『日々の映像』

2002年06月30日(日) 余   録

 5月末に発表された大手銀行の不良債権の残高は大変なものだ。スペースがなくて5月に記述しなかったが、記憶に残すデーターだと思いここに引用した。

 なにしろ、今期8兆円の不良債権の処理をして、なお不良の残高が47,4%も増えたのだ。まさに、時代の激変に伴う濁流が銀行に押し寄せているようだ。銀行を批判する論調もあるが、5月30日に記述したように、6大都市の商業地が85%も値下がりしているのだからどうにもならない。

 私がここでくどくどと書く必要は全くないが、土地または物(ビルなど)に価値を求める時代は完全に終わったことを意味している。思考の根底を変えなければならない時代だ。ある地方の個人企業が倒産した。この倒産処理のために、代表が保有していた杉を植樹してある山林を売却しようとしたが買い手が全くつかない。

 このような現象は農地にもある。農協が担保に取っている農地を換金しようとしても、希望した価格ではほとんど買い手が付かない状況だ。過日ある農協職員の嘆きを聞いた。西蒲原の平野部でもすでに、1反歩100万円割り込まないと買い手がないところがある。土地に関しては、商業地・農地・山林の区別なく暴落の現実が広がっている。
      ◇      ◇      ◇      ◇

 6月17日と26日に食品添加物の事を書いた。この添加物の膨大な数をメモ。

指定添加物 339種類 この内海外で認められているのは、6月17日のとお
既存添加物 489種類 り294種類。残り500種類は認められていない。
天然香料   600種類 ・・・植物から取り出して作った香料
飲食添加物 100種類   
                        (6月20日 日経から)

 この添加物について少々補足すると、指定添加物とは「毒性試験によって国が安全性を確認した」(6月20日 日経から)ものである。しかし、特定非営利法人の日本子孫基金は「サッカリンナトリウムや着色料の食用赤色2号は『発ガン性が確認されている』として、最も危険度が高い『極力避けるもの』」の中に入れている。

 この食品添加物に関して、3年ほど前に「買ってはいけない」という本がベストセラーになった。そして、今回の製品の回収の騒動で消費者の「脱添加物」の動きが広がりそうだ。

 加工食品を供給している企業の例から見ると、添加物1つで破綻に追い込まれる事例も出て来ることになる。内閣府が5月に実施した「食品表示に関する消費者の意識調査」によると「添加物表示を見て食品を選ぶ消費者は全体の83%に達した。」という。 

 これらの背景から添加物を一切使用しない食材の宅配事業を展開するオイシックス(東京都品川区)では「同社のメールマガジン購入者がこの半年で1.5倍の15万人に達した」(同)などの動きがある。

 大手スーパーでも保存料・着色料を極力使用しない自社開発商品の供給も盛んになってきた。少なくともこの食品添加物が動機となって、消費動向が劇的に変わる可能性がある。
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 ある情報を短い文章でまとめることは案外と難しい。6月14日に書いた森のヒラメのことは、2ページにまとめたのであるが、やや焦点が広がりすぎたと思い1ページにカットした。

 この森のヒラメに関する背景を私の記憶に残す意味で多少加筆して置きたい。ヒラメの養殖で三菱商事が進めている技術の根幹は、バクテリアでアメリカのバテル記念研究所発のものだ。三菱商事は、このバテル記念研究所の技術を日本に300件も紹介したという。

 5月27日始まった日経の産業力・知の攻防は6月14日に終った。最後を飾ったのは、米バテル記念研究所社長のカール・コート社長であった。同研究所は7500人の研究者を擁する世界最大の独立系研究機関だ。

 カール・コート社長は「意義のある新技術を開発するには、1人の研究者が持つ知を他の研究者のそれとぶつけ合うことだ」と異才の融合の重要性を強調していた。

 そして、どんな研究でも市場を知らなければならないとして、「バテル研究所が市場調査や販売、物流綱の構築で三菱商事と広く提携したのは、自ら市場音痴であることを自覚したからだ」(日経)という。バテル研究所も市場を知るパートナーが必要だったのだ。

2002年06月29日(土) 小麦の国際価格これでよいのか

 今月は大豆とトウモロコシのことを書いた。まとめとして小麦のことを引用しておこう。米国・オーストラリアなどの大規模機械化農業は世界を圧倒している。小麦の平均価格は2.7ドル(一ブッシェル27キロ当たり 340円・1キロ当たりでは12六円)でしかない。

 この主要穀物の国際価格では、さすがの中国もお手上げのようだ。「安い労費を武器に野菜生産では高い競争力を誇る。だが、1人当たりの農地面積が0.4ヘクタール・・・に過ぎないため米・小麦・大豆などでは米国や豪州に太刀打ちできない。

 中国の社会科学院は、05年までで米・小麦・綿花の3品目だけで1300万人の農民が職を失う。」(6月5日 毎日)と分析している。中国はWTOの加盟で、安い外国産の穀物がどんどん輸入される傾向になる。1300万人もの農民が、米・小麦などの生産から撤退し、中国が大量輸入の自体となれば、これらの穀物相場は大暴騰を招くのではないだろうか。

 中国は安い労働力を武器に、野菜や加工食品では強い競争力を持つ。6月28日に書いた冷凍ホウレンソウ・ネギなどがその代表だ。「中国から日本に入る農産物は61億ドル(00年で約7600億円)」(6月25日 毎日から)
 
