『日々の映像』

2002年09月30日(月) 余  録

 八月二九日から始まった東京電力のトラブル隠しは、大変な問題に発展した。もはや、原子力発電の安全などと言う言葉は崩れた神話となった。

 九月中旬以降になると、東北電力の女川原発でのひび割れが報道されている。ここはなんと「原子炉内のシュラウトにひび割れが六七箇所も見つかった」(九月二四日 毎日から)という。どこに本当の問題点があるのか、ただ、トラブル隠しのニュースの洪水だけでは何も分からない。

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 9月5日、刑法犯の激増のことを書いた。少なくとも、これ以上犯罪が増加しないようにするにはどうしたらよいのか。この追求を教育界、警察組織、宗教界などあらゆる層を結集して協議を行なうべきだ。

 検挙率が落ちてきたなどと言う批判的な記事は、無責任な傍観者に過ぎない。日本人の大半が、とりあえず自分は事件に巻き込まれていないから・・・と傍観者であったらこの刑法犯は限りなく増加していくだろう。

 どのような組織で・・・誰がこの刑法犯の増加に苦悩しているのだろう。なかんずく誰が被害者の苦悩・加害者の家族の苦悩に癒しの手を差し伸べているのだろう。

 もっともらしい顔でテレビに登場する日本のリーダーたちは、これらの問題に悩んでいるのだろうか。99%が傍観者のように思えてならない。これだけ事件が増えていったら警察組織だけではどうにもならない。

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 今月ほど大きなニュースが重なった月は珍しいと思う。国内では原子力発電所のトラブル隠し、そして、北朝鮮による拉致に関する報道だ。拉致は現代の常識からすれば許されない国家犯罪であるが、報道があまりにも過激になっていく傾向に、ある種の危惧を抱く。

 北朝鮮は、アメリカから悪の枢軸と名指しされ、イラクの次のターゲットにされている。そして、国内経済の破綻から金正日(キムジョンイル)総書記は追い詰められている。拉致・工作船を認め、植民地支配の補償を求める立場も放棄した。

 日本のマスコミは、この時を待っていましたと言わんばかりの報道であるが、日本の戦前の行状も念頭に入れたセーブされた一面も必要のように思う。

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 9月25日に記述したようにアメリカはテロ及びその支援国家と戦争をすると宣言している。アメリカを中心とする国際社会は、アルカイダを倒したが、このリーダー達は捕まっていない。

 ウサマ・ビンラデン氏は、パキスタンとイラクの国境が交差するアフガン南西部に潜伏しているようだ。そして、これらの残党は2000人とも4000人とも報道されている。そして、カルザイ大統領暗殺未遂事件が示すように、いつまたテロが発生していくか分からない。このテロリストを一時的に山奥に追い込んだだけで、この問題が解決されたわけではない。

 アメリカ憎しの思想は生き続け、このテロリストと、基本的人権を掲げ民主社会を構成している国家との対峙が続くことになる。

 アメリカはテロとの戦争を宣言し、膨大な情報戦と警戒網を敷いている。この費用は莫大なものだ。最近のアメリカの株安とこのテロが全く無関係とは言えない。アメリカは、テロ対策のために、国力を消耗していくのではないかと思うほどである。

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 早いもので、日々の映像を書き始めてから69冊目になった。私が書いている日々の映像に冷たい視線を投げかける人がいる。簡単に言えば「お前ごときが、この程度のエッセーを書いて何の役に立つ」という視線だ。

 意見を述べれば批判する人が出て来る。・・・これが人間社会のありのままの姿なのかも知れない。しかし、私に冷たい視線を投げかける人に反論したい。「社会の問題に対して、何も声を上げない。ただの傍観者でいる。これも1つの人生の生き方かも知れません。犯罪が激増している。しかし、私は巻き込まれないから良い! そして、何もいわない! 何もしない! こんな生き方が良いのでしょうか。

 社会が少しでも良くなるように声を上げ、多少でも行動すべきではないでしょうか。貴方はきっと私の提案に対して、せせら笑うでしょう。そんな貴方に私は忠告をしたい。利己主義の生き方では、人間としての生きる活力が失われていきます!」と。社会の出来事に対して、傍観者が実に多い。時には驚愕することがある。自分だけの僅かな空間の中で、食べて、呼吸しているだけの人生では、生きている価値がないと思う。

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 30年前の9月29日、田中角栄首相と周恩来首相が日中共同声明に署名した日だ。それから30年の時が流れた。この間に想像も出来ない経済・民間交流が展開されている。

 日本を目指す中国女性も多い。厚生労働省の調査によると、日本人男性と結婚した外国人女性3万人余りの内、中国人女性が1万3939人と44%も占めるに至っている。(9月29日 毎日から)それにしても、日本を目指す花嫁予備軍は絶えないとのこと。日本の独身男性が中国で見合いして、オッケーとなると、中国の女性は当然ながら単身で日本にやって来る。そして、日本の地で子供を産み自分の人生をかたち創る。・・・女性は強し・・・。


2002年09月29日(日) 原子力安全・保安院も虚偽の報告 

 東京電力のトラブル隠しの告発があってから、経済産業省原子力安全・保安院の調査が2年もかかったことについて、9月上旬の報道では、告発者の名前が分からないように配慮したことが障害になって遅れたとしていた。ところが、これが真っ赤なうそであったと言うから驚いた。「経産省の評価委員会が27日開かれ、保安院は告発者の氏名を東電に伝えていたことを明らかにした中間報告を提出した」(9月27日 毎日)

