川底を流れる小石のように。 ~番外編~ 海老蔵への道!
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2004年09月29日(水) |
☆御園座千秋楽から、パパ退院、怒濤の月末☆ |
25日(土) 宅急便でJTBから、旅のしおり等、詳細書類の束が届く。 一人テンションがあがり、うきゃー!などと喜んでみるが、 同封された請求書のことを思うと、力が抜ける。 ともあれ、小さな「旅のしおり」を細かく読んでニヤニヤする。
26日(日) 今朝も私は「ぷらっとこだま」。 割引は魅力だが、2時間で行けるところを3時間かけて、というのはどうよ? 体力奪われるし、今後これを利用するかどうかは、要検討。 あまり時間がないので、昼用に駅弁購入。 御園座で友人と合流。
少し後ろめの席で、源氏物語。 何を見てきたんだオマエは!と叱られそうだが、 朧月夜の菊ちゃんが、思いがけず久々に海老蔵源氏に会える場面。 朧月夜が光の君に、いとしげに儚げに口づけするシーンがある。 この時、菊ちゃんは客席にうしろ頭を見せ、2人の表情を伺い知ることは出来なかったが、 ガッシリした光の君にたいして、菊ちゃんの朧月夜が、 ほんと~うに華奢で可憐で儚げに寄り添うのが、たまらん! くら~っときてしまうシーンであったことだよ。
昼の部と夜の部の間に、友人とあーだこーだ言いつつ休憩。 明石に旅立つ幕切れの場面、こないだも今日も、海老蔵の涙具合が絶妙で凄い! 泣き崩れるでもなく、今ひとつ涙出てないし、でもなく、 はらりハラリと、二粒三粒、感極まってこぼれる涙加減が、実によい。 私は、海老蔵は感性の人で、なりきり入り込みで演じるタイプなのか?と思っていたが、 もしかするとそうではなく、研究熱心だと誰もが言っていることだし、 実は、あれは鍛錬の賜の頭脳プレイなのかも? それぐらい、いい塩梅の、美しい涙なのだ、これが。
そんな鍛錬の話をしてると、友人が「私は元禄見得が出来る」と言いだした。 わーすごいすごい!見せて!とお願いすると、 れいの、きゅうっと寄り目になってから、片目だけきゅうっと戻す、あの目を、 見事に披露してくれた。 す、すげえーー! これは、多くの人に自慢できる、素晴らしい一芸だよ!と感心しきり。 練習のポイントや、コツを教えてもらう。
しかし、妙齢の乙女が一人、それを練習するの巻ってのはどうだ。 Mちゃん、それを練習してる貴女の姿を想像しては、笑ってしまいます。 けれど、本当に素晴らしかったよ。
夜の部。 助六史上、私が最も近くで観られた日となった。 なにしろ舞台が目の前。 なので熊谷陣屋も、じっくりたっぷり堪能。 歌舞伎には、本当にこういう切なく哀しい物語が多いのだなあー。 私も思わずもらい泣き。 (その後、また芸達者な友人が熊谷直実の真似をしてくれて、 それがのけ反るほどそっくりで、たまげたのだった。)
幕間にママの笑顔が見られた。 今日も素敵な着物姿。 裾に、なんというのかしら竜胆のような美しい色が入った感じが、素敵!
