ぶらい回顧録

2003年08月07日(木) ボクハナク

どうしてあんなに泣いてばかりいたんだろう。

誰かに少しキビシイことを言われればもう涙ぐんでる。
ひとの前で話しはじめると声はどんどん掠れていく。

暗闇がこわくて泣く。
仲間はずれにされたと思って泣く。
ころんで泣く。
昼寝から目覚めて不快で泣く。

あんなに簡単に泣いていて、いじめられてしまうのも、当然。
本当に簡単だもの。
本当にあっというまに泣いてしまうのだから。

泣き玉、は、喉から突然せりあがってくる。
止めることなんて、できやしない。

泣くのは、いやだった。恥ずかしかった。

幼稚園、小学校、中学校。泣き癖はまるで治らなかったな。
ずっとこのままなんだと思ってたな。

でも不思議だ、泣いて当然の場面で、なんでか、
泣かなかった記憶が、いくつか、ある。

捨ててあるガラスを踏んでおおきな破片がはだしの足裏に
突き刺さったとき。

泣かずに血まみれの破片を引き抜いた。

車に跳ねられ自転車ごと一回転、頭を割って視界が血に
染まったとき。

病院に運ばれながら、だいじょうぶです、と答えていた。

生まれたときからずっと一緒だった相棒がいなくなったとき。


「泣き虫のしげっくん」はどこに消えたのかな。

消えてなんかなーいね。

今でも、喉をぐっとつまらせてしゃくりあげているのが
よく見えるよ。


もう、あまり、恥ずかしくなんか、ないな。


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