 簡単に説明すれば、告発者の書面がそっくりコピーされて東電に渡っていたのだ。そして、今になって「名前をマスキング(隠す)すればよかった」などといっている。そして、この告発された個所の回答の督促などはほとんどせず、だらだらと2年が経過したのだ。

 国(保安院)は、原子炉等規制法に基づいて、原子力発電所を管理することになっている。しかし、「原子炉規制法・・・に基づく報告徴収や立ち入り検査はほとんど行なわれていなかった」(9月27日 毎日)実際は何もしなかった・・・これが真実のようだ。原子炉規制法に基づいて行動するだけの人材もいない・・・これも真実のようだ。


2002年09月28日(土) 民間給与の平均額過去最大の7万円に減少

 マクロのデーターであるので、あまり参考にならないが、時代を映す1ページとして民間の平均給与を記述しておきたい。国税庁の民間給与の実態統計調査によると、昨年の男女別平均給与の合計は次のとおりだ。

  男性の平均給与  558万円  (前年より8万円減少)
  女性の平均給与  278万円  (前年より2万円減少)
  この平均     454万円  (前年より7万円減少)

 この女性の平均給与は、女性労働者の40%を占める「725万人」(9月18日 日経)も含まれているので、左記の金額が女性の正規社員の平均給与合計ではない。

 民間給与者は、4520万人でこの内、パート労働者、契約社員が「1118万人」と約4人に1人が正社員でなくなっている。この人数は5年前と比較すると320万人も増えている。この増え続けるパート労働者の歯止めが必要であると思う。

2002年09月27日(金) 日本の教育費 

 日本の少子化は、統計以上の諸問題が生まれ出て来る。このままの少子化が進むだけで、社会全体を揺るがす構造的な大問題が発生していく。年金などの具体的なテーマはここで記述するまでもない。ただ不思議に思うことは、大問題だ!大問題と言われながら、根本的な問題解決の糸口すら見えないでいる。

 若い夫婦が子供を1人か2人しか産まない理由の第1は「子供の教育にお金がかかること」と答えているのである。日本は義務教育と言いながら表のように小・中学校でもかなりの教育費がかかる。これだけの負担を若い夫婦に求めるようでは、子供をあまり産むなといっているようなものだ。

 左記の学習費総額は、学校教育費、給食費の他に学習塾も含まれているが、少子化対策の大きな柱の1つは、義務教育費の負担軽減だと思う。ここに手を付けられないで、いくら少子化対策を掲げてもその効果は少ない。

 道路特定財源を一般財源(これ以外の目的で使う)に入れようとすると道路族が動いて大騒ぎになる。人がまばらしかいない所に道路を造って何になると言いたい。

 それより少子化という大問題の解決の1つとして、若い子育て夫婦の教育費の負担軽減に大騒ぎをする議員の集団が出来ないのだろうか。以前にも書いたが、こんなテーマは、利権にならないとでも言いたいのだろうか。

 表のとおり、高校だけ私立の場合で、1人当たり660万円余りの費用がかかる。子供3人を高校までやると2000万円もかかる。1カ年で100万円になる。

2002年09月26日(木) アラファト議長風前の灯火

 2年前からイスラエルとパレスチナの紛争は解決の糸口すら見出せないでいる。パレスチナ過激派の自爆テロ、それに対するイスラエルの報復はいつまで続いていくのだろう。この2年間の犠牲者は、パレスチナ人1870人イスラエル人610人となっている。イスラエル人の死者の大半は自爆テロに巻き込まれた民間人だ。

 新聞が伝える所によると、アラファト議長の監禁は今回で8日目を迎える。しかも、監禁されている議長府は次々と破壊され、本棟の4部屋しか残っていない。ここにアラファト議長の側近他が250人も押し込められているのだ。

 イスラエルは、この250人に「テロ関連指名手配者約50人」(9月27日 毎日)がいるとして、引渡しを求めている。これに対して、アラファト議長は「引き渡すつもりはない。私はここを離れない」(同)と言っている。

 しかし、もはや客観的な状況は自治政府どころではない。この建物に追い込まれた250名が食糧の差し入れを受け、交代で「雑魚寝する日々」が続いている。アラファト議長にどのような運命が待っているのか、まさに風前の灯火の感である

2002年09月25日(水) 新たな戦争の時代

 2001年9月11日は21世紀の新たな戦争の時代を告げる日となった。米ホワイトハウスは20日、新安保戦略を発表した。全文9項目の中の一部を引用して、アメリカがどのような考え方に立っているかを整理したい。「直近の焦点は、テロ組織と大量破壊兵器を手に入れるか、使おうとするテロ支援国家だ・・・必要であれば先制攻撃による自衛権行使の単独行動をためらわない。我々は国際テロに対する戦いに打ち勝つ為に戦争を行なう」(9月21日 毎日)と宣言しているのである。

 北朝鮮とイラクは、炭そ菌などの生物兵器、マスタートガスやサリン・vxガスなどの化学兵器をどれだけ保有しているのだろう。これらの生物・化学兵器がアメリカ国内で使われると認識しているのだ。

 これらの生物兵器、化学兵器がテロ組織によって、米国内に運搬され使用されると判断している。このアメリカの疑念が解消されない限り新たな戦争は避けられない。イラクはサリンなどの化学兵器を数百トン保有しているとされている。しかし、脅しも先制攻撃の対象にされたのでは保有の意味がない。

