「奇蹟の欠片」

幾つかの分岐路に旋る自由のアーチを抜ける。
無意識的に、或いは意図的に幾つもの選択をしている。
淘汰の果て、正しさを信じて失ってしまうのだと思う。

(それは失ったのか、棄てたのか)

当たり前のように傍に有るもの。
けれど、何一つ当たり前ではなかった軌跡。
少しでも違えていれば廻り合わず此処に無い筈のもの。
周りに有るものはそうやって一つ一つ択んできた希みの結晶。
何の前触れもなく出邂うものが奇蹟なんじゃなくて、そうやって今、当たり前のように傍に有るものこそ奇蹟の欠片なのかも知れない。

(全てはわたしから棄てたのだ)


<-- 往 / / -->