7月2日、粗鋼生産量の事を書いた。「世界的な鉄鋼不況が叫ばれていたのはつい半年前であり、あまりの急変に鉄鋼業界自身も戸惑いを隠せない」(7月8日 日経)という。アジアでの需要が加熱状態となっている。価格上昇の例を少々取り上げると次のとおりだ。それにしてもあっという間に変わって来るものだ。
1 熱延コイルアジア向け輸出価格1トン160ドルから260ドルに上昇 1 鉄スクラップは1トン6000円の安値から1万1000円に上昇 (7月8日 日経から)
◇ ◇ ◇ ◇ 7月13日、日本の金型の生産量のことを書いた。この金型は、中小企業の長年の技術やノウハウが詰まった「日本の製造業の強さの源泉」(7月13日 毎日から)なのである。ところがこの金型の図面や加工データ―が、金型メーカーの同意を得ないままに大手メーカーによって海外に流出しているという。
日本の中小の金型業者は「3000社」(7月12日 日経から)この内、自社の図面を海外に持ち出された会社は「200社」(同)に及ぶ。よって、経済産業省は、この図面の海外への持ち出しは、不正競争防止法に抵触する可能性があるとして、改善を求める異例の行政指導を行なった。
マスコミは日本の経済について常に悲観的な論調が多いように思う。金型についての毎日の報道は「高い技術、進む空洞化」であった。日本の金型の生産額は、米国・ドイツ・韓国・台湾・中国の5カ国の合計より多いのだから、まだ空洞化という言葉は使うべきではない。
6月25日、海を渡る求人票という興味深い記事が掲載されていた。それは中国企業から「日本人生産管理専門家を求む。高級優遇、住宅貸与、年1回帰国制度あり」(6月25日 日経から)との求人票が続々と舞い込み始めている。特に「射出成型・金型などの専門技術者なら日本では考えられない50代後半にも求人がある」(同、人材紹介会社パヒュ―マ部長談)世界ナンバーワンを誇る金型などの専門技術者は、引く手あまたある。
中国から海を渡って求人票が日本に来るのだから結構な話だと思う。ところが、求人票だけでなく「東京・虎ノ門のビルの一角に『上海市経営人材センター』の真新しい看板が掲げられた上海市政府の人事部門が国際ビジネスに精通した日本人管理職をスカウトするために開設した」(6月23日 日経から)という。この日中の新しい人の流れは、日中関係の発展に重要な役割を果たすと思う。
◇ ◇ ◇ ◇ 今月の経済界における最大のニュースは、アメリカの長距離通信大手のワールドコムの破産だ。このことは、7月14日に記述したが、資産総額が「1040億ドル(約12兆600億円)・・・負債総額約400億ドル(約4兆6400億円)」と巨額である。
この内邦銀の融資残高は400億円と報道されている。国内の生損保もワールドコムの社債を保有していると報道されている。この損失額もかなりのものとなるだろう。
日本のバブルは株式と不動産であったが、米国は、情報通信バブルであった。なにしろ、米国の通信業界は、4年間で4113億ドル(約48兆円)もの借入を行い、6400万キロメートル(地球を1600周する距離)に及ぶ光ファイバー網を作ったというから驚く。
この稼働率が5%というから、まさに目算の崩壊である。そして、この株式の大暴落が米国企業の不審となって市場全体が畏縮している。アメリカ型の企業の根底を揺すぶっている。
◇ ◇ ◇ ◇ 毎日新聞で例年のとおり、青少年読書感想文全国コンクールの応募が始まった。毎年中学・高校の部の1位の感想文は読んで来た。この応募の内容が7月27日に大きく報道されていた。
ここに女優の黒谷友香さん(26)が語っていたほんの1部を引用しよう。「1冊ごとに勉強になります。新しい知識が身につく。他人のことを考えられるようになる。本の中に入り込んだり離れたりして、いろいろな目線で物事を眺めることも出来るようになりました。」黒谷友香さんの大きな写真が載っていた。ともかく、読書をする人は輝いている。
「時代の風」の執筆者である解剖学者の養老孟司さんは、感想文について、要を得た説明をしていた。「感想文を書くのは、その意味ではよいことだと思う。ゆっくり楽しんで読み、さらに批判的にも読む。そうする事で考えることに習熟出来る。そういう訓練(文章を書く訓練)は自分で出来る以外に誰も与えてくれはしない。それを10年続けられたら、いつのまにか考えることが身についたことがわかるはずである。」(7月24日 毎日から)
私が書いている日々の映像は、社会の出来事に関する1つの捉え方、感想文みたいなものである。1日1枚書くことがいかに勉強になるかを痛切に感じる昨今である。
◇ ◇ ◇ ◇ 中国製ダイエット食品が大きな問題になっている。厚生省は薬事法違反でない場合でも医師による被害の確認ができる商品名を順次公表するという。これだけの報道が続けば、よほどの知識のある人でないと、中国製の医薬品とダイエット食品を利用する人はいないだろう。
この問題より大きな問題だと思ったのは、脳梗塞治療剤の副作用で3年で49人も死亡しているとの報道だった。「脳梗塞の治療剤として知られている『塩酸チクロピジン』の副作用で99年7月から3年間49人が死亡していたことが23日分かった」この薬は、脳血管内の血の塊が出来るのを防ぐ効能があるが「重い干渉外などの副作用が生じる」(同)という。よって、この薬を使う場合は、2週間に1回は血液検査をするようにとの緊急の安全情報が99年に流れていたのだ。これが医療現場で守られず死者の減少につながらなかったというから恐ろしい限りだ。