2002年09月24日(火) アメリカのイラク攻撃

 イラクに関する報道がない日が1日もない。「米大統領、国連決議なしでもイラク攻撃と強調」(9月19日)「イラク攻撃、米大統領に作戦計画提出・米紙報道」(9月21日)「イラク脅威の証拠を公開へ・英、世論説得本格化」「アルカイダ幹部、アジアでのテロ計画を自供」(9月23日、以上日経)などの報道である。

 このアメリカのイラク攻撃の背景などについて8月17日に「アメリカの恐怖」と題して、その一断面を記述した。今は、アメリカによるイラク攻撃があるかどうかではなく、この攻撃がいつ始まるのかに移行している。

 なぜ、ここまでアメリカはイラクに対して過激になるのか。それは、イラク政府がテロ組織アルカイだに「化学兵器開発を支援するなど長期に渡って協力関係にあった」(9月26日 日経)としているからである。更にライス補佐官は「関係の全体が判明した時に全容を公表する」(同)としている。これが事実なら、フセイン政権は窮地に追い込まれることになる。


2002年09月23日(月) 日中国交回復30年

 9月23日日中国友好式典が開かれた。ここに日本の国会議員85人を含め、代表団1万3000人が参加した。この参加人員の多さが、日中の関係の深さを象徴している。この様子を北朝鮮の金正日(キムジョンイル)は、どのような思いで眺めているだろう。

 時の流れを概観すると、その時の指導者達の理念と判断でその国の命運が変わる。歴史の1ページをメモしてみよう。

 1945年  終戦・太平洋戦争終わる
 1949年  中華人民共和国が発足
 1950年  約3ヵ年に渡る朝鮮戦争が始まる
 1965年  日本と韓国との国交が結ばれる(終戦以来20年目)
 1968年  北朝鮮による韓国大統領暗殺を狙ったラングーン爆発テロ事件
 1972年  日本と中国との国交が結ばれる
 1977年  中国の鄧小平時代(開放路線)始まる
 1977年  この年から80年代にかけて日本人の拉致が続く



2002年09月22日(日) 地価11年連続の下落

 連日、北朝鮮の拉致に関するニュースで溢れ、経済ニュースが隅に追いやられているようだ。新聞の扱いは小さかったが、日本の地価の下落は、日本経済に深刻な打撃を与えている。

 国土交通省が9月19日に発表した基準地価は「住宅・商業地とも全国平均で11年連続して下落した。下げ幅は昨年より拡大し、住宅地は4・3%(昨年3・3%)商業地は7・2%(同6・6%)・・・」(9月19日 毎日)と言う具合で、この下げ幅は、むしろ拡大している。この地価の下げ止まりははたしてあるのだろうか。このことについて、2年余り前にも記述したが、私の見解はこれからも当分の間、土地税制の抜本的改正がない限り地価は下げ続けると思う。

 日本の土地税制は、土地が値上がりするとの価格感の基で出来上がってきたものだ。その土地がどんどん値下がりする時代である。これでは土地保有税・固定資産税などを支払ってまで土地を保有する意味が全くなくなったのだ。

 日本は土地を保有している個人・法人からどれだけの税金を取り上げているのか(私の記憶だと2兆円)今は、大きな土地を保有している個人及び法人が大変なのだ。その昔は資産家と言えば、大きい土地を保有している人を指していた。今は、土地を保有している個人も売れない土地に税金がかかるので大変だ。

 塩川財務相は分かりやすく「株も下がり、土地も下がり、景気も下がった」そして、土地税制について「評価額が高すぎて実勢と合わない。相続税とか不動産取得税とかでどんどん税金を取られてしまうのでは、経済は縮小してしまう。土地が動きやすいような税制を考えて、着実に実行していきたい」(9月23日 日経)と言っているが、この税収不足の中で大幅な土地税制の抜本改革が出来るだろうか。答えは出来ないと思う。よって、土地を保有すること自体が負担となる時代が続き、地価は下げつづけるしかないだろう。

 この土地の値下がりは、税制以外にも原因がある。そのことは、紙幅の関係で省略するしかない。2年程前に読んだリポートの中でミサワホームの三沢社長は「地価は今後50年は上がらないでしょう」と言っていた。日本の土地バブルの崩壊は、これからも続いていくことは必至だ。

2002年09月21日(土) 株価低迷

 株価の低迷は、各方面に深刻な影響を与え出して来た。9月4日の終値は、9075円09銭と言うありさまだ。この株価であると、今年3月末1兆円少々だった銀行の株式含み損が4兆円以上に膨らむと推定されている。その他悲観的なことを書き出せばきりがない。

 現在の株価では、金融システムを維持する限界に達したようだ。日銀は18日、大手銀行が大量に保有している株式を直接買い取る方針を発表した。来月から1~2年かけて4兆円規模で買う方向であるという。それにしても、速永日銀総裁の記者会見は、ボソボソと何を言っているのか分からない。

 日銀の発表によって、19日の株価も197円高の9669円で、下げが下げを呼ぶような展開は止まったようだ。この日銀の株購入と言う発表に対して、与党に何の説明もなかったようで、麻生政調会長は「初めて聞いた・・・政府と関係なくやるからには(株式保有に伴う損失は)日銀にかぶってもらうことになる」と注文をつける。

