塔の崩れる音を聞いた。轟音を背に、細い腕を引いて、振り返らずひたすら駆けた。三日三晩震え続けたその音は、4日目の朝、日の出と共に鳴り止んだ。しかし、日は射さなかった。空を覆い尽くす一面の厚い雲が、激しい雷雨をもたらせた。三日三晩降り続けた雨が止むと、そこは澄んだ空気に日の注ぐ無音の世界だった。空を見上げた。解放されたのだと思うと少し安堵し、明日を思うと、少し不安になった。