川底を流れる小石のように。  〜番外編〜  海老蔵への道!
もくじを見てみるひとつ前現在に近づいてプチ画像日記


2005年06月28日(火) 博多千秋楽、に辿り着く前に。

 睡眠不足のボーっとした顔で、いつもより大きな荷物を持って職場へ。
 改めて同僚に、博多に行くこと、帰りは月曜の朝の便になること、
 時間に余裕はみてるけど、何しろ飛行機だから、何かあった時の連絡方法、
 月曜の仕事内容の確認など、ひそかに打ち合わせ。
 今回の事はボスには言っていないのだ。
 4月の京都の時に、ボスに新幹線で当日の朝戻る予定を話したら、
 すごーく心配されてしまったので、
 きっと話せば、こないだ以上に心配することは目に見えており、
 なので、黙って決行。
 台風も来てないし、きっと大丈夫さ。

 月末ゆえ、仕事のことを考えて遅めの便を予約しておいた。
 思いの外時間があまったので、
 オアゾでちょっとぶらつく。
 最近どうしたことか、冬でもないのに手荒れが気になる。
 仕事でしょっちゅう手を洗うので、色々ケアはしてるつもりなのに。
 半年以上愛用してるこれは、
 香りが無くて、べたつかないし、効果も良い感じだったのだが、
 今回はこれでも駄目で、バリバリに乾いてるかんじ。
 ネットで良いと知り、気になっていたこれを見つけて、
 早速試す。
 しっとりするので、あ〜べたつくのかな?と思っていたら、
 すぐにサラリとしてきた。
 軽いつけ心地なのに、効いてる。
 いいかも!と早速購入。
 オレンジのフルーティーな香りがするので、料理の時は駄目だけど、
 寝る前や休日に使うには、良さそうだ。
 皮膚がふんわりする感じが気に入った。
 他に丸善をぶらぶらして、あれ?私何しに来たんだっけ?みたいな。
 そうだ、博多だ。

 最近、新幹線や飛行機の中で眠るのが上手くなった。
 飛行機は実は苦手なので、離陸の前に寝てしまえれば、かなり楽。
 今回も、着席→ブランケット借りる→寝る→離陸というながれで、
 起きるとそこは福岡なのだった。
 
 ここで、ちょっと反省。
 駅に近いアクセスの良いホテルをパックで予約すると、
 かなりヘボいホテルであることが多いみたいだ。
 どのみちビジネスホテルなのだから、納得ずくではあるものの、
 京都でも博多でも、主要駅に近いホテルはハズレだった。
 なんというか古かったり、掃除がいまひとつだったり。
 そしてお風呂が、泣けるほど狭い。
 これが地下鉄で、二駅でも離れると、案外マシなホテルになる。
 
 今回は、荷物をほどく前に思わず自分でふき掃除してしまった。
 フロントにクレーム?とも思ったが、なんだか億劫でやめた。
 これからせっかく博多座へ行くのに、こんな事で嫌な思いしたくないし。
 でも、これからはもうちょっとホテル選びを気をつけよう。
 もしくは、やはり値段に比例するか。

 立地で選んだだけあって、博多座はすぐだ。
 上演中の劇場だが、親切に舞台写真と筋書きを買わせてくれた。
 場内からは「あの声は揚巻!」という助六の声がしてる。
 股くぐりが終わったところか。
 友達の分も合わせて、写真を大量購入。
 今回のブロマイドは、かなりツボでございましたよ。
 今までは、枚数が少なかったり、なんでこれを選んだかなあ?と思ったりすることもあったけど、
 今回は、どれもが良い出来映え。
 菊ちゃんのも何枚か購入。

 終演まで、ちょっとぶらぶら、ここが船乗り込みの川かと眺めたりして、
 時間を見計らい博多座楽屋口へ行くと、もう凄い人の数。
 うええ、どうしよう・・・と思ったが、すぐに知り合いの顔を見つけて、ホッとする。
 そうしてる間にも、どんどん人数は増えて、
 なんか熱気が凄い。
 どう考えても、ここにいる全員にサインなんて無理じゃないか?と思った。
 サインは、昨年の大阪とパリでもらったことがあったのだけれど、
 あとは、ちょっと遠くから、囲まれてる様子など眺めたりしたことがある。
 今日はどうだろ?
 ジワジワと人数が増えて、楽屋口をふさがんばかり。
 私がもし役者さんだったら、ここから出てくるのは、かなり嫌だな〜と思う。
 ひっそり別の口から出ちゃったりしそうだ。
 