 竹中経済財政担当相も「株価変動のリスクを日銀負うのが良い事かどうか・・・良く理解できない」とこの日銀の政策に不快感を示している。この2人とも日銀の決定に対して、不快感を示しているが、ではどうしたいというのだろう。ただ、この日銀の政策について党・政府に相談がなかったことがおもしろくないだけの印象を受ける。

 この日銀の政策は、柳沢金融担当相とは事前の協議があったらしく、同相は「我々もいろいろな考え方や情報で協力していきたい」(9月18日 日経 HP)との意向だ。

 銀行と企業との株式の持ち合いは、時価総額の「8・9%(28兆円)」とで減少している。ここへ日銀が4兆円規模の買取を行なうのであれば、銀行の株式放出によるこれ以上の株式の下落は止められるようだ。下落を止められないのが地価だ。

2002年09月20日(金) 拉致・疑いのある行方不明者70人

 国際的に認められない北朝鮮の犯罪の決着は容易なことではない。全面解決は、北朝鮮の体制が崩壊されない限り不可能であると思う。

 日本は敗戦して軍の上層部は東京裁判によって裁かれた。アジアに進出していた日本軍の指揮官で、捕虜の扱いなどで国際法に照らして違法な行為をしたとして、900人余りが絞首刑になっている。大きな視点で捉えれば、違法行為に対する1つの決着である。

 北朝鮮による拉致は、いったい何人になるのだろう。新たに佐渡で24年前に行方不明になった曽我ひとみ(当時19歳)さんの拉致と生存の可能性が出てきた。これらのことから政府も14人以外にも拉致被害者がいると判断して、北朝鮮に対して調査を求めていく方針を固めている。

 北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)が収集した事例や情報からすると「拉致被害者は70人と推定」(9月21日 毎日)との見解だ。北朝鮮の特殊機関の犯行と認めた以上は、その家族に対する補償を北朝鮮は応じる必要が出てくるのだ。はたして、北朝鮮当局はどう答えるのだろう。

 いくら北朝鮮当局が隠そうとしても、これだけの亡命者が出ているのである。ウソは次から次へと崩壊していく。今年4月まで金総書記は「拉致はない」と明言していたのだ。今回の一連の問題に対して、北朝鮮からの亡命者の証言は生々しい。

 北朝鮮から韓国に亡命し、朝鮮日報に勤める記者(カンチョルファン)は「任務が終了したと言う意味では、間違いなく殺されていると思う」(9月17日 毎日)と証言している。

 同じく亡命した男性は「通常、工作員の教育係になった日本人は、工作員の顔を知っているので殺される。秘密保持上、5人を拉致すれば3人は殺される」(同)と証言している。それでも拉致されて教育ががりになった人は、数年生きていたので多少の痕跡を残している。

 報道されているように、拉致の目的は、特殊機関の日本語教育と工作員が日本に潜入する際に詐称する身分を獲得するためだ。この身分詐称のために拉致された人は、短時間で殺害されたのだろう。

 「工作員が日本人になりすまして活動する場合、発覚しないようにするため、対象となる日本人には身寄りのない人を選ぶことが多い」(9月21日 毎日)と言うから捜索願も出されないケースも考えられ、この拉致の人数は70人より多いのかも知れない。


2002年09月19日(木) 拉致八名の死亡の年齢

 拉致された12名中8名が死亡していたとの報道は、日本の社会に深刻な打撃を与えている。この8名の死亡原因が不明のまま、国交回復の交渉のテーブルをセットすることは、日本の世論が許さないと思う。

 日本人の大半が持っているイメージを朝鮮日報は「・・・横田さんが拉致されたのは13歳で、現在日本国内では北朝鮮によって殺害されたのではないかと言う疑惑が浮上している」(9月19日 HPから)それにしても4人が20代、2人が30代で死亡している。北朝鮮は、この死亡をどう説明するのだ。

 横田めぐみさん 77年11月(13歳) 93年 3月死亡(28歳)在命15年
 田口八重子さん 78年 8月(22歳) 86年 7月死亡(31歳) 同 1年
 市川 修一さん 78年 8月(23歳) 78年 4月死亡(24歳) 同 8ヶ月
 増元るみ子さん 78年 8月(24歳) 81年 8月死亡(27歳) 同 3年
 原ただあきさん 80年 5月(43歳) 86年 7月死亡(28歳) 同 6年
 有本 恵子さん 80年10月(23歳) 88年 2月死亡(31歳) 同 4年少々
 石岡 亨 さん 80年 6月(22歳) 88年11月死亡(43歳) 同 7年少々
 松木 薫 さん 80年 4月(26歳) 96年 8月死亡(43歳) 同16年

2002年09月18日(水) 拉致・野蛮(悪の枢軸)な国家

 何が善で何が悪なのか見分けが出来ない国家がある。この善悪の基準の骨格は人権感覚の有無だ。この人権感覚の貧弱な国家は野蛮な国家だ。

 小泉首相の訪朝の前日、ロンドンのタイムズ紙は、北朝鮮の金正日政権を「野蛮以下の国家」(9月16日 毎日HP)と指摘していた。このように野蛮以下の国家・悪の枢軸と呼ばれても止むを得ない側面が多くある。その例を1つだけ挙げよう。

 日本人の拉致は8件11名であるが、北朝鮮による韓国人拉致はおびただしい数にのぼる。「韓国では朝鮮戦争(1950年から53年)以後486人が北朝鮮によって拉致された」(9月19日 毎日NP)というから、人権を重要視する近代国家から見れば、〝野蛮な国家〟〝悪の枢軸(中心)という表現で指弾されるのも当然と言える。

