来週のワットMステ楽しみですねえ…な金曜日。
今日の道明寺さん可愛かったすよ大賞は、家の前で待ってたときの一連の動作(手を腰に→手をパタパタ)に差し上げたいと思うんですけど、どうかしら!
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えー、では、かえってきた水カツンをそそくさと。どうぞ。
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☆ ウォーターカツン 後編/3 ☆
突然、「俺の曲をシンクロで使うの、やめねえか?」と言ったのはJOKERでした。
実はJOKERは、あれほど打ち込んでいたラップ部を、退部していました。 きっかけは、いつぞやのラップ大会でした。 その大会にはJOKER憧れのラップ界のKINGが審査員として招かれていました。KINGの前で渾身の演奏を見せたJOKER。会心の出来栄えでした。しかし、KINGはJOKERの演奏に何の反応も示しませんでした。「お前、才能ないyo」そう言われたような気がしました。 それ以来、JOKERはラップへの自信をなくしてしまっていたのです。逃げるようにラップ部をやめ、シンクロの助っ人を買って出ました。 けれど、シンクロ練習で自分の曲を聞くたびに辛い気持ちがこみあげ、また、シンクロを逃げ道にしていることへの罪悪感は募る一方でした。 そうとは知らない中丸くんたちは、突然のJOKERの言葉に、ただ、驚きます。 「そんな・・・どうして!?あんなにいい曲なのに!」中丸くんは言いました。 曲が変わってしまうと、シンクロの構成そのものが変わってきます。それは困るので他のメンバーも口々に「お前の曲が必要だ」と言い募りました。けれどJOKERは耳を貸しません。 「別に、その曲じゃなきゃいけねえってこと無いだろ。どうしてもってんなら、お前らで勝手にアレンジでも作曲でもしろよ」 そしてJOKERはそのままプールを後にしました。
というわけで、とりあえず残ったみんなで曲を作ってみることにしました。
亀梨くんは「絆」という曲を作りました。 「いい曲だけど、シンクロ向きではないよな?」「またいつかカップリングでは出したいけどな?」 赤西くんは「ムラサキ」という曲を作りました。 「なんでムラサキ?」「朝のプールの色だよ」「そうかな…?」 上田くんは「ラブインスノー」。 「夏にスノーは…」「プールにスノーは…」「ちょっとスノーは…」 などなど。 けっこう曲はできましたが、シンクロに合う曲はなかなか見つかりません。 「やっぱり…やっぱり俺は、聖くんのあの曲がいいよ」 「そうだよね…」 中丸くんの言葉に、田口くんも頷きました。 「僕さ、足を怪我している間、ずっとあの曲にはげまされてたんだ。前からラップ部の作る音楽が好きで、帰り道に口ずさんでたら『今のところはリズムが違う!』なんて、すれちがいざまに田中くんに怒られたことがあって…あのときは怖かったな…」 懐かしそうに語る田口くん。 自分の曲とリリックに自信を持っていたジョーカー。リズムの違いを許さない。それでこそジョーカーだったのです。なのにあんなふうに、勝手にアレンジしていいと言うだなんて…。ちなみにこの辺ネタのようですけどオール創作なのでおねがいしますね…。
一方、その頃のJOKERは、ひとりで河原に来ていました。自然の中にいると心が落ち着きます。 そのときです。むこうのほうから高い悲鳴が聞こえてきました。 「キャアアア!」 駆けつけたJOKERが見たのは、いつぞやのちびっこギャングが、7,8人の男たちに取り囲まれている光景でした。高い悲鳴はちびっこギャングの声でした。 「てめえら!そんなチビ相手に何してんだ!」 「えっ?」 JOKERの凄み声に、7,8人の男たちはいっせいに振り返りました。よく見ると彼らは、先日シンクロ指導に来てくれた関西系学校の人たちでした。更によく見ると、ちびっこギャングを取り押さえているのは全員ではなく、彼らのうち1人だけのようでした。 「どういうことだよ!?」 「いや、うちのメンバーがすいません」 「道ふさがれて、途中までオトナな対応してたんですけど、なにかのキッカケでキレてしまって…」 「Bガタンですわ」 「あれ、Bガタンですわ」 関西系学校のメンバーは口々に言いました。 彼らによると、今ちびっこを取り押さえている彼はAB型なのですが、なにかのキッカケでB型の人格だけになってしまうことがままあるそうなのです。その状態を「怪獣Bガタン」と呼び、「こうなったら誰にも止められへん…」とのことでした。 「んなこと言ったって…」 ちびっこギャングは悲鳴をあげています。特にひどい事をされているわけではないのですが、その様がなんだかとても可哀想です。 JOKERは意を決しました。キッと視線を上げ、帽子をグイと下げました。 スッと息を吸い込みます。 そして右手にマイク。 左手はYO。 JOKERの臨戦態勢に気づいた関西メンバーは、慌ててJOKERを止めました。 「いや、あかんて!」「Bガタンはあんたの手におえる相手とちゃうよ…!」 けれど、そんな彼らにJOKERは首をふりました。 「Bガタン?そんなもんに負けねえよ」 「せやけど」 「…俺は、正真正銘の、B型だからよ!!」 JOKERの言葉に、関西メンバーは息を飲みました。B型の人間を間近で見るのは初めてでした。 そして始まるJOKERのラップ。一歩また一歩とBガタンに近づいていきます。地団太を踏むBガタン。 JOKERの表情が険しくなりました。久しぶりで、ラップの勘が取り戻せないのです。このままでは正真正銘のB型がBガタンに押されてしまう…。 その時、土手の上に現れたのは5人の影でした。 「加勢に来たぜ!」 さっそうと現れた勝運高校シンクロ部。 真っ先に飛び出したのは、亀梨、上田の2人でした。そう、この2人も正真正銘のB型なのです。B型が半数を占めている勝運高校シンクロ部。 「僕も半分貸すよ!」とAB型の田口くんも言いました。 中丸くんと赤西くんも、ボイパと高音美声で援護します。
こうして、圧倒的な力でもって、ついにBガタンを制することができました。 助かったちびっこギャングは何度も何度もお礼を言いました。 「…田中さんのゴーイングマイウェイなラップ、すごく格好良かったです!」 憧れの表情を浮かべるちびっこの頭を、JOKERはグルグルと撫ぜました。 「礼を言うのはこっちのほうだ。…お前がキッカケをくれたおかげで、俺は俺のラップを取り戻せた」 JOKERは穏やかな表情で言いました。 B型の戦いの中で、JOKERは自分らしさを見つけることができたのでした。自分らしく。あるがままに。我がままに。ふてぶてしく。それでいいんだと。 「そうだよ聖くん。何があったか知らないけど…、聖くんには、聖くんのままのラップが合ってるよ」 中丸くんが頷きます。 田口くんもニコニコ言いました。 「ねえねえ、ところでさっきのラップのフレーズだけど、イッツ田口ドリームって歌ってもいいかな?」 言われたとおり、アレンジしてみた次第です。 JOKERは顔をあげると、即座に答えました。
「なにが田口ドリームだよ。そんな夢、俺がグチャグチャにしてやるよ!」
ハッと顔を見合わせる勝運シンクロ部。 アレンジを許さないその言葉こそ、JOKERの真髄でした。完全復活です。 「そうこなくっちゃね!」と田口くんは更にニコニコしました。
こうして6人は、再びプールへと向かいました。バックにはちびっこギャングを引き連れて。 文化祭まではあと2日です。
〜後編4へつづく
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残すところあと2回、の、続きは今度は5日後くらいでどうでしょ…。
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