 そんな中登場した菊五郎さんは、いか〜に〜もオサレな遊び人風。
 大人の魅力をまき散らし、女性達に囲まれてた。
 菊五郎さんのサインは、ゆっくり丁寧に書いてくださっていて、
 思わず「誰かさんとは違うね・・・」とびっくりした。

 いよいよ海老蔵登場!
 もう、出るなりそこら中の女性が色めき立ち、声にならない声が。
 当のご本人は、忽ち「サインロボ・エビゾー」に変身し、
 ただひたすら、サクサク黙々延々と、サインサインさいんさいん・・・。
 しばらく見ぬ間に、サインロボはバージョンアップしてる気がする。
 ますます素早く、一気に次々とサインさいん。
 どこまで行くのだサインロボ!と思っていたら、
 ちゃんとその場にいた、サインをねだる全ての人にサインをし終え、
 (何人くらいいたんだろう?100人は越えてた、200人くらいいた??)
 サクッと車に乗り込み、
 ちゃんとファンに会釈などしつつ、
 ターボエンジン全開で走り去ったのだった。
 いやはや。
 
 などといいつつ、私もサインをいただいて、かなりボーっとしていたので、
 本当はこんなじゃなかったかも?

 後で昨年の一番最初にもらったサインと比べてみたら、
 サインロボの強さの秘密を垣間見た気がした。
 もともと「十一代えびぞう」とひらがなだったし、
 かなり「読めないかも・・・」と思ったものだったが、
 今回は、「代」と「う」の字のみが、そうかな?と思えるものの、
 あとは、まさに「サイン」というかんじのウネウネぶり。
 一年前のサインが、すごーく丁寧に書いてくれてたのがわかりましたよ。
 とはいえ、ロボは強く素早くみんなのロボであらねばならぬであろうし、
 そのバージョンアップぶりは、あっぱれと思ったのだった。
 
 ロボがマシーンの様にひたすらサインをしていると、
 そこに何か白く輝く者が現れた。
 え?なんかまぶしい〜とそちらを見やると、
 白いジャケット姿の菊ちゃんなのだった。
 なんか宝塚の男役トップスターさんみたいだよ菊ちゃん。
 写真撮影携帯写真禁止の作務衣ロボと違って、
 ホワイトトップスター菊は、写真もOKなようで、パシャパシャ撮られまくり。
 お父さん似の丁寧で長いサインぶりに加えて、2ショット写真なんかにも応じたりして、
 なんか菊ちゃんの列は一向にはけていかないみたいだ。
 
 ロボは黙々と、ホワイトスターは固まってるとはいえ笑顔で、
 若い人気者が2人、ひたすらファンに応えてる姿、偉いなあと思ったよ。
 私の頭の中には「忍耐」とか「修業」とか「鍛錬」とか、
 あとは「感謝」などといったキーワードが浮かんでは消えていく。
 
 菊ちゃんが、まだ頑張ってる姿を見て、
 私も辛抱たまらず、思わず、菊ちゃんに初めてサインを書いてもらってしまった。
 お風呂あがりなのかな、汗いっぱいかいて、
 でもそれを拭うこともせず(出来ず)、写真なんて撮られ放題で、
 だけど笑顔の菊ちゃん。偉いぞ。
 心の中で「7月の十二夜も頑張ってね」と声援を送った。

 海老菊2人に書いてもらったサイン、
 並べて飾っておこう。
 観劇とデマチが必ずセットになってる人も多いみたいだけど、
 まあ気持ちはわかる。
 何しろ、やっぱり嬉しいし。
 行くたびにというのは、うーん・・・だけど、
 これからも、半年に一度くらいは待ってみたり、
 一年に一度くらいは、サインお願いしてみたり、してもいいっすかね。

 明日はいよいよ千秋楽だ。

 






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2005年06月24日(金) 学ばない・・・。

 うぬう。
 れいによってれいのごとく、明日から二泊の博多なのに何も準備できてない。
 しかもタイガー&ドラゴン、野球で遅れてるし。
 
 でも、旅のお供に持ってゆくこれだけはバッグに入れた。
 こないだ友達が、ハワイに行った時、
 「長年、酔い止めとかに愛用してたのに、ずっと買えなくて探してたら、
  成田にあった!いいから食べてみろ」
 とくれたのだが、
 なんかずっと前に食べたことのある、懐かしい味。
 そうこうしていたら、最近キオスクでも売られるようになって、
 てにはいりやすくなったのだ。
 ありがたい。
 なんか元気がでますよ。これは。
 地味に梅のブームがきてるのか?

