++ Nostalgic Diary ++
Written by : Kaori.Narita

 

ベールの向こうへ

貴方が私の前から消えて、早いものでもう1年が経ちました。
去年のこの日は、私はただただ、貴方がいなくなったことに哀しみばかりを覚えて、涙を流すばかりでした。
今でも信じられません。貴方がいなくなってしまったなんて。

貴方は今、どこにいるのでしょう。
ソラの上で、友人たちと笑っているのですか?
それとも、絶望に染まりつつある世界のどこかで、名付け子を見守りながら生きているのですか?

貴方の遺体のことには触れられなかった。
貴方がベールの向こうへ行ってしまった瞬間は皆が見ても、その後の貴方は誰も見ていない。動いている姿も、動かなくなった姿も。
貴方が生きている証拠はないけれど、死んだという証拠もない。
だからと、一縷でも望みを持ち続けている私を、貴方は「バカだ」と苦笑うのでしょうか。
願わずにはいられないのです。いつか貴方が帰ってきて、あの子のことを抱きしめてくれると――本当に家族になってくれるのだと。

だからお願いです。帰ってきて。
「ただいま」と笑う貴方の姿を、見せてください。


――空でもっとも美しく輝く星の名前を持つ貴方へ。


2005年09月01日(木)