◇ ◇ ◇ ◇ 家出人のことは、この日々の映像で初めて記述する。昨年1年間に警察が捜索願いを受理した家出人は「10万2130人」(7月25日 日経から)である。ある日突然娘がいなくなる(未成年女性の受理数1万6111人)あるいは家族を持った成人がいなくなる(30代の家出1173人)関係している家族にとっては大変なことだ。それにしても家出人が10万人を超えているのだから考えさせられる。
◇ ◇ ◇ ◇ 警察庁のまとめによると、昨年1年間の自殺者は「3万1042人」(7月25日 日経から)である。前年より少々減少したものの4年連続で3万人の大台を超えている。なかでも「経済・生活問題」が動機と見られる自殺が「6845人」と過去最悪になったという。
都内の精神科医は「自殺者の九割は心の病を抱えており、とりわけ中高年のうつ病は深刻」(同)と指摘している。心の病とはイコール話す相手がいないことだ。
◇ ◇ ◇ ◇ 今年4月、新潟市の田沢祐樹君(当時15歳)が、16歳と17歳の少年4人の集団暴行を受けて死亡した。なんとも痛ましい事件だ。この事件の初公判が22日新潟地裁で開かれた。
検察側が明らかにした動機は「暴行を加えて楽しもう」(7月23日 毎日から)というから信じられない。我が子をこのような残酷な暴行事件で失ったご両親の苦しみはいかばかりであろう。心から哀悼の意をささげたい。
加害者4人の親達は、この事件で人生が狂うことになる。民事で被害者の両親から損害賠償の訴訟がある。いったい、加害者の少年達の親達は、どのような目線で子供を育ててきたのだろう。
◇ ◇ ◇ ◇ 鈴木宗男議員の事件の広がりは、どこまで行くのか見当がつかない。どれだけ闇の資金を動かしたのか。政治資金収支報告書にウソの記載をしたとして秘書3人が逮捕された。
報道によれば、1臆数千万円の収支を記載しなかったのだ。しかし、これはまだ予測の範囲内かも知れない。全く予想外の報道は、国後島の工事をめぐって、三井物産が丸紅などに談合協力金を7000万円も支出したことだ。これほどの入札妨害の事件はないだろう。これがどのような波紋となって広がっていくのか計り知れない。
2002年07月30日(火) |
自動車・対倍輸出17.5%増 |
毎月1回は、日本の自動車産業のことを記述している。自動車産業の優秀さに心から敬意を顕す1人である。この産業に従事している多くの関係者に敬意を顕すのが適切なのかも知れない。
7月24日の日経のとおり、日本の全メーカーが輸出を伸ばしている。中でも対米は、17.5%の増だ。日本の自動車メーカーは、アメリカに現地工場を持っている。ここをフル稼働させて、なおも足りないので今年は「180万台」(同)もの輸出となる見通しである。
アメリカでの日本車のシェアは「26.2%に増えた」(同)という。アメリカでの日本車は、現地生産約220万台、輸出180万台、合計で年間400万台の供給となっている。
2002年07月29日(月) |
古紙が国内価格の2倍で売れる |
アジア経済の発展は、日本国内に驚くような好影響を与える。ダンボールの原料として使われる古紙が、アジア地域から国境を越えた買いが入って国内価格の約2倍で売れる状態となってきた。「古紙輸出はうなぎのぼりで増えている00年は37万2000トンに過ぎなかったが、01年は146万6000トンと一挙に4倍に跳ね上がった。
今年は更に増えて200万トンを越える」(同)という。この200万トンは国内の回収量(2000万トン)の1割に相当する。この200万トンが「古紙問屋店頭渡しで1キロ12円。この1年で3倍になった。」(同)というから社会の底辺を支えてきたこの古紙業界は一息つくことになる。
中国などアジアの梱包用のダンボール原紙の需要が多く必然的に古紙の引き合いが強くなる。日本のダンボール原紙メーカーは「古紙の買値を上げれば赤字になる」との声もあるが、国際価格に準じた価格にせざるを得ない。そうでないと、古紙原料が集まらない現象になって来る。
2002年07月28日(日) |
中国ダイエット食品で死者5人 入院230人 |
ここ5年余りに読書した中で、最も衝撃を受けたのは、中国近代の文学者である魯迅の小説「狂人日記」「孔乙己」「阿Q正伝」「薬」などであった。一貫しているのは欺瞞を含む人間的ないいかげんさを中国社会の死敵とみなして、これらを真正面から取り上げた小説なのである。
「薬」では意味のない迷信とでたらめ極まる漢方医に厳しい攻撃を加えている作品である。中国社会には未だ大小さまざまな「馬馬虎虎」(、マーマーフーフー・・・欺瞞を含む人間的ないい加減さ)が存在している。
中国では無認可薬剤が社会問題になっている。広東省は「省内で販売されている48品目を調査し、無許可の20品目(上記)を販売禁止処分にした」(7月20日 毎日)
禁止処分になっても、商品名を変えるなどしまた登場するという具合で「摘発する当局とのイタチごっこ」(同)が続いているのである。日本で死者5人入院など健康被害は230人に上っている。中国は、コピー商品。偽物が登場する社会的土壌があるのだ.