口上。 お馴染みになってしまった、各役者さんの口上も、 さすがに千秋楽は、引き締まって感じられた。 けれど、ジャッキーったら「海老蔵は当年とって26歳、まだまだ若うございます」のところ、 「当年とって16歳」と言いかけて、慌てて言い直してた。ふふふ。 隣の海老蔵も、思わず俯いたまま笑ってしまっていて、 あんなニンマリ顔、口上で見ちゃったぜーと、こちらまでニヤニヤ。 楽だもの、團パパの退院の報告とか、ないものか?と思っていたが、 ジャッキーもがんじろはんも、トミーもいつも通り。 そうかぁ・・・と思っていると、突然菊ちゃんが、語り出したではないか。 今まで「共に精進してゆく所存でございます」という感じで、短くなることはあっても、 多くは語らなかった菊ちゃんが! そう思ってみれば、先日は口上の時でも女方オーラキラキラフェロモンプリプリだったのに、 今日はどことなくキリリ!と男らしく見える。 「五月にお父様の團十郎さんが倒れられ、 間近にいて海老蔵さんのご心中はいかばかりかと、案じておりました。 この度團十郎さんも、無事に退院され、 10月にはパリにて、團十郎さん海老蔵さんとご一緒に 鳥辺山心中と口上をつとめさせていただけますことを大変嬉しく思います」というような、 決して滑らかな口調ではなかったが、それだけに心のこもった、良い口上だった。 菊ちゃん、海老ちゃん、 もう、おばちゃん涙なみだだったわよ。 たのやんも、今日はコックリすることもなく、きっちりパリについてもふれ、まとめてくれた。
そして、にらみ。 これがまた、私も友達も、今まで見た中でいっちばん!と思ったニラミであった。 付け打ちさんと息があっていて、息が合ってるとか思うスキもなく、 気迫のこもった、力強い、気持ちよいにらみだった。
助六。 海老蔵の花道力ついては、何度も書いたが、 菊之助の華やかさというのも、格別。 ことに揚巻の道中、花道の出は、切なくてあでやかで、時分の華そのもの! 城が傾くと書いて「傾城」と読む、まさにそのものの美しさ。 こないだも、この出を見てうるうるしてしまったが、 今日は、先ほどの口上の後でもあり、 花道で輝く菊ちゃんを見ていたら、 この何ヶ月かの菊ちゃんも、随分頑張ったよなあーとしみじみしてしまった。 一月、玉三郎さんと毎日毎日踊った、二人道成寺。 あれは、見てるこちらを、なんというか熱くさせる舞台だった。 その後も、しなやかな山神や、キラキラ涙のおなぎ、可愛い信夫(だっけ?)、 次々思い出されてくる。 襲名したのは海老蔵だったけど、菊ちゃんも一緒に頑張ったし大きくなってると思う。 ああ、この姿、菊ちゃん贔屓のK様や、うちのおかんにも見せてあげたい!
助六は、花川戸助六のアンバランスな魅力が満開。 あの粋な衣装の中が、チラッと見えてしまって、赤褌にくらり。 意休に「抜け抜け!ぬかねえかーーっ!」というところの前に、 「こいつは面白くなってきた!」と言ってるの、はじめて聞いた気がする。気のせい? 他にも、白酒売りの台詞や、助六とのからみ、ちょっとずつ違ったり、削られてたり。 帰り道、友人とあそこ、ここ、と話すのもたのし。
揚巻と助六のツーショット。 結局今月は舞台写真が(海老蔵のは一枚も)でなかったので、 ここ!とばかりに脳内プリント。 (その後、今月の「演劇界」にも、モノクロ一枚すら海老蔵の写真が無くて、びっくりだった。 何があったのだ?さびしいぞ。)
ともかく無事に千秋楽も終え、 小雨の御園座を後にしたのだった。 新幹線のホームの待合室で余韻にひたりつつ、新幹線を待っていると、 段四郎さん亀治郎さん親子がやってきた。 思わず、お疲れさまですと声をかけたくなるが、本当にお疲れだろうとそっとすることに。 さらに田之助さんまでやってきて、 なんだか豪華な待合室なのだった。
体はきつくても、遠征バンザイだ。
27日(月) バタバタしていたせいか、ひとつきぶりにデート。 新宿ルミネの青山ブックセンターはどうなってしまったの?と悲しがっていたら、 ブック1stになって復活していた。 居抜き(というのか?)なのか、ABCの趣のままのブック1stだった。 夜11:00まで開いてる本屋さんら~ぶ。
28日(火) JTBに振込。 これで、すっからかん。。。 29日(水) JTBにファックス。 美術館見学、ルーブルとオルセーどちらにするか選ぶのだが、 それはもう決めていたので、問題なし。 それと一緒に、「海老蔵さんへの質問」を書く欄があって困った。 ずっと考えていたのだが、結局へっぽこな質問しか思いつかず。 自宅のファックスがあやしくて、職場からこっそり送る、 めちゃくちゃ恥ずかしかった。 挙動不振すぎて同僚に心配されるも、これこれで、と事情を話すと、 その質問かわいいーー!と大笑いされてしまう。 とほほ。 午後、仕事をしていたら、あれを聞くんだったこれを聞けばよかったと後悔。 しかし抽選とのことで、どうせ当たるわけないと気が付く。
帰宅すると團十郎さんが退院とのこと。 今月はじめには退院の予定だと聞いていたが、随分遅れたんだなあ。 でも、よかった、よかった!
