『日々の映像』

2003年01月31日(金) 余   録

 1月16日に北朝鮮に関することを不快なニュースとして記述した。今月も読者の2つのグループと懇談した。話がたまたま北朝鮮の話になると、激しい批判が飛び出して来る。

 激しい批判の1つは、「在日の北朝鮮の人たちは自由に『万景峰』で祖国との交流ができるのに、どうして日本人妻は手紙すら日本の家族の元に出すことが出来ないのか。これはどういうことだ!」

 この人は親戚に日本人妻として北朝鮮に渡った人がいるのだ。この日本人妻の大半が死に絶えているとの報道もある。日本政府は、この問題に対しても毅然とした態度で北朝鮮と対峙しなければならない。
 
 次の批判は「北朝鮮は武器を持った乞食だ」という激しいものだった。確かに、この批判も遠からず当たっているようだ。韓国で昨年の暮れ(ノ・ムヒョン)氏が新たな大統領に選ばれた。この人は金大中(キム・デジュン)大統領が掲げた太陽政策を引き継ぐという。

 新大統領は「北との対話を続けるため一定の支援も必要」との主張だ。ただ、韓国政府が北朝鮮に対して「現金支援」(12月20日 朝日から)までしているとは知らなかった。
 
 国際法を破って言いたいことを言い、やりたいことをしようとする北朝鮮に現金(推定はドル)を送金する。・・・はたして、この太陽政策の効果があるのだろうか。新大統領はこれら現金の支援に関して「戦争か平和かの選択だ」と国民に呼びかけている。しかし、一連の北朝鮮の発言を見ていると、支援がなければ「・・・だ」との恫喝があるように思えてならない。
 
 韓国の北への食糧の支援も大変な量だ。「韓国統一省当局者は15日、昨年9月から始まった北朝鮮への40万トン(大型トラックで四万台分)のコメ支援で、最終分の1万2000トンを積み・・・支援がすべて終了したことを明らかにした」(15日 産経)という。
 
 16日に書いたようにこの他日本・アメリカ・EUなどから食糧の支援を受けている。いったい、全世界からどれだけの食糧の支援を受けているのだろう。これだけの支援を受けても一般庶民は食べる物がない。昨年一年だけでも韓国への亡命者が「1141人」(17日 毎日)に達しているのだ。しかし、この人達は運良く韓国まで辿り着くことが出来た人達だ。

 米民間人権団体ヒューマンライツウォッチの年次白書によると「北朝鮮から政治的な抑圧や飢餓を理由に中国に渡った難民、いわゆる『脱北者』について、合計で1万人から30万人との推計を発表した」(15日 朝日から)この推定の差が大きいのは、中国政府が北朝鮮との協定に基づいて、難民を頻繁に拘束し、送還しているためだとしている。この真実のほどは分からないがあらゆる報道を総合すると数100万人の飢餓住民がいることは確かである。
 

 誇り高き北朝鮮が世界に向けて、自画自賛の言論と恫喝を展開する。それより100万人の軍隊で自国民が食べるだけの食糧を生産すべきだ。これがなぜ出来ないのだ!これが出来なければ、北朝鮮は友人が言うように武器を持ったただの乞食だ。
 
 日本の米の支援も相当なものだ。無償での支援は「95年 15万トン、97年に6万7000トン、00年60万トン」( 20日 産経から)になっている。かなりおもしろくないことは、1995年に有償分のコメ代金56億円(35万トン)に対して「食糧庁はこれまで北朝鮮に約70回にわたり利子返済の督促状を郵送したが、一度も返答はない」(20日 産経から)補足すると、96年に1回だけ利子の支払いをしたが、それ以後はこの督促状に全くの返事もないのだ。見方はいろいろあろうが、少なくとも最低の礼儀を守る姿勢がないと言わざるを得ない。
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 靖国神社へ一国の総理が参拝すれば、中国と韓国が激しく反発することは分かっている。それを分かっていながら、なぜ小泉首相は靖国神社へわざわざこの時期に参拝するのだろう。この理由が分からない。

 拉致問題解決では最も北朝鮮に対して影響の大きい中国の協力を得なければならない。この中国が最も反発する行動を小泉首相が取るのだから、今回の件で、拉致の解決は遠のいたとの印象を受けた。
 
 ここで記述するまでもないことであるが、靖国参拝で中韓が反発する理由は①過去の軍国主義の象徴であること ②A級戦犯を合祀((ごうし)、神々と合わせまつること)されている神社であることの2点である。よって、中国は「小泉首相の誤った行動は、・・・中日関係の政治的基礎を損ねた」「強い不満と憤慨」などの抗議となる。
 
 韓国は「深い遺憾」「軍国主義の象徴である靖国神社を再び参拝したことに怒りと大きな失望を感じる」「戦犯を祀る靖国神社に参拝することは理解しがたい」「姑息だ」などの批判が出る。
 
 首相の行動に「理」があるのであれば、参拝終了後首相として多少のコメントをすべきである。12分の参拝の後、そして、その後も首相のコメントが何もないのだから「姑息だ」との批判があっても当然なのかも知れない。

 一国の首相が何処に参拝しても自由だ。中韓の批判は内政干渉だ・・・との意見もあるが、これは少数派でないだろうか。中韓が反発する背景は、「戦争遂行責任者を祀っている靖国神社への参拝は、過去の侵略と植民地支配の歴史を肯定する」(15日 日経)ものと受け取るのである。小泉首相の参拝は、無益な波風を立てただけで終わるように思えてならない。

2003年01月30日(木) 03年のデパートと百貨店の売上

全国のズーパー(前年比2.1%減)と百貨店(前年比2.3%減)の売上が、6年連続で前年実績を割り込んだと言う。参考までにこの売上をメモして置こう。
             店舗の数  売上の合計   一店舗の売上平均
 スーパー  102社  9137店  14兆3701億円    16億円
 百貨店   103社   292店   8兆3446億円    286億円

 スーパーの15兆円割れは「91年以来11年ぶり」(24日 毎日)であるという。しかし、このスーパー百貨店の売上減がそのまま消費減になっている訳ではない。カジュアル衣料はユニクロ、家電は量販店などの専門店が優勢なのだ。ダイエーは家電販売から撤退した。スーパー主役の時代の終焉を表す象徴のようだ。
 