7月20日中国社会に根強く残っている「馬馬虎虎」を記述した。この欺瞞に満ちたいい加減さは、特に中国社会にだけあるものではなく、日本の社会にも根強く潜んでいる。例を挙げればカドミウム汚染米である。このことは6月24日記述したが、毎月のように、報道があるので加筆しておきたい。
まず、0.4ppmなら安全だというのも根拠がないのだ。「旧厚生省の研究班は、69年全国のカドミウム非汚染地で作られた米の濃度が最高でも0.3~0.4ppm程度だった事から『0.4ppm以上の場合は何らかの汚染米と考えられる』という見解をまとめた」(7月9日 毎日)というから安全を確認するデータ―だとするには欺瞞に満ちている。 7月20日このカドミウムの安全基準に根拠が全くないことが報道されていた。「コメに含まれるカドミウムの人体への影響を調べた厚生省の研究班が、食物中のカドミウムが腸でどれだけ吸水されるかを求める実験に失敗し、摂取しても健康に影響が出ないカドミウムの量を示すことが出来なかったことが分かった」という。この実験の細部は省略するが、日本の厚生労働省の示す0.4ppmなら安全というデータ―的な根拠がないのだ。
WHO(世界保健機関)とFAO(国連食糧農業機関)が示す安全基準は、0.2ppmである。これに対して、0.4ppmでも安全だとする根拠がないのだ。よって、この0.4ppmの基準は「負担の増加を避けたい業界団体に政官が歩調を合わせただけ。消費者不在の数値だ」(7月9日 毎日)と複数の専門家が批判している。
それにしても、人体の腎臓に貯蓄したカドミウムの濃度は、日本人が世界で1番高い。日本のWHOへの報告がどの程度の調査によって報告されているのかも疑わしいといわざるを得ない。
国は、0.2ppmの基準を認めたくないのだ。この新基準にすると「年間30万トンのコメが汚染米になる」(7月9日 毎日)加えて、この汚染農地8万ヘクタールを土壌改良するには「2兆4000億円」(同)もの費用がかかる。
食の安全を優先するのか、国の財政か、このハザマでこのテーマの論議が進むのである。自己防衛をするには、6月24日に記述した対策しかないのである。
2002年07月26日(金) |
国内産業は空洞化しない |
昨日書いた日本の中国への輸出の増加は凄まじい。少々拾うと、セメントの1~6月の輸出は100万トンと前年同月比30%の増、鉄鋼は71パーセント増、電子部品20%増、中でも驚いたのは食料品(どんな品物か分からない)も23%も伸びている。
日経の調査によると、国内生産額を01年比で増加・維持する計画を立てている大手製造業が63%に達している事が明らかになった。その理由は(7月8日 日経)のとおりである。
ともあれ日本経済を支えてきた製造業。ここが41.4%も国内生産を増加させると答えているのだから、マスコミ用語のようになっている産業の空洞化はないと判断出来る
2002年07月25日(木) |
中国への輸出急増、対米の5割に |
中国の経済発展は、日本の金属加工機・電子部品などのハイテク製品に依存する処が大きい。ハイテク分野での日中間の競合は少ない。中国の経済の発展と共に中国への輸出が拡大することになる。
日本の米国への輸出額は15兆円前後である。「今年の対中輸出額は初めて対米輸出の5割(7.5兆円)に達する見通しで2010年にも並ぶ勢いだ」(7月19日 日経)という。
よって、中期的には、中国への輸出が日本の景気を左右する段階になったと言える。中国の12億人の内、1億人(勤労者5000万人)は、追って日本の平均所得に近づくと言われている。この時の内需の増加は大変なものである。
2008年には北京の5輪がある。「改革のスピードは速くなったり止まったりする」(同)との指摘もあるが、年率で8%前後の経済の成長を続けるのではないだろうか。8年後には、中国への輸出額が対米と同じになるという見通しは、日本の経済全体にとっては明るい材料だ。
2002年07月24日(水) |
日本郵政公社 来春に発足 |
国鉄の民営化以来16年ぶりに巨大公社が来年4月に発足することになるようだ。なにしろ、表(7月1日 日経)のとおり、郵貯残240兆円、簡保資産120兆円という規模である。預金量で言えば、日本の大手グループの合計とほぼ同じだ。簡保資産残高もここで補足するまでもなく、日本の大手生保の合計より多い。
ただ、この郵貯・簡保の合計資産360兆円がどこへ行っているのかとの公開がない。この360兆円が総べて国民からの預かりである以上もっと情報を公開すべきである。
今は郵貯と簡保の信仰が続いているが、果たしていつまでも続くのだろうか。貯金保険料、税金などが「年5000億円」(同)免除される郵政公社。この過大特典に民間から批判が出るのも当然といえる。
2002年07月23日(火) |
どうなるゴミの山列島 |
産業廃棄物の処理に関する規制が益々厳しくなる情勢だ。1つだけ例を挙げると、今年11月以後は、ダイオキシン対策が出来ていない焼却場は稼動できなくなる。大量の廃菌床が生まれるキノコ工場は、これが原因で経営が行き詰るのではないかとの話題が出るほどだ。
そうでなくとも産廃の不法投棄が多いのにこれ以上規制が厳しくなったらどうなるのだろう。「青森・岩手県境の原野に80万トンもの産業廃棄物が不法投棄された。・・・撤去費用は400億円にも及ぶ」(7月18日毎日)
これだけの撤去を町村が出来るわけがない。県の水準で見てもこの費用の支出は大問題になる。民間が処理施設を造るには、住民同意の条件がある。行政でも新処分場の建設が困難なのに、民間で進められる訳がない。よって、産廃の処分は益々窮屈になり、新たな不法投棄を生む可能性がある。「不法投棄の監視の強化」(同)といっても24時間、県・市・町・村道を誰が監視するのか。
