2002年08月14日(水) |
天高くとも 重力で地下に往く |
人様の畑を横切り、独りでフェンスをよじ登る。
ボロボロに破られた全ての窓ガラスは、暗い病棟の中身を消化しきれない。 朽ちた天井からは、誰かが眠ったであろう2階のベッドの足が2本、突き出している。
年月に歯を食いしばれなくなって、床を突き破って堕ちてきたんだ。
真昼間なのに真っ暗で 建物のなかって こんなにくらい。不思議なくらい
もう一度最上階まで見上げていたら、明らかに誰かが階段を登る音がキンキン響いてきた。誰かおれの他にいたのかもしれない。
「こっからはダメだよ」って、謂い得てる。 生感なんかわからないから、赤い血の検査受けたり泥みたく眠薬で忘れ去る。 そのばしのぎの蝉の鳴き声 この夏 それはなにも謂い得ない僕 死者は想像からの使者 生者は想像上の聖者 なんならベッドが沈んだよう この足2本放り出し 床突き破って
いつかどこかの地上 で 眠りこける滑稽な自分を笑って よ。
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