馨絵詞〜かおるのえことば
楽しいことも、そうではないことも。

2003年11月01日(土) 劇場入り〜ブース内に盟友あり

今回の公演では稲葉は音響でした。
音響さんってのは公演期間中、劇場にいる時間のほとんどをブースですごすことになります。

「ブース」ってのは劇場のケーブルのすべてが接続されている音響・照明の操作基地であります。
劇場にもよりますが普通は客席の後ろに設置されています。
お客さんの後頭部越しに舞台を見ることになるわけです。
小劇場クラスだと大抵の場合、狭っくるしくて暑い。
腰痛の気のある稲葉にはなかなか辛い。

   ◆

さて、ブースにはもう1人、照明さんも入ります。
音響さんと照明さんは狭い空間で長い時間一緒にいることになります。

今回の照明は大学の後輩にお願いしました。
普段はふにゃふにゃしているのに、仕事はそつなくきっちりやってる粋なヤツ。
彼女は昨年に稲葉が演出したお芝居で照明参謀に付いてくれました。
非常に心強いものがありました。

彼女はけっこう何でも屋さんで、照明のほかに演出・舞台美術・役者となかなかに守備範囲が広い。
また写真学科でもあるので舞台写真の撮影なんかも慣れたもの。
そのどれもに確かな実力があって後輩なのに侮れない。

   ◆

彼女とは一度舞台で共演したことがあります。

稲葉がアドルフ・ヒトラー役で、彼女はその側近であるボルマンという役でした。
他の役者さんは日本人の役で稲葉と彼女は「ドイツ組」として分けて稽古することが多くありました。

彼女とはその芝居で初めて顔をあわせました。
お互いにギクシャクしながらの稽古は今でも忘れられません。
すんごい遠慮しあいながら漫才とかやったりしてね。

個人同士で仲良くなるに連れて役としても良くなっていく過程を確認できて、なかなか有意義な付き合いができました。

   ◆

実は今回、音響を引き受けたのは彼女が照明に決まったから、というのがかなり大きくて。
最初はね、断るつもりだったんですよ、音響。
まあ個人的な事情があって芝居に専念しにくくて。
でもね、迷ってはいました。
やりたいけどなあって。

そんな時の彼女の登板は稲葉を一発で動かしました。
彼女は照明さんとして良い仕事してくるに決まってます。
ですからブースで隣にいるものとして、また大学の先輩として恥ずかしい仕事はすまいと、短い稽古参加期間ながらなかなか頑張りました。

こういう動かされ方、けっこう良いですね。

そんなわけで劇場の5日間。
ブース内は仕事はしっかりしながらも、でも賑やかにうきゃうきゃ良い感じで過ごせました。

劇場を出た後で彼女にシュークリームを買ってやりました。
次の日には彼女から外注スタッフ用のスタミナ弁当をもらいました。
持ちつ持たれつ。
盟友ってデカイすね。

今回彼女と組んで仕事をやれたは幸せでした。

   ◆◆◆

【関連記事リンク】
2003年10月29日『劇場入り〜余裕ある仕込み』
2003年10月30日『劇場入り〜飲むか飲まれるか』


 < 過去  もくじ  未来 >


稲葉 馨

My追加