 競争力の弱い小麦などの生産から現金を稼げる日本向けの野菜を作る・・・この動きにもやがてブレーキがかけられるだろう。何しろ中国の人口は12億人だ。この12億人の胃袋に満足な食糧を与えるだけでも大変なことである。

 中国は国家を挙げて全国規模で食糧の増産をしているようだ。しかし、この日々の映像で何回も引用したが、米ワールドウォッチ研究所が指摘しているように水不足・砂漠化が深刻な問題になっているからだ。

 アメリカに続いて小麦などの穀物の輸出大国はオーストラリアだ。しかし、この穀物の輸出も追って強いブレーキがかかると思う。オーストラリアの生態系が完全に崩れだしている。

 「(オーストラリア)中央部が砂漠状態であるため、強い風に運ばれた海の塩が内陸に集まる。雨が降ると低地に向かい流れ出す。これまでは途中の森がこうした(塩分を含んでいた)水を吸い上げていた。しかし、18世紀から白人の入植が本格化し、放牧地や耕作地を広げるため次々と森を伐採した」(6月24日 毎日から)少々ショックを受けたのは、ダーリング川の流域だけでも「600万本以上の大木が切られた」(同)という。

 塩分に慣れ育った大森林、固有の風土を破壊して、10キロ当たりわずか126円の小麦を輸出する・・・これほど馬鹿げた行為はない。オーストラリアは塩害の地域が広がっている。「今世紀半ばには12万平方キロに拡大すると言う数値も公表されていた。日本列島の3分の1に相当する土地が『塩漬け』の危機に瀕している」(同)大自然を誇るオーストラリアは塩の大地となるようだ。

 オーストラリアのデーターで驚いていられない。「国連環境計画によると、世界のかんがい農地の約20%に当たる300万平方キロ(日本の面積の約7倍)が塩害のため農業生産に支障をきたしている。
 
 豪州のほか米カリフォルニア、中国、シリア、ヨルダンなどに被害が広がっている」(同)近い将来、この地球上に食糧危機が訪れると認識すべきだ。

2002年06月28日(金) 中国産冷凍ホウレンソウに残留農薬

 6月12日に少し触れたが、中国産の冷凍ホウレンソウについて少々記述したい。このホウレンソウに基準を超える農薬が相次いで検出されている。この湯通し後に凍らせた冷凍野菜は「生鮮野菜のような残留農薬基準はない」(6月23日 毎日から)よって、今まで生鮮野菜のような検疫は行なわれていなかったのだ。

 今回初めて全国の検疫所で検査したところ、クロルピリホスなどの農薬が検出されたわけだ。それにしても、冷凍ホウレンソウの輸入量はたいへんなものだ。

 冷凍ホウレンソウなどは食べたことがない人も多いだろう。「昨年の輸入量は5万トン」に達している。5万トンと言えば、5000万人の日本人が1キロ食べたことになる。問題になっているクロルピリホスの中毒症状は、けいれんやめまいなどで慢性中毒では視力低下を引き起こすという。

 食品と暮らしの編集長は「このホウレンソウを食べて体調がおかしくなっている人がいるかも知れない」(同)と指摘している。

2002年06月27日(木) トウモロコシの国際価格

 小麦・大豆・トウモロコシなどの主要穀類の国際価格は、物事の発想のベースとして頭に入れて置く必要がある。6月18日アメリカ産の牛肉の卸値が報道されていた。牛丼用の米国産のショートプレートが1キロ「360円」(大口需要家渡し)であった。クズ肉といってもあまりの安さに数字を確認したほどである。

 牛丼の中に仮に100グラム相当の牛肉を使っても基本コストは36円であるから、280円の牛丼があるのだと得心した。

 これらの安い牛肉が流通する力の源泉は、代表的な飼料であるトウモロコシの安さだ。1ブッシェル(約27キロ)で2ドル前後なのである。日本の米は10キロで約3500円だ。トウモロコシは10キロで92円の計算になる。

 日本の農地は約330万ヘクタールで約100万ヘクタールを減反している。米農務省が発表したトウモロコシの作付面積は「7800万エーカー(3160万ヘクタール)」(同)補足する必要もないが、日本の農地の10倍の面積にトウモロコシが作付されている。

2002年06月26日(水) 食品添加物1人当たり26キロも食べている

 3年ほど前食品添加物のことを何回も書いた。一番記憶に残っているのは、日本人は食品を通して、防腐剤を1カ年で10万トンも食べているので、死んでもすぐに腐敗しないことだった。皮肉を込めて記述すれば、防腐剤が身体の中に染み込んでいるのだ。

 6月17日、日本で認められているが、海外では認められていない添加物は533品目もあることを記述した。まさに奇奇怪怪だ。

 次に消費している量を見ると、これは仰天するほどの量なのだ。日本の食品添加物の消費量は、310万トンである。国民1人当たり年間26キロ、1日当たり平均で70グラムも口の中に入れている。

 1つだけ例にとると「濃縮果汁還ジュースは、香料を加えないととても飲めない」(同)ジュースは、甘味料・防腐剤・香料・色素が入っている。生活文化が問い直される時代だと思う。話は簡単だ。オレンジジュースを飲まないで、オレンジを食べればよいのだ。

2002年06月25日(火) 米航空業界の賃金カット

 アメリカ発のさまざまなニュースがある。この国で起こることは、日本でも起こるとの前提が必要である。アメリカの企業は、ウォルマートに代表されるようにいかに安く物とサービスを提供するかとの哲学に基づいて行動している処が多い。