 あ、ドラゴンはじまるかな?

 ともあれ、明日は早起きして荷物まとめて(今夜準備する気力がないらしい)
 仕事して、それから羽田です。
 暑くなるらしいっす。
 
 行ってまいります。

 あ、そうそうなんかバトンがまわってきてますが、
 受け渡しゾーンを越えて失格ぎりぎりになって、
 転んでる第三走者みたいなかんじですね。
 うへへ。
 

 あ、今はじめて「フライダディイフライ」の予告を見たぜ。
 これ、原作が好きなんだけど、全然イメージが違いすぎて、・・・・・。
 こんな爽やかにしちゃ駄目だよう。



 






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2005年06月21日(火) 南北にやられる。

 ああ、鶴屋南北ってすごい!
 一日歌舞伎座で過ごした休日。
 完全に南北にノックアウトされてしまった。

 今月の歌舞伎座夜の部「盟三五大切」(かみかけてさんごたいせつ)はすごかった。
 博多だコクーンだ、京都の玉さんだと気をとられていたら、
 こんなに近くで、こんなに凄いことやってたなんて・・・。
 
 もちろんキャストが充実してたのも、大きい。
 吉右衛門さん(普段はきっちーとか呼んでるくせに、今日は敬意をはらって)
 時蔵さん(普段はとっきーとか、以下同文)
 仁左衛門さん(普段はニザさんとか、以下略)
 三人が、なんともはやかっこいい!
 
 しかもこれ、江戸末期の作品なのだそうだけれど、
 なんだか新しいの。
 本当に新鮮にかっこいい。
 あの疾走感、ぐんぐんグルーブしてる感じ、
 廃退的な美しさ。
 シニカルで、だめだめで、残酷で、
 でも、だめっぷりすらどこかリアルでかっこよくて、
 物語にぐいーっと引きこまれる。

 日にちが許せば、もう一度、今度は良い席で観たかった〜。
 あうう。

 
 そして、もちろんそれだけじゃなくて、
 新口村では泣かされて、太郎冠者にほほーとうなり、
 そして、やっぱり愛ちゃんを語らないわけにはいかない。

 こないだの古典芸能鑑賞会で、
 近くの席で「あ〜」なんて声出してた赤ちゃんは、1才8ヶ月の赤ちゃんだけれど、
 今月は毎日夜の部の舞台に出てるという凄さ。
 月のはじめに観た友達は「あいちゃん、ぴいぴい泣いてたよ。
 すぐに舞台袖に引っ込んじゃってたよ」と言ってたが、
 月半ばの友達は、
 「愛ちゃんは慣れてきた様子で、ずっと機嫌良く舞台を伸び伸びと動いてたよ。
  何分かおき位に下手にセコンドに入ってはパタパタと走って戻って来て、
  子役のカツラで遊んだりしてたけど、
  手拍子がちゃんと合ってたり右近やパパの振りを真似したりと
  なかなかのDNAを感じさせ、劇場中の視線を独り占めしてたよ」と教えてくれて、
 愛ちゃんに会えるのが楽しみだった私。

 今日の愛ちゃんは、どうやら舞台上の床に映る自分の影が気になるらしく、
 しかも四方からのライトで、影は不思議な形で方々にあり、
 それを一生懸命踏んづけたりしてた。
 でも、お芝居のながれなんかは、小さいなりに覚えているみたいで、
 きっかけの台詞たとえば「じゃあ手まりをしよう!」とか、そういうの、
 聞くなり、もう手まりの振りをはじめたり、
 踊りも彼女なりに踊ってたし、
 小さなお口で台詞も、おねえちゃんと一緒に言ってたし、
 その都度、客席もおばちゃんは「あら〜!かわいい」と微笑んだり、
 男性は、「お!踊った!」と驚いたり。