 それにしても、これだけ前年比の減少が続く中で、新たな流通の拠点が次々と建設されるのが不思議だ。我が家から徒歩5分以内にスーパーをはじめあらゆる店舗がある。今度また徒歩10分の所に巨大な流通センターが出来る。日本の社会は過当競争が激しすぎると思う。

2003年01月29日(水) 熊谷組の借金棒引6500億円

 1月23日ハザマの債務免除のことを書いた。なにしろ、債務3676億円に対して、2回にわたって、2450億円の債務免除を受け取るのである。この借金棒引の割合は、実に65パーセントを超える。自己責任を標榜する社会体制の中で、このようなことが行なわれるのがよいことなのだろうか
 あまり気が進まないが、熊谷組のことを記述しよう。ここは2001年3月期に総額4500億円の債務免除を受けた。そして、「2003年3月の連結有利子負債残高は5120億円」(25日 日経から)である。しかし、これだけの借金を抱えての企業の存続は無理のようだ。「三井住友銀行は、・・・熊谷組に債権放棄など2500億円を超す金融支援をする検討に入った」(同)という。内訳は債務免除2000億円と500億円の債務の株式化だ。
 借金を棒引きしてもらえば、膨大な免除益が発生する。実際はこの免除益を上回る不良資産が借方に存在しているのだ。熊谷組は銀行より総額9620億円を借り入れて投資したが、6500億円相当の資産は価値がなくなったことを意味する。この割合は、67.6%でハザマよりも高い。こんな重病人を生かそうとするのだから、今度は免除を受けていない企業が病にかかる番だ。

2003年01月28日(火) 自殺の方法

 自殺を考えている人がこの日々の映像を読むかも知れない。よって、自殺の方法について、私なりに意見を述べておきたい。
 一番多いのが首吊り自殺であるが、この方法はやめたほうが良い。眼球が飛び出し、舌が口より出てだらりと下がる。死相も凄まじい。あなたの身体を扱う家族のショックを考えなさい。首吊りだけは止めたほうが良い。
 次にひと思いに駅のホームから電車に飛び込んで自殺する人がいる。この方法はやめた方が良い。タイミングがドンピシャリ合うと、貴方の身体はバラバラになる。飛び散った肉片を集めなければならない。家族にとってもバラバラになったあなたの遺体を受け取るのはつらいことだ。JR西日本だけで、「自殺は96人(22日 読売から9ヵ月間)に達している。自殺者が出ると電車がとまるので、社会に大きな迷惑をかける。よって、飛び込み自殺だけはやめたほうが良い。
 親しい友人の長男が車の排気ガスを車内に入れて自殺した。この長男とは面識があったので実に心苦しい。自殺の方法としては前記のほうほうよりましであったことがせめてもの救いだった。しかし、長男を失った父親(友人)の心境を思うと言葉もない。とても心配だ

2003年01月27日(月) いいかげんな薬の投与

 先月23日に抗がん剤「イレッサ」の副作用で100人以上が死亡したことを記述した。1月21日の朝日の報道によると「死亡者は124人」と報告されている。この薬の使われ方が実にいい加減なのである。「重い副作用が問題になっている抗がん剤イレッサが、認められた肺がん以外の様様のガンに使われたり、他の抗がん剤と併用されたりしていることが分かった。」すなわち決められた方法以外は、安全性が確認されていないのである。この対策が「厚生労働省は適性使用の徹底をメーカーに求めた」と言う程度のものであるからお寒い限りだ。ともかく、薬が承認された効能と異なる使い方をしても法的な規制が全くないのが不思議に思う。
 向精新薬の過剰投与もいい加減な薬の処方と言える。「不登校や引きこもりの若者に病院が同薬を過剰に処方し、心身の不調を訴えるケースが相次いでいる」(23日の毎日から)中には医師向けの説明文書で定めた1日当たりの上限の10倍を投与され、死亡した事例もある。男子中学生は不登校になり、抗打つ剤、抗精神病薬など七種類を約一年間処方されたという。「飲み始めてすぐに声が震え・・・数週間で起き上がれなくなった。」(同)いい加減な薬の投与があるものだ。不眠には薬も必要だが、薬によって対人の悩みが治る訳がない。

2003年01月26日(日) 真実を言うか ごまかすか

 政府は、国民に真実を言うと支持率が下がると思っているのだろうか。大事なことはごまかして置いたほうが良いと思っているのだろうか。少なくとも、政府は、国民に対して真実を言っていないと思うことが多い。そして、国民負担増のようなテーマは、なんとなくごまかすように思えてならない。
 例を少々挙げてみよう。先月決まったタバコとビールの増税だ。昨年の11月9日に記述したが、タバコの税収は既に、2兆円を越えている。ここに1箱20円の増税となったので少なくとも3000億円を超える増税となる。350ミリの缶ビールが、10円の増税となったが、これによりどれだけの税収増となるのだろう。この発表がない。これらの全体像は、国民に対してごまかして置こうとの姿勢ではないだろか。
 政府は減税の時、それなりの発表をする。先月地方税を含めて、1兆8000億円の先行減税の時は、それなりの発表をする。しかし、社会保障費の負担増が2兆円に達することを国民に対して説明していないようだ。「社会保険料引き上げなどの影響で家計や企業が負担する社会保障費は、前年に比べ約2兆円増えることが明らかになった」(20日 読売)詳しくは省略するが、2兆円もの国民負担増であるから、政府は、国民に対して説明すべきではないだろうか。これも真実を言うと支持率が下がると思い避けているのだろうか。
 日本の家計は、ここ3~4年で表のとおり急速に悪化している。99年ごろまで、10%余りの貯蓄が出来ていたが、02年(推計数字)でアメリカ並みの4・5%に減少している。収入が増えずに、負担のみ増えていくので、多くの家庭で貯蓄が出来なくなってきている。これが当面の真実なのだ。