 「低コスト航空と呼ばれる新興勢力のシェアは今年初めて20%を突破する」(6月21日 日経から)という。 100キロ飛んだ時の1座席当たりのコストは、サウスウェスト航空が41ドル(515五円)に対して、大手のアメリカンは63ドル(7875円)と53%も高い。これでは競争の勝敗は目に見えている。

 この新興航空勢力と競走するため大手航空会社での賃金カットの動きが激しい。その内容が凄まじい。「UALは6つある労組のうち、最も賃金の高いパイロットの組合(9200人)と年間約2億4000ドル(約300億円)のカットで合意した」(同)という。

 これは年収にすると、独り当たり320万円のカットになる。その他管理職などの非組合員も4億3000万ドル(約540億円)の報酬カット(1人当たりは不明)を実施すると言う。すなわち、航空コストを新興勢力に近づけないと旅客を奪われてしまうのだ。

 UAエアの賃金カットの内容を引用しよう。「2004年まで従業員の賃金を毎年5%削減することで労組と合意した」(同)という。更に「2005~2009年までの5年間、毎年5%以上の賃下げを実施する方針」(同)であるという。8年間に渡って、毎5%以上の賃金カットを続けるというからビックリだ。

 2001年30万円だった従業員が、8年間毎年5%の賃金カットがあると、8年後の賃金は20万1000円になる。こんなに激しい賃金カットを堂々と発表するアメリカ企業をどう評価したらよいのか戸惑う。

 米航空大手はテロと、今述べた低コスト航空会社の影響で上位6社が総べて赤字だ。「2001年の最終損失が上位6社の合計で76億ドル(約9500億円)と、過去最悪だった92年を上回った」(同)という。
 
 よって、前記したように1社当たり1~2000億円近い賃金カットをしないと破産してしまう。「UAエアは連邦破産法11条の申請を検討中」(同)と表明している。

 アメリカの企業は、高コスト体質になった時、いとも簡単に市場から淘汰されて行くという鉄則が貫かれている。日本は輸入品という外圧だが、アメリカは自由経済のルールで、物とサービスの価格が下がるパターンだ。

2002年06月24日(月) カドミウム汚染農地

 3年程前にカドミウム汚染米と腎臓(尿を排泄する内臓)の関係を記述した。その後上流(水源)に鉱山のない農地の米を買うようにしてきた。日本の農地は、汚染の強弱があるもののかなり広範囲でカドミウムに汚染されている。

 カドミウムが米を通して人体に入り込んで、神通川に代表されるイタイイタイ病が引き起こされたと分かったのは、この公害病が発生してから50年も経った1960年なのだ。これ以前は、病気の原因が分からず、イタイイタイと苦しみながら死んでいく。
 
 細菌説・栄養不良説・リュウマチ説が登場して鉱毒説(カドミウム)は否定されてきた。亜鉛メッキと言う言葉があるように、亜鉛は現在でも大量に使用されている。

 問題は亜鉛とカドミウムは、同一鉱石の中に含まれていることだ。重量比では亜鉛の20%がカドミウムである。戦前は、経済的価値のなかったカドミウムが精錬過程の残り滓として大量に放棄堆積された。これが流れ出て広範囲の農地が汚染されたのである。

 カドミウム中毒のパターンはこうだ。腎臓障害(カルシウムの吸収を妨げる)・・骨の軟化・・・骨折となる。しかし、症状が軽い場合は、リュウマチと似ていたりして、この判定が難しい。我々は日本の米を食べて来た以上、骨の中に一定のカドミウムが蓄積している。

 食品の中に含まれるカドミウムの割合は世界的なテーマだ。日本は、米の中のカドミウム0.6ppmを上回る場合には、食用にはしないことになっている。

 「欧州連合が0.2ppmと厳しい基準を採用した。国連食糧機関なども許容基準をEUと同じにする方向で調整中」(6月14日 日経)であるという。日本で0.2ppmの基準になると、現在の8000ヘクタールの10倍(8万ヘクタールが土壌改良の対象になる)(同)という。

 日本の実質の稲作面積は、約230万ヘクタールだ。よって、約3.5%の農地からカドミウム0.2~0.4ppm含まれている米が出荷されていることになる。

 農地からカドミウムを除去する研究が進んでいるようだ。(日経から細部省略)上記の方法で5年が経過すると基準値以下の米が生産できると言う。ただし、1ヘクタール当たり費用が2500万円もかかる。この費用を誰が負担するのだ。

2002年06月23日(日) 空気感の調査

 エアコン大手ダイキンが「現代人の空気感調査」を行なった。このインターネットの調査に1万人回答した。これによると、最も心地よい空気が流れている地域に「北海道の富良野」(6月18日 毎日)が選ばれた。反対に「自分の住む町の空気は濁っている」と不快に感じている人は、東京が最も多く2人に1人の割合だった。

 心地よい空気とは、空気中のマイナスイオンが60%以上であることは良く知られている。銀座の交差点では「マイナスイオン230個に対し、プラスイオン400個と逆転する。」(同)というから不快を感じる空気なのだ。

 水辺や滝や噴水のある場所は、マイナスイオンの宝庫だ。茨城県の袋田の滝では、「大気1cc当たりマイナスイオンが2万8000個(プラスイオン50個)」であるという。このような空気を吸うと、「活性酸素を取り除く酵素(SOD)の活性が倍増する」などのデーターもある。1週間に1回は、マイナスイオンの多い空気を吸うことだ。

