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Sail ho!
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
映画「コン・ティキ」6月29日から公開

次の土曜日6月29日から、映画「コン・ティキ」が公開されます。
トール・ヘイエルダールのコン・ティキ号航海記を映画化してアカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされたノルウェー・イギリス・デンマーク合作映画です。

本来は見てからお勧めすべきですが、今回、上映館は比較的多いですが、シネコン中心なので、お客が少ないとすぐに上映縮小してしまう可能性があります。公開第一週にささっと行かれた方がいいんじゃないかと思って、一週間前にお勧めする次第です。

映画「コン・ティキ」公式サイト
http://www.kontiki.jp/
公開館については上記サイトの「劇場情報」参照のこと。


今年のアカデミー賞外国語映画賞は、「愛・アムール」が受賞したのですが、ノミネート5作品の他4編はこの「コン・ティキ」(ノルウェー)、「NO」(チリ)「魔女と呼ばれた少女」(カナダ)そして「ロイヤルアフェア・愛と欲望の王宮(デンマーク)。

最後の「ロイヤルアフェア」は1770-80年代のデンマーク王宮が舞台で、先日まで日本でも限定館で公開されていました。
1800年前後のデンマーク王宮は、アンソニー・フォレストのジャスティス艦長物語やロバート・チャロナーのオークショット・シリーズに登場することから小説を通して知っていたので、ちょっと興味があって、この映画見に行ったのですが、
主演のマッツ・ミケルセンにぐっさりやられました。この人、ハリウッド映画に出ると悪役が多いのだけど、今回の侍医役のような渋い役回りを演ずると微妙な芝居が見事ですね。そういえば彼は「キング・アーサー」のトリスタンだったのでした。

ただし、おそらく、ストーリーを優先させるために多少、史実をご都合主義に解釈している可能性があります。いや私もデンマーク史は知識ないのですが、パンフレットに解説を書いていらっしゃる北欧史の先生がちょっと解説に苦労していらっしゃるのが見えてしまうのと、見ていてなんだか大河ドラマ「篤姫」を思い出すストーリー展開が、この解釈には無理がある可能性あるなぁと思ってしまうのでした。
注)「篤姫」は「八重の桜」と比べるといろいろと無理な歴史解釈が…。

けれどもこの映画、画面は美しく、予想通り、コペンハーゲンの王宮の中はフランス等に比べると地味。
ヒロインの英国から嫁いだ王妃(英国王ジョージ3世の妹)が追放される城はクロンボー城で、城の城壁から冬のエレソン海峡(ここもよく海洋小説の舞台になりますね)がとても印象的です。
二番館などでご覧にある機会がありましたら、地味な映画ですがお勧めします。


2013年06月23日(日)