2003年05月21日(水)
僕の家は、世界的に見て比較的裕福な家らしい。
両親は、ほとんど家にいない。 彼らは忙しいのだ。仕方が無いことである。 僕を養い、世界のことも考えなくてはいけないのだか…。 父は、何処だかの研究所に勤め、母はそこの研究所を含む 一大グループの偉い人だそうだ。 僕の母の一言が世界を変えるらしい。 僕の父の一時間が世界を救うらしい。 だから僕は世界のために我慢する。
鬱陶しい定期的な音が建物中に鳴り響く。 ライトが点滅し、白い研究所の壁を赤く染めている。 世界記録課のバッチをつけた人間を中心に、研究所が騒然としていた。 本来その課は、世界の記録を目的とした、 部署で世界中にでもあり、世界のどこにも属さない部署。 世界中で排出されたありとあらゆる情報が記録された。 原則非公開をのもと、国連に認められた民間機関である。 第五次世界論争を未然に防ぐというのがもっともらしい建前である。 そして今、世界が永遠に放棄したはずの―教科書でしか見たことの無い―出来事が起ころうとしていた。
読者がいて、気が向いたら続く。
|