2002年06月22日(土) 鈴木宗男議員逮捕される

 ムネオ体質という新語が生まれた。自民党の体質を指していることは言うまでもない。鈴木議員の逮捕で問われているのは「口利き政治」の刑事責任だ。この口利き政治は鈴木氏1人のことではない。

 鈴木氏は6月18日の衆議院運営委員会で、次のように弁明している。「『国会議員の1人1人が自分の立場に置き換えて本件問題を考慮していただきたい』(・・・皆私と同じ事をしているではないか。じっと自分の胸に手を当てて考えて欲しい)・・・分かりやすく言い直すとこういうことになる」(6月20日 毎日)

 それにしても、国会議員の逮捕という教訓が並んでいるのに破滅の道に迷い込む議員が跡を絶たない。政治的影響力という果実を食べると、この繁栄のめまいで目が眩み、暗闇が見えないフクロウになってしまうようだ。

2002年06月21日(金) 国内総生産(GDP)1年ぶりにプラス

 政府が6月7日に発表した02年1~3月期のGDPは「前期比1.4%増、年率換算で破5.7%増」(日経から)になったとのこと。この1.4%増を支えた原因は、米国向けの自動車輸出アジア経済の持ち直しによる半導体の輸出が9.7%も寄与している。

 どうしても分からないのは、個人消費も1.6%も増加しているとしていることだ。スーパー・百貨店の売上が減少しているのにどうして個人消費が増えたとのデーターがまとまるのだろう。

 素人が疑問点を記述しても始まらない。ただ、地方の経済は、GDPのプラスの影響をほとんど受けていないことだけは確かだ。それでも全国求人情報誌協会の発表によると求人需要に明るさが見えて来た。

 この求人広告が格段に良くなることは考えられないが、少なくとも日本経済全体としては、底を打ったと言うことが出来るのだろう。ただ、業務受託会社が急成長しており、一般勤労者の実質収入は減少の方向に進んでいる。

2002年06月20日(木) W杯健闘トルコに惜敗

 18日宮城のスタジアムは雨だった。その中で日本の若者達は戦った。何度もあった1点のチャンス。しかし、ゴールは遠かった。トルコの壁は厚かった。そして、熱狂のドラマに幕が下りた。赤いモヒカン刈の戸田は号泣した。市川も泣いた。
 
 日本のサッカーは、世界レベルになった。この4回の戦いに日本全体が湧いた。称賛の花びらが選手達の頭上に降り注がれた。

 午後8時30分から韓国とイタリアの戦いが始まった。韓国は悲願のW杯1勝を挙げた後国民の期待した目標は達成していた。

 韓国チームのヒディング監督は「はるか彼方にあると思っていたゴールに到達した。しかし、選手はまだ勝利に飢えていると信じている。」(6月18日 毎日)

 延長戦の30分の戦いは、韓国全体が湧き上がった。最後の力を振り絞っての戦い。韓国が世界ナンバーワンと言われるサッカーの本場中の本場のイタリアを破るとは誰が予想しただろう。しかし、現実に起こった。イタリアは韓国のいけにえになった。

 日韓の共同開催、このサッカーを通して、両国関係は予想以上に好転する気配だ。日本人の多くは、韓国の4強入りに応援するだろう。熱い戦いはまだ続く。


2002年06月19日(水) 専門業務受託企業が台頭

 新興企業が自治体や大企業・病院などの業務を請け負うアウトソーシングビジネスが活発になってきた。

 5月29日の日経は、公営水道の管理や運営を民間に委託する地方自治体が増えていることを報じていた。

 太田市は「水処理制御システム・・・全面委託した。・・・市は数年内に浄水課職員を現在の10人からゼロにする」などの動きだ。これは国際的に見て割高な水道料でも赤字になっている地方自治体が多いということが原因しているようだ。
                     
 この受託業務の市場が、01年の7兆円余りから05年には20兆円余りに拡大すると推定されている。

 6月14日の日経で、アウトソーシングを手掛ける上場企業を表のとおり紹介していた。日本医療事務センターを例に挙げれば、経常利益が23億円という規模である。

「アウトソーシングビジネスが拡大しているのは官民ともに外部委託が経費削減の切り札になっている。」(同)との背景がある。
 
 企業側に立ってみると、必要以上の人員を抱えるリスクを回避する意味で、①人材派遣会社を活用する。②業務受託企業を活用する。の2つがある。この受託企業が台頭する背景は、専門のスタッフ研修が徹底していることにあるようだ。

2002年06月18日(火) 食用大豆の国内価格

 今年1月8日、米国産の大豆が日本の港渡しで、1トン197ドル(25610円)であることを記述した。日本の港渡しでの価格が60キロ当たりでわずか1540円の価格なのだ。それでは、アメリカの大豆農家の受け取り正味価格はいくらになるのだろうと溜息混じりに記述した。

 詳しくは省略するが、アメリカから到着した大豆が、港湾・貯蔵・輸送経費などが加算されて、国内で流通している価格は表(6月13日 日経)のとおり、非組換え大豆で1トン当たり62000円である。この価格でも10キロ当たり620円で、日本の米(平均10キロ3500円)20%弱の価格だ。