明日は、パリの友人のお土産に、彼女の好きなおせんべいを買っておかねば。 フランス人なのに、おかきが好きなおちゃめな奴。
もう明後日は10月だ!
日帰り遠征後、丸1日ちゃんと休養日があったので、助かった。 7月の遠征の時は、こんなのどうやってこなしたんだっけ?と思ったら、 日記をあんまりちゃんと書いていないのだった。 遠征後の疲れを回復すべく、ひたすら余分なことは省略したらしい。 こんな日記でも、記録として書くのはエネルギーが必要とみえる。 今日一日働けば、木曜はは秋分の日。 そう思って、地道に仕事していたら、夕方嬉しいメッセージが入っていた。 12月の南座大作戦の、その後の進行状況について。 その内容が嬉しくてうれしくて、夕方からは時間が過ぎるのが早かった! うひひ。ありがと。
ところで、せっかくデジカメ買ったというのに、 画像がアップできないまま今日に至る。 どう考えても情けないので、 圧縮したり、アップしたり、うろうろしてみた。 慣れないことは疲れる。
たった一枚、ともかく圧縮できたこの写真は、 この夏休み、実家の台所のベランダでツヤツヤ育っていたシシトウ。 母が収穫しようとしていたところろを、待って~とパチリ。 私のノンキな夏休みを象徴しているような一枚だ。
2004年09月21日(火) |
御園座 吉例顔見世 夜の部 |
昼の部の終演が2:45くらいか。 夜の部開始まで、一時間以上ある。 ぶらぶらと御園座の裏手のヒルトンホテルへ。 一階のラウンジでお茶することに。 3時からのご予約ですか?と聞かれて、へ?とびっくり。 予約ではないと告げると、別の列に並ばされた。 ここ、ホテルの一階にありがちなラウンジに見えたが、 間もなく外人男女二人組のデュオの生演奏などはじまって、ほ~だった。 昼の部の余韻をかみしめつつ、ひと休み。
コンビニでおにぎりやお茶を調達して、再度御園座へ。 昼の部の時、地下の食堂から帰ってきたと思われる隣のご夫婦が、 なんだか凄く油臭くなっており、萎えてしまったので、 夜の部は手羽先とおにぎりと、御園座名物アイス最中に決めたのだ。
「熊谷陣屋」
こんながんじろはん初めて観た。 團パパの代わりに初役なんだそうだ。 それに、こないだ稚魚の会で観たのと違う。 型が違うんだそうだ。 稚魚の会で観たときに思ったのだけど、 三階さん達の時は、役者さんそれぞれが登場したときの役柄の格というのが、 どうも現れていなかった。 普段見慣れた大歌舞伎だと、そのあたり意識したことがあまりなかったが、 当然のごとく自然ににじみ出ているものなのだなと実感したのだった。 その点、今月は、すっと重みや格が感じられて、心地よい。
けれど、今朝の四時半起きがたたって、あちこち記憶がない。 とほほ。
この幕間で、御園座名物最中アイスを初体験! さすがに名物と言うだけのことはある!うまーーい! 最中が香ばしくて、サクサクッとしていて、 小倉にしてみたのだけど、程良い甘さとミルク加減で、とても幸せ~な気持ちに。 ロビーでは、こんなお土産もあるくらい人気らしい。 これで、私の御園座イメージがぐぐんとアップ。 他に印象深かったのは、パビリオンの制服?みたいな、お帽子にワンピース姿の、 色々ご案内してくれるおねえさん達。 そして、連休のせいもあってか、この日の御園座は大賑わい。 一階の通路という通路は補助席で埋まっており、狭いし歩きにくいし、 幕間に出ようと思っても、はけないはけない。 おまけに座席での飲食禁止完全禁止とのことで、 短い幕間に、補助椅子をかき分け、ロビーのソファを確保して、お弁当を食べるのは、 歌舞伎座に慣れた身には、ちょっと面倒だった。