 それにしても、ちっちゃい。
 ものすごくちっちゃい。
 
 そして、荒技!と驚いたのは、
 良寛役のお父さんの富十郎さんが、入れ歯を外して舞台に登場したこと。
 1929年生まれという年齢を感じさせない、キビキビした所作と、
 くっきり響く若々しい声が魅力のトミーだというのに。
 っていうか、やっぱトミー総義歯なの?
 あんぐりあけたお口には、歯がありまへんでしたよ。

 これはねえ、父の愛なのかなーと思ったよ。
 あとどれくらい愛ちゃん大ちゃんと一緒に舞台に立てるかわからないけど、
 (あんなにお元気でも、やっぱり生身の体だしね)
 今月の舞台を観た人は、きっとずっと後になっても、
 ああ愛ちゃん、あんなにちっちゃかったけど、踊り可愛かったわよねと覚えてる。
 そういう見えない歌舞伎ファンの応援とか、記憶とか、
 トミーは子供達にあげたかったのかなと思った。
 愛ちゃん大ちゃんを、よろしく!と何百回言っても、きっと足りないんだろうなと。
 そうして今月のあの「良寛と子守」になったのかなと。
 まあ私が勝手にそう思っただけなんだけど。

 私がひそかに楽しみに読ませていただいてるブログに、
 愛ちゃんの動線レポ(?!)を描いてらっしゃる方がいて、
 おお〜!とビックリした。ここです。

 そんな歌舞伎座での一日。
 他にも書くべき事はいっぱいあった気がするんだけれど、
 ともあれ、南北とあいちゃんのみ。

 あ、それと、ずっとお休みしていたフミオさんちが再開していて、
 とても嬉しいわい。


 






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2005年06月19日(日) 日帰り博多、実践編。

 朝一番の便は6:30羽田発。
 20分前に羽田に着かねばならず、
 そうすると4:30には家を出ることに。
 おかげで3:30には起き出して、のそのそ仕度。
 朝早い電車は、完全に出来上がっちゃってる酔っぱらいや、
 目にしみるくらいニンニク臭い酔っぱらいや、
 あやしい空気に充ち満ちており、
 深夜の終電の方が、まだマシかもしれん。

 出発ロビーでベーグルサンド、
 機内に乗り込むなり、寝る体制。
 起きるともう、眼下に広がる福岡の町。

 ほぼ定刻通りに到着し、
 時間だけはたっぷりあるので、帰り道の復習。
 地下鉄の出口から空港のチェックインカウンターまでの、最短距離を探し、
 さらに余った時間でお土産の下調べ。
 地下鉄では、何両目に乗ればよいのかも考え、頭の中にメモ。
 そうこうしていると、友達との待ち合わせ時間になっていた。

 そう、この日は「はじめての入り待ち」。
 入り待ちとはいえ、何をしようというわけでもなく、
 まあ遠くから、おはようございますと、心の中で声でもかけられれば充分かな。
 地元の友達のナビのおかげで、
 しばらく待っているとすぐに海老蔵到着。
 お馴染みの紺の縦縞の作務衣に、黒ぶちめがね、首にはマフラーを巻いて、
 いつもの姿なのだった。
 
 以前友達が、あの格好はなんとかならないものか、
 もうちょっと小綺麗にしてればいいのに・・・と言ったことがあったが、
 その直後に「海老蔵イタリアブランドのスーツを着る」みたいな雑誌の記事を立ち読みして、
 やっぱり小綺麗じゃなくても、あの作務衣でいいことにする・・・と、
 小声できっぱりつぶやいてものだ。
 彼女の目には、イタリアんなスーツが、とても似合わなく思えたらしい。
 うはは。

 その後も、帽子姿が似合って若々しい團パパや、
 市蔵さん、田之助さんらが、次々楽屋入り。

 今回、一番ビックリドキドキだったのは、実は菊之助さんであった。
 ちょうど早足で歩く菊ちゃんが、ファンの方に呼び止められて足を止めたのが、
 私の目の前だったのだけれど、
 素顔の菊ちゃんを、こんなに間近でみたのは初めてだ。
 菊ちゃんの、最も印象的なところといえば、あの目!
 何とも言えない、黒目のところがグレーっぽくもブルーっぽくも見えて、
 あ〜菊ちゃん、あなたのその目はなんなの?と惑わされてしまったことだよ。

