
道標|≪過去を見つめて|あさっての方向へ≫
| 2005年08月11日(木) |
変わらない負の気持ち |
職場に客として現れた長身の男に見覚えがあった。 間違いない。
小学校時代の担任教師だ。
昔と変わらない、相変わらず私の苦手な目つきをしていて 一目でそれと思い出した。
自分が教え子であることを告げると、懐かしそうな 顔をして大仰に頷いてみせた。 …ああ、こいつのこういう仕草、 大 嫌 い だった。
デリカシーがなくて、狡猾で横柄で。
鼻の粘膜が弱くて、鼻血を大量に出して学校を休んだ時、 翌日クラスメイトから浴びせられた言葉は 『おい、鼻血ブー』。 親が担任に語った欠席理由をそのままクラスメイトに伝えた 結果だった…。しばらくそのあだ名で呼ばれた。
時間・距離・道のりを計る計算式の授業を休んだら 次の日テスト、公式を知らない私にはさっぱり意味不明で 生まれて初めて10点を取った(100点満点)。 みんなの前で担任に嘲笑され、その事実は 頭の悪いクラスメイトの伝令によって同じ階にある 兄の教室まで伝えらた。家に帰って家族中から叱責された。
私などはまだ良かった。
クラスに一人は二人はいたであろう腋臭。 それは集団の中では異質な生き物であって、簡単に 嘲笑の対象に成り得た。本人が内気であればそれは ますます拍車がかかり、私のクラスにいたAちゃんも 例外ではなかった。 いじめは熱を帯び、Aちゃんが担任に打ち明けたことで 学年集会へと発展する問題になった。
デリケートな議題である。
いじめの首謀者が立たせられ、型どおりのお説教が始まり、 生徒達はみんな体育座りでじっと話を聞いていた。 「いじめは絶対よくないことだ」ということは みんな、わかっているのだ。だからみんなうつむいて聞いていた。 すると担任教師が声高らかに
「たしかにAは臭い!!」
( ゚д゚)ポカーン
言っちゃったよこの人!! みんな一斉に顔を上げた。 「確かに臭い、だがそれをいじめの理由にしてはいけない」 という主旨の言葉が続くのだが、みんな聞いちゃいなかった。 『無神経』という単語をその時初めて理解した。こいつだ、 こいつが無神経そのものだ。
Aちゃんはうつむいて、小刻みに体を震わせていた。 黙ったままだった。
大人に対する不信感は、こういう所から発生するんだと思う。 体罰は日常茶飯事で、今でもドラムのスティックが嫌いだ。 (昔さんざん殴られたから) こいつが転勤先で暴力事件を起こした時は、不謹慎ながら 友人と二人で拍手喝采した。
不愉快な記憶の権化は、へらへらと語るのだった。
「あんなにひょろっとガリガリしていたのに、 こんなにふくよかになって…」
ふくよかは余計だよ この ド 腐 れ 外道!! 相変わらずの無神経さは健在で、軽く殺意を抱く。 変わらぬ嫌悪感。
「ロクな大人にならない」と、この男によく言われた。 でも私は社会に出て、こうしてまっとうに生きている。 思い切りの、とびきりの笑顔で見送った。
なんとなく、勝ったと思った。
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