「口上」 海老蔵、ちょっと見ない間に、またひとまわり大人っぽくなってた。 五月の明るい華やかな顔、パパが倒れてからの切実に引き締まった顔、 大阪での目一杯ぎりぎりなのかも?な顔、思い出す。 それがまあ、短い間にこんなに立派になっちゃって・・・。
ジャッキー今月も頑張ってくれてる。 パパの分も含めて、親戚として、こうして毎月口上を仕切ってくれて、 暑い日も多かったし体調の悪い日も多かろうに、ありがたい。 今月、海老蔵のお隣は田之助さん。 五月、田之助さんは上手に座っていて、口上を聞いてしみじみじんわりしたのだが、 その直後、順番が下手に移っていくと忽ちコックリ居眠りされていて、 たのやーん!それはどうよ?と思ったのだったが・・・。 今月は中央。海老蔵の隣。 ドキドキしつつ見守っていると、やっぱりたのや~ん!であった! 昼の部は大活躍、夜の部だって助六の母・満江で大活躍だからお疲れなのかもしれないけど、 たのや~ん!
亀治郎さん、男女蔵さんは初めて列座。 2人の、まさかり髷姿が新鮮に見えた。
菊ちゃん、今月はちょっと違う! 何しろ昼・夜とも、美女役三昧。 そのせいかどうなのか、立役姿の口上ではあっても、 オメメぱっちりうるうるで、ほっぺツヤツヤで、あふれ出る美女ぶり。 なんか菊ちゃん、すごいい!かわいい! 美女フェロモンたっぷりだよー。
海老蔵のにらみも、落ち着いて迫力が増していて、 私の席のまわりの、初海老蔵体験と思われる若い女性達は、 大満足・大感動の様子の人が多かった。
まわりの席といえば、この日近くにお着物のオバサマ方が多くて、 常に扇子を使っていて、 香水の臭いがきつくてきつくて、かなりのダメージを受けた。 なにしろ食いしんぼう万々歳の私が、食欲を無くし、夜を食べられない程。 その後、長い助六の間に頭痛までしてきて、 二時間、頭痛薬がどれほど欲しかったか。
「助六」
いやあ、どんなに待ちこがれて楽しみにしていたか。 菊ちゃんの揚巻姿の花道の出、うわーーー!キレイ! あのうるうるの目が、ほろ酔い揚巻の色っぽさをたっぷり現し、 充分な揚巻ぶりだった。 せりふの言い回しは、玉三郎さんそっくり。 六月ひたすら見続けて、勉強したのだろうなーと思うといじらしい。 けど、まだ「なぞっている」とい感じから抜け出せず、 本舞台にあがってからは、やや説得力や大きさに欠ける気がした。 魅力であると思う声も、力んでキンキンして聞こえたし、 これから京都南座顔見世での二度目の揚巻に向けて、どうかわってゆくのか。 あの花道での煌めきを、本舞台や台詞でも、魅せて欲しい。
菊ちゃんの揚巻の衣装については、ここを読んで、ほほーと思っていたのだが、 背中の海老が、玉さんのよりも随分ちっちゃくて、菊ちゃん・・・!と微笑ましかった。
助六の出端。 花道も近い席で、劇場も小さいせいか、助六が大きく見えた。 美しい型の極まりの時々に、はっ!と海老蔵の息つかいが聞こえて、ドキドキ。 歌舞伎座6月の時には、なかなかこんな席はとれなかったので、 無理して遠征して、よかったなと思う。