 そんなこんなで、ハイなまま博多座へ。
 はじめての博多座は、新しくてピカピカだ。
 一番すごい!と思ったのは、トイレ!
 女子トイレには、行列がつきものだが、
 ここのトイレは、行列が出来る間もないくらいに、ずら〜〜りと見事に並んでいて、
 頼もしい限り。
 手洗いの他に、お化粧直しが出来るカウンターも、ずらりとあるので、
 これもありがたいことだ。
 
 昼の部の源氏物語、
 昨年の名古屋に比べると、随分とすっきりまとめられており、
 演出役の團パパが不在だった影響をみた思いがする。
 ただ、この日の光の君のお化粧が、なんだか困りへの字眉だった気がして、
 なんなのさ?と笑ってしまった。
 いつもこんなもんだったかな?
 それでも、目の前で繰り広げられる王朝絵巻にいつしか引きこまれ、
 菊ちゃんの藤壷に泣かされてしまう。
 夕顔役の松也くんは今年二十歳のワカモノだが、
 海老松のラブシーンは、海老菊のラブシーンとはまた趣が異なり、
 ああ、そんな!いけません!みたいな展開にクラクラ。
 というか、光の君のその右手は〜!みたいな襲いかかりぶり。
 あまりにも目の前だったので、思わず見入ってしまったことだ。
 (まあ、お相手が藤壷と夕顔では、おのずと態度も違おうものだが)
 桐壺帝は、やっぱり團パパによく似合う。
 全てをのみこむ大らかな帝の風格とでもいうのか。
 御園座では、どなたが?と博多でずっと思い出そうとしたのだけれど、
 どうしても出てこない。
 帰宅後に筋書きを確認すると、がんじろはんなのであった。
 そうだそうだ。
 思い出せなくて、すんません・・・。
 

 昼と夜の合間に、ちょっと散歩。
 そのまま夜の部へ。
 かなり前の方の席ではあったが、上手寄り。
 むむむと思っていると不安は的中。
 花道が、ものすごく遠い〜のであった・・・。
 横幅は、南座の倍はあるんじゃないか?
 これよりさらに上手にも席はたくさんあるけれど、
 そこは国立劇場だと二等席になるんじゃないか?と愚痴りたくなるほど。
 およそ半年ぶりの海老蔵のにらみは、なにか凄みが増しており、
 本当に厄がおとせそう。
 助六は、揚巻の道中も助六の出端も、花道が妙に遠く感じたが、
 それでも、まさに今現在この時しか味わえない、美しい舞台だった。
 博多座は、どういう加減なのか、音響が良いというのか、
 独特に高音の響く劇場みたいだ。
 なので、花魁に付き従う子供(かむろちゃん)の声や、
 菊ちゃんをはじめとする女形さんの声は、キンキンするくらい響く。
 一方助六の海老蔵の台詞は、ボンボンとこもって聞こえて、
 なんだか違和感があった。
 歌舞伎座では、あんなに大きく良く通る海老声なのに、なんでだろ。

 遠征すると思うのだけれど、
 こうして遠く、博多や京都や、あちこち飛んで、
 ろくに観光もせず、日がな一日劇場にこもって、
 勿体ないか?といえば、私にとっては、そういうことは全然なくて、
 今、自分が一番いたいと思う場所にいられる嬉しさというか、
 そういう幸せ感でいっぱいになってしまう。
 多分大馬鹿なんだと思う。
 今日も、ここ博多座で一日過ごせて、本当に嬉しかった。

 お隣のおばさまと、話してみると、
 なんだか妙に気があって、楽しい。
 昼の部を見て、どうしても夜の部も見たくなって、
 急遽一枚だけ手に入った夜の部のチケットで1人観劇中とのこと。
 昼に一緒だったお友達は先に帰ってしまったらしく、
 あらまあ、お好きなんですねえ〜、
 そういうあなたも東京からなんて、本当に好きなのねえ〜
 でも観られてよかったわよねえ、きれいよねえ、いいわよねえ、
 みたいな感じで、あれこれ盛り上がり、
 ちょっとオカンと一緒に観劇してるみたいな気持ちになった。
 年齢を超えた、プチ友情も芽生えたりする旅の空。

