ウヲアイニ。...rin

 

 

タダ、アイタイダケ。 - 2003年12月25日(木)

一生忘れない。

夜勤の休憩中。
携帯が震える。一体誰だろう?
専門学校のときの友達、ちーちゃんの着信。
電話をかけてくるなんてめずらしいなぁ・・・。
不規則な仕事だから、メールでやりとりすることが多い。
いつもだったらそのままにしておくのだけれども
なんとなく、電話に出た。

何かを感じたんだろうね。今考えたら。

え?待って?どういうこと?
そうとしか、言えなかった。
涙ながらに一生懸命伝えるちーちゃん。
私は悲しいとかそういう感情よりも
疑問系でしか話すことができなかった。
とにかく、他の友達にも伝えないと。

他の人にも伝えた?うん、そっかそっか。
そしたら、伝えてない人には私から伝えるから。
うん。ちーちゃん大丈夫?うん。明日は休みだからそっちに行くね。
うん。それじゃあ。

携帯を握りしめたまま、しばらくぼぉっとしてた。
休憩時間はあとわずか。
早く、他の友達に連絡しないと。
ぽろぽろぽろ、と涙が出てきた。
信じられない。信じたくない。

アナタガシンデシマッタナンテ。

そのあと、数人の友達に連絡して。
家に電話して、明日朝一番で福岡に行くことを伝え。
休憩時間を少しオーバーして、夜勤に戻った。
消灯時間まであと少し。
泣きそうになりながら。でも、何とか笑顔を作って。
ポーカーフェイスは仕事柄お得意なはずだけど
多分、あんまりうまくは笑えてなかったはず。

夜中、涙で見えない視界に困りながら家に着くと。
いつもは寝ている姉が、まだ起きてて。
ちょっと話してたら、母も起きてきて。
びっくりだね。突然だったね。なんてちょっと話して。
ベッドに入った。

目を閉じても、全然眠れない。
身体は疲れきっているのに。
胸がなんだかドキドキして、すごく苦しい。
どうしていいのかわからなくて。
気づいたら電話してた。
真夜中にひとりで勝手に話して泣いて。
相手はさぞかし迷惑だったに違いない。
それでも、ちゃんと聞いてくれた。
おかげで泣き疲れてそのまま寝た。

翌朝、高速バスで福岡に向かった。
いつもは自分の車で行くけど、無事に着く自信がなかった。
高速バスでも、気が緩むと涙が出てきた。
福岡に着いて、病院までタクシーで。
タクシーの中でも、ぽろぽろ泣いた。
すべての景色に、アナタが思い起こされて。

病院に着いて、ちーちゃんに電話した。
『今迎えに行くから。』
玄関でちーちゃんを待つ。
何年か前までは自分も働いていたとこなのに
こんなことで、また来ることになるなんて・・・。
ちーちゃんの姿を見つけて、
また、ぼろぼろ泣いた。

ちーちゃんと手を繋いで、霊安室に向かった。
何度となく来たことのある霊安室。
でも、今は白衣も着ていない。キャップもかぶってない。
部屋に近づくと、また胸がドキドキした。

和室の霊安室。数人年輩の女性がいて。
友達です、と挨拶をした。
『どうぞどうぞ、入って。ありがとうね。』
優しい、宮崎なまりの言葉。
アナタは宮崎のなまりはほとんどなかった。
でも、優しいところは受け継いだみたいだね。

アナタは寝ているようだった。
顔色も悪くないし、そんなに冷たくもなかった。
ホントに、今にも『おはよう。』って起きそうな。
アナタの顔をじぃっと見てたら、お姉さんが入ってきて
今度はお姉さんと二人で、じぃっと見てた。

そのあと、2人でアナタにお化粧して。
『かわいい色が好きなのよね、このコ。』
『ピンクとか、キラキラとか好きですよね。』
そんなことを言いながら、できあがり。
ほほがうっすらピンクになって、かわいく仕上がった。
ホントはもっと派手なメイクが好きだよね。でもこれで我慢しときぃ。

普通、それまで信じられなくてもご対面してしまえば
亡くなった、というのがリアルになるのかもしれないけど、
私の場合、全く逆で。
あまりに寝てるような顔なので、さらに信じられなくなって。
『ねぇねぇ。』と揺さぶりたくなる気持ちでいっぱいだった。

とても寒い日で。ちーちゃんちでコートを借りた。
ちーちゃんと、あと一人の友達とアナタの話をした。
『クリスマスに旅立ち、なんて、あの人らしくない?』
ちょっとだけ、笑った。

夕方からお通夜。アナタの嫌いな雪がちらついた。
『寒いーーーー!』アナタの悲鳴が聞こえてくる気がした。
病院の人がたくさん来てくれて。
アナタがみんなに愛されていたことを改めて感じた。

次の日は仕事なので、帰らなければならなかった。
ぎりぎりの時間まで延ばして、最後にお別れさせてもらった。
三つ編みをして、お花に囲まれてるアナタはやっぱり眠っているようで。
もう、この姿を見れないんだ。
そう思うと、どうしようもなく淋しくなった。
いつまでもいつまでもそばにいたかったけど、それはできなくて。
もう一度、泣いた。

仕事をしながら、アナタを思った。
友達が、お葬式でのお別れの言葉をメールでくれた。
昨日、友達みんなで考えた言葉。
とてもとても素敵な言葉だった。
それを胸に、あなたは旅立って行ったんだね。

寮の部屋の片付けの日、運良く休みだったのでお手伝いさせてもらった。
いつも通り、やっぱり汚いアナタの部屋だった。
数人がかりでホコリだらけになりながらその部屋を片付けたあとに
アナタが倉庫代わり使っていた隣の部屋を発見したときの
みんなのあきれた顔といったら。見せられなくって、ホントに残念。
最後の最後までやっぱりアナタはおもしろい人でした。

どうしていまさらこんなことを書くのかって?
1年目のラブレター、とでもいうのかな?
こんなに誰かに会いたいと思ったのは、今までで初めてだよ。
それなのに、絶対に会えないなんて神様もケチだよね。
ていうか、たまには夢に出てきてください。

いっぱい遊んだよね。ホントに。
書ききれないくらいに、思い出がありすぎ。
あと、前にも話したけど私とすごく似てるなぁ、って思ってた。
優柔不断なところ。淋しがりなところ。だらしないところ。
自分に甘いところ。自分に自信がないところ。飽きっぽいところ。
きちんと考えないところ。適当なところ。ボケてるところ。
だけど。
誰よりも優しいところ。あったかいところ。
すごくロマンチックなところ。心が広いところ。
それは、私にはない部分で。だから、一緒にいて安らげた。

アナタのあの汚い部屋で2人並んで一緒に寝たいよ。
バカ話しながら夜を明かしたいよ。
昼までうだうだ借りてきた漫画読んでいたいよ。
夜中に迷いながら大宰府の温泉まで行きたいよ。
おいしくて安いシチューライス食べたいよ。
天神でアナタ好みのかわいい服見たいよ。
アナタのやばい恋愛話聞かせて欲しいよ。
アナタの服借りて夜の街に遊びに行きたいよ。
声枯れるまで2人で耐久カラオケしたいよ。
夜中にこっそり食堂のゴハン盗んで韓国のり食べたいよ。
問題だしあいっこして国試の勉強したいよ。
旧館の部屋で鍋しながら語り合いたいよ。
ディズニーランドを案内して欲しいよ。
チャリ飛ばして配膳のバイトに行きたいよ。
実習服のままコタツで寝てるアナタを見たいよ。

ただ、会いたいよ。やまさんに会いたいよ。
伝えたいのは、それだけ。


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