やんの読書日記
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塩野七生作 新潮文庫
大国オスマントルコと 海洋国ヴェネチアの戦争は ギリシア・ローマ時代から続いた 地中海世界の終わりを告げる戦いだったらしい 奴隷を使って地中海をこぎ渡るガレー船が この機を境に帆船へ、大航海時代へ スペイン、ポルトガル、イギリスの時代へと移っていく
商業国ヴェネチアがどうやって大国トルコに勝ったか 人海戦術で数の理論をとったトルコに対し ヴェネチアは大砲を供えた大型船を用意した それにも増して 異教徒イスラムに対するキリスト教信者の 信念がものを言ったのだと思う
キリスト者としての信念は 前作の「ロードス島攻防記」で それとなく理解できていたが 博愛平等を重んじる人々の心意気が この作品でも感じることができた
海戦はたったの5時間 その後のヴェネチアはトルコとの単独講和をした 地中海の平和と領土に住む人々の利益を重んじる国 その後に国力が衰えることになったとしても それはその時代には先進的なことだったのだと思う
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