 先月の余録に納豆のことを書いた。1日1パック(50グラム)を食べるように心掛けている。この納豆を3パック50円で売っている。妻がどうしてこんなに安いのだろうと言う。それではと思い50グラムの大豆の原価(1トン62000円換算)を計算してみた。すると、納豆1パックの大豆の原価は3円だった。

2002年06月17日(月) 奇奇怪怪日本で認められている添加物

 協和香料化学・ダスキン・日本たばこ産業などの商品の中に、日本で無許可の添加物が含まれていたとして店頭での回収が相次いでいる。日本では認められていないが、海外ではOKとなっている添加物が表のとおり600品目もある。反面、日本で認められている添加物827品目の内、海外で認められていない品物が実に533品目もある。この矛盾は奇奇怪怪と言えよう。

 厚生省は、海外で認められていないが、日本で認めているステビア・カカオ色素など553品目がなぜ安全なのかを説明する責任があると思う。日本で認められ、海外でも認められている添加物は、表のとおり、全体の3分1に相当する294品目でしかない。これだけ食品の輸入が行なわれる今日にあって、この矛盾を放置して置くのはおかしい。この海外でOKとなっている添加物を日本で認めるかどうかは、厚生省が自らのデーターで総合的な判断を示すべきだ。



2002年06月16日(日) 日本の知のパワー

 2日前にも記述したが、日経に連載されている産業力・知の攻防を興味深く読んでいる。大学の研究者28万人、民間の研究者52万人が生み出す「膨大な知的資源」(6月5日・日経)が連鎖していないとの論評もある。ここでは特許の申請件数と使用料の収支を取り上げてみよう。
 
 日本の収支は、収入9927億円、支出1兆1528億円と1601億円の赤字だ。しかし、日本の場合は、研究と製品化を自前で行なう企業が多く、ライセンス料にウェートを置くアメリカと単純に比較できない。
 
 日本の特許の申請件数を見ると凄まじい「知のパワー」を感じる。「昨年米国で取得した特許の数の多い企業を見てもNECやキャノンなど日本企業が7社を占める」(同)という具合だ。この知・技術のパワーでは、世界的なレベルなのだ。

2002年06月15日(土) 日本決勝トーナメント進出

 ワールドカップで14日、1次リーグの最終戦で森島と中田のゴールと堅い守りでチュニジアに快勝した。テレビ、新聞で数多く「歴史的な」という言葉が使われた。それも当然のことだろう。1952年から予選に敗退し、初めて参加した98年のフランス大会では3敗していたのだ。それが今回の大会で2勝1引き分け(対ベルギー2対2で引き分け・対ロシア1対0で1勝・対チュニジア2対0で2勝)で堂々の決勝進出を決めた。この頼もしい若者たちは、どこまで駆け上がっていくのだろう。あとしばらくは熱い日々が続くことになる。
 
 韓国は悲願の1勝を挙げた後、2勝1引き分けとD組トップで決勝トーナメントへの進出を決めた。「イギョッタ」(勝った)と日本より強烈な歓喜の渦が巻き起こっている。「ソウル中心部の光化門にも数十万人の歓衆が集まり、韓国の勝利にあちこちから花火が打ちあがり、祝福の紙吹雪も乱れ飛んだ」(日経から)というから、まさにサッカー16強に韓国の国民の心が1つになった。

 韓国では「日本と決戦を」との声もある。形の上では、両国がW杯決勝トーナメントに3勝すれば6月30日の決勝に顔を合わせることになる。これはどう考えても夢のまた夢ではないだろうか。このW杯の優勝国はどこになるのか。ブックメーカの優勝チームの掛け率は、ブラジルが1位だ。ブラジルが優勝すると思っている人が 1番多いのだ。はたしてどうなるのか。熱い戦いは今月30日まで続く。

 日本中が喜びに弾けたのは、48分後に決めた小さな巨人森島のゴールだ。そして、決勝進出を不動のものとしたのが図のとおり75分にチームの大黒柱中田がヘッドで決めたゴールだった。この2点はまさに歴史的なものであり、この瞬間の図(日経から)を引用した。

 リーダートルシエ氏は、日本社会に大きくクローズアップされることになった。トルシエジャパンの4年は、「準備を重ね、経験を積み、そして体力、技術、組織力を磨いてきた成果である。」(毎日社説)との引用によるまでもなく、日本のサッカーが世界的レベルに達したのだ。

 日本の社会全体がこれほどの興奮と歓声に包まれたことは、戦後日本の歴史の中ではなかった。「フランス人のフィリップ・トルシエ監督が国民栄誉賞の選考の対象になる可能性が濃厚になった」(毎日から)これほど社会に明るい希望を与えたのだから当然のことだろう。このことより、大舞台に立った一流の選手達、中田、森島、小野、楢崎・・・1人1人が日本の若者に希望と夢を与えたことは、計り知れない業績だ。

2002年06月14日(金) 産業力・知の攻防(森のひらめ)

 日経で5月27日から、産業力・知の攻防と題するシリーズが始まった。これを読んでいると、日本の産業の中で没落している分野もあれば、中国などの脅威を全く感じない企業・業界もある。素人なりに整理すると、地域・企業を含めて何らかの新たなる「知」がないと生き残るのは難しい時代のようだ。