2003年01月25日(土) みずほ2兆円弱の当期赤字

 銀行のことは22日に書いたので今月は書かないつもりでいた。しかし、みずほが03年3月期に民間企業としては、空前の赤字(1兆9500億円)となるとの発表があったので少々書き留めておきたい。
 みずほの発表があった同じ日の22日に、米金融最大手のシティグループの利益が発表されていた。ここはなんと、02年12月の通期決算は「純利益が前年比八・一%増の192億76000万ドル(約1兆8000億円)となった」(22日 日経から)と言うから考えさせられる。しかも企業倒産の増加で不良債権処理を90億ドル(1兆620億円)も処理して前記の利益が出ているのだ。
 ここで日米の最大手銀の決算を比較してみよう。
       営業利益  不良債権の処理額  当期の利益
 みずほ   800億円  2兆300億円   1兆9500億円の赤字
 シティ  2兆8620億円  1兆620億円   1兆8000億円の黒字
 みずほは、営業段階の利益がほぼゼロという異常事態となっているのだ。不良債権の処理額より営業利益の少なさが異常と映る。

2003年01月24日(金) 早期の物価上昇に全力?

 日銀が17日に発表した2002年の国内企業物価指数(これまでの卸売物価指数)は平均で「1.9%」下落した。2001年も2000年比で2.3%下落。この2ヵ年で4.2%の下落しているのである。すなわち、デフレ現象が続いているのだ。
 小泉首相は党大会で「デフレ克服が最大の政治課題になった。デフレを克服しながら諸改革を・・・」(19日 日経から)と強調していた。21日の国会答弁でも「出来る限り早期のプラスの物価上昇率実現に向け総合的な取り組みを実施する」「デフレ克服は経済財政運営の重要課題」などと説明している。
しかし、政府の少々の小手先対策でこのデフレが収まるとは思えない。株と土地の下落を止められないで「プラスの物価上昇率の実現」などといってもただ飾る言葉が空虚に流れるだけだ。日本の高い物価は輸入圧力で今後とも下落を続けるしかないと思う。
物価下落を誘導する新たな挑戦者が現れる。米パソコンメーカーのイーマシーンズが、昨年12月に日本市場に参入した。中国で組み立てられたデスクトップ型のパソコンが「49800円」だ。強力な物価下落圧力の1つの例だ。

2003年01月23日(木) ハザマ債務免除要請1400億円

 内容の悪い会社に対して、債務を免除してその会社が破綻しないようにする。・・・この銀行が行なってきた行為は社会的な悪だと思う。仕事量が約半分になろうとしているのに、借金を棒引してもらって、ほぼ全員が生き残ろうとする。これでは内容が比較的良かった会社までおかしくなって来る。全員が生き残っているので、少々の仕事でも激しい競争となる。この受注価格の下落は目を覆いたくなるほどの激しさだ。やや大げさに言えば、日本のゼネコンの全社が利益を出せないところまで追い込まれている。
 このような環境にした悪の根源が債務免除だと思う。ハザマが2回目の債務免除を申請するという。ハザマの総資産は連結で5040億円の内、2626円が借入だ。この内1400億円の借金の棒引をして欲しいという内容だ。借金の実に53%をカットしてくださいという内容なのだ。00年1050億円の免除を加えると合計で2450億円だ。この申請にみずほ銀行などが認める方向のようだ。もう一度数字を拾っておこう。ハザマはX円の借金があった。この内2450億円を免除してもらって借金の残高は1226億円になる。こんなバカバカしいことが行なわれているのだ。

2003年01月22日(水) 大手行の株式含み損5兆円

 大手銀行グループの株式含み損は「株価の低迷の影響で5兆円を超えた」(17日 時事通信)という。1月17日の終値(8690円)で5兆円規模の含み損になる。大手行全体の自己資本の合計が20兆円前後であるので、この含み損5兆円がいかに大きいかである。何回も記述して来たが、銀行と生損保で保有株式の売却を公言しているのだから下落するのが自然の成り行きである。この銀行と生損保の売却を主に支えているのが公的資金なのだ。
 15日東証が発表した02年の投資主体別の主な売却を引用すると次のとおりで、かなり深刻な社会の映像といえる。
 1、個人       3456億円の売り越し   12年連続の売り越し
 1、都銀・地銀   1兆2953億円の売り越し
 1、生損保      8271億円の売り越し
 1、事業法人     4122億円の買い越し   ただし、自社株買い
 1、外国人      7598億円の買い越し
 1、信託銀行   2兆0930億円の買い越し   公的年金の運用
政府は、個人投資家の売り越を止める策を立てるべきだ。

2003年01月21日(火) 中島みゆきさんの「地上の星」

 日本という国を悲観的に見る人が多い。私はそうは思わない。政治権力が全く及ばない処で、厳然と大衆文化の花が咲いていると思う。アニメの世界で素晴らしい作品がある。歌の世界でいえば、昨年の紅白歌合戦ではじめて出場した中島みゆきさんの「地上の星」なども大衆文化の花といえる。
この「地上の星」が歌われた11時1分に最高視聴率が52.8%を記録したという。この地上の星が発売されてから130週目(約2年半)になるのだが「20日付の最新オリコンチャートで初の1位を獲得することが分かった」(14日 スポーツニッポン)という。この歌のシングル売上も紅白出演後に急上昇している。紅白効果というよりこの歌詩と曲と歌唱の持つ力であると思う。 
 中島みゆきさんは、過去に「わかれうた」「悪女」「空と君のあいだに」「旅人の歌」の四曲がオリコン・トップを獲得しており、「地上の星」が通産五作目となる。ここで記述するまでもないが、地上の星はNHKの「プロジェクトX」の主題歌で作詞、作曲共に中島みゆきさんだ。
 曲作りにあたっての注文は「無名の人々の光を歌にしてください」(中島みゆきさんのメッセージから)とのことであったという。中島さんは「番組に登場する、実在の方々の人生に尊敬をこめて、製作スタッフの情熱に少しでも添うことが出来ればと願いながらこの曲を書きました」とメッセージを結んでいる。無名の人々に光を・・・との要望で、これだけの詩と曲を作るのだから中島みゆきさんは大衆文化を体現する1人だろう。この地上の星の1番のみここに引用した。詩そのものに何ともいえない奥行きがある。「地上にある星を誰も覚えていない。人は空ばかり見ている」
のくだりに中島みゆきさんの明確なポリシーが伝わって来る。

