Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
やっとナルニア行きました
やっと…、行くことができました「ナルニア国物語」…すでに4月第3週。やれやれ。 やっとこ年度末は終わったものの、でもこの先、私が映画ファンに戻れる展望は結構暗い…退職者が出るのに、後任を入れないらしいんです私の部署。 映画ファンになったのは、残業が多くてTVドラマや舞台が見られなくなったからだったのですが、なんだかその最後の砦もあやしくなってきたような…、
そんなこんなで、暗くなってたのですが、ナルニアに行けたおかげで、ひさびさに幸福な気分になれました。 こんなに楽しかったのは本当にひさしぶり。
私が初めてルイスの原作を読んだのは小学校の図書館で、5年生から6年生にかけて。 中学校の図書館にもあったので、中2の時のもう一度借りて読み直しました。 それから約30年が経過して、今回の映画なのですが、 いやー! 人間、長生きってするもんですねぇ…ってまだ私もそんな年齢じゃないですけど、でも「長生きはするもんだ」っていうお年寄りの気持ちが今回少しわかったわ。
特殊撮影技術の発展に万歳三百万唱! かつてBBCが製作したTVドラマ版と比較して…技術の進歩に目を見張ります。
タムナスさんとか、映像で見ることができるとは思いませんでしたよ。 ぬいぐるみを着た「特撮」でもなくって、アニメーションでもなくって、ほんとにホンモノみたいなフォーンなんですもの。 絶対に見られないと思っていた映像を見せてくれてありがとう! これでチケット代1,300円なんて申し訳ないみたい。
よく、童心に帰って…とか言いますけど、たぶん私はかなりなところ、小学生で初めてナルニアを読んだ時に帰って映画を見ていました。 実は小学生の時と、中学生で再読した時では私の場合、感想が微妙に違うのですが、今回の読後感…というか鑑賞後感は、小学生の時に近かったような気がします。
いつもは結構、映画を批判的に見ている私ですが、今回はもうみんな無し!ルーシーに感情移入して、一緒に冒険を楽しめればそれで満足!…になってしまい、自分でもびっくり。
勧善懲悪なところが物足りない…とか、キリスト教色が薄れている…とか、この映画に批判はあるようですが、今のままでいいんじゃないかと私は思います。 今回、映画が始まってみたら自然と、小学生の時のように、ありのままを受け止めるモードに入ってしまったので。
実は中学2年で二度目に原作を読んだ時は、かなり批判モードがあったんですよね。 小学生の時はキリスト教的背景とか何も知らずに読んでいて、アスランは親しみやすい神様…というよりはもっと身近な聖人のような存在だった。ナルニア国物語は単なる冒険物語だったのです。
ところが中学2年の時はもうキリスト教的背景があることをいろいろ知っていて、中2…14才っていうのは反抗期のただ中でもあるから(まったくもってエドマンドが他人事はない世代)、異世界ファンタジーなのにキリスト教という、ある意味とても現実的なものが持ち込まれることに、すごく反発を感じたりして。 この物語は好きなんだけど嫌い…みたいな、けっこう複雑怪奇な読後感でした。
キリスト教うんぬん…とかは、なまじ知識があるからいろいろ考えるんですよね。勧善懲悪うんぬんも、「ファンタジーはこうあるべき」とか、「子供向け映画はこうあるべき」とか大人の頭でいろいろ考えるから気になってしまう。 でも、いちばん始めに、ほんとうに子供の頃に初めて「ナルニア国物語」を読んだ時には、そんなことたぶん何も考えなかったと思う。 だから…そんなこと考えないで素直に楽しむというのも、ひとつの楽しみ方じゃないかと思うんです。
原作の扉の裏に、ルイス教授のまえがきのようなものがありますよね? 子供のためにこの本を書いたけれども、その子は本が書き上がる前に成長してしまって「いまさらおとぎばなしでもない年になってしまった」。 「でもいつか君は、さらに年を重ね、またおとぎばなしを読むようになるだろう」
この後半の「」の部分に、今回けっこうどきっとしました。 私はひょっとしたら「さらに年を重ね、またおとぎばなしを読む」年齢になっているのかもしれません。 そしてそれはきっと、50才を過ぎてファンタジーを書き始めたルイス教授にとっても、実感ある真実だったのではないでしょうか?
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へびのあし(蛇足)…もしくは童心にかえったゆえのつっこみ
アスランが二本足で立たない。ずっと四つ足だった。 原作で、魔女と話し合いをするところの挿絵に、アスランが手(前足)を背中で組んでとぼとぼと(後足で)歩いていく…というのがあるでしょう? 子供心にあの印象が強くて、私はアスランってもっと人間みたいに歩くんだと思ってたんですけど。
石舞台は英語ではストーン・テーブルで本当にテーブルだった。 ろくろく外国を知らない上に、瀬田先生の名訳を刷り込まれた小学生は、石舞台のシーンを蘇我入鹿の首が飛んだ奈良県明日香村の石舞台で長年想像していました。 それでもって、柳生の里の一刀石みたいに、びしっと巨岩が割れるんだと思ってました。 あんなところだったとわ…。
でも(たとえ細部は奈良県でも)、基本的に私のナルニアは、英国とアイルランドの光景なんです。ニュージーランドじゃな〜い! 森とか、ケア・パラレルの遠景とかはいいのよ。でも、でも、あの決戦の地が、あの山はちが〜う。 あれはそれこそ「キング・アーサー」の決戦地みたいな感じのところだと思ってたのに。 (…中学2年の再読時はローズマリー・サトクリフの歴史物語(「ともしびをかかげて」とか「第九軍団のワシ」とか)も読んでた時期だったので、両者がくっついてナルニアの決戦の地はキング・アーサー、という想像になるんです) …アーサーと言えば、ボーズ(レイ・ウィンストン)のビーバーさんは良かったですね。
最後に、ひとつだけ:おとなのつっこみ タムナスさんがルーシーをお茶に誘う時に、「イワシの缶詰もあけますから」っていう字幕が出たんですが、ナルニアに缶詰工場ってあると思います? 字幕が出てから気づいたので、英語をヒアリングしそこねた。タムナスさんは「canned sardin」とか言ってたんでしょうか???
2006年04月21日(金)
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