 この日経で連載された知の攻防の中で、陸(おか)漁業に関する記事が強く印象に残った。「三菱商事の事業開発部長、中沢輝幸(54)が一風変わったビジネスを推し進めている。人口1300人の大分県上津江村、廃校跡に据えた直径6メートルの水槽四基に5000匹のヒラメが跳ね返る。水質や水温管理が容易で、生育期間は1年と海育ちの半分。水の入れ替えもいらない。この技術の核は、アンモニアや窒素を分解するバクテリア」(5月19日 日経)だという。

 1番興味を感じたのは、バクテリアの作用で水の入れ替えがいらないと言う点だ。主要産業が林業だった上津江村で、森のヒラメの商品名で今秋から次々と市場に届くというから結構な話である。新潟の山間部の森は、近年の木材の暴落で山林としての財産価値がゼロに近づいている。この意味で森の漁業は大いに注目されて良いテーマだ。

2002年06月13日(木) 児童扶養手当大幅減額の決定

 6月8日過去最低となった出生率と児童手当の支給制限の強化の決定が同日の新聞で報道されていた。6月9日に記述したように、離婚の増加と共に低所得の母子家庭が増加している。この月額4万2000円(母子2人家庭)の支給条件を「年収204万円~年収130万円未満に絞り込む」(2月8日 毎日から)ものだ。これにより現在71万人の受給者のうち46%に相当する32万6人が減額の対象となる。

 これだけ少子化が問題になっている日本の社会で、母親1人で子供を育てようとしている母子家庭の支援をこれほど大幅に制限することが、はたして良い政策なのだろうか。政府は、「離婚の増加により支給額が急増(本年度2600億円)していることに対する抑制措置」(同)と言っている。この2600億円の支援が、国の支出として耐えられない額なのだろうか。この支給額を1000億円程度減額する財政的なメリットより、母子家庭を益々厳しい環境の中へ追いやるデメリットのほうが大きいと思う。

 この減額は6月7日の閣議で決定されたものだ。反面小泉首相は厚生省に対して「9月に総合的な少子化対策を取りまとめるよう指示した。」(6月10日 日経から)という。この少子化の問題は、厚生省のみで解決できるものではなく、国としての総合的な対策が必要だ。

2002年06月12日(水) 違法香料騒動

 ダスキンの肉マン・ローソンの輸入ほうれん草などの食の騒動が続いている。今回の協和香料化学(東京品川・従業員70人・年間売上16億円)から出荷された香料が食品業界を揺さぶっている。先ず、この騒動がどこまで広がるかの分からないことだろう。協和香料の出荷先は「全国175社・600ヵ所の工場・事業所に及ぶ」(6月7日 毎日)というから大変だ。すでに違法香料を使用した商品の回収が始まっている。毎日に掲載された「回収している主な企業・商品」はその一部で「自主回収を公表した企業は50社、対象品目は240品目以上に膨れ上がった。」(同)というからまさに食品の騒動に近い。

 協和香料化学に対する損害賠償を請求する動きが始まった。大手の食品メーカーだけでも10億円は超えるという。従業員70人、売上16億円の会社がこれだけの賠償が出来るとは思えず、いずれこの会社は破産に追い込まれるだろう。

 アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ひまし油の3物質は、食品衛生法で認められていない。しかし、3物質とも「米国や欧州連合(EU)では、添加物として使用が認められている」(6月6日 日経)海外で認められているのに、なぜ日本では認められていないのか。厚生省は「申請のない品目について国が独自に指定することはない。協和香料も必要があれば、申請すべきだった」といっている。

 反面、日本香料工業会は「今から申請するには、安全性確認の動物実験などで1億円以上の費用と2年は必要だ。同じような香料はたくさんあり、コストに見合う効果もない」と話す。食品衛生法の添加物として使用する場合は、企業が申請しなければ、使用認可のリストに載らない仕組みになっている。これらの申請コストを中小の香料メーカーに負担させる日本のシステム自体に問題があるように思う。

 今回の騒動のきっかけは、匿名による投書が原因である。協和香料を良く知る人による告発だ。過去にこのような事例は多くあった。すくなくても企業が違法な行為をすると誰かが告発する時代のようだ。


2002年06月10日(月) 日本勝ち点4 16強目前

 昨夜の日本列島は、サポーターの青色に埋まるスタンドと放映イベント会場が熱狂に包まれた。日本代表は9日、悲願の決勝トーナメント進出に向けてロシア戦に挑んだ。結果は1対0で勝って、念願のW杯初勝利を挙げ勝ち点4とした。これで14日のチュニジア戦で勝つか引き分ければ、決勝トーナメント16強の中に入る。

 日本代表の大黒柱は、なんと言っても中田英寿。立ち上がり、2本のシュートは惜しくも外れたが、日本の実力が世界レベルになっていることを実感させた。1― 0で勝利に沸いた時、日本がロシアを圧倒した印象を受けたが、毎日新聞のデーターを見ると紙一重の実力の差なのだ。ボール支配率は、ロシアチームが54%と上回っている。よって、稲本が僅かのチャンスで決めた決勝ゴールに千金の価値があった。トルシエニッポンの活躍を期待しよう。              

2002年06月09日(日) 止まらない離婚の増加

 今年1月に01年の離婚の概数が発表されたので、97年度以後の離婚件数を記述した。離婚件数は、97年の22万5000件から毎年増やして01年度は、28万5917組となった。今年1月4日に引用したように、01年度の結婚は「80万3000組」しかない。結婚するカップルに対して、離婚するカップルの割合は36%だ。この割合が、更に増加していく雲行きである。一体、この離婚の割合がどこまで伸びていくのだろう。この離婚した夫婦が何年同居していたかを示す数字は左記のとおりだ。(同)