 この韓国人の拉致は60年代236人、70年代194人、80年代17人、90年代2人、00年以後1人となっている。

 北朝鮮は、韓国内で高まる被害者の送還運動に対してどう対処していくのだろう。韓国人を拉致したとまだ公式に認めていない。北朝鮮にこの人権無視の負の遺産が重くのしかかっている。

2002年09月17日(火) 拉致・生きていたのは4人だけだった 

 国と国との争いで、過去どれだけの父・母が悲しみの涙を流したことか。太平洋戦争が終わってからは、冷戦と言う狂気が支配していた。

 38度線の北側は人口2300万人余りの独裁体制が出来上がっていた。今回明らかになった8件11人の拉致事件は、冷戦の狂気と独裁という異常が生み出した悲劇の一コマだ。

 娘めぐみさんの安否を訪ね歩いた横田夫婦の20余年。突然突き付けられた残酷な知らせ。父滋さんは、胸の奥に埋まっていた悲しみがいっきょに噴出したように涙を流し慟哭していた。今は涙が枯れるまで流すしかない。この父と母の涙は死亡したと伝えられているめぐみさんの涙であったかも知れない。
 
 この父母の悲しみは、風に乗って、北朝鮮をさまよい歩くことだろう。戦前、戦後を通じて数え切れない悲劇があった。その悲劇はだれが作ったのか。それは国家であった。

 今日本のメデア、そして政治家の1部が、北朝鮮に批判の洪水を浴びせ掛けようとしている。しかし、昭和20年以前は、日本の国家権力は、北朝鮮人の徴用・拉致は日常茶飯事だったのだ。北朝鮮で我が子を失った悲しみを胸の中に埋めている人々も多くいるのだ。

2002年09月16日(月) 福岡・人質の少女殺害される

 幼稚な心しか持ち合わせていない36歳の大人が、9歳の女の子を人質に取り、殺害するという事件が起こった。人質が殺された事件では、2年前のバスジャック事件がある。今回の事件も前回の事件もその動機はあまりにも幼稚だ。こんな幼稚な狂人のために警察組織が振り回され、あげくの果てに県警の状況判断が批判の対象にされたのではたまったものではない。

 今回の人質が殺害されるという事件で、警察庁の幹部が「今後、早期の人質救出のための手法、機器の開発を検討したい」(9月16日 毎日HP)と言っている。しかし、人質の救出の手法などを検討している段階ではないと思う。絶対的な暴力否定の立場からこのような人質をとるような犯人は、アメリカ並みに射殺するしかないと思う。

 2年前のバスジャックの時も同じような趣旨のことを書いた。この時も人質を取るような犯人は、射殺することが出来る法律があれば、無駄死にする人は出なかったと思う。日本は被害者より加害者の人権を優先するのだろうか。



2002年09月15日(日) 敬老の日

 今日の敬老の日を前に、厚生労働省は全国の「高齢者名簿」(長寿番付)を発表していた。これによると100歳以上のお年寄は昨年より2400人余り増えて、17934人(内女性が15059人)であった。しかも今年中に100歳を迎える人達が1万人余りいると言うから、来年度の100歳以上のお年寄は2万人の大台を超えそうだ。

 今回初めて、長寿上位20人の名簿を見た。長寿日本一は、115歳になる鹿児島市の本郷かまとさんで4年連続。この100歳以上の人達上位20人は全員が110歳を超えている。これを見ると、理にかなった生活をしていくと人間はやはり100歳まで生きることが出来るようだ。

 地域別では、何と言っても沖縄の長寿が有名だ。やはり食生活が影響しているのだろう。特産のゴーヤは、ビタミンがキュウリの10倍もあるという「優れもの」だ。今年は時折ゴーヤを食べさせられた。

2002年09月14日(土) 不審船の引き上げ

 昨年東シナ海で沈没した不審船の引き上げ作業が始まった。不審船、不審船と言っているが、北朝鮮の工作船であることは明らかなのだ。この不審船の引き上げの写真が大きく報道されていたが、船体に目立った損傷がなくこの沈没原因が謎のようだ。

 謎は多くある。この船に10人余り乗組員がいた。なぜ、1人も生き残ることなく死んでしまったのだろう。我々では想像も出来ない残酷なルールが支配している。国家の為に個人が犠牲になる。日本の戦前の体制を見ているようだ。不審船が沈没すれば、遺体の回収もしないのだから残酷だ。死んでいった北朝鮮の乗組員達はただの犬死なのである。


2002年09月13日(金) 東電の驚くべき報道

 東京電力の関係者は、何を持って安全だといってきたのだろう。危険性が高いのでヨーロッパなどでは中止となっているプルサーマルを日本で実施しようとしているが、今回の一連の問題で実施が見送られるのではないだろうか。それでも実施に移すのであれば、安全に対して、ただ狂信しているだけの印象を受ける。

 次の報道をどう受け止めれば良いのだろう。「94・96・97年の3回の定期検査でゼネラル・エレクトリック(GE)社側からひび割れの兆候を指摘されていながらも国への報告書には3回とも『異常なし』と記載していた」(9月9日 日経)という。しかも、97年のEG側からの報告書には2センチ程度の兆候が2箇所あると具体的に指摘しているのである。