   風の中のすばる
   砂の中の銀河                  
   みんな何処へ行った 見送られることもなく    
   草原のペガサス                 
   街角のヴィーナス                
   みんな何処へ行った 見守られることもなく    
   地上にある星を誰も覚えていない
   人は空ばかり見ている 
   つばめよ高い空から教えてよ 地上の星を
   つばめよ地上の星は今 何処にあるのだろう   

  

2003年01月20日(月) 壮大なロマン

 私がヨーロッパの歴史を少々知る動機となったのが、ナポレオンの伝記・ユゴーの小説・トルストイに関する書籍などであった。この地球上で、数百年に渡って断続的に大規模な戦争をしていたのがヨーロッパであろう。ナポレオンの時代から第1次世界大戦、第2次世界大戦と続いたのである。
 ユゴーは国境のないヨーロッパを思考していた。第2次世界大戦後50年に渡って続けられてきた欧州統合の歩みは、15カ国通貨「ユーロ」によって歩みだしている。現在のEU15カ国の人口は、3億8000万人だ。
 ここにまた新たな壮大な実験が行われることになった。昨年の12月のEU首脳会議は東欧諸国など10ヵ国(ポーランド・ハンガリー・チェコ・スロバキア・スロベニアと旧ソ連の一部だったエストニア・ラトビア・リトアニアなど)の新加盟を正式に決定した。これによって、総勢25カ国、人口4億6000万人のEUが2004年5にスタートする。
 庶民の目線で見れば、この25カ国の人々は、共通のユーロを使って、自由に往来し、どこに住み、どこで働いてもかまわないという時代が到来する。まさに壮大で、歴史的なロマンなのである。

2003年01月19日(日) アメリカ企業の債務不履行17兆円 

 帝国データーバンクは、02年の上場企業の倒産動向調査を発表した。これによると倒産は29社で、負債総額は1兆9000億円である。日本の経済状況を踏まえると、この上場企業の倒産と負債総額は多いとの印象はない。アメリカ上場企業の倒産は、日本の比ではない。昨年は通信関連の大口倒産があったとはいえ、アメリカ企業の社債の債務不履行だけで17兆円余りに達している。米格付け会社の発表によると「債務不履行となった社債総額は、1771億ドル(約21兆円)で過去最高を記録」(14日産経)したという。この内、米企業が金額で全体の8割(17兆円)件数で54%を占めている。わずか1年で社債のみの不履行が17兆円も発生しているのだから、日本の銀行の不良債権20兆円などに驚く必要もないのかも知れない。
 今年の景気はどうなるのだろう。政府は03年の成長率を0.6%としている。日本の19のシンクタンクは4社がマイナス成長、15社が0.2%~0.9%の成長としている。資産デフレが続く間は、実質的なプラス成長はないと思う。日銀がジャブジャブお金を流しても需要が上向かない限りただの言葉の遊戯に過ぎない。

2003年01月18日(土) 中村喜四郎議員の収監

 中村喜四郎議員(茨城7区)が失脚することになった。ゼネコン汚職で、斡旋収賄罪に問われ1.2審共に懲役1年6月の実刑判決であった。この判決を不満として最高裁に上告していた。「最高裁第2法廷は、上告を棄却する決定を出した」(1月17日 毎日から)よって、「強気のプリンス」(毎日から)もついに収監されることになった。
 新聞は「問われる立法府の権威」「政治とかねに断罪」などの見出しで、この事件の概要と批判が出ていたが、どことなく力なく事実を並べ立てているだけのように思えた。中村喜四郎氏は、まだ53歳と若いので、収監の後はまた国会議員として立候補すると思う。そして、「上告したのは、私は無実であり、無罪だからです。私を有罪とした裁判官の事実認定や論理は不当であり、支離滅裂です」(中村議員のホームページ)と検査と裁判当局を批判して当選するのではないだろうか。日本の選挙民は、正・邪を立て分ける、大切にするという価値観がないと思うことがある。
 どのような政治家を国会に送り出すかは、最後は選挙民の社会的見識にかかって来る。公共事業を食い物にした秘書を抱えて、衆院議員を辞職した加藤紘一元自民党幹事長で次期衆院選に出馬する。この人も当選するだろう。寂しい日本の政治風土と言えないだろうか

2003年01月17日(金) 阪神大地震から8年

 あれからもう8年だ。今日は「1.17 人類の安全と共生を考える兵庫会議」が追悼の集いで朗読した「宣言」をここに引用した。
「1月17日は忘れない/私達の日常を奪い去った/8年前のあの一瞬から/長く険しい復興への道が始まった/震災の残した教訓は余りにも大きい/技術過信が生んだ近代都市の脆さ/かけがえのないものを失って初めて/私達はそれを知った/家族・友人・地域・ボランテア/内外の多くの人々からの暖かい支援は/私達に共に支えあうことの貴さを教え/前へと進む勇気を与えてくれた/あの時/心のそこに深く刻んだ危機感/失ったものの貴さ/与えられたものの暖かさを/私達は決して忘れることがない/今なお続く復興の中で/経験し、学んだことを/1人でも多くの人に伝えなければならない/各地で引き起こされるテロや紛争/突如として都市を襲う地震や洪水/災害は世界中で繰り返され/苦しむ人は後を絶たない/私達に出来ること/あの震災で得た教訓を/未来の安全と安心の役立てるよう/そして世界のどこかで今も苦しむ人々に/本の少しでも勇気を手渡すことが出来るよう/地域を越え、社会を越えて/世界に向けて道を拓こう/それは私達だから出来ること」

