Just A Little Day
目録|過去|未来
開かない部屋の引き戸に溜息ひとつ。 追いやられた布団を押し戻し、寝相の悪い男を押し戻す。 気付けば眉間に皺。 いつも眠ってばかりいるこの人と、あたしはどうやって恋をしたんだったかしら?
鈍く痛み続ける下腹部と、重い腰の痛み。 こんな時だけ自分も女だったんだと気付く。
そうして今宵も更けてゆく。
愛おしそうにあたしを見つめる柔らかい眼差しと、囁かれる甘い言葉。 手を伸ばして触れた頬の感触と、重ねた唇の甘さ。 あまりの幸福に胸を締め付けられる。 そうだ。この感じ。 もう忘れたと思っていたけど…
目覚ましがけたたましく鳴って、あたしは現実に引き戻される。 束の間の恋人ごっこ。 夢の中でくらい、許して下さい。
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