 幕切れと一緒に、劇場を猛ダッシュ!
 地上4階にある劇場から地下鉄まで、ともかく一気に駆け下りる。
 大本命の電車は、今まさにドアが閉まるところ。
 ああ〜間に合わなかったか!と思いつつ、
 思わずバスにするみたいに、待って〜と駆け寄ってしまったのだが、
 驚いたことに、一度閉じたドアをもう一度あけてくれた。
 ああ、博多はなんてよかところばい!人情たっぷりばい!などと、
 胡散臭い(というか多分ウソの)九州弁で感激してみる。
 この電車に間に合えば、9:05締めきりの搭乗受付には充分に間に合う。

 朝の予習が、ここできっちり生かされ、
 迷うことなく、スムーズにチェックイン。
 お土産の稚加栄の明太子まで、ちゃんと買えた。
 (でも、月末に博多に行くことは同僚にも話してあったが、
  さすがに、今回の日帰りのことは、言い出せず、
  歌舞伎な友達以外には、誰にも言わずに出かけたのだった。
  なので、明太子も内緒で独り占め)

 無事に東京に帰り着くと、
 朝の三時半に起き出した事が、遠い昔のことのように感じられる。
 長い一日だったなあ・・・。
 
 翌朝は、さすがに起きるのが本当につらくて、
 ベッドに体がめりこんで、もうここから出られそうにないよ〜と思うほど。

 やっぱりせめて一泊はしたかった。

 その後の週は、NHKホールで、ユーミンのツアーのファイナルを堪能。
 今日は「静かなまぼろし」という曲が、どうしうようもなくジンジンして、
 まいったまいったなのだった。

 ムシムシジメジメするけど、梅雨に滅入っている場合じゃないな。
 今週は、歌舞伎座と、博多座で、水無月のしめくくり。
 
 

 






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2005年06月15日(水) 日帰り博多危機一髪?予習の巻。

 湿度の高いジメジメした気候のせいか、気分はどこまでもロー。
 おまけに遅れていた月のご挨拶も、やたらと重くて辛くて眠くて、
 どんよりとした月初め。

 楽しみにしていたコクーン歌舞伎も、
 あまりのローな気分と体調のせいで、キャンセルしてしまいそうになる。
 それでもダラダラと仕度して、ノロノロと出かけて、
 ともかく時間に間に合い、無事に観劇。

 ほほう、これがコクーン歌舞伎かあ。
 思っていたよりずっと歌舞伎だった。
 面白く観劇して、少し元気が出たので、
 帰りにブックファーストに寄り道。
 久々のでっかい本屋さんで、普段ならハアハアして大変なところだが、
 さすがにローなせいか、あまりの膨大な量に今更ながらボーっとなってしまい、
 棚をつらつら眺めただけで満足してしまう。
 普段の私なら、こんな大きな本屋で、一冊も買わずに帰るなんて、ありえない。
 よほどのローぶりなのだろうと、他人事のように思う。

 元気が出ない理由をいくつか考えてみる。
 梅雨の湿度。
 職場方面でのの地味に尾を引く悩み。
 目標にすべきニンジンが、ちょっと遠くにあるので、刹那的な馬力が出ない。
 他にもいろいろ・・・。

 今月、海老蔵襲名披露はいよいよ大きな区切りを迎え、
 博多座での一ヶ月の舞台で、大劇場の興行は一段落する。
 博多は私の中では「とても遠い所」というイメージがあったので、
 二泊くらいはしないと行けないところと思いこんでいた。
 なので、博多座へ行く予定は月末に二泊、
 千秋楽を観ることにしていた。
 
 でも、いざ舞台がはじまり、ちゃんと調べてみると、
 博多座はそんなに遠いところではないということが判明。
 狭い日本、充分日帰り観劇可能圏内だったのだ。

 振り返ってみると、大阪も名古屋も京都も、
 遠征は月に二回づつ行っていたことに気が付いた。
 意識していたわけではないが、それくらい時間も体力もお財布の中身も費やして、
 ああ、観た観た!と実感できたみたいだ。
 本当はもっと行けたらいいけれど、それは無理なので、
 「これだけやったんだから、満足しようよ自分」というところか。

