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2006年10月09日(月)<<<鏡の裏 1

ふと朝日が差し込んで、私は目覚めた。
窓から差し込む光は、格子模様を帯びて私に届いた。
まだ、周りは静まり返って・・・時たま誰かのいびきと寝言、そして見回りをする人のゴム底がリノリウムの床をこするキュウキュウという音が聞こえるだけだった。
起き上がると見咎められるから、そのまま横になって格子に手を伸ばした。私の細い指でも、小指すら第2関節までしか通らない、せまいせまい格子。
見上げた天井は白く。
めぐらせれば壁は白く。
圧迫感を覚え、苦しくて。毛布に包まってもう一度眠りたいと願った。



狭い所が怖くなった。
壁が迫ってくるのを、覚えた。



私の記憶をつむぎだしたら。
其処からだと、思う。
それは今年の春、私が21歳になった頃。
たった数ヶ月前の記憶すら、私は確かだと思えない。



鏡。
壁に向かえば壁が見える。
鏡に向かえば世界が見える、自分の後ろが見える。
それはまるで本物のように、丸写しされた世界。
ふと、触れてみれば冷たい感触。
決して入れない、でも、見えるその鏡の世界。

鏡のこっちの世界と、鏡の中の世界と、もうひとつ鏡の裏側の世界。
1周した鏡の裏の世界は、きっとこの現実にとてもよく似ているんだと思う。
だからその世界を書く。

記憶の蓋を開けたら、飛び出してきた封印の数々。
鏡の裏側から這い出してきて、鏡を乗り越え、私に襲い掛かる。
やめてくれとさけんでも、叫べない。

だって其処に居るのは自分の記憶。
瞳を閉じれば見えるかのような、昔の私。
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