徒然花茶
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'05.7月より徒然花茶(雑記)をblogに移行しました。
食における木の芽とは春まだ浅い時期に芽吹く、なよやかな山椒の芽であることは周知のごとく。 さて、我が家の庭にも小さな山椒の木がある。もちろん秋も深まるこの頃には、冬支度のために緑もやや色褪せてしまうのが普通だ。 ところが今、素晴らしいことに我が家は若い木の芽を楽しんでいる。それどころか、緑濃くなるはずの夏の間も若芽を楽しめる素晴らしさ。 理由は…アゲハチョウの幼虫の猛烈な食欲にある。 詳しくは知らないし、種類にもよるのだろうが、アゲハチョウは山椒に卵を産み付けるらしい。幼虫が育つのに最適なのだろう。
以前、山椒が何度も坊主になることが不思議で観察したことがある。 ほんの小指の先くらいの、黒の斑模様の小さな虫(というより鳥のフンみたいなの)が2、3匹、山椒の葉の付け根あたりにへばりついていた。そのときは何モノか分からず、取りあえず観察してみた。
そやつ等は日に日に大きくなり、丸々と瑞々しい若葉色に成長するにつれ、山椒は坊主になっていった。その頃になって、ようやく事典でそやつ等の正体がアゲハの幼虫らしいと判明した。
食料が尽きる頃、彼等は幼虫から蛹へと変態する。が、残念ながらまだアゲハへと孵化するところに遭遇したことはない。たぶん、雨が続いたりして私が外に出るのを億劫がるせいだろうと思われるが、そやつ等は一宿一飯の恩義も忘れ、人知れず旅立ってゆくのだ。 そして後には坊主になった山椒が、うら寂しげに残される。
自然の驚異はそれからだ。 気がつくと、枯れ木のごとき細い枝から芽吹き、瞬く間に可愛らしい木の芽が広がりだす。 んー、目出度い。少ーしずつ緑深くなる葉の様子にほっとして気を緩めたころ、気がつくと、ふたたび山椒は坊主になっていたりする……。
そんなことを今年は3回ほども繰返しただろうか。かくして、我が家は秋も深まるころとなっても春の香りが楽しめるのだった。 ただしアゲハチョウを育てた年は、残念ながら山椒の実は取れない。 ……なんだかなー……ぼやきつつ、栗ご飯と木の芽の取り合わせの妙に複雑な思いをするのであった。
久しぶりに行ってみたファーストフード大手のMでの出来事。 ここ一ヶ月以上、3,4時間睡眠が続いている。そのせいだろうか。 甘いし量が多いで普段は絶対頼まないシェイクがふいに飲みたくなって、私は身体が求めるままに注文してみた。 儀式はもちろん「ご注文は…?」からはじまる。 「○○シェイクのSをください」 「こちらでお召し上がりですか?」 という一連のやり取りののち、まっくなお姉さんの一言は、 「ご一緒にお飲み物はいかがですか?」 絶句する私。 もしや聴き間違いかも…とか、シェイクに飲み物をつけるのがトレンディなのだろうか…とか、一瞬にして私の頭の中を駆け巡った。 一点の迷いもなく、素晴らしい笑顔で私の返事を待つお姉さん。 たぶん私はヘンな顔をしていたのだろう。彼女は親切に、もう一度繰り返した。 「ご一緒にお飲み物はいかがですか?」 あまりにも自信に満ちたスマイル \0であった。 なんとなく叱られた子供の気分で、私は小声で応えた。 「――いえ、いいです……」 習慣の恐ろしさを噛みしめたひとときである。
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