もう助六そのもの。 流す汗から、動作の一つ一つが、どこまでも助六で、 もうすぐ半年なろうかという襲名の道のりが、確実に血となり肉となってる実感。
白玉の亀治郎さん、きっちり。 富十郎さんのくわんぺら、好きだ! トミーの年齢を忘れさせてくれる若々しさ、かっこいいー。 海老助六と並ぶと、こんなに背が違うのに、張りや何かで大きく見える。 松禄さんの白酒売り、思ったよりもずっと良かった。 おっとりの長男と、はしっこくて要領がいい、憎めない次男みたいな構図。 くずさずにきちんとやっていて、でも愛嬌や品がちゃんと感じられた。
何度観ても、助六はいいなあ。
満足な一日だったが、夜が最中アイスだけだったので、ふらふらに疲れた。 御園座は、外に出てから地下鉄への途中に楽屋口があるので、 そこは大混雑。 新幹線の時間に余裕があったので、遠巻きに待ってみた。 実は七月の松竹座で、自分の誕生日に初めてサインをもらったので、 今月は遠慮して出を見送るだけにした。 松也君は、今月も早めに出てきて、にこにこと対応。 地元の人かな?と思われる女性達は、松也君があの並び傾城と知らず、 人に言われて、あわてて写真をとりに行ってたり。 ひたすら海老蔵を待つ人がとても大勢で、凄い熱気だ。 ようやく出てきた海老蔵は藍色の作務衣に黒縁めがね。 眉毛がないのが、役者さんっぽい。 額にはぶたえの後がまだうっすら残り、助六の余韻なのか顔を落としたせいか、 目がうるんでる。 黙々とサインの嵐に対応する海老蔵に、 遠くから「おつかれさん。あと6日!」と勝手にエールを送り、 一足先に帰路につく。
外に出ると、香水頭痛もおさまり、ちょっと元気が出た。 帰りの新幹線は、のぞみなので速い速い! 興奮したまま、昼の部の日記を書いて寝た。 今日は、どっときて随分眠った。 次は千秋楽だ。待ってろ名古屋!
画像も、ちょっとアップ。 ポーチに入れて持ち歩くミラーが欲しかったので、 気に入ったのが買えてほくほく。
2004年09月20日(月) |
御園座 吉例顔見世 昼の部 |
名古屋へ、初の御園座へ、行ってきた。 勢いのままに、もう、ネタバレぶりぶりで感想を。
初めて足を踏み入れた名古屋は、トロッと濃い街だった。 色彩とか、ファッションとか、人柄とかが、なんとなくトロッと。
「ぷらっとこだま」安いだけあって、すごくのんびりした新幹線だった。 駅で6分とか平気で止まるし。 でも、そんなのもお構いなく、ただただ眠りこけていると、 けたたましい携帯の着信音と、その後に続く1オクターブ高いオババの遠慮無い話し声に起こされる。 なんでも、むかえに来れなくなった誰かさんかららしく、 それを聞くなり「ええ~~~~!」と凄い悲鳴! 悲鳴で目覚めるなんて、ヤな気分。 そして、窓の外は名古屋なのであった。
早めに着いたので、駅前のマリオットアソシアホテルで、モーニングセット。 何しろ、この時の私は清潔なお手洗いを切実に欲していたので、的確な選択だったと思う。 高島屋が開くのを待って、「しら河」でテイクアウトの「ひつまぶし」。 そして名鉄にも寄って、「風来坊」の手羽先も購入。 地下鉄で一駅、「伏見」で降りると、もう御園座だ。 なんというか、トロッとした劇場の佇まいで、ほほーと思う。 松竹座とはまた、ひと味違った客層で、トロッと濃くけたたましいみたいな。 そして、湿度が高いせいか、蒸し暑い場内。 この後、一日、暑いか寒いかで、調度よい時間が少なかった気がする。
