すっごく気持ちがいい。 清々しいとはこのことかな。
玄関の外にあった傘立て?が老朽化にあたり中身を整理しようって話になった。「竹刀はどうするの?」母の声を背に玄関に向かう。
風にごみに晒されて竹刀は風化の一途だろう。 そうだ木刀があったはず。
「木刀も何本かあったでしょう」 そうだっけ?
確か父だったか?型の稽古に付き合ってもらったなぁ。 それとも弟か?だから2本あったのかな。
湯を張ったバケツと雑巾を持って外へ。 屋内では寒いとストーブを焚いていたが、昼前にもなると陽が暖かいのか。 丁寧に一本づつ磨いていく。 いったいいつぶりだろう。
磨き終わり程度のいいほうを持って庭へ。 片方はテープを巻いたむごい跡。(ヤンキー仕様?)
庭に出て木刀を振り始める。 ごく自然に靴下を脱ぎ裸足になる。 日頃運動してない体だからか動きがぎこちない。
こうじゃない、もっとこう、なんだ? 違和感を拭い去るべく回数を重ねる。
冬の澄んだ空気・空が好きだ。 庭木のまっすぐな幹に沿って振り下ろす。 仮想の相手に、脳天から足元まで。 柳生十兵衛だったかの時代小説も思い出す。 ただ斧じゃない刀(カタナ・片葉)を振るっているのだと考えつつ。
もっとこう…。 ぐっ、っと。
身体が思い出したのか膝が軽く落ち腰が入る。 そうか。膝と腰か。
傍から見ればまだまだなのだろうが、思い描いた斬撃が出せたようにおもえて アホのように繰り返す。 力強い振り。
音が気になった。 ぶん。ぶおっ。びゅっ。びゅっ。ふおっ。 そうだ、この音だ。
まっすぐ打ち下ろしているか見る。 しっかり握りができているか、力の配分はそれでいいのか、さわる。 音で良し悪しを確かめる。 北風の音、木刀の空を斬る音。
いろいろないらないものが取り去られて純粋になっていく。 いまならいろいろと人生にまっすぐ向き合えそうだよ。 大掃除とか本の整理とかすすみそうだな。
ただ…剣道について、素振りについて語り合える友がいないことが実に寂しくおもう。残念だ、もったいないことをしたと昔を思い返した冬の日。
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