 5年未満          10万2000件   35% 
 5年以上10年未満      6万5000件   23%
10年以上15年未満      3万6000件   13%
15年以上20年未満     3万9900件   14%
20年以上           4万3000件   15%
  合計            28万5900件


2002年06月08日(土) 自動車部品メーカーの収益力分布

 日本の自動車メーカー1株当たりの利益は、ホンダがナンバーワンである。ホンダに関する報道は熟読して来たが、社員の能力を開発する企業文化にただただ感服するのみである。                 

 5月30日の日経新聞に報道された収益力の分布もここに補足するまでもなくホンダ系の部品メーカーが総べて増益となっている。しかも、この営業利益率が7%から11.5%と高い。ホンダ本体も最高益を記録し、その傘下の部品メーカーも最高益となっている。まさに企業の理想を絵にしているようだ。反面日産の部品メーカーは急激な値下げで減益となってその利益率も1~2%だ。日産本体の最高益は、系列のメーカーの痛みの上に築かれた城なのだろうか。              

2002年06月07日(金) 「自社買取」10兆円規模

 日本の株価が低迷している最大の原因は、生保・銀行が保有株式を売却していることである。生保の01年の売り越し額は「過去最大の4兆円超に達した」(5月9日 日経)という。生保は表のとおり株式保有のピーク10兆円余り減少させている。そして、この02年度も大手生保7社だけで「1兆円強減らす計画」(同)だというがこの株式を誰が買うのだろう。

 銀行の株式の売却予定は、生保の比でない。1行当たり8000億円から1兆5000億円の売却計画である。「大手行の持ち合い株売却額は、前期の5兆4000億円を大きく上回る可能性がある」(5月29日 日経)という。銀行は表のとおり、保有株式を自己資本内まで圧縮する方針なのだ。この銀行の株式売却方針は、どう考えても強烈な株価の下落圧力となる。

 この銀行の株式の売却を企業が「自社株買い」(昨年10月商法改定金庫株が解禁された)と言う形で対応しようとしている。表のとおり「今年1~5月に自社株買いを発表したのは720社。取得予定額は7兆9514億円」(5月31日 毎日)で、最終的に10兆円規模になると予測されている。銀行の5兆円を超える売却予定を企業が金庫株として買い取る構図が鮮明になってきた。よって、現行の株価が大幅に下落することはないかも知れない。

 この自社株買いのトップは「ソニーの6500億円」(同)ソニーは戦略的に自社株を大量に保有するようだ。これだけの自社株を保有すれば、株式交換によって、株式時価6500億円の会社を買収することが可能なのである。

2002年06月06日(木) 国債の格下げ、日本の信用新興国並み?

 米格付け会社ムーディーズは、上から4番目のAa3から2段階格下げし「A2」にすると発表した。この格付けのレベルは、南アフリカ、ポーランドなどと同格となる。ムーディーズの格下げの理由の一部を引用しよう。「日本政府の経済政策では、国内債務状況の持続的な悪化に対して十分に歯止めをかけることが出来ない。・・・政府債務はどの指標を見ても戦後の先進国に例を見ない水準に近づき『未踏の領域』に入りつつある」(同)

 ムーディーズは、日本の負の面に軸足を置いているとの反発の議論も多くある。しかし、政府債務が表(6月1日 日経から)のとおり、GDP(約500兆円)比で141.5%(約700兆円)もあるなどは、太平洋戦争後の先進国では例がないのである。よって、ムーディーズは「未踏の領域」に入っていると指摘。

 新聞各紙は「政府、与党不快感あらわ」「見透かされた無策日本」「日本の信用新興国並み」「日本に2つの顔、巨額債務と債権大国」「経済界に疑問の声」「反発・容認議論渦巻く」「財務省、強い不快感」などの見出しで大きく報道していた。

 自民党では、「格下げの理由をただし、必要ならムーディーズを訴えてもいい」などの声もあるが、要は国債増発の歯止めの政策がないのである。歳出の大幅な削減か、増税か、または削減と増税のセットか、ムーディーズが指摘するように国内債務状況の持続的な悪化に対して十分に歯止めをかけることが出来ないでいるのである。

2002年06月05日(水) W杯 日本善戦勝ち点1

 日々の映像を1日1枚書き始めたのは97年1月だった。この翌年98年のフランス大会でのクロアチア戦など3戦全敗のことをこの日々の映像に記述したので記憶が鮮明に残っている。今回のW杯ベルギー戦を見て、あれから満4年を経過したのかと感慨を深くした。

 6月4日は、日本中が湧きがえる運命の助走だった。ベルギー戦で2対2となって、W杯初の勝ち点1を挙げた。「日本のレベルがどこまで世界に通じるか。しっかりとした答えを出したい」(6月5日 毎日)とはトルシエ監督の言葉だ。日本チームは、先制されても屈強な「赤い悪魔」の異名で呼ばれるベルギーを跳ね飛ばし、立ち向かって勝ち点1とした。まさに日本のサッカー史に新たなページを刻んだ夜となった。昨夜のニュースは、このベルギー戦を伝える熱い夜だった。

 テレビで中田英寿(25)・同点ゴールをした金髪の鈴木隆行(25)・勝ち越しのゴールを入れた稲本潤一(22)らがインタビューに答えていた。いずれの選手も会話力もあり、まさに超一流の若者達だ。トルシエニッポン、次のロシア戦でW杯の1勝を挙げることが出来るのか。日本の熱い夜はもうすぐだ。