 なのに博多に行くのは、まだ先。しかも一回。
 待ち遠しい。
 なんとか今からでも、もう一度くらい行けないものか?
 そう思い始めたら、そのことで頭がいっぱいになり、
 今からでもチケットが手に入る、あらゆる可能性を考えてみる。
 席を選ばなければ、まだ残り席はあるみたいだ。
 でも、せっかく遠征するんだから、それなりに見応えのある席がいいなあ。
 うーん。
 そんなこんなで、智恵をしぼり、グルグルしはじめた翌日、
 神様がホイっと与えてくれたかのような、
 まさに望んでいた通りのチケットを譲っていただけることに。
 ビックリ!
 きゃほー!ありがとう。

 あんなに行きたかった博多に、行けることになった。
 さあて、どんな方法で?
 頼りにしていた、格安ツアーパックというのは、
 総じて10日前が申し込みの締め切り日。
 目前に迫った観劇日には、間に合わない。
 日帰りするとしても、飛行機の早割や得割は締めきりが過ぎており、
 かなり割高な正規料金で行くしかないようだ・・・。
 往復6万という交通費は、泣ける。
 ああ、やっぱり無理な遠征を企んだばっかりに、
 これも、高い授業料と思って諦めるか・・・と溜息をひとつ。
 その時、ふと「スカイマーク」という単語が閃いた。
 そうだ、あそこを調べてなかった。
 結局、ありがたやスカイマークエアラインのおかげで、
 正規料金の半額以下で行けることになり、ホッと一安心。
 
 うきうきしつつ、下調べに余念がない。
 行きはともかく、帰りはかなりな綱渡りタイムテーブル。
 地下鉄の出口ひとつでも、間違えたらアウトだと思われる。
 とはいえ、博多座へ日帰り遠征というのは、
 舞台の魔力に取り憑かれた人々にとっては、常識といえるらしく、
 調べてみると、大勢の日帰り観劇猛者の体験談を発見。
 とても参考になった。
 博多座は、地下で地下鉄に直結しており、福岡空港まで9分(!)という、
 本当に素敵な立地。
 
 あとは、朝着いた時点で、ちゃんと下調べ&予習をしておけば、
 きっとちゃんと行って観て帰ってこられる。

 友達が、おすすめ明太子を教えてくれたし、
 現地在住の友達とも会えることになったし、
 銀行で「もしものお金」もおろしてきたし。
 
 実行の巻につづく。


 






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2005年06月01日(水) 水無月に。

 先日のNHK古典芸能鑑賞会。こんな内容。
 実に見応えたっぷりで、盛りだくさん。
 能を見るのは初めてだったが、
 あの独特の空気感が心地よいものだなあと思った。
 「鼓の家」(今年初めのNHKのドキュメンタリ)で一番すげえ!と思ったのが
 大鼓の亀井 忠雄さんだった。
 画面からでも伝わる、静謐な空気と、それを切り裂く鋭さ。
 今回生で観られて、嬉しかった。

 ナビ役の茂山逸平くん、童司くん。
 逸平くんは、何度かテレビで見たことがあったけれど、
 好感のもてる声と、わかりやすいナビぶりで、にっこり。
 花道が近い、観やすい席だったのも、大きいかも。

 舞踊「新版酒餅合戦」というのは、
 酒とお餅がどっちが偉いか喧嘩して、大根が仲裁に入るという、
 とっても可愛らしくもユーモアのある踊りで、
 酒の三郎は長唄、餅を常磐津、大根姫を義太夫が受け持ち、
 丁々発止のやり取りが繰り広げられるというもの。
 いやあ、豪華で楽しくて、びっくりだった。

 三枚続廓賑の幕は、
 新潟、京都、江戸という、三つの花街から、
 きれいな姐さん達が、大勢お出ましでの、艶やかな競演。
 それぞれの花街の、味わいがあり、美しくてうっとり。
 最後には、姐さん総出演で、キレイきれいな舞台だった。
 はあ〜。

 この日の場内は、普段の歌舞伎座の初日や楽とも違う、
 何やら独特の雰囲気が漂っていた。
 皆さん、各々踊りや三味線や芸事をたしなむつながりか、
 もしくは花街のつながりか、
 着物姿も多くて、
 普通の私みたいな、「古典芸能にふれてみましょう」的なテンションの人は
 とても少なかったと思う。
 女優さんも何人か(香山京子さん、波野久里子さん、マゲものでは有名な藤村志保さん)、
 他にも、とにかく顔を見知っている伝統芸能関係の方が続々だった。
 幕間に、ロビーで小学生が「まい泉」のカツサンドを食べており、
 お、いいなあ、なんて思って見ていたら、
 それは信二郎さんの息子さんの隼人くんだった。
 俳優祭でじゃんけんしたね〜とか話しかけそうになったが、
 怖がられそうでやめておく。

