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☆ 小さな悲しみに。
絵本も出ていますが、今回の [ほんだな] は、映画編です。
季節をはずしてしまいましたが、いつか見たいなあと思っていた
「ミトン」をやっと見ることができました。
「チェブラーシカ」、「ムーミンパペットアニメーション」、テ
イストは全然違うけれど「ウォレスとグルミット」などいつのまに
かパペット・アニメーションの大ファンになっているようです。
「チェブラーシカ」も「ムーミン」もかわいらしいパペットの魅
力はもちろん、空気に漂う何ともいいようのないもの悲しさが見る
人を惹きつけます。わずか10分の物語ですが、「ミトン」も期待を
裏切らないアニメーションでした。キャラクターのかわいらしさと
胸に染みいってくるような、かつて経験したことのあるせつなさ。
小さな女の子アーニャは子犬を貰ってくるけれど、お母さんは許
してくれません。どうしようもなく子犬を返してきたアーニャは、
やがて赤いミトンを子犬に見立てて、ひとり遊び始めます。
やがて、赤いミトンはかわいい子犬に姿を変えて、アーニャと遊び
始めます。
制作が始まったのが1967年ということですが、40年近く前という、
古さは全く感じません。台詞のないアニメだからこそ、伝わってく
るものがたくさんあります。
犬と戯れる近所の子どもをうらやましそうに見ているアーニャ。
友達から子犬を貰ってきたアーニャ。
その子犬を返しに行かなければならないアーニャ。
アーニャの喜び。アーニャの悲しみ。
せつなさは、言葉が無くても、ひしひしと伝わってきます。
誰もが経験したことのある子ども時代の日常の一コマ。
捨て猫や捨て犬を連れて帰って怒られた夕方。
友達から貰った子犬や子猫を返しに行く重い足どり。
家に帰ると思いもよらず、子猫が待っていた驚き。
大人から見れば、どうということのない小さな心のさざめき。
そんなさざなみに揺れ惑う、子どもだけの悲しみ。
アニメは淡々とアーニャの寂しさ、せつなさを描いています。
赤い子犬がかわいければかわいいほど、
ハッピーエンドの向こうにも、透明な悲しさがうっすらと残っ
ています。 (シィアル)
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「ミトン」 監督:ロマン・カチャーノフ / ソ連映画(1967年)
・「ミトン」DVD(7/23発売予定)
・「ミトン」著者:ジャンナ・ジー ヴィッテンゾン
原著:レオニード・シュワルツマン
訳 : はっとりみすず
出版社:河出書房新社
※本来は映画のための脚本がえほんになりました。
・「ミトンフィルムブック」編集:ミトン制作委員会
出版社:河出書房新社
・「ミトン」公式サイト http://www.mitten.jp/
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