 東電は、GEの指摘から八年間も修理を行なわずに運転を続けてきたことになる。今時分になって、東電の柏崎の所長が「補修部門の担当者が『異常なし』と判断したことに調査している」と説明しているのだ。こんな悠長な対応ではたして原発の安全の確保が出来るのだろうか。

2002年09月12日(木) ベッカム選手への嫉み

 気楽なテーマを書いてみよう。しかし、このテーマ、見方によっては深刻だ。英サッカーのスーパースター、ベッカム選手とビクトリア婦人との間に2人目の男の子が生まれた。ところが驚いたことに、この2男のロメオちゃんが、身代金目的で誘拐されることを恐れ「元英特殊空挺部隊(SAS)隊員の屈強な男性やSASで訓練を受けた金髪女性、武道の達人など数人を1日約15万円で雇い、厳戒態勢を取っている。」(9月10日 毎日ホームページから)という。

 スーパースターになると、庶民では想像も出来ない悩みがあるようだ。3年前誕生間もない長男が誘拐の脅迫を受け大騒ぎになった思い出を繰り返さないためであるという。

 ベッカム宮殿と呼ばれる豪邸は、映画に出て来るギャングの大ボスが住んでいるような要塞だ。「豪邸はアラーム付きの高い塀で2重に囲み、監視カメラ・投光器・6つの見張り塔を設置して要塞化。夜は警備犬を放つ徹底ぶりだ」(同)この要塞を継持するだけでも大変だ。余りのスーパースターであるため、嫉みから攻撃を加える人がいるのだろう。困った世の中だ。

2002年09月11日(水) 21世紀の新たな轟音から1年

 2001年9月11日、この世紀の争いを象徴する轟音が鳴り響き世界を震撼させた。20世紀も限りない殺し合いがあった。そして、21世紀も同時多発テロで殺し合いの幕が切って落とされた。このテロによる死者は3025名、このテロに参画して死亡した人19名。何と言う悲劇であろう。その後、アメリカ対テロの戦争でどれだけの人が死んでいったことか。人類は殺し合いの宿命を背負っている。

2002年09月10日(火) 自己破産の年別の推移

 自己破産者のことは、年に何回も記述した。01年度の16万人の破産者を多いと見るのか、少ないと見るのかは、人それぞれだろう。ただ、この16万人の背後には、150万人~200万人の消費者金融を使っている自己破産予備軍が控えている。

自己破産を申し立てて、法的な保護を受ける16万人はまだいいほうかも知れない。この破産手続きをするにも50万円から80万円の費用がかかる。

 こんな法的保護なんて待っていられないと、夜逃げする人もいる。この夜逃げする日本人は、年間で10数万人もいるという。この人達は日本の社会のどこに住んでいるのだろう。経済的にどうにもならないで、自殺を選ぶ人が昨年度で6800人もいる。これが日本社会の風景の1つだ。

2002年09月09日(月) 偽証・虚偽・偽物

 偽という文字は、3つの読み方がある。先ず、イツワル・次はギとニセと読む。この偽の文字が社会の中心のような顔をして堂々と闊歩している。少々事例を拾ってみよう。

 鈴木宗男氏が議院証言法違反の容疑、すなわち偽証で告発されることになった。議員証言法は厳しい法律だ。偽証の陳述を行なうと、3ヵ月以上、10年以下の懲役に処すると規定している。鈴木宗雄氏の偽証の代償は余りにも重い。昨日までは自民党、外務省の実力者、今日は被告人、このようなことが起こること自体が政治不信の核だ。

 東京電力の炉内隔壁などの虚偽の報告の顛末はどうなっていくのだろう。一連の記事に目を通して、初めて知ったことがある。それは、一切のトラブルの報告は当然であるが修理するにも認可申請を行い認可を得ないと工事出来ないようになっている。総べての判断を国(経済産業省原子力安全保安院)が行なう事になっている。ひょっとすると、緊急事態も国の指示を仰ぐ必要があるのかも知れない。東京電力のような巨大企業が主体的に何も決定出来ない・・これがむしろ恐怖に映る。

 その昔、大蔵省銀行局が全国の銀行をがんじがらめに管理していた。その顛末がどうであったかは、ここで記述するまでもない。そもそもアメリカの技術者が告発してから、この事件が表面に現れるに2年もかかっていること自体が、国民に対する偽りだ。

 イオン・ヨーカ堂が販売して来た英国の高級ブランド「バーバリー」婦人用マフラーが偽物であったようだ。イオンは「婦人用マフラーが偽物だった疑いがある」としているが、ハッキリと「偽物だった」と言ったほうがスッキリする。偽物の疑いがあると表現することは偽称になるように思う。

 この偽物のマフラーはいったいどこから来たのだろう。このことで、一読しても意味が分からない記事が出ていた。「イオンなどに商品(このマフラー)を納入していた卸業者「マツモト」(名古屋市)がこの問題で仕入れ先の大阪の業者から再三にわたり『表沙汰にする』などと金銭を要求されていた」(9月8日 毎日)という。何がなんだか分けが分からぬのが偽りの本質のようだ。

2002年09月08日(日) 環境・開発サミット閉幕

 南アフリカ共和国で開かれていた「持続可能な開発に関する世界首脳会議」(環境・開発サミット)が4日に閉幕した。新聞などの論説は、米国の京都議定書の離脱・世界首脳会議となっていても米ソ首脳の不参加などで、この会議が成功したのかとの疑問の見方である。たしかにこのような見方もあるようだ。

