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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
ヴィトリア女王・世紀の愛

2月5日で上映終了の「ヴィクトリア女王・世紀の愛」やっと行ってきました。
とても「篤姫」(NHK大河ドラマの)なお話で、ユーラシア大陸の東と西に離れれど、あの時代は似たような感じだったのね…と。
それとも現代の女性脚本家があの時代を解釈して現代に伝えようとすると、同じような展開になるのでしょうか?

聡明な少女が、政争うずまく宮廷で果敢に生きていく、という主筋はほぼ同じ。
ただ異なるのは、政争の駒として送り込まれるのが姫ではなく、公子(アルバート公)であるという点。
そのあたりがまた逆に物語を面白くしているゆえんでもあるのですが。

私(わたくし)よりも公(国や政治や家)をまず一番に考えようとするその価値観も、ほぼ同じですね。まぁ19世紀半ばという時代的にはほぼ同じですし。
イギリスとか西洋とか言うと、明治以降は日本より個人主義が進んでいるようなイメージがあったのですが、国へのdutyが重んじられるというあの価値観は、19世紀半ばにおいても、M&C時代の海軍士官たちが持っていた価値観とあまり差異はなく、そしてこの映画は、驚くほどヘレン・ミレンがエリザベス二世を演じた「クイーン」と似通っています。
女王と首相と国民の関係…その基本は案外、イギリスって19世紀から変わってないのだなぁ…というのが正直な感想。

あぁでも画面は本当に豪華絢爛…うわぁあのドレス素敵!と手放しでうっとりしてしまいます。
赤海老さんがずらーっと整列して、ドレスと金モールの軍服と、この華やかさはあの時代ならではですし。

メルボルン卿(首相)がポール・ベタニーですが、金髪の彼が金モールの礼服をまとうと映えますね。素直にかっこいいわ。いや腹に一物ありそうな演技も相変わらずで素敵です。
それを言えば彼の政敵となるサー・ジョン・コンロイ(マーク・ストロング)、サー・ロバート・ピール(マイケル・マロニー)も印象的で。
そして女王の母(ミランダ・リチャードソン)が見事です。
ご意見番ウェリントン公爵アーサー・ウェルズリーのお鼻が史実通りであったことも付け加えておきます。


2010年01月30日(土)