道標≪過去を見つめてあさっての方向へ≫


2001年08月18日(土) 夏の葬列

田舎へ帰って気付く。
祖父の命日を忘れていた。

毎年、決まったように思い出しては泣いて、
逝ってしまった祖父を繰り返し想っては泣いた、
祖父の命日を忘れた。

暑い、暑い夏の日だった。

今でも事細かに思い出せるあの夏の日の出来事は、
私の中でいつのまにか昇華されてしまって、
死んだ祖父との楽しかった思い出だけが
故郷に残されていて。

大きな手。
背中。トンカチの音。
木材と煙草の匂い。

祖父の話をしていると、親戚の皆が泣く。
皆、祖父を思って泣く。

随分時も経ったのに。

ふと私も、
こんな風に想われて死にたいと思った。


金田こけもも |MAILHomePage