2002年06月04日(火) 鉄鋼大手自動車向け値上げ要請

 自動車メーカーの営業利益は、2兆円余りになる。一方自動車産業に鋼材を「934万トン」(6月1日 日経から)も供給している鉄鋼メーカーは、川崎製鉄を除き赤字だ。「鉄鋼大手各社が最大需要家である国内自動車大手に鋼材の値上げを要請する。値上げ幅は10%~20%で順次交渉に入る」(5月30日 日経から)という。平均すると1トン当たり1万円前後の値上げ要求のようだ。
 
 この値上げ要求を自動車メーカーが受け入れ、販売価格に転嫁したとしても自動車1台当たりの価格はそう上昇するわけでない。大衆車の自重は1トン少々である。

 鋼材が1トン当たり1万円の値上げになっても、自動車1台当たりの価格が1万円上がるだけである。この値上げ要求がすんなり決着して、デフレの風を止めてもらいたいものだ。

2002年06月03日(月) ゲーム商戦

 新聞に目を通すと、時代遅れの人間が社会を眺めていると思うことがある。5月31日の日経でゲーム大手の業績が表のとおり報道されていた。ここで引用するまでもないが「ゲーム機とソフトを併せ持つ2大メーカーの収益拡大が鮮明になって来た。」とあるように任天堂とソニーそれぞれ高収益の体制となっている。それにしても、任天堂・コナミ・セガ・ナムコ・カブコン・ソニーのゲーム部門の6社の売上を合計すると2兆2000億円にもなる。この内、海外の売上高が「74%」だ。生活必需品でないゲーム機とソフトでこれだけの売上があるのだから驚くのみである。
この数字を見て、3年前に記述した日本の米の総出荷額と比較してみることにした。

・米の総産出額(農家の売上) 2兆5400億円  (99年11月4日記述)
・セメントの売上             5900億円  (02年5月11日記述)
・ゲーム大手の売上       2兆2000億円  

 米は食の絶対の必需品である。同じくセメントも産業基盤を作る絶対の必需品である。一方、ゲーム機とソフトは、娯楽の世界であり生活の必需品ではない。しかし、この売上をみると、ゲーム大手6社の売上が、日本の農家の米の売上とほぼ同じ水準なのだ。しかも、この売上は更に上昇していく気配である。

 「ソニーのゲーム部門は、ハード・ソフトとも躍進してPS2の出荷台数は1807万台と前の期からほぼ倍増」(5月31日 日経から)している。このPS2の普及が更にソフトの販売本数の増加が見込めるのである。上記のゲーム大手6社の02年3月の売上は、前年比で20%から52%増加している。(セガだけマイナス15%)03年3月は、この売上がどれだけ上昇するのだろう。

 若い夫婦で夫が、このゲームに夢中になって夫婦の会話がほとんどないなどの話も聞くこともある。韓国で先行しているオンラインゲームになると、相手がいるので途中で止めることが出来ない。このゲーム機の爆発的な普及は、社会にどのような影響を与えていくのだろう。少なくとも、人の成長にとってプラスの側面は皆無のように思えてならない。

2002年06月02日(日) 上場企業の特別損失

 5月は大企業の決算に関する報道が多い。中でも目に止まるのは、銀行の不良債権処理と企業の特別損失(土地・ビルの原損処理・株式の評価損・工場閉鎖損・リストラ損失など)である。今年もこの特別損失は10兆円を超え、98年から5ヵ年の特別損失の合計はなんと44兆円である。負の遺産処理があと何年続くのだろう。

 左記の日経の集計は「特別損失の項目がない米国会計基準の採用企業は除いた」(同)とある。電気大手6社の「1兆6000億円」(同)のリストラ損失は、上記の11.1兆円の中に加算されていない。よって、これを加えると、昨年と同じ水準の特別損失があったことになる。見方はいろいろあると思う。これだけ膨大な特別損失を計上出来る日本企業の実力・・・という見方もあるだろう。

2002年06月01日(土) W杯 幕開け

 世界を熱狂の渦に包み込む世界最大の祭典、サッカー・ワールドカップが5月31日開幕した。これから約1ヵ月間、32チームが日韓20都市で64試合の戦いを繰り広げる。このW杯のテレビの観戦者も地球的規模のようだ。「世界で推定延べ約420億人がテレビで視聴する」(6月1日 毎日から)という。世界の人口を60億人にすると、この地球上の1人が7回もW杯をテレビで観戦することになる。

 今回のW杯もセネガルが開幕戦で仏を破ったようにアフリカ勢の活躍を予感させる。考えてみると、サッカーほどお金のかからないスポーツはない。重さわずか450グラムのボール1個あれば、何十人の子供達がサッカーをすることが出来る。それにしても、この450グラムのボールがこれだけ人を熱狂させるのだから不思議な魅力だ。

 このW杯の32チームの内、日本と韓国は開催国で出場、フランスは前回優勝国で出場、その他の29カ国は「195カ国の予選を勝ち進んだ代表チーム」なのだ。よって、この出場チームのメンバーは、一流選手のみで構成されていることは記述するまでもない。それだけに、愛国心と共に、超一流のプレーに各国のサポーターは熱狂する。サッカーを通して異文化と出会い、触れ合い、分かち合うことは素晴らしい。

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石田ふたみ