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Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
青列車のトリビア

今週末は今日明日とも外出してしまうため、テキストを作成している時間がありません。
急ぎのニュースもありませんので、悪しからずご了承くださいませ。
代わりにもなりませんが、放映中のクリスティ・ドラマ関連のおしゃべりと、全く役に立たない知識など。

先週からNHKBS2のクリスティ・ドラマシリーズを楽しみに見ています。
芸達者な俳優さんたちの競演を堪能させていただいて、毎日が幸福。

木曜日は面白かったですね。
航海長ことロバート・パーの役は、インドで酒で失敗し除隊となった陸軍大佐ですが、彼は公爵夫人ことシェリー・ルンギ(未亡人です)に密かに心をよせ、夫人も元大佐に好意をもっている。ところが、夫人の息子…これがハモンド候補生ことクリスチャン・コウルソン…は母親の再婚が嫌で大佐を追い払いたいと思っている。
殺人に使われた銃は大佐のところから盗まれたものだが、それを警察に言うと自分の容疑は晴れても過去の不名誉が明かになる。夫人に過去を軽蔑されると思った大佐は言い出せず、そんな彼を息子はますますうさんくさく思って、犯人ではないかと疑い始める。
なんだか本筋とは別の、脇ドラマでたっぷり楽しましていただいてしまいました。
海洋ドラマファンだと1粒で2度美味しいアガサ・クリスティ…え?

冗談はさておき、
毎回ドラマの後に3分程度放映される「クリスティー紀行」。
これは以前に、NHK総合で日曜夜19:30から放映されていたアニメのクリスティ作品のために撮影されたものの再放送。
12月13日(水)放映分はプリマスです。

番組のメインはプリマスの豪邸ですが、冒頭にちらっとプリマス港が登場します。
これは、ドレイクの逸話で有名なザ・ホー(港の見える丘公園のようなところ)から撮影したもので、海洋小説ではいわゆるプリマス海峡と訳されているところですが、昔はこの海一面に戦列艦が錨を降ろしていたものでした。
撮影が夏なので、驚くほど穏やかな青い海が広がっていて綺麗ですが、季節をはずせば小説でよく登場するどんよりとした灰色の海を見ることができます。

このアニメのミス・パープルは八千草薫が声を当てていて、今回のドラマ吹き替えの岸田今日子とはずいぶん感じが違うのですが、
でも、今回のドラマについて言えば、二カ国語で元の英語を聴いていると、セリフのトーンはまさに岸田マープルの通りなのですね。
原語のトーンが見事に日本語の吹き替えに活かされていて、感心しました。


ちょっと話はずれますが、「青列車の秘密」を見ていて、最初私はこれ、何故タイトルを「寝台列車の秘密」と訳さないんだろう?って疑問に思ったんです。
青列車の原語はthe blue train、ブルトレです。実際に舞台となるのは寝台列車ですし、私はてっきり英国でも寝台列車はblue trainで、だから日本でもブルトレという言葉を寝台車の愛称として採用したんだと思っていたのですが…ちがうんですね。
英語のblue trainには何の意味もないんです。ただ列車が青いだけ。

ではこのthe blue trainっていったい何かというと、これLe train bleuというフランス語の直訳。
そしてこのLe train bleuが、当時のフランスでパリと南フランスを結んでいた寝台特急列車の固有名詞だったんです。
興味をもたれた方はこちら(英語)を↓写真がのってます。
Le Train Bleu
http://en.wikipedia.org/wiki/Compagnie_Internationale_des_Wagons-Lits
だったらブルトレではなくトランブリュウと言えばいいのに、旧国鉄さん>

以上、青列車のトリビアでした。


2006年12月09日(土)