蕩尽日記...OG-Love

 

 

このつづきは信長書店でおたのしみ - 2003年06月08日(日)

忠臣蔵の感想です

良かったこと
その1 美貴様のお姫様役
悔しいけれど、いの一番に挙げます。このキャスティングに尽きる。発表当初は「うへぇ〜」って思ってたんだけど、いちばん衣装替えが多くて(フェスタを含めて七変化、かな? 少なくとも制作側から推されている証拠、と見ていいんですよね?)舞台で映えてるし、髷も顔立ちに合ってた。ヅラや衣装が決まるかそうでないかで、時代劇なんて八割方は決まっちゃうんじゃないかと思うんです。あと、落ち着いた立ち居振る舞いというか、感情の起伏があまり表面化しない所作というか、蝶よ華よと育てられたであろう深窓の姫君の少しトロ臭くもあるような鷹揚な物腰が見事にハマッていた。単純に考えても女王様キャラは彼女しか居ないですし。

その2 は特に思い付きません・・・・・・・・・・嘘。
討ち入りシーンの舞台右手奥の小川ちゃん(お松)に注目です!
その瞬間、脳内物質がドクドク溢れちゃうんです。興奮が最高潮なんです。大声で叫びたい、「お代官様プレイ、キターーーー」って(正確には「されてる」方ですが)。前から貴女のその全身全霊のサービス精神には敬服しきりだったのですが、とうとうサービスの意味を履き違えちゃいましたねっ!高校生になった途端に、いろんなものを失いすぎですよ!


拙かったこと
シナリオかな。
ナンセンス大歓迎ってことで、始めから時代考証とか無視したぶっ跳んだ演出を期待してたんですが、それは予想通り、「くのいち」でしか反映されていませんでした。あの人たちは最初から計算できる牌なんでね〜。パンフ未購入なんで詳しいことは知りませんが、作家の先生は「ひとつだけ嘘を入れました」と仰ってるんだとか。嘘とか真実だとかは別に問題じゃないような・・、あんなの嘘かどうかなんて判るし。
大衆娯楽劇なんだから、小難しい理屈を捏ねないで単純化してゆけばいいのに、「討ち入り」の理由付けが弱すぎってゆうか、結局、勝野パパの葛藤自体が宙に浮いた感じで、全然ストーリーに絡んでない気がします。あんなの単純に「テキサス殉職」か、茶店が潰されちゃう&つねがさらわれちゃう、みたいな展開の方がいいんじゃないのかなぁ?勧善懲悪の図式になりきってないのが何ともねぇ・・。
父娘。の衝突がなんか別の地平で起こっているようで、あそこは何度観てもよく解らなかったなぁ(むしろ、安倍さんが父親役に反撥する、ってのは娘。ミュージカルの定番シーンとして愉しむべきものなんですかね?)。変なところで些末な仕込み(「塩」がどうこうってのは、洒落として笑えないよ)があったりする割には、肝心な所で解説を放棄しているからだろうな、「身分制の不条理」とか。個人的な憤りなのか、それとも社会に向けられた怒りなのか、対象がはっきりしなくって、すずが真剣になればなるほど滑稽に見えて不憫で・・。おじいさんも出てくるのはいいけど、「女のつとめは・・」とか言い出す始末だし、もう何が何だか。最後にはもう「観ている側で補完せい」ってことなんだろうなって自分に思い聞かせながら観ました。
あと、時代劇だからもっと地口の遊びを取り入れて欲しかったんですよね、茶店の娘。→チャーミー、とか。塩団子じゃなくって、安倍川餅とか豆大福でいいじゃん、四姉妹の名前のアナグラムとかするんだったらさ。
もっと娘。そのものに凭り懸かった構成にしてほしかったんだけど、それじゃダメなのかなぁ?「時代劇調ミュージカル」って言いわけがましい肩書きにすべて集約されてるんだろうな、だから本当はシナリオに関してあれこれダメ出しとかもNGなんでしょうね。うん、「ワカンナイ」とか言う、僕が阿呆なだけなんです。
そう、素晴らしい舞台でした、どっこい。って、何で「愉しんだ者勝ち」とか誇らしげに言う人たちに、敗北感を味わされなけりゃいけないんだろう・・・


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