2003年01月16日(木) 不快なニュース

 不快なニュース、それは北朝鮮に関することだ。これは私1人だけでなく、日本のほぼ全員が同じ思いであると思う。毎日膨大な北朝鮮に関するニュースがある。ここで少々のニュースを列記してみよう。
米国務省の報道官は2日の記者会見で「米政府として朝鮮民主主義共和国への食糧支援を継続する方針を表明した」(3日読売から)米国は、北朝鮮の最大の食糧支援国なのだ。
 北朝鮮の各紙は共同社説を発表した。その題は「偉大な軍事優先の旗に従って、共和国の尊厳と威力を高くとどろかせよう」であった。内容の一部を引用すると「全朝鮮民族は米帝国の戦争策動に団結した力で断固たる反撃を加えるべきだ」(3日 朝日から)としている。
 欧州連合(EU)は8日、「食糧不足が深刻化している北朝鮮に950万ユーロ(約12億円、穀物約3万9000トン)の緊急食糧援助を行なうと発表した」(8日 朝日から)EUは「冬季の食料不足によって、特に子供たちの栄養不足が深刻化しそうだ。苦境にある人々を救うという基本的な人道原理からの援助だ。」(同)としている。
 国連の世界食糧計画(WFP)は「北朝鮮で配給される援助食糧の不足が深刻化していることを明らかにし、今年第14半期分として8万トンの緊急支援を」(8日 朝日から)と支援各国にSOSを発している。
 「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(救う会)に全国から拉致ではないかとの調査依頼が120件150人になった。この行方不明者の内40人の実名と写真が公開された。
 北朝鮮が核拡散防止条約(NPT)からの脱退を宣言した。北朝鮮のドイツ大使は、NPTからの脱退から関連して記者会見し「米国が北朝鮮に敵対政策を続けるならば、戦争布告を考慮しなければ」(11日 毎日から)との考えを表明した。米国から食糧の支援を受けている国が「戦争布告も考慮する」ではもはや、お笑いの世界の話ではないか。
 日朝交渉の目前の課題である拉致家族の早期呼び戻しの交渉は極めて難しい段階になって来たようだ。核開発という「恫喝戦術」を繰り広がる北朝鮮にとって家族の帰国などは取るに足らないテーマなのだろう。ここにも、ロシアと同じ人権軽視の思想がありありと読み取れる。北朝鮮当局は、日本の世論全体を敵に回すデメリットを考える余裕を持ってもらいたいものだ。

2003年01月15日(水) 昨年の婚姻と離婚の数 

 1月に入るといつも前年の出生、死亡、婚姻、離婚件数の概数が発表される。出生は表のとおり11万6000人で前年を1万5000人下回り、過去最低を更新した。この出生数は、じりじりとどこまで落ちていくのだろう。
 表のとおり、婚姻はこの15年間75万から80万組しかないのに、離婚の方は毎年増加を続けて、02年は29万2000組となった。日々の映像を書き始めた1977年の離婚数は22万組みあった。


2003年01月14日(火) ロシア軍で集団脱走の嵐

米軍は10年に1回は一定規模の戦争を行なう。この米軍が志願する兵士によって構成され、定員が不足だという話は聞いたことがない。どうして、戦死があるかもしれない軍隊にアメリカの若者の多くが志願するのだろう。この理由が良く理解できない。
 ロシアはたしか徴兵制である。自由主義社会と共産主義社会の根本的な違いは人権感覚の強弱であると思う。自由主義社会が唯心論に共産主義社会が唯物論に思想の根があるのだから当然といえば当然のことである。
 ソ連邦が解体されたが、70年以上も続いた共産主義社会の人権軽視の思想と行動が社会のいたるところに残っているようだ。ロシア軍の「上官らの虐待」による兵士の集団脱走の記事を見て、人権軽視の思想が蔓延していると思った。「モスクワの防衛に当たるエリート師団を含むロシア軍各部隊で最近集団脱走が頻発している。レニングラード軍管区24人、ウラル軍区間13人、モスクワの防空部隊6人、自動車化狙撃師団から16人、チェチェン戦線で54人・・・」(8日 読売から要旨引用)ともかく、一昨年から昨年の前半にかけて「所属部隊から抜け出し告発された兵士が2733人」もいるのだ。上官の虐待で脱走する・・・人権軽視の哀れな境遇の中にロシアの若者がいる。


2003年01月13日(月) 今ごろ西部百貨店へ債権放棄2200億円

 西武百貨店が総額2300億円金融支援を求めるという。「西武百貨店グループが抱える有利師の負債は5800億円」(11日 毎日)で、この内、債権放棄が2200億円、債務の株式100億円としている。西武は拡大主義のつけの清算に追われて財務が弱体化し、債務超過寸前に追い込まれている。大局的に整理すれば、5800億円の有利負債の相手勘定の資産に2200億円の含みマイナスを抱えているのだ。具体的には店舗の閉鎖損、子会社の積算などである。
 今まで債権放棄のことは多く書いてきたが、借入合計(5800億円)対借金免除(2200億円)の割合は多い方だ。この2200億円の内、みずほコーポレート銀行が1000億円弱を支援する他残りを準主力の協力を求めるという。不良債権を買い取って、企業の再生を目指す「産業再生機構」が今春にも設立されようとしている。準主力行は、この不良債権を産業再生機構に買い取ってもらえれば、損失の発生が少ない。よって、準主力行及びサブの銀行は、債権放棄の同意は行なわないのではないか。西武はつい1週間ほど前、みずほから緊急融資300億円を受けるなどやや異常と思われる状況が続いている。

2003年01月12日(日) 英国の世論

 時折、英国の世論調査を見ることがある。英国民の指導者に対する態度が実に厳しい。英BBCラジオが実施した「国外追放に価する英国産の悪党」を選ぶ投票が行なわれる。投票当初ブレア首相が過半数を占める勢いになり、面白みにかけるためブレア首相を候補から除外したという。こうして第1位に選ばれたのがブレア首相婦人で31%、2位は英在住のイスラム過激派指導者マスリ師の25%、チャールズ英皇太子も13%で国外追放候補の4位に選ばれている。1位となったブレア首相のシェリーさんは、「不動産取引を詐欺師に依頼していたことが暴露され、涙の釈明会見に追い込まれた」(1月4日 毎日から)というものの違法行為で逮捕された訳でない。それでも、この投票に参加した人1万5000人の31%の人が「国外追放に価する悪党」と断じている。英国の世論は実に厳しい。
 イラク攻撃に関する調査も出ていた。英国の与党である労働党の地方支部長の89%が「武力行使を認める新たな国連安保理決議を経ずにイラク攻撃をすべきでない」(1月13日 朝日から)と答えている。イラクの大量破壊兵器の決定的な証拠が見付かっていない。新たな国連決議(イラク攻撃)の見通しがあるのか。湾岸の米軍は2月末で5万人体制となる。