さて、昼の部は「源氏物語」三幕。
ネタバレ反転。(特にGちゃん、これ読まない方がいいと思うよ)
源氏物語は、2003年の南座以来。 あまり期待せず、フラットな気持ちでのぞんだ。
冒頭のシーン、暗いままの舞台、 薄い紗がかかったような幕の向こうに、スポットを浴びた光の君が一人・・・。 ちょうど私の正面、ソフトフォーカスでますます美しい源氏姿の海老蔵だ。 二ヶ月ぶりかーと思ったら、しみじみ嬉しくなって、素直に物語に入り込めた。
なんというか、これ、昼のメロドラマみたいだ。 きっと歌舞伎に詳しい人や、源氏物語に造詣が深い人、思い入れのある人には、 はあ??な部分も多いのだろうと思われる。 幸か不幸か、私は高校の時から理系クラスで、 文系の授業は寝てるか読書に勤しむか、 ともかくひたすら不真面目に過ごしてきた。 なので、自慢じゃないが何の知識もゼロのマッサラな状態。お恥ずかしい限り。 おかげで、「ファンタジックに描く王朝ラブストーリー」な舞台を、それなりに楽しめたのかも。 だって、次々ハラハラすることや、ありえなーい!ことが起きるし、 意地悪キャラあり、敵キャラあり、か弱い女キャラから、気高い女キャラまで、 さらに優しい兄やら、偉大な父の死やら、盛りだくさん。 顔ぶれ充分。 まるで連ドラを見てるみたい。 (それが良いか悪いかは、また別の話) そして、それらの登場人物のエピソードを盛りだくさんにしたせいか、 暗闇に、浮かんでは消え、浮かんでは消えする、美しいコラージュを見てるようだ。 (というか、比喩じゃなく、それだけ激しく暗転が多いのだ。とほほ)
と、ほめてるのにけなしてるみたいな感想はこれくらいにする。
亀治郎さん、葵の上にピッタリ! あの打ち解けない感じから、最後のつかの間の愛まで、実によかった。
扇雀さん、扇千景さんにそっくりの面差しで、六条御息所を好演。 生き霊になったあたり、席が近かったせいか鳥肌ゾクゾクだった。 (琵琶と唄には、別の意味でぞくぞくしたが・・・。)
朧月夜の菊ちゃんは二幕目から登場! はかなげで美しい朧月夜。よよよー。 源氏と朧月夜のシーンは、欠かせないっす。 儚げに、白いうなじを見せつつ、切なく身をよじる菊ちゃん。 がっしりとささえつつ、しっかり覆いかぶさる海老。 くうーー。 これって、通し稽古の時とか、 顔もしないで、浴衣とか着て孝俊・和康 はやったんだろうか?とか、 まあ、あらぬ事を考えてしまうには、充分すぎる暗転があるわけで。 それをプルプル追い払っても尚、見応え充分の二人。
そして、なんといっても全部持っていってたのは、田之助さんの弘徽殿太后であった。 最強。
三幕目。 秋の野で一人もの思う光の君が、失ってはじめて父君の愛の深さ、暖かさを思う台詞。 團パパのこと思わずにはいられない。
最後の場面、深まる秋の中、降りしきる黄金色に色づく銀杏の葉。 三之助(旧だけど)そろい踏み。 けなげに懸命に追いすがる朧月夜と、それに応えることが出来ず涙にむせぶ光の君。 あの涙のハラリとこぼれる風情が、あーなんて光の君! (こんな、あほアホした見方で、申し訳ないです本当に。)
連ドラダイジェスト風味も楽しかったけど、 また一味違う源氏物語も、ぜひぜひ観てみたい!