2002年07月22日(月) |
第3セクターの数と融資残高 |
ここに何度か記述したが、日本人はことの良否は別として、人がやるから自分もする・・・という傾向が強いと思う。そこには主体的な判断が欠落している。その代表例が第3セクターの設立ではなかったか。他の市町村がやるから我らもやろうという発想だ。
先ず驚くのは、第3セクターの数だ。「株式会社・有限会社に限ると約3500社、社団法人、財団法人も加えると約8400法人もある」(7月10日 日経から)地方自治体が25%以上出資している第3セクター約6800を対象にした総務省の調査では「赤字だった法人が35%(約2400法人)債務超過に陥っているところも451法人に上る」(同)という。
債務超過の第3セクターの業種別の内訳は、表のとおりで観光・レジャーが最も多い。一般論ではあるが地方の行政が、観光・レジャーに進出すること自体が誤りではなかったかと思う。
これらの膨大な第3セクターへの融資額は「合計10兆円を上回る」(同)という。すでに表のとおり第3セクターの破綻が進んでいる。東京商工リサーチの調査によると「1~6月に破綻した第3セクターは北海道国際航空(エア・ドウ)長崎オランダ村など35法人。半年で昨年の1年分に迫る勢いだ」(同)とある。
更に大手行が第3セクター向けの不良債権を回収機構に売却を打診している。 「大手行は、1年以内に各グループとも最大で1000億円規模の処理を実施する可能性がある」(同)という。大手行が動き出せば比重の多い地域金融機関も追随するのは必然だ。これらの流れで「全体で1兆円規模の処理(貸し倒れ処理)が進む可能性がある」(同)という状況となっている。
自治体が第3セクターに出資と共に債務保証をしているケースが多い。地方の町村にとって、第3セクターの破綻は地方財政にも深刻な影を落としているところもある。このつけは最終的に庶民に回って来る構図だ。
2002年07月21日(日) |
厚生省職権で添加物30種指定へ |
厚生省は、国際的に認められている添加物を企業からの申請を待たずに指定することを決めた。後は、消費者がどのような行動を取るかである。加工食品の中に必ず入っている食品添加物。最近は消費者の8割が添加物の表示を見るようになったという。
この表示は簡略に示される。見方は色々あるだろうが、食品添加物を使用する食品の消費が大幅に減少するのではないか。
2002年07月20日(土) |
中国産野菜輸入中止・縮小の流れ |
日本の食品各社は、残留農薬を警戒して、中国野菜の輸入中止または縮小の方向に進むようだ。「中国産野菜の安全性確認は困難とみて調達を見合わせる」(7月13日 日経)処が続出している。7月13日の日経から少々取り上げてみると、
1、味の素冷凍食品は今月から中国で原料を調達し生産していた冷凍野菜6品目の取扱を止めた。冷凍ホウレンソウの取扱も中止。
1、ニチロも冷凍ホウレンソウに加え・・・インゲンなどの輸入取り止めの準備を始めた。
1、ヱスビーは香辛料などに使用する野菜を中国から他の国に切り替える。などなどである。
要は、現地指導をしても、基準以上の残留農薬が常に検出されるようでは、消費者に受け入れられないと判断するに至っている。
味の素冷凍食品は「農薬分析器を購入して検査体制を強化。中国の委託農場に対する指導を強め、安全性を確認できた製品に限り取り扱いを再開する方針」(7月13日 日経から)
「年間数億円」(同)も中国産野菜を取り扱ってきた味の素冷凍食品が今ごろになって「農薬分析器を購入する」ということは、今まで自社で残留農薬を検査しないまま消費者に流していたことになる。これでは、中国の病根のいい加減さと同じだ。 もっとも、これらのことに詳しい人に言わせれば、大手スーパーは総べて自社で残留農薬の検査が出来るという。「冷凍ホウレンソウに基準を超える農薬があることは知りながら消費者に流してきたのだ」と批判していた。大手スーパーも食の安全を考えないで営利第一主義で動いていると疑われている。
中国は共産党革命成立して以来、国を挙げて社会のいたるところに潜む「馬馬虎虎(マーマーフーフー・・・ごまかしを含むいい加減さ)と戦って来た。5ヶ月前ほどであったか、魯迅(1881~1936)の長兄(魯迅研究所)が毎日新聞に長文の随筆を寄せていた。この中で、中国社会に染み込んだ馬馬虎虎の土壌を解決するには、あと50年、100年の歳月が必要だと述べていた。
中国の農村社会に1つの情報を秩序正しく徹底するのは難しいのである。6月29日「日本への輸出もやがて、ブレーキがかけられるだろう」と書いた。ブレーキどころか、冷凍野菜の35万トンの輸入に急ブレーキがかかるようだ。
都市に熱がこもって、異常に暑くなるヒートアイランド(熱の島)が深刻になって来ている。東京・熊谷では20年と比較にならないほどの暑さだ。「7~9月の気温が30度を超えた延べ時間は、最近20年間に仙台で3倍・東京や名古屋でも2倍に増えた」(7月13日 日経から)
政府は緑地帯の確保など総合的な対策に乗り出す。ビル緑化をはじめとする産業界の取り組みも始まっている。しかし、自動車や空調などから出る排熱は膨大なもので、少々の緑化だけで都市を冷やす事は難しい。最後はどうなってしまうのだろう。
2002年07月18日(木) |
女子医大「特定機能病院」取消し |
6月末に2人の医師が逮捕された東京女子医科大学病院は、全国で初めて特定機能病院(全国の80の大学病院ほか)の取り消し処分を受けた。