2003年01月11日(土) チェチェン人の攻撃

 私の手元に田中守氏のペンによる「チェチェン戦争が育んだプーチンの権力」(00年1月21日付け)という長文のリポートがある。ここで、その内容を引用するだけの紙幅がない。ただ、結論だけといえば、ロシア国内のチェチェン地方(チェチェン人との間)で内戦が続いているのだ。
 このチェチェン人(独立派武装勢力)によるモスクワの劇場占拠事件は世界に大きな衝撃を与えた。ロシア軍は実に10万人近くの軍隊で大規模な掃討作戦を開始していた。しかし、昨年の暮れにまた衝撃的な事件が起こった。チェチェン共和国の行政府の庁舎が爆破され、中にいた2000人余りの政府職員の大半が死傷してしまった。「ロシア非常事態省は28日、死者55人、負傷者123人に達した。爆発でほぼ全壊した共和国成長ビルの瓦礫の中には、生き埋めの人々がまだ残されており、死傷者は更に増える可能性がある」(12月28日 毎日)ロシア政府の権力の出先が機能不全に陥ってしまった。ただ、その後は、強力な報道規制か、この事件の続報が全くないのが不気味だ。チェチェン人のロシアに対する非服従の戦いは200年に及んでいる。よって、これからも、チェチェン独立派武装勢力の大規模なテロがどこで起こるか分からない。テロ攻撃に最も神経を使っているのはロシアといえる。

2003年01月10日(金) 侵入盗を防ぐには

 サンデー毎日で、ピッキングの恐怖と題して、さまざまなキ―の解説をしていた。結論としては、今市販されているドアの カギは侵入のプロにかかってはほとんど役に立たない。指紋・声紋照合キー、ITカードキーでも意味がないというから困ったものだ。この侵入盗は、昨年(01年度)だけ度も16万件も発生しているので、いつ我が家が襲われるか分からない。物品も持ち出すので、被害額は一件当たり平均で25万円だという。
 マンションでは、表のとおりドアから侵入する割合が半分であるが、一般の住宅はガラス破りがほとんどなのだ。もし、一般住宅で防犯対策を考えるのであれば見通しの悪いガラス窓に防犯合わせガラスを入れるしかない。一番有効な対策は、外から見て(泥棒から見て)留守の印象を与えない工夫が必要だと思う。

           空き巣狙いの侵入方法
        マンション       一戸建て住宅
 ガラス破り   17.7          6.6
 ピッキング   40.0          0.6
 無締まり    15.8         19.5
 ドア錠破り    1.6          2.1
 その他     15.8          11.1

2003年01月09日(木) 米・配当課税撤廃へ

 以前、配当課税のバカバカしさを記述した。個人が配当を受けると所得税の20%の源泉徴収をされた後「更に確定申告をしなさい」という制度になっている。この申告がいやなら別に35%の分離課税を払いなさい・・・というものだ。批判の焦点は、こんな配当課税で、個人の資金が株式市場に向かう訳がないとするものであった。

 こと税金に関しては多くの疑問がある。たとえば、税のシステムでは、かなりこの道で精通した人でないと分からない。ひがんで言えば、国税の専門家しか分からないように組み立ててある。たとえば、配当の課税でも10万円以下、50万円以上では確定申告の仕方が異なる。法人が配当を受け取ると、出資の比率によって、課税が異なってくるという具合だ。今株式市場の低迷が、銀行・生保を破綻に追い込もうとしている。大衆の資金を株式市場に引き付けるには、もっと単純で分かりやすい税制が必要だ。
 
10数年前まで個人の株式売買益に対する課税はなかった。株価の低迷で、個人株主がどれだけの損失を受けたか分からない。膨大な損失を受けた時は、何もせずに今度利益が出たら20%の税金を取りますというのが、1月1日よりスタートした新証券税制だ。スタートしてまだ1ヵ月も経っていないのに自民税制調査会は、この20%を5ヵ年に限って10%軽減しようとの動きだ。これでは小手先ばかりの議論で「日本の税制に思想がない」(キャノン御手洗社長)との批判が良く理解出来る。
 
企業に利益が上がると税金を取り、残りを配当するとまた20%プラスアルファーの税金を取る体制になっている。企業は株主のものだとの考え方に立てば二重課税なのである。
 
ブッシュ大統領が 10年間で6700億ドル(80兆4000億円)の二重課税撤廃を中心とする新経済対策を打ち出した。「二重課税は米経済にとって悪であり、誤りだ」と株式配当の二重課税の撤廃するとの演説を行なった。この法案が通ると「10年間に640億ドル(約43兆7000億円)の税収が減る」という。しかし、株主は、1年で4兆3000億円もの配当課税がゼロになる。この妙味によって、更に、世界の資金が米国の株式市場に集まることが予想される。日本政府は、このブッシュ演説に何のコメントもしていないが、かなりのショックだと思う。米国が一定の税制に対する思想を持って、どんどん前に進んでいき、日本ははたして税制の面で米国に追い着くことが出来るだろうか。

2003年01月08日(水) コニカ・ミノルタ経営統合

 昨年度数回キャノン・富士フイルム・リコーなどの精密機器メーカーのことを書いた。この業界は、日本が誇るべき世界最強の企業群だと思う。この業界は昨日書いた自動車メーカーの技術が一歩優れているなどの次元ではなく、他国のメーカーの追随を許さないだけの技術力なのである。よって、昨年の3月も過去最高益を出し、今年3月期も上位3社だけで、6500億円余りの営業利益となる。
 この上位3社に続くのがコニカ(02年3月売上539億円)ミノルタ(同5108億円)オリンパス(同5284億円)だ。昨日のニュースによると、コニカとミノルタが経営統合するという。よって、上位3社に続く精密機器の1兆円企業が誕生することになる。ただし、この業界は規模が大きくなったからではなく、どれだけの技術力が結集されるかにかかっている。
 周知のことで、私がここで書くまでもないが、オリンパス光学の内視鏡を例にとると、同社はこの内視鏡では、世界のシェア7割なのだ。日本のマスコミは、国の財政・銀行の不良債権・デフレなどにウエートを置いた報道だけでなく、日本の産業を支える自動車、精密機器業界のことをテレビなどでも大きく扱ってもらいたいものだ。

