馨絵詞〜かおるのえことば
楽しいことも、そうではないことも。

2003年10月30日(木) 劇場入り〜飲むか飲まれるか

前回に引き続き、仕込み、です。

今回は仕込みに2日取りました。
これは劇場側がサービスしてくれたもので、装置等が厄介なわけではありません。
むしろ、ほとんど素舞台のまま使うので、照明の灯体と暗幕吊ればもうお終い。
あっという間です。
さて余った時間をどうするか。

そんなわけで役者さんたちは実際の舞台上での稽古を、それはたっぷりとやれたのです。
とても贅沢なことです。

   ◆

役者と劇場って相性があるんですね。
稽古場で活き活きしてたのに劇場入った途端に小さくなっちゃう役者がいます。
もちろんその逆もいます。
劇場の魔力ですかね。

劇場で元気になる役者さんは良いんですが、ダメになっちゃう役者さんの場合はその劇場の空気にひたすら慣れることが大切です。
舞台に立って台詞を通して読んでみたりして。
要するに自分のフィールドにしてしまうのです。
今回のように劇場での稽古をたっぷり取れるってのはこの点で非常に大きい。

まして今回、初舞台の役者さんがいましたからね。
有意義な時間をすごせたでしょうかね。

   ◆

役者が舞台で稽古している間、稲葉は音響ブースに入って音を流してました。
ときどき演技に対する感想を求められたりしながら。
邪魔になららない程度に役者の好きな曲をかけたりします。
このときの役者さんの反応がそれぞれで面白いのです。

今回の公演では芝居途中にダンスが2つ入っていました。
その練習中はダンス演出の女の子の指示に従って曲をかけてました。
曲をかけながらも稲葉、ブースの中で振りを真似てました。
狭いから手の振りしかできないんだけれど。

稽古上の曲の指示が無い場合はいろいろな曲をかけて遊んでました。
遊んでたっていうと、まあナンですが、ようするにブースと機材に慣れる作業です。

前回の公演は音響に詳しい後輩の助言をいろいろもらってこなしました。
そのおかげで今回はひとり立ち。
これといったトラブルも悩みもなく大いに結構でした。

ほぼ丸1日、役者も裏方も、劇場と仲良くなる時間を作れたのはとても良かった。
ブースは狭いし暑いし、とても恵まれた環境じゃないんだけれど、でも徐々に居心地が良くなっていく。
良くなっていくのを実感するときの快感があるから劇場は楽しいのです。

ああ、ただ腰の弱い稲葉にはブースは少々辛い。
居心地が良くなっていくのとは別に、現実問題としてキツイものがあったりします。

   ◆◆◆

【関連記事リンク】
2003年10月29日『劇場入り〜余裕ある仕込み』


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稲葉 馨

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