昇降口に行ったら、オレの靴が下駄箱の下に置いてあった。
「……新手のイジメか?」
不審に思いながら、上履きをしまうために下駄箱の扉を開ける。
視線は、床に置かれたオレのスニーカーに向けていたから、本当に『それ』は突然で。
ビックリした。
黒い物がいくつも、スニーカーめがけて落ちてきた。
え?
は?
何、これ。
しゃがみこんで拾い上げたら、それは個包装された小さなチョコレート。
チョコレート。
下駄箱の中を覗いたら、同じチョコがぎゅうぎゅう詰めに入っていた。
オレの靴は、このチョコレートの大群に居場所を追いやられたらしい。
多分って云うか、絶対あの人。
絶対、あの人に違いなくて。
物凄く嬉しくて、でもイヤガラセみたいなこの仕打ちに、苦笑する。
全部のチョコレートをカバンに移したら、カバンがいっぱいになってしまった。
カラッポになった下駄箱には、やっぱり手紙も何もなくて。
そんなとこも、あの人らしい。
一日早いチョコレート。
全然素直じゃない。
そんなトコが、たまらなく可愛いんだけど。
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SSと表記すべきかどうか悩んだんですが、今回は無しの方向で。(適当)
明日はバレンタインですから。一日フライングで。
ちょっと夢見すぎだろうか。こんな風だったらたまらなく可愛いんだけど!とか思いながら書きました。(誰がとか訊かないお約束)
ホワイトデーは3倍返しです。