2003年01月07日(火) ビッグ3を圧倒する日本の自動車メーカー

 1月4日、米国の新車販売台数が発表された。全体では1684万台で前年比で2%の減少であるという。米3社が揃って販売台数を減らしているのに、トヨタ・ホンダ・三菱自動車が過去最高記録を更新している。

 全体のシェアなどの細部の報道はなかったが、01年が27%なのである。よって、02年度の日本車のシェアは30%に近づくようだ。単純に表現すれば、アメリカ人が乗っている約30%が日本のメーカーの自動車なのである。日本車の技術水準がいかに高いかの証左である。
 
 日本車は、米3社が生産する自動車より燃費、耐久性などの面で、常に一歩優れている。これによって、米3社の販売シェア「95年の73%から(6年後の)01年に63%と過去まで落ち込んだが、02年も過去最低水準」(1月4日 朝日から)に追い込まれている。
 
 米におけるシェア10%とは、台数で言えば160万台余りだ。もっと分かりやすく説明すれば、昨年まで米3社のシェア160万台を日本勢がその大半を奪い取ったのだ。前記のとおり、全体で2%減なのにトヨタ0・9%、ホンダ3・3パーセント、三菱7%、日産5・1%増となっている。日本のメーカービック3を圧倒しているのだ。この流れが止まることはないだろう。

2003年01月06日(月) 少女の売春行為に罰則の新法案

 警察庁のまとめによると、昨年の1~10月の児童買春で「991人を検挙した」(12月21日 毎日から)という。児童買春の被害者は1275人で、中学生が536人、高校生が450人で低年齢化が進んでいる。

 この少女達の相手もさまざまだ。昨年の暮れ、お茶の水学園の理事長でビジネス専門学校の校長(及川清・40)が、逮捕されたのにはびっくりした。この専門学校の校長は、「埼玉県立高1年の女子生徒(16)が18歳未満であることを知りながら現金数万円を渡して児童買春を行なった」として逮捕されたのだ。

 ここに書きたい核心は、どうして社会的信用を大切にしなければならない人が児童買春まで行ってしまうのかという疑問である。児童買春は大人側だけ検挙されているが「摘発例を見ると、93%は少女の側から誘いをかけている」(12月29日 読売・社説)のである。

 よって、援助交際とは少女達の売春行為そのものなのだ。この学校長は、少女の誘いにはまって、逮捕されている。さりとて、大人に責任がないというのではない。
 
 道徳的に考えれば、援助交際は悪で、少女の売春行為は言語道断だと思う。しかし、少年少女たちの意識はそうでもないのだ。警察庁が実施したアンケート調査によると次のとおりだ。「同じ年頃の女の子が見知らぬ人とセックスをして、小遣いをもらうことをどう思うか」との質問に「高校男子の50・1%、女子の50・5%は問題ではあるが、本人の自由」と答えている。
 
 女子中学生、高校生の売春というゆがんだ風潮に歯止めをかけようと警察庁は出会い系サイト利用制限と共に「18歳未満の少年少女との性的関係を伴う交際を求める行為を『不正勧誘行為』と規定し、違反に対しては、大人の側はもちろん、少年少女にも罰則を科す」(同)という新法案を提出するという。この法案に対して、どのような論戦が行なわれるのかは分からない。
 
 この児童買春に対する大人に対する罰則であれば、現在の児童買春・児童ポルノ禁止法で足りるのだ。問題は、前記したように勧誘行為を行なって売春を行なう少女たちを取り締まる法律がない。中学・高校で売春は悪いことだという教育が出来ず、ただ、法律としての罰則でこれらの行為を抑止しようとする動きは疑問である。

 どうして援助交際(売春)は悪である。少女売春は言語道断だと言い切ることが出来ないのだろう。売春は人としての尊厳を踏みにじる行為であることを少女達に理解させる努力が必要だ。新しい法律より、買う側(大人)の罰則の強化が必要ではないか。

2003年01月05日(日) 消費税16%の奥田ビジョン

 バブル(空景気)がはじけて13年目に入った。この崩壊のプロセスを昨年も多く書いてきたが、その広がりは深刻で重病人を思わせる。

 日本経済は益々悪くなっていくのか、それとも危機的な状況から脱出できるのか。「今年が歴史的な分岐点になると見るエコノミスト・経済人が多い」(元旦 読売社説から)というものの、この危機的な状況から脱出するための政策がある訳ではない。
 
 日本経団連は、2025五年までの将来構想「活力と魅力溢れる日本をめざして」(奥田ビジョン)を発表した。詳しくは読んでいないが、政治・経済・社会・国際の4部門に44の提言を盛り込んでいる。

 消費税については、04年から毎年1%ずつ引き上げ、14年度以後は16%に固定するとの提言だ。表は、昨年引用したものだが、消費税主体の欧州並みの税制を目指しているのだ。

 仮に消費税15%で、300万円の支出をする家庭は45万円の消費税になる。こうなると、日本の物価水準では耐えられない家庭が続出すると思う.


