何年かぶりに、母と同じ部屋で寝た。 「あんたがおったら寝れへん」 かえって母の睡眠不足を誘ってしまった。
独りになれさせたんだね。
「なんも悪い事してないのになんで私だけ」 「みんな良くなって帰ってきてやのに、私は悪くなるばっかりや」
辛かった。うんうん、そうだね、ばあちゃんの世話も、じいちゃんの世話も 独りでしてきたのに。 心臓の悪かった父を気遣いながら、ささやかにやってきたのに。
俺が母に背負い込ませたんだね苦労を。 俺が悪い事をしてきたから、それがみんな母の身に降りかかったんだ。
そんなふうに思えて仕方なかった。
ごめんよ。
せめてもう一度だけ、元気に食べられるように、歩けるように 1日だけでも、回復させて下さい。 部屋に露天風呂のついた温泉に連れて行ってやりたいんです。 もう一度湯船につからせてやりたい。 あわび食べさせてあげたいんです。
ああ、満足、幸せやなぁ、 そう思える時間を作ってやりたいんです。
母を助けて下さい 今、母のためにならなんでもするから。 せめて、せめて、吐き気と下痢から解放させてやりたい。
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