Sail ho!
Tohko HAYAMA
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Sail ho!:映画「マスター&コマンダー」と海洋冒険小説の海外情報日記
Deep Blue
夏です。暑いです。海に飛び込みましょう。深い深い深海へ。 …と考えている人が首都圏に山ほどいるのかどうかはわかりませんが、何故こんなに混んでいるの?と驚くような大ヒットになっているドキュメンタリー映画「ディープ・ブルー」。 なにせ先週の六本木ヒルズ、ヴァージン・シネマでは、「シュレック」「サンダーバード」「スパイダーマン2」「ハリポタ3」「キング・アーサー」を抑えて、一番大きなスクリーン7をとっていたのは、この「ディープ・ブルー」だったそうです。 私は川崎のヴァージンTOHOに行きましたが、ここも一番大きいTHXのスクリーン5が三分の二埋まる大盛況。
これは、「M&C」ファンというより、スティーブン・マチュリンご本人に是非是非ご推薦したい映画です。 なにより冒頭から50万羽のアホウドリ…なのですもの。
「ディープ・ブルー」は広大な海に生きる生物たちの生態をあますところなく記録したドキュメンタリー。 ラッセル・クロウはインタビューの中で、19世紀の海軍本部の仕事を現在のNASA(航空宇宙局)の仕事に例えていましたが、21世紀に入った現在でも、5,000メートルを超える深海を知る人間の数は、宇宙を旅した人間の数より少ないのだそうです。
スクリーンに展開される驚異の映像の数々、思わず「うわぁ」と口に手をあててしまったり、息をとめてしまったり、 映画館は暗闇だからよくわからないけれど、かなりの数の観客が、あのガラパゴス視認直後のマチュリン先生状態のキラキラ目になっていたのではないかと思われます。
M&Cファンとして思わず「うっそー!」と思ったのは、イワシの群れの争奪戦を演じるサメとイルカのただ中にダイブするカツオドリ。 カツオドリって、あのDVDの追加映像でマチュリン先生の虫眼鏡をつっつこうとしていた、あの間の抜けた顔のひょうきんな鳥ですよ。 英語でカツオドリをあらわすBoobyってブービー賞のブービーで、つまりは「あほ、まぬけ」って意味で、日本語の「あほうどり」と同じような感じなんですよ。 なのに、なのに、そのカツオドリが こ、こんなにカッコイイなんて…、 …素敵。
やっぱり未知なる世界…海って、奥が深いわ。
ただし一つご注意は、これは海の弱肉強食をもあますところなく記録したドキュメンタリーです。シャチに食べられてしまうアシカとか、可哀想な映像もありますので、その点は覚悟してご覧になってくださいますよう。
最後に、これは個人的な感想なのですが、私的にはBGMがちょっと。 音楽は「ガンジー」や「遠い夜明け」を手がけたジョージ・フェントン、演奏はベルリン・フィルで、これはこの映画の売りの一つなのですが、 私は海洋記録映画といえば、ジャック・イブ・クストーの「沈黙の世界」の印象が強い。 海中は本来、静かな世界です。 海上は風と波の音の世界。 最初から最後まで大熱演、金管楽器ばりばりのベルリン・フィルは見事ですが、自然を記録した映画なのだから、もう少し自然な音で、音楽で盛り上げるようなことをせず、ありのままを見せて、聴かせてほしかったなぁと。個人的には少々残念に思うのでした。
2004年08月08日(日)
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