2003年01月04日(土) ゴールのないテロとの戦い

 新年に入ってからもテロによる犠牲者の報道が続いている。三点だけ取上げると、①アルジェリアの爆弾テロ(43人死亡・19人の負傷)②イスラエルのテルアビブ中心街での自爆テロ(18人死亡・約100人負傷)③イエメンでイスラム過激派が米人医師3人の射殺などである。
 
 ここでは、米人医師3人の射殺について補足したい。「米国のキリスト教バプテスト派宣教師団が運営する病院にイエメン人の男が侵入、会議中の医師らに小銃を乱射、病院長を含む米国人医師3人が死亡、薬剤師1人が重傷を負った」(12月31日読売)というものだ。
 
 問題はこの殺害の動機だ。容疑者は、同国のイスラム原理主義野党の党員を名乗り、この犯行動機については「イスラム教国で(同病院が)キリスト教の布教をしたため」(引用同)と供述している。ここにテロとの戦いとは何かが明確に浮かび上がってくる。
 
 テロとの戦いとは低次元の思想との戦いなのだ。低次元の思想がテロを生み出す元凶なのだ。この元凶への対策を立てずに、ただ、武器を持ったテロとの戦いでは終わりのない戦いになる。この元凶との戦いに仮に踏み出したとしても数百年を要する平和への戦いになる。テロとの戦いは短時間で解決できる問題ではない。


2003年01月03日(金) イラク攻撃の本当の理由 

 ブッシュ大統領は、イラク、イラン、北朝鮮の三カ国を「悪の枢軸」と断じた。枢軸という意味をザウルスで確認すると「悪の活動の中心」という意味になる。いかなる悪の活動の中心なのか。それは、大量破壊兵器を隠し持っているというものだ。しかし、国連による査察団が入って、2ヶ月余りになるが、大量破壊兵器に関する決定的な証拠は出ていない。

 米国によって、ねじ伏せられるように査察を容認したイラクのフセイン大統領は、米国、イスラエルなどを「悪の軍勢」(12月25日 読売)と呼び対米批判を繰り返している。フセイン大統領は「大量破壊兵器が存在するという米国の主張はウソであり、いずれ彼らが別の目的を持っていることが明らかになる」(同)といっている。

 イラク攻撃の別の目的があるのだろうか。毎日新聞社系でエコノミストという週刊誌がある。12月10日号で、関東学院大学の奥村教授による「イラク攻撃の本当の理由、ポスト・フセインでうごめく国際石油資本」と題するリポートが掲載されていた。「英『エコノミスト』誌によると、『米国はイラク攻撃で自国の利益のみを追求している』という見解がフランス人の80%・ドイツの85%・英国人の73%を占めているという。

 更に生々しい記述は「アラブ諸国やロシア・中国はもとより、フランス・ドイツ・イタリア・そして英国さえもが、 フセイン・イラク政権打倒で強硬策を唱えるブッシュ米政権の狙いをイラクの豊富な石油・ガス資源の支配にあると見ている」(同)このリポートの理解の仕方は読者に任せるとしよう。

 イラク攻撃が現実味を帯びてくる中で米国の政治漫画「戦争中毒」の日本語版が売れ行きを伸ばしている。「米国がなぜ軍国主義から抜け出せないかを始め、実在の人物の発言で構成したノンフィクション」(1月2日 毎日)日本の翻訳に関わった関係者は「戦争を仕掛けるアメリカの病理を浮き彫りにした」(同)という。この本は、米国の反戦活動家で漫画家のジョエル・アンドレアスさんの作品(関心のある人はファックス0470・97・1215 きくち ゆみさんへ)

 ブッシュ大統領は、陸軍基地で約4000人の兵士を前に、イラク攻撃について演説している。「『君達は征服のためでなく、人々を解放するために戦うことになる。・・・我々は、平和と自由の大義のもとに行動し、勝利を収めるだろう。』と述べイラク攻撃が正義の戦いであると訴えた。」(1月4日 毎日)遠くからミサイルを打ち込み、イラク人の犠牲者の数すら気にかけない攻撃がはたして正義といわれるのだろうか。

 それにしても、前記したとおりイラク攻撃の本当の理由は何なのだろう。自国の利益のための行動なのだろうか。

2003年01月02日(木) 昨日の交通事故死8326人(ピークの半減)

 正月の人気スポーツのナンバーワンは、何と言っても箱根駅伝だ。この日々の映像を書き始めた6年前の1月2日は、箱根駅伝を書いた。この時の印象を短歌で綴った。6句の中より3句を引用した。

・ 心身を 鍛えて走る若者に 手旗の歓呼と 讃歌のエール
・ 全力を 絞りぬいての力走に 感動伝わる 箱根駅伝
・ 中継点 タスキを渡す相手なし 悔し涙の ああ青春譜             

 昨年の6月に道路交通法が改定されたことは知っていたが、その内容となると詳細は分からない。正月兄の処へ行って、道路交通法の改定の中味が少々分かった。

 ここでは飲酒運転のみに例をとろう。この飲酒運転で捕まると、罰金がおおよそ30万円であるとのこと。しかも、酒を勧めた側にも同額の罰金が加わる。
 
 交通事故死者数が、前年比421人減の8326人になったことが伝えられている。これは、明らかに罰則が強化されたことによる抑止効果だと思う。

2003年01月01日(水) 2190回の日々の映像

 昨年31日で満6年(72冊目)2190回目の日々の映像を書いた。今日からこの日々の映像も7年目に入る。振り返って見ると、よくも毎日の1枚が続いてきたものだと思っている。この1枚といっても縦41字、横15行の約600文字である。パソコンで作成するようになってから、1ヶ月46ページ(23枚)前後にまとめるようにして来た。
 
 目的はいかに簡潔に出来事とその印象をまとめるかである。昨年の1月~6月頃までは、どちらかといえば経済の動向に軸足があり、グラフなどを多く利用した。しかし、限られた紙幅の中でこれらグラフなどを多用すると、本来のエッセー(コラム)から外れるようなイメージもあった。よって、7月以後は少しずつ減少させて、今日に至っている。
 
 この日々の映像は、私の目に映じて私自身がしっかりと整理されていないテーマを1日1題取上げている。よって、読者によっては、関心の薄いテーマが多く並ぶこともあると思う。現代人は、インターネットに代表されるように、情報の大密林の中を彷徨っている面もあると思う。

 その意味で社会の出来事の印象をコンパクトにまとめたこのエッセーが参考になればと思っている。幸い読者から激励をいただくこともあり、健康の許す限り、ナンバー240(240冊・・20年という意味)を目指して書きつづけたいと思っている。

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石田ふたみ