umityanの日記
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2006年09月29日(金) 涙と酒でくれた誕生日。

はからずも、二日前に○○歳の誕生日を迎えた。若い頃ならともかく、この歳になると、嬉しくもあり、嬉しくもなしだ。いや、良いことがあると、やはり嬉しい。当日は知ってか知らずか、弟(仕事仲間)より、久しぶりに一献やりたいとのテルが。もちろん断る理由はない。六時に待ち合わせて、彼の遠縁が経営する焼鳥屋風小料理屋へと赴いた。豚足とやらを食べたが、いやああ、これはじつに旨かった。弟が言うには、ゼラチンがたっぷり含まれているので健康に良いとか。「そうですか」と言って、骨までしゃぶってしまった。

あれこれと仕事の話や、よもや話で盛り上がった。話の過程の中で、「実は今日は俺の誕生日なんだよ」と言うと、弟はすかさず、「そうなの。じゃあ今日は僕がおごるよ」ときた。誠に嬉しいかぎりだ。別に期待をしていたわけではないが、一応、言っては見るべきか?。とは言え、弟もちゃっかりしたものだ。領収書はきちんと、もらい受けた。

二次会への段取りをしていたとき、「お電話です。お電話です」と、僕の携帯が優しい声でささやいた。「今日の呼び出しはいつもと音色が違うぜ」と思いながらディスプレーを見ると、のりちゃん先生からだった。今、学生とのコンパで、飲んでいるとのこと。もうすぐ終わるから落ち合わないかとの誘い。いやああ、期待していない時の呼び出しも嬉しいものよ。一度あることは二度ある。僕はすかさず言ってやった。「実は 今日は僕の誕生日なんだよ」と。のりちゃん先生曰く。「そうなの。まずかったかなーーー」ときた。「僕は一向にかまわないよ」と告げると、再度、電話すると言って彼はテルを切った。

弟ものりちゃん先生をよく知っている。三つどもえでいくか?と思ったが、弟に仕事の呼び出しが・・・。これは仕方がない。懇ろに礼を言って弟と別れた。とある店で、のりちゃんを待つことにした。とある店とは友人の奥さん(上海出身)が勤め始めた店。様子伺いで訪れたが、な、なんと、そこで、彼女から誕生祝いの品をいただいた。期待していないときのご褒美?は、これまた嬉しい。あせる気持ちで、包装紙をバリバリと破ると上品な携帯のストラップが。ブランド品だ。早速、装着だ。就職が決まったことのお礼だったのかもしれない。それでも、嬉しい。あれこれと、だべりながら、のりちゃんからのテルを待った。相変わらず、なしのつぶてだ。

一時間は待った。「臆したか?」という言葉が一瞬、脳裏をかすめたが、まず裏切らない男。しびれを切らしながら待っていると、客がどやどやと・・・・。うんん、これじゃーー、彼女を独占することも出来ない。彼女に頑張ってというエールを送り、場所を変えることにした。

三次会を何処にすべきか迷ったが、すぐ近くに美術生がアルバイトをしている店がある。日替わりで担当者・・・じゃない、カウンターレディーが代わる。今日のレディーは油絵専攻か?、日本画か?、色彩か?、理論か?、彫塑か?と、期待に胸をふくらませながら赴くと、彫塑専攻のレディーがお迎えだ。ママはまだ不在。これじゃーーー誕生日の話も出来ないなあーーーということで、三十分で切り上げた。のりからのテルはまだない。「こうなりゃ、もう呼び捨てだ」と思ったが、冷静に、冷静にと我が身をなだめすかした。

四次会で待つことにしようと意を決し、本命とも言うべき、小料理屋へ。すでに、ママさんよりEメールで、「おめでとうと言うのは、今年で何回目でしょうかねーー」という皮肉めいたメッセージをもらっていた。去年もそうだったが、お祝いのワインが用意してあるに違いない。僕もあまのじゃくだ。そういう風に待ちかまえられると行きたくない気持ちになる。とは言え、今日は仕方がない。僕は人の歳は多めに紹介するのに、自分の歳だけはいつも鯖をよんで、低めに伝えている。ママは正確な僕の歳をつかんでいるのだろう。それが皮肉めいたメッセージとなったのだろう。まあ、どうでもいいことだが。

