「ライフ追想とイノセント開闢と」

元々、短命だった。
其処で何も偽っていないにしろ、其処にあるものを残らず抱きしめようとして自分のこころと言葉を火で炙った。わたしの上に圧し掛かるわたしの重さ。長く維持出来ないなと感じていた。
終わらせたいわけではなかったけれど、終わらせなければならなかった。それはきっと煙草のようなもので。

惜しむ。本当はそんなものではなかったのかも知れない。わたしもあの場所も。
嫉妬があった。憎しみがあった。想いがあった。ニンゲンが居た。泣けるほどあたたかいニンゲンの複数のこころがあった。それがわたしを無責任で我侭に居させてくれた。

色々な理由付けをしたけれど、本当はもっと別の理由が多方面にあって。
色々な理屈付けをしたけれど、本当はただ大切なものが大切でなくなっていく感触を自分の中で味わいたくなかっただけで。誰かの瞳の中で変形してゆくものを見せたくなかっただけで。輝きを輝きのまま殺したかった。永遠とは瞬間。そういうものだと信じたから。

『なのにあなたが拘ったのは"ピーク"だった』
そうかも知れなかった。



わたしの中で散在したものがゆっくりと再融合されればよいと思う。その上で長く時間を紡げればいいと思う。多くを見失い、見棄て、見限ってしまった敬愛。どんな状況に於いてもそれを無くして、わたしは人と繋がれない。譬え見えるものが変わってしまっていても、たかがそんなものかと呟けない。

こちら側の世界でもこの世界でも確かな自分で居たいと思う。そうしなければ繰り返すだけ。
だから、あなたがあなたの望む道を進んでいくように、わたしがイノセントを求める限り、この場所は存在するのでしょう。


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