 いよいよ「舟弁慶」。
 歌舞伎がはじまると、私もスイッチが切り替わるというか、
 やはり期待も膨らんで、ドキドキ。
 ちょうど近くに、本日の主役の富十郎さんの奥さんが座っていらして、
 6月に歌舞伎座に初お目見えの長女愛子ちゃんも。
 これがまた、ちっちゃくて赤ちゃんっぽくて可愛らしい。
 歌舞伎のお家の子は、こんなにちっちゃくても、よい子に見ていられるのか?と
 ビックリしたが、
 やはり途中で小さな声で「あ〜」なんて言っていて、
 すぐに外に連れ出していた。ふふふ。
 舞台でも、だっこされてお目見えするんだろうなあ。
 トミーは、踊りの名手と言われるだけあって、やっぱり凄い。
 この声と若々しさは、驚異だ。
 途中で、舟の漕ぎ手が登場し、漕げども漕げども進まぬという場面。
 なんと漕ぎ手の中に、ちっちゃい子供が。
 これはトミーの長男大ちゃん(6才)だ。
 ひやーちっっちゃい。
 トミーが1929年生まれ、大ちゃんは1999年生まれ。
 出来るだけ、一緒に舞台に立っておきたいんだろうなあと思う。
 大ちゃんも、小さいながらそれをよくわかってるみたいで、
 楽しそうなのがにじみ出てた。
 後見さんに支えてもらってないと座ってもいられない、ということは無かったが、
 向きをツツーっと置物みたいに直されたり、
 立ち位置をすすすーっと直されたりしていて、
 その都度場内に笑いが起こる。
 私も思わず、小さくぷっと吹いてしまった。
 後見さん狙ってた?というくらい、コントみたいに可愛らしい。
 思わず、奥様を見てしまったが、ハラハラして呼吸もしてないくらい?に固まってた?
 人間国宝の父、6才の長男、見守る母、
 生「スーパーテレビ」みたいだ〜と思う。
 舞台も良かったけど、なんかそんなことばかり見てしまって、
 ミーハーには伝芸ツウへの道は遠く険しいのであった。

 (この日のもようは、8月28日に放送予定。大ちゃんの大奮闘も含め、
  ザ・古典芸能な舞台が見られると思う)
 

 

 林真理子「花」が文庫化されていて、
 手持ちの文庫が切れた外出先で購入。
 思いがけず「海老さま」時代の十一代目のじいちゃんが登場したりして、
 ニヤリ。
 そして、引きこまれて一気読みしてしまった。

 実は正直、林真理子大好きなんてことは全然なくて、
 独特のいや〜な味わいに、むむむとなることも多かったりするが、
 それでもやっぱり読ませてくれるぜ、まりこ。とか常日頃思ってる。
 最近、半身浴にはまっていて、
 大事な本だと、お風呂場に持っていくのが嫌だし、
 でも面白い本じゃないと、お風呂で読むのは難しい。
 そんなお風呂タイムに読み進めたが、
 途中から止まらず。

 「花」に描かれている、女として母としての生き方と夢をたくす連鎖に
 身につまされてしまった。

 私自身、母の「女の生き方」とか「女の幸せ」に対する想いを、
 脳みその奥の奥に染みこまされて(?)育った気がする。
 (よく、女性でも手に職があれば、強く生きて行けると言ってた)
 そうでなかったら、絶対今の仕事していなかった。
 多かれ少なかれ、そういう親の思いは、色々な形で子供に反映される。
 私は、未だに道半ばで、これが良かったのか悪かったのか、よくわからない。
 ずっとそんなことわからないかもしれないけれど、
 そんな心の奥のどろっとしたところに、ずばっと素手でふれられて
 読み終えた夜中に動揺。
 真理子、やってくれるね。

 カレンダーも六月。
 コクーン歌舞伎「桜姫」、歌舞伎座、ユーミンNHKホール、博多座、予定。
 まったりの水無月と思っていたけど、そうでもないみたいだ。


 






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