手術の時に10万円~100万円もの謝礼を貰うなどの実態が7月13日の毎日に報道されていた。信じられないことである。多少医療関係者の話を聞く機会があるが、常識外のことが行なわれているのは、1部の大学病院のように思われるが、処分例を見ると考えさせられる。
2002年07月17日(水) |
今年1~6月の企業倒産 |
7月8日に記述したように、空前の金利引上げと資産圧縮(貸付金の減)が進んでいる。少しでも業績が悪いと銀行は融資の回収に動く傾向である。不況に加えて、この銀行の動きでは、これまた空前の企業倒産が出る雲行きだ。過日地元の商社の専務と懇談したが、最も負担に感じていることは、この金利引上げの動きであった。
7月13日今年1~6月の企業倒産が報道されていた。これによると「件数は4.7%増の9872件」で負債総額は「3.2%増の7兆4429億円で、上期としては1999年に次ぐ戦後2番目の高水準」(毎日から)である。なかでも注目されるのは表(プレジデント7月1日号から)のとおり上場企業の倒産の多さだろう。「上場企業の大型倒産が半年で最多の21件」(毎日から)もある。
表に載っているのは19件でその他の上場企業が6月に3件倒産している。上場企業の倒産のあまりの多さに一定の基準(株主数・時価10億円以下)以下の企業は上場からはずす検討が進んでいる。考えてみれば、額面を割り込むような企業は、資本市場から相手にされないのだから退場するのが当然とも言える。
建設業の倒産は、一般債権者が多く社会的に大きな影響を与える。1~5月では、表のとおり、佐藤工業と日産建設が破綻した。7月に入ると、近鉄グループで東証1部上場の中核ゼネコンである大日本土木(本社・岐阜市)が倒産した。「負債額は2712億円」(7月6日 毎日)で戦後のゼネコン破綻では6番目の負債規模であるという。
7月5日に記述した米国のワールドコムは、倒産に追い込まれるようだ。ここの資産は13兆円である。日本の企業倒産は半年間で負債総額が7兆円少々。ワールドコムの破綻がいかに大きいかが分かる。
2002年07月16日(火) |
ゲームで頭がおかしくなる |
毎日2時間以上テレビゲームをしていると、人間らしい感情や創造性をつかさどる大脳の前頭前野がおかしくなるようだ。以前にもテレビゲームの弊害は時折指摘されていたが、引用した記事(7月9日 毎日)のとおり「ゲームでは視覚と運動の神経回路だけが働き『考える』ことが抜け落ちる」というから恐ろしい限りだ。
特に記事のとおり、いったんゲーム脳になると、「ゲームをしなくてもベータ―波は常にゼロに近く、前頭前野がほとんど働いていない事を示した」というから驚くべきことだ。視覚と反射運動だけは出来るが感情のないロボットのような人間が出来上がることを示唆している。日大教授は脳を次の四種類に分類した。
ノーマル脳 ベータ―波が健全(活発) ビジュアル脳 テレビを多く見る人の脳 半ゲーム脳 ベータ―波の活動のレベルが低下 ゲーム脳 ベータ―波が常にゼロに近い
毎日2時間読書の世界へ旅立ったらどうなるだろう。考える力が増え、感情が豊かになり創造性のある輝く人間になると思うのだが・・・作者との対話を知らない人はさびしい。
2002年07月15日(月) |
バナナの健康増進効果 |
バナナほど手軽な食べ物はない。バナナの人気は輸入量で表われている。「00年は108万トンで1972年の最高記録を塗り替えた」(7月6日 日経)という。108万トンといえば、国民1人当たり8キロのバナナを食べていることになる。なんと言っても手軽に食べられて、100グラム当たり86キロカロリー他さまざまな栄養素が含まれている。
このバナナの人気の理由は、免疫力を高める効果があるためのようだ。バナナを食べると免疫をつかさどるマクロファージ(白血球の1種)が増えるという。 少しややこしいが引用してみよう。「マクロファージが分泌する腫瘍壊死(しゅようえし)因子(TNF)が増える割合とバナナの関係を調べた。TNFは、ウィルスやガン細胞を殺す働きを持つ。バナナ果汁を与えたマウスのTNFの量は、生理食塩水を与えた例より100倍以上も多かった。・・・ガン治療薬に使われている免疫賦活剤より高かった。」(7月6日 日経 帝京大学薬学部山崎教授らのデータ―)という。
1つだけ補足すると、バナナの皮に黒い斑点が現れる時期に食べるほうが免疫力を高める効果が強いという。 5月30日に記述した納豆といい、身近な食べ物に驚くほどの薬効があり、まさに食薬一体といえる。
2002年07月14日(日) |
あっと驚く米国企業の粉飾決算 |
98年当時、日本債券信用銀行や山一證券などで不良資産をペーパーカンパニーに隠す粉飾決算が横行していた。この〝飛ばし〟は悪いに決まっているが、不良が発生した原因は数年前に遡るものだった。
今米企業で起こっているスキャンダルは、ゼロックス(7600億円)クエスト(1200億円)メイク1一兆5000億円)のように空前の水増決算なのだ。米国の腐ったりんごは、どれだけあるのだろう。
2002年07月13日(土) |
製造業の陰の主役「金型」 |
製造業は日本経済の大黒柱である。この生産量は「名目GDPの21.6%(約110兆円)(7月8日 日経から)を占める。この製造業を支えてきた陰の主役が金型である。
ぺットボトルから携帯まで表のとおり金型を使わない製品はなにもない。この金型を作っているのが中小の町工場なのである。「日本が高品質の製品を生産出来るのは、町工場の技術協力が世界最高水準だからなんだ」(同日経から)それにしても、この金型の生産額が150億ドル(1兆8000億円)もあるとは知らなかった。