 しかし、この10日間の会議で190以上の国が参加、人員にして2万人近いNGO(非政府組織)が参加したというから、過去最大級の国際会議であった。1つ1つの環境問題に対する方針を決めることは難しい。何しろ、地球の過去の遺産ともいうべき化石燃料を食いつぶそうとしているのが先進国であるからだ。

 なかんずく、この化石燃料の最大の消費国はアメリカだ。このアメリカが環境問題に背を向けている。物を多く消費することがGDPという指標によって表される。この現代の価値観に疑問を持つ時代が確実に到来すると思う。

2002年09月07日(土) 無知・悲惨・残忍

 連日のように殺人事件が報じられる。この殺人事件に免疫が出来ているのだが、それでもビックリするようなことが起こる。

 沖縄で産んだ子供を埋めたという事件が報じられていた。殺された赤ちゃんの母親である飲食店従業員(36)は「子供を産んだ後埋めた」と自首して来た。良心の呵責に苦しんでの自首なのだろう。

 調べでは、昨年の12月出産直後に埋めたようだ。当時の夫とは別居中で、その後離婚後「1人では育てられないと思って埋めた」と供述している。育てられないと思ったら、児童相談所に駆け込めば殺人者にならずに済んだのに・・・何という無知と悲惨であろう。

 残忍な事件も毎日のようだ。北九州市で2人の被告(41歳と40歳の夫婦)が自分の両親・妹の夫・姪・甥の6人を電気コードで虐待した後、最後は通電して殺したという。何たる残忍さであろう。事件の詳細はこれから明らかになるようだが、この6人は浴室でバラバラに切断されて海に捨てられたらしい。


2002年09月06日(金) 終わりのない争い、殺し合い 

 イスラエルとパレスチナ、自爆テロと攻撃は日常茶飯事だ。イスラエルのシャロン首相を支持するアメリカ。ブッシュ政権は、イラン・イラク・北朝鮮を「悪の枢軸」と宣言して、攻撃する権利を主張している。こんな単純な倫理で西欧諸国の同意は得ることが出来ないと思う。

 このアメリカの悪党退治の方針に対して、さすがのブレア首相も困惑しているようだ。「ブレア首相は、ブッシュ米大統領と電話で協議し、イラクを攻撃する前に大量破壊兵器査察の外交努力を促した」(報道の要旨)とある。このイランとアメリカの争いはいつまで続くのだろう。

 アメリカの特殊部隊によるビンラディン氏・オマル師の追跡が続いている。この2人のリーダーの生死は分からないでいる。9月4日の毎日が伝えるところによると特殊部隊によるビンラディン氏の捕獲作戦から開放するよう主張しているという。同じくオマル師はパキスタン国境の山岳部に潜伏しているという。元一国の指導者が、ことの良否は別にして戦いに敗れて山岳部に潜伏する。・・・時代の針が200年も逆戻りしているようだ。

2002年09月05日(木) 犯罪の激増にどう対処する

 テレビで知名度のある政治家、評論家が登場して、社会の深刻な問題から目をそらしてもっともらしい話をする。こんな映像を見ると、時には怒りを感じることがある。例を挙げれば日本の刑法犯の激増だ。日本で年間280万件の刑法犯が生まれる。テレビに登場する日本の指導者から、これらの問題に対する所見、対策などを聞いたことがない。

 日本は1人暮らしの老人家庭を含めて4500万世帯しかないのである。この世帯に対して、6%に相当する280万件の刑法犯が1ヵ年で発生している。これだけ増えれば警察組織だけではどうにもならない。

 この刑法犯がこれからも増加していく気配である。これらのデーターに対して、ある種の戦慄を感じないようでは、社会の指導者などとは言えない。特に「お年寄りや障害者をターゲットにした犯罪」(8月28日 毎日の社説から)の増加などは、戦慄すべきことである。

 本来社会全体で守り支援しなければならない人たちに攻撃を加えるのだから言語道断だ。しかし、現実は人の 顔をした獣に近い人間がうようよといるのだ。このような獣に近いに人間を産み落としていく日本の社会に指導者層は戦慄すべきだ。


2002年09月04日(水) 長野知事選 田中康夫氏の圧勝

 時代が確実に変化している。4・5年前の常識では、知事と言えば、既存の政党の支持を受けた前国会議員・前副知事・前県会議員がほとんどで合った。その流れが2~3の県で変わってきた。この流れを象徴するのが今回の長野の知事戦であった。旧体制の側から捉えれば、彼らは完全に打ちのめされた形だ。旧体制を打ちのめしたのは誰か。言うまでもなく、田中康夫氏に投票した822、897人の長野県民であった。

 旧体制を代表する自民党は、前面に出ないで無所属の長谷川敬子氏をかつぎ組織的な応援体制を作った。しかし、自民党支持層の46%が、田中氏に投票したというからどうにもならない。このような流れが長野県のみに留まるのか、全国的に広がっていくのか、少なくとも、日本の社会に大きな変化の流れがあることは確かだ。

 評論家の岸井成格氏は、8月2日の毎日新聞の一答両断のなかで「中央とのパイプの太さが身上で、いかに公共事業を政府から引き出すかが仕事だった従来型の知事や地元利益第1の県議になぜ県民が『ノー』を突きつけた背景には時代の大きな流れがある。昨年の自民党総裁選において、小泉首相の勝利にもつながるこうした傾向は今後、あらゆるレベルの選挙で強まっていくだろう」と指摘していた。

