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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
アークティック・ミッションその後

北極圏の話題が続きますが、北極圏には真夏しか入れないので、探査や探検は夏に集中せざるをえません。
2005年1月10日の日記に「アークティック・ミッション」というカナダの調査船セドナ号の北極探検の記録映画の話題を上げたことがあるのですが、この時のセドナ号のミッション(任務)は、「1845年に北極航路開拓のため探検航海に出て行方不明となったサー・ジョン・フランクリンと指揮下の2隻H.M.S.エレバスとH.M.S.テラーの調査」でした。

カナダはその後も、この調査を継続しています。
じつは昨年の夏にちょっとした発見がありました。

エレバス号とテナー号が消息を絶った3年後の1948年に、英国海軍は2隻の軍艦を捜索に派遣します。
H.M.S.インヴェスティゲーターとH.M.S.エンタープライズです。


この写真は、じつは5年前にアイルランドに旅行した時に、ダブリンの聖クライストチャーチ大聖堂で撮影したものですが、この2隻のうちエンタープライズ号は帰還したものの、インヴェスティゲーター号は現在のカナダのマーシー湾で流氷に囲まれ脱出不能となり、最終的には沈没しました。
フランクリンの探検隊と異なり、インヴェスティゲーター号の乗組員は艦を捨て氷の海の上を徒歩で南下し生還、艦の沈没地点も正確に記録されていました。
そこでカナダの調査隊は夏になるとマーシー湾の該当地点をソナーで捜していたのですが、昨年夏インヴェスティゲーター号と思われる沈船を発見、今年の夏を待ってダイバーが確認に潜ったところ、この沈船がインヴェスティゲーター号と確認されたとのことです。

19th-century shipwreck artifact treasure trove
http://www.winnipegfreepress.com/canada/19th-century-shipwreck-artifact-treasure-trove-127440273.html

記事によると、艦に張られた鋼板のおかげで沈船はほぼ原型を保っており、艦内には当時の品がそのままに残されているとのこと。
今後の調査が待たれます。
なお、上の記事では艦に張られた銅板(copper)とありますが、下記によれば、銅ではなく氷対策に特別に鋼板を張ったようです。

H.M.S.Investigator(1848)
http://en.wikipedia.org/wiki/HMS_Investigator_(1848)

最初の鋼鉄艦H.M.S.Warriorの進水が1860年ですから、1848年の艦に鋼板を張ることは可能であったのでは?と思いますが、

カナダの調査隊は、インヴェスティゲーター号の潜水調査をさらに進めるとともに、引き続きエレバス号とテナー号についても探し続けるとのことです。


2011年08月21日(日)