道標≪過去を見つめてあさっての方向へ≫


2004年02月22日(日) あなたに花を

大築くんが亡くなったことを知らされたのは、
先週の水曜日。仕事中に職場の人から
その突然の訃報を聞いて、一瞬耳を疑いました。

まさか、そんな。

こぐまのようにむくむくした愛嬌のある顔が
脳裏にやきついて、しばらく呆然としました。



大築くんと私は、小学校の六年間を同じクラスで
過ごしてきた、数少ない友達です。
一年生から六年生まで、ずっと一緒でした。
男女が出席番号順に二列に並ばされての席順で、
オオツキ、カネダはいつも後ろかお隣か、
私はいつも大築くんの背中を見て
授業を受けていたものです。

青色のトレーナー。青い野球帽。

私たちはいつも喧嘩ばかりしていました。
頭の良い彼は、感情にまかせてすぐ激昂する
私に皮肉を言ったり、痛いところをザクっと突いてくる
強敵で、いつもやりこめられるか、私が暴力に走るか
どちらかで喧嘩が終わっていたような記憶があります。

喧嘩をしなければ彼は大変気のいいヤツで、
歴史の薀蓄や理科のトリビアを披露しては
私を驚かせました。


「お前、あいつのこと好きだもんな」

小学校五年生の時です。

当時、私はクラスメイトのある男の子に恋をしていました。
都会的で、お金持ちしかも賢いクレバーな男の子。
売り言葉に買い言葉、大切にしていたビックリマンシールの
コレクションも、「もういらないから」と
貢ぐ程、好きだった男の子でした。
その貢ぐシーンに、大築くんも同席していました。
生まれて初めての、異性へのプレゼントでした。

学年が変わり、私は意中の彼とは違うクラスに入れられました。
多分、しょんぼりしていたんでしょう私は。

教室の後方、体育着の入った袋がぶら下っている辺りで
ふと、大築くんにからかわれたのが先ほどの言葉です。

心臓が止まるかと思いました。
まあわかる人にはわかっていたんでしょうが、
自分の恋心を見透かされたことに、私は今までに無い
衝撃を受けました。びっくりして、慌てふためきました。
否定したって後の祭り、真っ赤な顔がその証拠。

後にも先にも、私の片思いの相手を言い当てたのは
大築くんの他にはいません。
あの時のいたずらっぽい笑顔を、今でもよく覚えています。

高学年になると、今まで以上に喧嘩したり、
果てはどっちが給食を早く食べ終わるかすら
競い合っているような、仲がいいのか悪いのかわからない、
愉快な関係でした。

中学校に上がれば、私たちもお年頃に突入です。
クラスは離れ、部活も違う、しかも男と女です、
廊下であっても同性の様に挨拶する訳でも無く、接点も無いので
疎遠になり、卒業を最後に彼と会うことも無くなっていました。



大学院を卒業後、今年就職したばかりの彼は、
山形からはるか遠く離れた九州の大牟田で
息を引き取りました。
14日のお昼、友人たちとバスケのフリースロー大会で
優勝、祝勝会でビールを一口、口にして
ばったり倒れてしまったきり、帰らぬ人となりました。

私は、小・中学校の頃の大築くんしか知りません。
今でこそつきあいはなかったけれど、
つるんで、はしゃいで、学校中をかけまわった
大事な大事なクラスメイトの死はあまりに大きいものでした。



告別式の当日にその死を聞かされたものの、
急に仕事を休むわけにも行かず、お悔やみに上がるのは
また後日改めてと旧友同士で打ち合わせ、
とぼとぼと家路につきました。
彼の実家は私の家からごく近く、夜、車で
そばまで行くと、こうこうと明かりがついていました。
車の中から手を合わせて、お別れを言いました。

一年生のアルバムから辿っても辿っても、
どこかしこに彼の姿がありました。

涙が溢れても、目を逸らす事ができませんでした。



どうか。
安らかに。


金田こけもも |MAILHomePage