「笑うセールスマン」呈のスタイルで、僕は暖簾をくぐった。ハットをハッと取り、短い片足を歌舞伎役者のごとく上げ、トツ、トツ、ト、トーーー、「ワオーーーー」と叫びながら登場。カウンター客の笑いをとりながら、指定席へ。ママは満面の笑みを浮かべながら、「はいっ」と言って、なにやらボトルを差し出した。な、なんと、「久保田」という酒だった。ワインではなかった。ワインから久保田へ格上げだーーー。「これお祝いよ」言って、ハッピーバースディー・トーユーとやり出した。カウンター客も一緒に歌い出した。嬉しいやら恥ずかしいやら。これにゃーーー僕も泣けたぜ。皆で、「久保田」を飲み干した頃、のりよりテルが。「今どこ?」ときた。「本命の店だよ」と言うと、すぐ来るという。現金な男だぜ。すでに「久保田」はないぜ。

ここから再び尊敬語を使おう。のりちゃん先生は、さほど酔っている風でもなかった。さもありなん。学生相手じゃ、酔いも制限されるというもの。結局は、僕と飲み直したいと言うわけだ。まあ、それもいいだろう。僕たちは、気持ち悪いが、恋人のように仲むつましく語り合った。突然、彼から驚きの一言が発せられた。「今日は全部僕がおごるよ」。「えええっつ、大丈夫?」と僕は聞き直したが、彼の言葉に二言は無かった。嬉しいことは重なるものだ。今日の僕は代行代のみで終わりそうだ。

と、同時に僕の脳裏を何かがかすめた。のりちゃん先生の誕生日はいつだったっけ?。そうそう、11月だった。お返しが怖いぜ。プラスαをせねばなるまい。ママのカレンダーにはすでにのりちゃん先生の誕生日のマークが入っていた。おそるべし。11月。

今日ののりちゃん先生は、無制限何本勝負でもよさそうな気配。よほど飲み足りなかったと見える。彼の頭の中にはすでに次の候補地が決まっているようだった。その候補地を僕に言わせるところが心憎いではないか。「のりちゃん、しゃなりのママの所へ行こうか?」と言ったところ、目を輝かせながらうなずいた。僕は五次会になるか?。のりちゃん先生は何次会目なのか知らない。しゃなりのママは、のりちゃんの大のお気に入りだ。物腰和らかで、優しい顔をした超美人。彼の触手が動かないわけがない。彼は幾度となく、ママの顔をスケッチしたことがある。「ママ、紙と鉛筆もってきて。はい、動かないで」と、興奮した面持ちでママをスケッチしていた。ママも照れくさそうだった。お世辞でもうまくない彼の絵を、ママは大事そうに和服の胸の中へ収めた。こういうママの仕草が、又、彼の心をくすぐったに違いない。テーブルにポンじゃ、しらけてしまう。

この店へ来る度に僕はその話を持ち出す。「絵はすでにくず箱の中へポイだよ」と言うと、「そうだよなーーー」と、彼は神妙な面持ち。ママは「そんなことはないわよ」とかばう。世の中はこれでうまく治まるからいいわけだ。今宵も、のりちゃん先生はママと会えて嬉しそうだった。わかるぜ。その気持ち。単身赴任には女性の優しさが一番の薬である。

すでに午前1時を回っていた。店内の客は僕とのりちゃん先生だけ。後ろ髪を引かれる思いで別れを告げ、店外へ。そうそう、ここでもすべて、のりちゃんの懐にお世話になった。ここで、止めておけばいいのに、僕らは気をよくし、もう一軒、開いている店を探すことに。僕は六次会だ。少々、酔いも回っていたが足を進めた。時間も時間だ。僕たちは人の流れが少なくなったネオン街を歩いた。店舗紹介所なるところで足を止め、開いていそうな店を紹介してもらった。初めて行くスナックだ。店内はがらんとしていた。かしこそうな若い女性がカンター内にいた。僕たちは再び焼酎を所望。何の話をしたのか定かには覚えていない。時計を見ると3時を回っていた。さすがに、これでお開きだ。またもや、のりちゃんの奢り。うんんんん・・これも誕生日の効用か?。すなおに甘えた。

かくして、昨日は頭がんがん。昼までという約束の仕事を何とかやり遂げた。今日の格言だ。「遊びは徹底的に。人の好意には甘えよ。ただし、いつも柳の下にどじょうがいると思うな。お返しを忘れ、礼を失することがあってはいけない。約束の仕事は完遂せよ」。まあ、こういう事になるか。





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