負けないように、強く。歩き続けられる強さを。
どこへ だれと みらいへ きみと

 

 

 
oOO NOBODY NOWHERE
2003年11月13日(木)

以前100頁ほど読んでそのまま放っていた(≒忘れていた)
「自閉症だった私へ」を完読した。

感銘を受けた、とはまさにこのことを言うのだろう。

なんていうか。
作中にかかれているような幼少時代、思春期、復学して大学時代、
大人になって本当のわたしを探す世界への旅、
どれもこれも想像しても及ばない苦難と痛みの連続だ。
だが、読み進めれば読み進めるほど
「この当人が本当にこの本を書いたのか」
という半信半疑したくなるほどの感動が沸々と沸きあがってくる。
それほどまでに、彼女はさまざまなものを克服した。
まれに見る豊かで深みのあるものがそこにはある。
自分が自閉症だったのだと気づくまでの旅を書いた、
すなわち本当の自分を自分として見つけられるまでの長い道を描いた、
鮮烈な一人の女性の手記です。

間違いなくこの本はここ数年読んだ内で一番の本だ。
まあ教養程度に読んでおくかと思って手にとった本だったけど、
予想外によかった。



でも実は、私がこの本にこんなに心を揺り動かされた大きな理由が
ひとつあって・・・・。
読んだひとならわかるかな。「スターズ」の話。

空中には丸がたくさんあって、彼女はそれをよく見つめていたらしい。
誰にも見えないから、結局まわりの人にはあらぬところを見ていると
思われてしまったとか。
でも、大人になって、それはきっと目がよすぎて見えてしまった、
空中の粒子だったのだと振り返っている。

これねえ・・・わかる(笑)
目が良すぎた云々はわからないけど、
空中に点々がいっぱい見えるってのはわかる。
というか今でも見ようと思えば見える。
ちっちゃい頃に、
「世界は点でできている、だって点々が見えるもん」
って母に説明しようとして、でも相手にされなかった。
まったく同じことが書いてあるのを見て、びっくりしたよ。
丸っていうほど大きなものには私には見えないけど、
この点々が見えるって人に出会ったのは初めて。
スターズの話で、ぐっと親近感に捉われてしまいました。



スターズほどではないけど、「キャロル」の存在もすごくよくわかる。

彼女の中には、世の中と折り合っていくために2つの仮面が存在して、
そのうち明るく社交的なキャラクターを演じていた仮面が「キャロル」
なんだけど、キャロルはすごくよく笑うのね。
不安・緊張・恐怖などの解放の手段であることが多い。(本より)
場合によっては、涙のかわりに笑顔を浮かべるほどの。

ああ、私にも「キャロル」がいる。
そう思った。
なんていうか、彼女みたいに「本当の自分(ドナ)」と明確に区別
してるわけじゃないけど、たぶん私はけっこう本当の私と混ざり合った
ものだと思うけど、でもたしかにキャロルはいる。
うまく世界に適合しようとして笑っているんだけど、
でも自分は幽霊のように身体から抜け出していて。
その「笑い」はぜんぜんリアルなものではなくて。
ちょっと考えさせられた。



見習うべきは、彼女はいつも歩き続けたことだ。
逃げ出したことも多かったし、人にもなかなか心を許せず、
「わたしだけの世界」に閉じこもっていることもあったけど、
それでも一旦決意すれば海を越えるほどの行動力をもっていたことだ。

すばらしいね。


   
現在 今まで
 

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