「いつもにこにこ・みけんにしわなし」
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「みんな〜、あちょぼうよぉ〜。」 と、ハルが両手をバンザイしておいでおいでと手招きをしている。
たぶん、なにかの幼児番組のおねえさんのマネではないか、と思う。
あちょぼうよぉ〜を真に受けて はぁ〜い、とハルのそばに招き寄せられてみると、 「ぐふぅん。」と両手で顔を覆ってテレなさるのだ。 遊ぼうよ、と呼び集めたところで なにかの遊びを仕切りまわすわけではないらしい。 この年で仲間を呼び集めて仕切るとこまでやられたら チョトコワイのでそれはそれでいいのだが。
夜ご飯をみんなで食べていたら イスの上に立ち上がって、 「みんな〜、あちょうぼうよぉ〜〜!」と得意のポーズ。 どうやら、機嫌がよくノリノリのときに叫ぶ傾向にある。 そうか、うまかったか、トマトソーススパ。
あちょぼよぉ、の舌足らずさがかわいいので、 兄姉みんなが笑顔でまねをする。
「ハーちゃんも、あちょぼよ〜。」 「あちょぼよ〜。」
ところが。 お気に入りのスローガンを横取りされたのが気に入らなかったと見える。
イスの上に立ち上がったまま、 たれ眉に半眼で口をへの字に曲げ、手をダランと下げて 冷ややかに兄姉を斜めに鼻の先から眺め始めた。
「な、なんか、ゲンナリしてはるで。」
あちょぼよ〜て、かわいいなぁ、とニコニコしながら夕飯を食べていた兄姉が え?とハルを振り返ってみると かわいいはずの妹が、 今日はもうお店は終わったのよの場末の酒場のママみたいになっている。
「ゲンナリしてる〜。」 「ハーちゃん、なんでそんなにゲンナリ〜。」 「ゲンナリしすぎやで〜。」
ハル、ゲンナリという言葉のシャワーを浴びて、 おお、そうか、これがゲンナリか、とわかったようです。 やだなぁ、もう。
衣替えをした。
去年、「このペースで行けば、確実に来年は90だ。」と踏んで シーズン最後のバーゲンで90サイズの長袖を買い足しておいたのに ハルは95を着る人になっていました。 実寸は約90なのに。骨太なせいか。
子沢山だからといってツンツルテンの服を着せておきたくない、というのが ほぼ唯一の「子育てのこだわり」な母なので 95で、しかもチュニック丈な長袖を買い足した。
ふふふ。今年はチュニック。来年はレギュラー丈で着せてやる。 という思惑ももちろんアリアリ。
自分が男顔なのがわかっているのか、 お店でハルさんが選ぶ服はピンクや花柄。 袖にレースがついていたり、クルミボタンだったり、とにかくフェミニン。
かわいい花柄のチュニックブラウスに着替えて、 鏡の前で ハ「んふ。んふ〜。」と右向き左向きポージング。 「服がかわいいね〜ハルちゃん。」(←失礼な母) ハ「んふ♪かーかん、ありやとぉ〜。」 新しい服にお礼を言われました。
学校から帰ってきた兄姉たちにも ミ「うわぁ〜ハーちゃん、かわいいねぇ〜。」 モ「なんてかわいい子でしょ〜!」 とひとしきりちやほやされ、
マ「いいなぁ!ハルちゃんだけ〜。」 と、置いてあったトレーナーに手を伸ばしたマルさんから ギュン!と服を取り返して 「ダ〜メッ!ハーちゃんのっ!ダァァアイジィィ〜っ」と大声で叫んで 下の歯をむき出して小刻みにガクガクガクガク顔を左右に振って威嚇した。
・・大事なのはわかったから。気に入ってくれてよかったけど。 女の子なんだから、闘犬みたいな威嚇はやめてください。
フン、とダイジな新しい服を抱えて去る闘犬をみて、 ミーとマルも 「新しい服、買いに行こう!」と女の子魂に火がついたらしい。
そうね。明日、お買い物に行こうか。 女の子の服の買い物は、楽しい。 モックンはヒマなのでずっと本屋です。
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