは、食品衛生法の規格でアルデヒド類の基準はなく、水道水からすると甘い規格となっている。消費者は「ホルムアルデヒドは疫学調査で発ガン性が確認されている」(同)ことぐらいは、知っておく必要がある。


2003年05月02日(金) イラク戦争・戦闘終結宣言

 アメリカは、「イラク国民はフセイン政権が倒れて自由になった」という。しかし、多くの報道によれば現在のイラクは、自由どころか無秩序、混乱が残っているだけである。4月18日の大規模の反米デモの記事を読んで、イラクの宗教指導者又は大衆に、新しい価値観を吸収する文化的な土壌がないと思った。

 フセイン政権崩壊から、僅か9日後に行われた数万人規模のデモは「アメリカはわれわれの国を出て行け」「ノー・ブッシュ、ノー・サダム、イエス・トゥ・イスラム」の横断幕を掲げていた。主催者の発表によると「今回のデモはイラクの多数派のシーア派と実権を握るスニン派双方の意見を代弁した」と言っている。イスラム教シーア派が大衆をリードするだろうし、アメリカの価値観ではことが進まないと思う。

 アメリカはなぜイラク攻撃に踏み切ったか。それは、イラクが大量破壊兵器を所持し、それがテロリストに渡り、明日にも米国が攻撃されるだろう・・・という(作り上げられた?)脅威、危機感であつた。しかし、大量破壊兵器は見つからず、テロリストとのつながりも不明確だ。これでは、国際社会の米国に対する不信は容易に解消されない。ブッシュ大統領は1日、戦闘終結宣言をしたが、多くの疑問の眼があることを知るべきだ。

2003年05月01日(木) 健康増進法第二五条(受動喫煙の禁止)

 愛煙家にとっては、まことに住みにくい世の中になってきた。今日、先に成立していた健康増進法が施行された。この法律の第25条(受動喫煙の禁止)に「学校、体育館、病院、劇場、観覧場、集会場、展示場、百貨店、事務所、官公庁施設、飲食店、その他多数の者が利用する施設を管理するものは、これらを利用する者について、受動喫煙(室内又はこれに準ずる環境において、他人のたばこの煙を吸わせること)を防止するため必要な処置を講ずるように努めなければならない」とある。

 要は、人が集まる場所は、総て禁煙になる時代だ。健康増進法でニュースを検索すると16件もあった。「佐賀・きょうから県庁も全面禁煙」「静岡の袋井市・全小中学校と幼稚園敷地内、完全禁煙スタート」「兵庫‐津名町と五色町が役場庁舎内での喫煙を禁止」この3件のニュースを少々補足したい。佐賀は県に勤めている人全員、袋井市は先生・事務職全員、津名町と五色町は議員・職員全員の禁煙を求めるという厳しいものだ。

 完全禁煙と分煙がある。大学病院でも全面禁煙になっていない。喫煙の場所がある。これら健康を預かる場所が今後どのような対応を取るかである。「和歌山大が全面禁煙へ、来年4月に実施予定」とある。構内での喫煙を全面禁止する方針なのだ。

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石田ふたみ