この金型を作る中企業のオギハラは「オギハラの金型がなければ、世界の自動車メーカーはボディーを作れない」(同)といわれるほどのブランド力があるという。この金型の生産額も表のとおりで、世界の金型の半分は日本で作っているという印象を受ける。
前代未聞の混乱劇がスタートした。なにしろ県民が選んだ田中康夫・長野県知事が、県民から選ばれた県議会議員が不信任を突き付けて可決したのである。無党派の宮城の浅野知事は「驚いた。理解を超え聞いたことがない。罪を犯したなら別だが、政策の対立での不信任は尋常ではない」と指摘していたが、これが常識的な捉え方のように思う。
日本の首相は、国会議員が選ぶ議院内閣制であるので、首相の不信任が可決されて解散か内閣の総辞職が行なわれることは理解出来る。しかし、田中知事の場合は長野県民が直接選出したのである。
この知事を県議会が不信任を可決して知事が失職する今回の事態は、明らかに地方自治法の制度的な欠陥があるといえる。もっとも、田中知事のように、議会の支持が得られない知事が誕生するなどは、法律では想定されていなかったのだ。
田中知事は失職して再出場の意向であると伝えられている。田中知事が再当選したら不信任を可決した7割強の県会議員の皆さんはどうけじめをつけるのだろう。
田中知事を酷評するのは「主に県議や各種団体の幹部」(7月6日 毎日)であるという。であれば、県民の目からは既得権益層との軋轢と映る。新聞の予測によると、知事の再選の可能性は高い。けんかを売った県議会と知事との泥沼対立で何が生まれるのだろう。
6月7日に記述したが、大手生保と大手銀行の6兆円を超える「保有株式売却宣言」はどう考えても株価低迷の原因になっていると思う。この売却予定の公表は、何が何でも総資産の圧縮を図る意味で止むを得ないのかも知れない。しかし、この公表が株価の足取りを重くしているのだから賢明な情報公示とはいえないと思う。生保と銀行は、この6兆円を超える株式を誰が買うと思っているのだろう。
7月5日、日本の株式市場に変化が訪れるのかと思うニュースが目に止まった。今年1月から6月まで生保と銀行がどれだけ株式を売却したかは分からないが、「1990年上期以来の高水準」(日経から)で個人が外国人に次ぐ買い越しを行なった。
外国人投資家の買い越し 1兆7844億円 個人投資家の買い越し 4480億円 計 2兆2324億円
外国人投資家が、日本企業の将来性を見通して株式を買い越すのに、日本人が株を買わないことに少々悲観していた。しかし、この6ヵ月のデーターを見ると、個人の資金が株式市場に流れ始めたように思う。日本の優良企業の株式は30~40%が外国人株主なのだ。
2002年07月10日(水) |
公的年金50歳以上に予想額開示 |
厚生年金は、受給直前まで年金額を知らないのが普通だった。厚生労働省は、加入者が老後に受け取る公的年金の情報提供を拡大する。
「50歳以上の希望者に見込み年金額を開示するほか、自分で将来の年金額を試算出来るデーターを一定年齢の加入者全員に通知する新制度を導入する(6月21日 日経から)これは加入者の将来不安を和らげようという配慮である。この年金に関する問題は、時折大きく報道されるが「厚生労働省の発表によると・・・」などの記事は読んだのは初めてだ。この年金に関する情報が加入者(国民)に公開されているとは思われない。
ここではモデル年金に目を通してみよう。上記の表のとおり、男性の平均給与を受けている人で、40年加入の場合で17万1000円であるという。40年の加入なかなか大変だ。
2002年07月09日(火) |
三井物産部長ら3人が逮捕される |
違法行為に対する社会的な制裁が厳しくなって来ている。その代表的な事例が雪印食品だった。最近では佐世保重工が助成金を1億5000万円も不正受給したとして、前社長らが逮捕された。この影響がどのような形でこの会社に訪れるのだろう。
6月末に福岡の日本食品が牛のアキレス腱122トンをBSE関係の牛肉と偽って「1億3660円を不正に受給していたことが分かった」(6月29日 毎日)という。食品会社の違法行為は、致命傷になる。すべてのスーパーが取引を中止するからだ。なんとこの日本食品は、事件が明るみになってからわずか5日後「民事再生法を申請し、事業倒産した」(7月4日 毎日から)
北方領土・国後島などのディーゼル発電施設建設をめぐり、商社の名門三井物産(資本金1925億円・今年3月期の売上12兆6544億円・社員6800人・海外175カ所を含め208カ所の事業を持つ・ 毎日から)の部長ら3人が逮捕された。容疑は為計業務妨害容疑であるという。この件が報道されてからまだ2日しか経っていない。よって、事件の核心はまだ明らかになっていないように思う。東京地検特捜部の係官135人が、三井物産の本社へ堂々と列をなして入り、捜査を開始した写真を見ると、業務妨害容疑だけだとは思えない。一体何が飛び出して来るのか。
2002年07月08日(月) |
空前の金利引上げの動き |
企業の財務担当者は、警戒のアンテナを張り巡らす必要がある。最大の背景は銀行が資産(主に貸付金)を大幅に削減しようとしていることである。大手12行は、昨年度30兆円超の資産を圧縮した。更に03年は「02年3月期に次ぐ史上2番目の規模(20兆円)で、更に拡大する可能性が大きい」(6月23日 毎日)各行とも自己資本が目減りしているので、資産全体を圧縮する必要に迫られている。 次に基盤の弱い企業に対して、金利引上げ要求を本格化させている。
