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2004年05月14日(金) お見舞い

古い知人のお見舞いに行った。

先週、突然電話があり
「急のことで、驚かないでよ」と前置きされて
肺がんが発見され、一ヶ月近く入院していることを知らされた。
「副作用もほとんどなく、元気だから心配しないで」
とも言われたが、驚きもしたし、心配もした。

今日、会ってみたら
見かけは本当に元気そうだった。
長く話し込んで、笑ったりしみじみしたり
お茶やお菓子も頂いて、なんというか、楽しいひとときを過ごしたが
やはり言葉の端々に、拭いきれない不安を感じているのが表れていた。
当然だろう。

その人は、結婚前の私の恋愛にまつわる重い出来事も
新たな恋に、生きるの死ぬのと大騒ぎをした事件も
ある時期の私の私生活については、熟知している人だ。
結婚後に愚痴をこぼしに行った時には
「あんなに惚れ狂った男と結婚して、今さら何が不満なのよ」
と言われたこともある。
惚れ狂ったオトコ・・・だったんですね。>元夫

窓の外の六本木ヒルズや広尾のガーデンヒルズを眺めながら
あのあたりに住んでいた頃の、若かった私の思い出話も出尽くして
「あなた、頑張っているわよ。よくやってきたじゃない。」と慰められ
お見舞いに行ったんだか、なんなんだか。
夕食時間になって、ようやく話に区切りがつき帰ることにした。
そして、車に乗って帰途についてから
お見舞い(お金)を持って行かなかったことに思い当る。

電話をもらって以来
とにかく行かなくちゃ(行くことに意味がある)
何を持って行こう(喜ばれるもの、役立つものがいい)
と、そればかり考えていた。

何故だろう。
お金のことなど、まったく頭に浮かばなかった。
でも、お見舞い金を持って行かないお見舞いなんて
元夫の入院の時も、私の父の入院の時も、見たことはない。
やはり変か?

少し迷った末
デパートの文具売り場に寄り、お見舞い袋を買って病院にUターン。
さも置き忘れたフリして、お見舞い金を渡して再び帰る。

気は心と言うけれど、実際、入院中にお金の心配もあることは事実である。
形式上の問題ではなく、少しでも役に立てばと思っての判断だった。
とか言うと、なんだか颯爽としているが、ほんとに間抜けな話である。

それにしても。
どうしてそのことに、思いが及ばなかったのか。
私には、こういう、ある種の先走りがよくある。
自分にできることはなんだろう、何をしようかと思うあまり
基本的なことを忘れてしまうらしい。



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rachel |MAIL

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