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−テディベアのテディ−
映画「A.I.」には、いろんなロボットが登場します。
テディと呼ばれていたテディベアのロボットは、
主人公のロボット少年デイビッドの友達になります。
茶色のむくむくした、しゃべって動けるオモチャ。
外見は、ちょっと大きめのぬいぐるみ。
映画のなかでは、テディのプライベートなことは
くわしく語られてなくて、ただずっと
物語の最後まで、デイビッドと一緒にいるクマくんです。
クマくんのその後が、気になります。
じぶんから何かを積極的にするわけでもなく、
でもけっこう、行動はすばやく、抜かりないクマくん。
彼のおかげで、デイビッドもかなり助けられているのです。
このテディのしあわせはどこにあるのだろう?
と思ったひともたくさんいるでしょう。
テディはそういうロボットじゃないので、
なんにも願いごとなんか、しなくていいのかもしれない。
でも、もしかすると、
テディはじぶんの願いごとを口に出すような
性格ではないってだけかもしれない。
デイビッドが熱烈に願っていたことの意味を
どうしてテディは理解できたのでしょう?
ロボットが設定どおりにしか動かないっていうのは
人間の思い上がりかもしれません。
テディはデイビッドの愛情を理解できたのだとしたら。
おもちゃを主人公にした物語は、
さいごにはハッピーエンドになるときまっています。
だから、きっとテディも… (マーズ)
「A.I.」(2001年・米)
監督:スティーブン・スピルバーグ
出演:ハーレイ・ジョエル・オスメント、ジュード・ロウ
http://www.ai-jp.net/
ヒマラヤをこえて決死の旅をする村の人々を描いた
「キャラバン」という映画を観ました。
ひとりで晩ご飯を食べたり、お茶を飲んだりして
映画までの時間を過ごすのだって、じゅうぶんに
「旅」の気分。誰もしらない街にいるみたい。
ちょっと100mも歩けば、知った顔に会うような街に
いるというのに、そんな距離を感じて、
暮れてゆく街で、ふっと後ろが気になりました。
映画館は空いていて、金曜の夜とも思えないほど。
「キャラバン」の原題は、その名も「ヒマラヤ」。
舞台はヒマラヤのふところの村。
この小さな村でも穀物は実るけれど、
一年分の食料を手にいれるためには、
思い切った行動が必要なのです。
塩と食料を交換するために、2週間以上もかけて、
ヤクを連れたキャラバンで過酷な旅をしなければならない…
そんな村があることを、以前テレビのドキュメンタリーで
見たのを思い出しました。
ここが、その村。
誰が村の長老になるかという争いも背景に、
若い指導者をかたくなに認めない
かつての長老が、幼い孫を連れて、
もうひとつのキャラバン隊を出発させます。
さて、旅の行く末は…?
空に近いところでも、人々の生活は
ある意味、同じようなもので。
それでも映画に出てくる村人たちは皆、
澄んだ瞳をして、生きられるだけ生きようとしています。
空気のうすい、木の一本、はえてない場所。
だから、幼い孫は、木を見たいと願います。
道中出会うにちがいない、「怖いもの」だって、見たいのです。
ラマ僧の祈りの声が、
高く低く風にのって、経文を山頂へ運んでゆきます。
人はほんとうに、世界のすみずみにまで
暮らしているのだなぁと思いました。 (マーズ)
「キャラバン」(1999年)
フランス・ネパール・イギリス・スイス合作
監督:エリック・ヴァリ
http://www.gaga.ne.jp/caravan/