こんな風に、楽しかった昼の部。
「ひつまぶし」も、美味しかった。 指示通り、まず軽くかき混ぜて、美味しい鰻ご飯としていただく。 次に、海苔・ネギ・わさび・山椒など、たっぷりの薬味をかけて、違った味わい。 さらに指示通り進めば、この後お茶漬けなわけだが、それはあきらめる。 想像しただけでも、美味しそうだ。
この週末、両親が上京する予定だったのだが、 彼らは予定がビッチリらしく、私も名古屋遠征をひかえていることもあり、 今回は会わなくてもいいやね、ということになっていた。
ところがどうしたことか、月曜に母が、家の中のわずか2㎝の敷居につまづきコケてしまい、 その晩にはヒザと手首がみるみる腫れ上がり、 歩くこともままならない状況に陥ったらしい。 水曜に、元気かな?とメールすると、怪我の報告をされ、びっくり。 東京行けないかもしれない、としょげかえっていた。 父にも「これじゃ連れて行けないぞー」とおどされたらしい。 その後、ヒザに溜まった水を抜き、テーピングしまくり、絶対安静で、 なんとか奇跡の回復をとげ、今日の上京にこぎつけることができた。
おそらく、大丈夫と言いつつ、ヨロヨロしてるんじゃなかろうか?と想像し、 ともかく顔だけでも見に行くことに。
早めに東京駅に着いたので、ちょっとオアゾをのぞいてみる。 ここの丸善が国内最大級の本屋と聞いては、のぞかないわけにはいかぬ。 混んでいるのと、慣れない本屋であるのと、時間が足りなかったのとで、 充分に楽しめたとまではいかなかったが、 久々の大きな本屋に、興奮。 旅の紀行文が、国別にたっぷり並べてあって気に入った。 こんなこともあろうかと、財布の奥にしのばせておいた図書券でこれを購入。 他には、紙で作るミニチュアのサグラダ・ファミリアの完成品をいじったり、 高いところの本のための脚立をキコキコしたり、 くんくん本屋の香りを満喫したりで過ごす。
新幹線から降り立った母は、思いの外元気そうで嬉しそうだった。 よかったよかった。 ともかくホテルにチェックインして、宴会の予定時間まで一時間程、鋭気をやしなう。 父からは、買ったばかりの新しい携帯を自慢されるが、 こんなにちっちゃくて、操作中にキイイーとならないのか心配なほど小さかった。 母からは、怪我の克服自慢?をされ、苦笑い。心配させないでよー。
彼らが出かけた後、ホテルの部屋には私ひとり。 なので「王妃の館」ごっこ開始。 なんのことはない、部屋の主が居ぬ間に、ゆっくり勝手にお風呂に入ったりするだけなのだが。 こんな時のために、とっておきのカンパイは、シャンパンの香りのバブルバスなんだって。 うひょひょー。 ぬるめの泡にゆったりつかって、読書して、ご機嫌。 一週間の疲れがとれて、お土産にもらったブドウが、また甘くて濃くて美味かった!
部屋の主たちへ置き手紙をして、帰宅。 すると、区役所から手紙が。 区役所からといえば、請求書しか思い浮かばないので、 ええー、今度は何を払えというのだ!?とドキドキしつつあけてみると、 「保険料が納めすぎになりましたので、お返しします」とのこと。 ああ、そうだよなあ。 どこで計算が違ったのか、なぜかどうしても足りないあわない分があって、 実はゼイゼイあえいでいたのだ。 南座の観劇代分がどうやら確保できた、と思う。 餌だけたまにあげていた外猫が、しばらくぶりに帰ってきたような嬉しさ。 もうー、どこに行ってたのよー!みたいな。 (そしてまた、どっかへ行ってしまうんだな) パリ公演の配役が発表になったんだった。 国立シャイヨー宮劇場
鳥辺山心中 半九郎:海老蔵 お染:菊之助 市之助:團十郎 お花:右之助 源三郎:市蔵 与平:新次 お雪:升寿
口上
鏡獅子 小姓弥生後に獅子の精:海老蔵 局:右之助 老女:升寿 家老:市蔵 用人:菊市郎 胡蝶:京紫・新七
おおー。
2004年09月16日(木) |
☆ゆっくり歩け、たくさん水を飲め、顔を洗うな。☆ |