この引き上げ幅が年利で0.5とか1.0%という段階の話でないのだ。「02年度から一斉に企業と交渉を始めたが、2~4%高い水準を提示された企業の反発は強い」(7月7日 日経から)だが、不良債務を収益力の強化で処理しなければならない銀行は手綱を緩められない。
日本銀行の利ざや2%弱であるが、これを米国の銀行並みに3.5%余りに持っていく必要がある。ここまで上げていかないと、銀行自体が不良債権処理を出来ないところまで来ている。
企業にとって最も警戒が必要なことは「経営状況が良くも悪くもない企業」(同)が金利引上げのターゲットになっている事だ。ある大手素材メーカーの財務担当者は取引銀行から「短期融資の金利を4%に上げて欲しい」(同)との通告で言葉がなかったという。この金利で応じなければ、貸付を回収しようという前提なのだろう。
ある大手企業の準取引行の中で「5%の金利引上げを要請してきたところもある」(同)という。これは最初から融資を引き上げようとの狙いなのだ。ともかく、企業にとっては、ただならぬ銀行の動きと言えよう。大局的には、銀行の不良債権の処理相当額を今生きている企業が負担しなければならない趨勢となって来ている。
2002年07月07日(日) |
夜のコンビニ(強い照明)体内時計を遅らす |
以前光と睡眠を導くホルモンのことを書いた。詳しくは省略するが、夕刻になると体内からメラトニンというホルモンが分泌されて眠りにつくのである。午後8時~10時ごろになって強い光を浴びると、体内時計は昼と勘違いしてメラトニンというホルモンの分泌が抑制される。
高知大学の原田教授(環境生理学)らのチームは、中学生のコンビニ利用回数と睡眠の調査結果をまとめた。「コンビニの利用回数が多く、時間帯も遅く、滞在時間が長い生徒ほど睡眠が短く、疲れやすい傾向が表われた」(7月2日 毎日)という。
コンビニの照明は一般家庭の倍以上で「明るい照明が体内時計を狂わせている」との見解だ。週に4回も夜コンビニに行く中学生は、就寝時間も遅く約半数の子供が学校で疲れやだるさを感じている。
大人も光とホルモンの関係はあるわけだが、中学生以下の子供達は敏感に光の影響を受ける。よって、家庭内でも午後8時以後は、明る過ぎる照明は適切でない。考えてみれば、人類が午後7時以後これだけの照明を浴びるのは、ここ100年少々のことである。電気という光の文明が人間のリズムを狂わすこともあるのだ。
2002年07月06日(土) |
日米の家庭は借金大国 |
5年程前日本とドイツの家庭の借入金の比較が出ていた。ドイツの家庭の平均貯蓄額は、日本の3分の1であったが、借入金の平均は10分の1余りと少なかった。この時日本の家庭の借入金(自動車のローンを含むすべての借入金)は異常なのかと思った。
日本の家庭の借入金は329兆円(1世帯平均で約730万円)もある。一方、アメリカは7.7兆ドル(924兆円)。世帯が日本の2倍と計算すると1世帯あたりの借入金は約1000万円だ。
日本の家計の借入金329兆円の内、約170兆円が住宅ローンの残高。バブル崩壊後も住宅ローン残高が増え続ける理由が分からない。
2002年07月05日(金) |
信頼が崩れる(米の粉飾決算企業) |
アメリカ通信大手のワールドコムの巨額粉飾決算が「米国の資本主義揺さぶっている」(6月29日 日経)なにしろ、同社の総資産は「1038億ドル」(約13兆円)という規模で、昨年破綻したエンロンの「628億ドル」(約8兆円)をはるかに上回る。ここが約38億ドルに上る粉飾決算が明らかになって、上場廃止の処分にされる見通しとなった。破産法の申請に追い込まれる事も必至だ。
この申請となれば、資産13兆円の世界最大の倒産劇となって、世界中の投資家と債権者を巻き込む。最近の円高(ドル安)と米の株の暴落は、アメリカ企業の会計に対する不信の表われなのだ。米国ではこれを「信頼の危機」と呼んでいる。時価総額15兆ドル(1800兆円)の企業群も信頼の基盤の上に成り立っている。この信頼が崩れ去れば、アメリカの経済の打撃はテロの比ではない。
ブッシュ米大統領は相次ぐ粉飾決算について、「市場の信頼を裏切った者は裁きを受けねばならない」(7月2日 日経から)と厳罰で対処する方針を強調している。しかし、一度失った信頼を回復することは容易なことではない。考えて見ると、極少の個人も極大のアメリカ経済も信頼の有無が基盤となって成り立っている。
1つの出来事は、見る人(国)によっては讃嘆、見る人(国)によっては脅威に映る。この傾向を絵にしたような事件が6月29日に起こった。韓国チームの最終戦となる3位決定戦にタイミングを合わせたように、韓国と北朝鮮艦艇の銃撃戦が起きた。
次の見方、捉え方が妥当だろうと思った。「北朝鮮の指導者は、韓国は国力があるが国論が分裂しており、北朝鮮にとって脅威ではないと主張してきた。しかし、W杯で韓国の内部対立は影を潜めた。北朝鮮住民にとって、韓国の結束は大変な脅威と映る可能性がある。・・・W杯の成功に『冷水』を浴びせようと考えたのではないだろうか」(6月30日 毎日 小此木慶応大教授談から)
北朝鮮は、金正日(キム・ジョンイル)を民族の指導者としている。しかし、「W杯の成功に対して、祝福のメッセージを送ってこない」(同)ようでは、民族の指導者などと言えるだろうか。むしろ前記したように、W杯の成功に対して北朝鮮指導部は、予想を超える脅威と捉えたのだと思う。
日々の映像は、社会の出来事をどのような眼で捉えるのが妥当であるか、この問いに対する見解の1つを提供している。
2002年07月03日(水) |
ストックオプション対象拡大の動き |
