Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
神奈川沖浪裏の勘違い
ここ2〜3日は平日も計画停電もなく、土曜日曜に限っては今のところ停電が行われていないようです。 様子を見つつ、来週あたりから休日に限り、海外のサイトめぐりを再開しようかと思っていますが、情勢次第で対処します。
週日はやはり「今自分が使っている電気は誰かの犠牲(停電)の上に得ているもの」なので、防災情報と1日1回のメールチェック以外はネット接続は控える方針です。 このHPはやはり趣味の領域ですし、趣味のために電気を使ってる場合ではないでしょうし、 もっとも趣味と言っても、先々週ちらっと書いた通り、公共のためになる趣味は停電のない日に振興されて良いと思うのだけれども。 土日は計画停電もないので、土日に映画に行ったりするのは、日本経済全体の停滞をふせぐためにも良いのではないかしら? でも「アメイジング・グレイス」の上映は昨日で終了してしまったようですが。
先週は更新ができず申し訳ありませんでした。 じつは簡単なおことわりのテキストは作ってあったのですが、日曜夜にサーバーにアクセスできず、更新できなかったのですよ。 日曜夜のどたばた更新というのも考えものだと思いました。もうすこし余裕をもって、と今日は土曜更新に変えてみました。 サーバーエラーは何が原因がわかりませんが、最近ときどき他サイトでもサーバーエラーが出るので、計画停電とかどこかで影響しているのでしょうかね? メールのお返事など滞ることなどあるかもしれませんが、ここしばらくは通信環境が不安定ということで、宜しくご理解ください。
本業の仕事の方はなんとか年度末を終えることが出来ましたが、先週先々週は本当に大変でした。 電車もきちんと動いて毎日皆が出勤できて残業もできる前提の年度末進行予定だったので。 溢れた部分は休日も家で持ち帰り仕事をしていました。
ここ何年か、価格破壊という言葉が広まるようになってからの日本は、どこも皆、まったく余裕のないギリギリの回転をしていたように思います。 在庫を持たない生産体制が、現在のモノ不足につながっているわけですが、オフィス勤務の現場でもここ数年は経費節減で、ぎりぎりの人繰りと時間繰りがでまわっていました。 ただでさえ、ぎりぎりの年度末が、通勤に時間がかかることで滅茶苦茶になり、電力需要の高まる18時前にパソコンを切って仕事を切り上げたくても仕事が終わらない。 通勤の不便を考えると、それでも残業を早めに切り上げて帰るわけですが、その分の辻褄合わせを連休やら土日の自宅仕事でとりかえされねばならず、やっと今週は自分のために時間の使える週末を迎えました。 でも被災地や原発の現場では、今もずっと休みなしで働いていらっしゃるの方があるのだと思うと、申し訳なく思いますが。
「日本は変わらねば」と誰もが思っていると思いますが、ゆとりや安全率を削った経費削減というのも、変えなければいけないものの一つだと思います。 オフィス勤務の私ですら思うのですから、ものづくりの現場にいらっしゃる方はもっと痛切に感じていらっしゃることでしょう。
海外情報を紹介するのがこのサイトですが、そんなわけで地震以来、海外の海洋系サイトをめぐってはいません。 替わりに私が、ここしばらく職場で拾った海外ネタを、今回はご紹介。
職場では英字誌「TIME」をとっていますが、思わず苦笑を禁じえなかったのは、この「TIME」誌3月18日号35ページの「日本を襲った悲劇の歴史」というガイジンらしい記事でした。 日本が1923年の関東大震災、1944-45年の度重なる大空襲、1995年阪神淡路大震災を乗り越えてきた国であることを紹介している、それは良いのですが、最初に葛飾北斎の浮世絵「富嶽三十六景・神奈川沖の浪裏」を引いて、19th century:Hokusai's iconic woodblock print reflects the Japanese culture awareness of menacing tsunamiと解説してありました。 北斎の浮世絵から、日本文化は19世紀から津波の脅威を認識していたことがわかる、というのですが、 この浮世絵は皆様もごぞんじの、左手に大波があり波間に富士山が見えるあの作品です。
それって、ちがうから、たぶん。 北斎のあれは単に、彼の優れたデザインセンスを表しているにすぎないと思うんだけど。
ま、この勘違いは横に置いて、「TIME」の記事そのものは、なかなか良い内容でした。 地震の被害そのものというようよりも、地震と津波に対して冷静に対応し、暴動も掠奪もなく、ボランティアが活躍し助け合って復興をめざず日本の、「世界では珍しい」(らしい)この国民性に焦点を絞った記事なのです。 言われてみれば1923年の関東大震災では10万人も亡くなり帝都東京が壊滅したのに、日本はその後20年もたたないうちに世界を相手に戦争をするまでに立ち直り、その結果、大空襲で焼野原になったものの、またまた20年もたたないうちに経済大国に復活してしまったのです。 「この人たちならばあの復興は当然だったのだ」、「今回も日本は復興するだろう」という結論で、このような海外の見方ゆえに一時の日本株の下落なども持ち直しているのかもしれません。
今回の件で確実に言えることは、日本人個々人の株が上がったことでしょう。
勤務先が建設業界なので、海外の専門誌も目にします。 それらの海外の記事に共通するのは、日本が世界一の防災先進国であること、 それであるからこそ被害を、それでもできるだけ少なく抑えることができたこと、
今回の地震は、30万人が亡くなったハイチ地震の700倍の強さでした。それでも多くの建物が地震では倒壊せずに残りました。 3月10日に中国の雲南ではM6.4の地震があって100棟近くが倒壊、1000棟近くが半壊したそうです。 その後のM6クラスの余震にも大きな被害の出ない日本の建築物、構造物は本当にたいしたものです。 東北自動車道はもう復興して車が通れるようになっています。 東北新幹線は脱線も転覆もすることなく、4月下旬の全線再開をめざしています。 津波後9日間を祖母を支えて生き延びた16才の少年のちからは世界で賞賛されていると海外在住の方から伺いました。 日本の小学校で行われている防災教育に、注目が集まっているようです。
もっとも、防災先進国である日本と、防災訓練に慣れていた国民を高く評価する記事がある一方、 世界一の防災先進国日本ですら防げなかった津波の悲劇に、自然の力の前では人間のテクノロジーは無力だと嘆く記事もありました。 これもひとつの真実なのでしょう。
海事関係の情報収集ができないので、仕事の関係で触れる英文記事から、本日はちょこっとご紹介してみました。
2011年04月02日(土)
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