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1.3トンのさくらんぼ - 2003年06月25日(水)

今日の新聞に、山形で悪質なさくらんぼ泥棒が出ているという記事がありました。
「高砂」や「ナポレオン」は狙わずに、高級品種である「佐藤錦」ばかりを狙っているらしいです。その量、今までで、合計1.3トン。

その記事を見て、急におじいちゃんのことを思い出しました。


おじいちゃんは、おばあちゃんと二人ででも、友だちとででも、旅行に出かけるのが大好きでした。
あるとき、ちょうどさくらんぼの季節に友だちと山形にツアーに行ったおじいちゃんは、ツアーに組み込まれていたさくらんぼ狩りに行きました。
「○○狩り」にはよくあるように、「このケースに入るだけなら持ち帰りOK」だったので、家で待つおばあちゃんへのおみやげと思い、せっせと詰めたそうです。

でも、おじいちゃん、さくらんぼの「枝」がついたままだとたくさん入らない…と思って、枝を取って、詰めてしまったんです。
当然、おじいちゃんが帰ってくる頃にはさくらんぼは食べられない状態に。
開けてびっくりのおじいちゃん、話を聞いて大笑いのおばあちゃん。
おばあちゃんが後で私たち家族に話してくれました。


私の中でおじいちゃんは、そうやさしかったという記憶もなく、訛りが強く、頑固で、気難しい人でした。
おじいちゃんが亡くなったとき、私は大学1年で、初めて一人暮らしでクリスマスを迎えようとしていました。
亡くなったと聞いても、翌々日に試験があった私は、連絡してきた母に、明後日までは帰れない、と言ったのを憶えています。
本当は追試を受けることも出来たのに、試験を受けてから帰らないといけないような気がしたのです。
実家に帰ったらすぐにお通夜とお葬式で、誕生日やクリスマスどころではありませんでした。
でも私が帰る前におじいちゃんはお骨になってしまっていて、写真でしか会えなくなっていました。
それでも、私が帰るまで、おばあちゃんがお通夜やお葬式を待っていたのだと聞きました。
私ひとりだけが離れて暮らしていたので、おじいちゃんが亡くなるときに立ち会えなかったのが私一人なのも当然なのですが、なんとなく、今でも気にかかっています。


一生懸命詰めたさくらんぼがだめになってしまっていたとわかっても、おじいちゃんは、残念そうな素振りは見せなかったそうです。
きっとものすごく残念だったと思うのですが、悔しい思いをしたときは、絶対に表情には出さない人でした。
その、ある種無意味とも言える頑固さと天邪鬼なところは、父にしっかり引き継がれ、どうやら私にも遺伝したようです。
おまけに私は、かなり気難しい人間です。


1.3トンものさくらんぼを盗みとった人の話からおじいちゃんのことを思い出したのはどうにも癪なのですが、思い出したので、書いてみました。


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INDEX
past  will





Not one night
one single day
that I wouldn't give to you
So with all my might
in every way
I'll try to forget to you

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