もう独りでは歩けない。 なのに、ベッドの傍にはいつも杖を欲しがる。 車椅子でどこに行くにも杖をほしがる。 悲しかった。
ありがとうを繰り返す母 なんも出来てないよ。まだまだだよ。 だから遠慮なんかしなくていい。
小さいときから、誰にも甘えられなかった母。 今は俺に思いっきり甘えて欲しい。子どものように。
ガンよ お前は憎い奴だけど、ひとつだけ俺に母と長く居れる時間と 気持ちを取り戻させてくれた。 皮肉だよな。
俺はやっぱりバカだ。 こうなる前に気づくべきだったのに。
取り戻せるなら取り戻したい時間。23年間の空白の時間。 ごめんよ、おかあちゃん。
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