ストックオプション(自社株購入権)を与える企業が激増している。「過去一年間にストックオプション導入を発表した上場企業は550社」(7月1日 日経)なかでも表のとおり、外部のデザイナー、コンサルタント、取引先の取締役、社員、社外協力者、研究者などにも幅広く門戸を広げている。商法改定でストックオプションの対象制限がなくなったためであるが、この動きをどう受け止めればよいのだろう。
ワールドは6月27日株主総会で、店頭の販売員や社外のデザイナーにもストックオプションを与える事を決めた。「アパレル業界では売り場の顧客対応が売上を大きく左右する。接客の最前線で親会社の業績を常に意識してもらう狙いだ」(同)流動化する人材の企業への帰属意識を強めてもらう目的があるようだ。 同社は外部に委託しているデザイナーにもストックオプションを与える。これは前記と同じく会社との一体感を高めることを目的としている。
極めつけは、就職予定者にストックオプションを与える企業まで登場している。「企業向けシステムを構築する過程や携帯電話向けソフト開発のACCESSは、就職予定者にストックオプションを与える。優秀な人材を確保するのに役立てる」という。 以前は、企業が人を使用する場合は、給料という形で現金の支給がほとんどであった。最近のこの動きは、従来の現金による支払いとストックオプションを併用する動きが広がっているのだ。これを受ける側にとっては、企業の業績が向上し、株価が上昇すると大きな差益が生まれる。
大局的な見方をすれば、企業の栄と関係する社員・外部の協力者の繁栄を一致させようという流れと理解するのが妥当のように思われる。
2002年07月02日(火) |
大企業の景況大幅改善 |
6月に日本の企業の明るさを示すデーターが多く報道されていた。この2~3の例を挙げると、まず粗鋼生産だ。当初の見通しでは「9500万トン程度と見られていた。当初見通しを超えるのは確実な情勢で、2001年実績(1億200万トン)を上回る可能性も出てきた」という。
一番驚いたのは自動車の輸出増だ。「5月の自動車輸出台数は、前年同月比25.6%増の36万246台となった」(6月29日 日経)というから凄い。自動車11社が総べて2桁増となっている。11社総てが2桁の輸出増になっていることは、ジャパン製自動車そのものが世界のブランドになっているのだ。この輸出増が国内に与える影響は実に大きいと思う。
薄型テレビに使用するディスプレーの増産も報道されていた。「薄型テレビの国内市場が年率1.5~2倍のペースで伸びているうえ生産には高度な技術が必要なため、海外移管せず国内の生産能力を増強する」(6月30日 日経)日立で230億円・パイオニア160億円・松下と東レが共同で最新のラインを稼動させるという。
このような報道が続いている中で2日、日銀の短期経済観測調査が発表された。「企業の景況感を示す業況判断指数は・・・マイナス18となり、3月の前回調査から20ポイント上昇した。・・・この改善幅は過去最大を記録した」(7月2日 日経から)
この日銀短観のデーターに対して、エコノミストは「円高・株安で先行きは不透明だ」「景気が回復に転じるか慎重な見方を崩せない」などの見解を述べている。 しかし、良い方向に進み始めていることは確かである。業種別では通信、小売業界の指数はプラスに転じている。「雇用面でも製造業を中心に過剰感が弱まっている」としている。
日本・韓国、そして、世界を熱狂的に包んだワールドカップが終わった。日本のそこかしこにサッカーボールを追う子供達が多く見られた。日韓共催の祭典は両国にとって計り知れないプラスの側面が生まれた。
サッカーは、重さ450グラムのボールを枠内に入れるだけだ。このボールの行方にサポーターは熱狂する。韓国の国民を挙げての熱狂的な応援、歓声の渦はなんなのだろう。 「応援は国名をひたすら連呼する・・・観衆はゲームの勝利を国家の勝利と受け止める」(7月1日毎日)とあるように、戦う11名の選手は国の代表なのだ。その背景にナショナリズムがある。
韓国人サポーターは言う「韓国人であることを誇りに思う」と。1つのスポーツが、これほど国民の心を結ぶのだから大変なものだ。
日本人の多くは、本物のサッカーの興奮を初めて知った。決勝トーナメントの進出でこの世界的なイベントに初めて加わった感じがした。1点を入れる、これ自体が歓喜なのだ。ブラジルでは、歓喜と熱気が幾日も続いたことだろう。
多くのスーパースターが登場した。その1人はブラジルに惜敗したイングランドのベッカムだ。端正な顔立ちで日本の女性ファンの心を捉えた。まさに、貴公子と言える存在だった。
次に強烈な印象を残したのは、ドイツのカーンだった。鋭い眼光、研ぎ澄ました集中力、まさにドイツチームを守る鬼神のようだった。彼は「ブラジルは偉大なチームだ。しかし、頂点に立つためには、私を倒さなければならない」とゲルマン魂を体現していた。
この守りの鬼神もロナウドによって倒された。力尽きて敗れたとはいえ、カーンの姿は全世界に感動を与えた、ロナウドとカーンの対決で熱闘の幕が降りた。
もう1人の奇跡の人を称えよう。ドイツとの戦いが終わって、ワールドカップを高く掲げたカフー(32)だ。
「カフーはW杯決勝のピッチに立ったのは3大大会連続だ。決勝戦を3度も出場した選手は17回の歴史を数えるW杯では初めて」という前人未踏の大記録を達成した。カフーの神話が生まれた。ワールドカップを高く掲げた時の素晴らしい笑顔。この笑顔でブラジルの人たちは、歓喜に包まれたことだろう。
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