9月に入って、それでも居座る夏との攻防戦を繰り広げつつ、 濃い毎日が過ぎてゆく。 こりゃいったいどうしたというのだ、とつぶやいてしまうほど、 仕事が忙しくなってきた。 昨日あたりは、 次から次へと、どこからともなく湧き出でる無理難題の大波小波が押し寄せて、 脳みその血管がぶちっとちぎれるくらいにトイレに行きたくても、それすらかなわず、 もう本当に勘弁してー!と顔を覆って泣き出したくなる程だった。 鳥肌までたって、もう笑うしかない。 それでも、ヒマでしようがないよりはずっといい。 目の前に「名古屋行き」と「パリ行きの」ニンジンをぶらさげて、 ともかくひたすら働く。
そんな毎日を潤してくれた、いくつかのこと。
村上春樹の新刊「アフターダーク」。 「ゆっくり歩け、たくさん水を飲め」というわけで、 本屋で見かけるなり購入、読み干す。 この人の本を読んでいて、何故か最も好きだと思うのは、 「歯を磨く」とか「サンドイッチを作る」とか「ビールを飲む」などの、 なんてことない日常の動作を、 きちんと丁寧に過不足無く気持ちよく描写しているところ。 新刊でもそれは健在で、 そういう描写を読むと、私はすっきりと気持ちが落ち着く。 静かに夜が深まって、次第に夜が明けてゆく、 時間の流れをずっと見つめているようなお話だった。
LUSHのあれこれ。 お友達にバスボムをいただいたのがきっかけ。 色々な大きさで色々な香りの、テニスボールくらいの大きなバスボムがたくさんあり、 贅沢に、そのうちの一つをドボン!とお風呂に入れると、とてもとても良い香り! あまりにも色々な香りがあるので、選ぶだけでも楽しい。 買ってきたバスボムは、引き出しや、職場のロッカーに入れておくと、 ほのかに良い香りがずっと続いて、ホッと嬉しくなる。
こないだ初めてバブルバーを試してみた。 ちぎってお風呂に入れて、フワフワのバブルバス! これがまた、良い香りとしなやかでたっぷりの泡で大満足。
おかげで、最近の友達への誕生プレゼントやなにかは、ほとんどLUSHで決めてる。
そして、ある朝耳に飛び込んできたのが「肌断食」という、あまりにもセンセーショナルな言葉! 「肌断食」だぞ! なんと衝撃的でキャッチーでインパクトの強い言葉であろうか。 佐伯チズさんの語る、↑のような話に聞き入ってしまい、 あやうく遅刻するとこだった。
職場のKちゃんも同じはなまるを見て、目からウロコ組。 昼休みに、あーだこーだと内容を吟味検証し、これはやってみるしかないだろう!ということに。
洗いすぎず、こすりすぎず、つけすぎず、を合い言葉に、 三日間、顔も洗わずメイクもせず、ともかく過ごしてみた。 まさかこの歳で、すっぴんで仕事場に行くことになろうとは。
けど、寝坊してすっぴんで仕事に駆けつけるのとは違って、 確信犯だし、確固とした信念というか言い訳というか、大義名分があってのすっぴんだと、 案外平気なものだ。 顔を洗わず、お粉だけはたいて、眉は描いたけど、すっぴん。 すがすがしい。 思ったよりもかさついたり痒くなったりもせず、想像以上に心地よい。 断食明け後も、言いつけを守り、ダブル洗顔禁止、ふんわりやさしくお手入れしてみると、 思いの外イイ感じだ。 きたるべき乾燥の季節も、これなら乗り切れるかもしれぬ。
そして名古屋。 千秋楽に行くつもりだったのだが、ちょっとしたご縁で連休あたりにも行くことになってしまった。 うひょひょー! 名古屋情報を清たろちゃんに聞いたりして、ますます楽しみ。
パリは「王妃の館」を読み終え、 今はこれを見つけて、しみじみ眺めてニヤニヤしてる。 この本、きれいな写真満載で、さらにガイドブックとしてもお役立ち。
そんななか12月の京都南座顔見せのお知らせをいただき、 にひにひしながら、作戦会議。 今年いっぱい、私は気が狂ったように遊ぶと決めたのだ。 もう立ち止まらん!
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