 この田中康夫氏の勝利は、ただの旧体制の打破とか、脱ダムというハード以外の側面にあるように思う。少々の田中氏の語録を引用してみよう。

※ 私利私欲とは無縁の改革を続けることにより全国に勇気と希望を与え、閉そくした社会を変えていく。更なる改革を続けていく新しい1歩の日だ。(9月1日 毎日ホームページから)
※ 会社、組合、政党、派閥。金型に組み込まれ、親分から分けてもらうために努力する事が幸せか。1人1人が自律的に判断して行動する長野県を (9月2日 毎日の視点から)
 なんと言っても、田中康夫氏が私利で動く政治家でないことが、長野県民に浸透していったことが、今回の圧倒的勝利の背景にあるように思う。少なくとも親分の言うことを聞かない投票行動は新しい時代の到来だ。


2002年09月03日(火) 私立大学の3割定員割れ

 時代はいったい誰が動かすのだろう。特定の主役はいないようであるが、強いて言えばやはり国民1人1人なのであろう。時代がどのように変わっていくのか。気付いた時は、時代の流れに対応できず解散に追い込まれる企業、非営利法人が続出する時代だ。

 日本学校振興事業団の調査によると、私大の3割が定員割れとなっている。このような状態であるから、よほど低い学力でなければ、ほぼ全員が大学に入ることができる。よって、この大卒のレベルが相対的に低くなってくるのは当然だ。

 8月16日に大卒の5人に1人が無業者であることを書いたが、卒業生個々人の学力、人間的なレベルが無業者にしている側面も否定できない。

 グローバル化した現代にあって、外国の大学の卒業生に対する企業の評価は高い。8月26日の毎日の報道によれば、駿台の予備校では、受験生の3割が海外の進学を検討しているという。少子化と海外大学への進学者の増加で、社会的にその存在が否定される私立大学が続出して来るようだ。

2002年09月02日(月) 小泉首相9月17日訪朝

 日中の国交が結ばれてから30年を迎える。

 我々はこの国交回復の歴史的な事実を明確にして置く必要がある。今から30年前といえば、日本の国力もそんなに大きなものではなかった。この国交の樹立交渉に当たって、周恩来は日本に対し戦争の賠償を求めなかった。

 ジャーナリストの西園寺一晃氏の講演によれば、中国が戦争の賠償を求めるとしたら、30年前の貨幣価値で500億ドル(当時の為替では18兆円)であったという。

 周恩来が戦争の賠償を求めなかったのは「中国人民も日本の人民も軍国主義の被害者である」との史観であった。よって、軍国主義が消えた現在の日本(の人民)に戦争の賠償を求めるべきではない・・・としたのである。

 30年前といえば、日本の国家予算もまだ2兆円余りの時代である。この時、国家予算の10倍もの賠償を中国指導部が求めたとしたら国交の回復などはなかったのだ。

 小泉首相の北朝鮮への訪問に当たって、最も重要なのは、金日成総書記の歴史観なのだろう。いたずらに、植民地支配の金銭的な清算を求めるような歴史観であれば、国交正常化の糸口をつかむことが出来ない。

2002年09月01日(日) 東電のトラブル隠し

 日本の企業倫理・原発の安全性の根底をゆする事件が起こった。8月29日から始まった東電のトラブル隠しの報道は読み切れないほどだ。ここで、この事件のイメージを確認する意味で、主な記事の見出しを拾ってみよう。

・ 原発記録改ざん・・・東電がひび割れ29件隠す。(80年代から)
・ 東電原発・・・トラブル29件、点検記録に虚偽(以上8月29日)
・ 東電原発・・・虚偽記載に東電職員が直接関与
・ 東電原発・・・発端の内部告発 旧通産省が水面下で調査
・ 東電原発・・・告発者は検査に関わった米国人技術者(以上8月30日)
・ 東電原発・・・東電の100人近く認識、保安院、上層部の関与調査
・ 東電原発・・・虚偽記載87年から、チェルノブイリ事故の翌年
・ 原発異常隠し...これは国民への裏切りだ
・ 東電原発問題・・・企業倫理を説く一方で、・・・身内の「罪」責任重く(9月1日)

 一連の報道で1番がっかりしたことは、内部告発といってもこの検査に来た外部(GEインターナショナル社)であったことだ。東海村の臨海事故をきっかけに原子力等規制法の改正が行なわれ、不正、虚偽を告発した社員に対し、解雇などの不当な扱いを禁止する条文が追加されていた。このような法律的な保護があっても、東電内部の告発がなかったことに1つの恐ろしさを感じた。

 原子力の安全は、総べてを優先する問題だ。東電の社員は、こんな重大な問題(機器のヒビ割れなど)でも、上司がこうせよと言えば、これが虚偽の報告でも黙って従う羊の集団なのだろうか。

 次にがっかりしたことは、社会観の幼稚さだ。新聞によれば、東電職員が検査の委託業者(GEインターナショナル社)に虚偽の記載を指示したというから驚く。

 東電の職員は、自分達の指示であればどんな違法行為でも、委託業者はそれに従い秘密を守ると思っていたのだ。悪く言えば、自分たちが社会の中心にいると思っている。この社会観がいかにも幼稚だ。第3にがっかりしたのは、告発から今回の発表まで2年も経っていることだった。

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石田ふたみ