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■ 宇宙にふたりで取り残されて
わたしは夢の中で、ちいさな女の子になっていた。そしてなかなかハンサムだが、すこし恐い感じの男の人と一緒にいた。砂漠の中の一軒家のような、埃っぽい場所にいた。
ある日、優しそうな、白衣を着たおじいさんと、数人の、黒っぽい鎧を身に着けた男たちがその家に来た。少女の姿をしたわたしは、そのひとたちが「いいひとたち」で、博士と、その護衛なのだと感じた。
博士は、わたしとわたしを捕まえている男に、地球に帰ろうという。悪いようにはしないという。男はどうだか、というように凄みのある笑みを浮かべとりあわない。博士はわたしだけでも連れ出そうとするが、男は自信ありげに、彼女の意思を確認しろよ、という。どうもその世界では、「意思」が重要であるらしい。わたしは博士も好きだし、ついていってもいいのだが、男とは離れられない、と思う。
わたしは博士にゆっくりと頭を振り、男のそばに戻る。男はわたしを抱え、出て行け、そして二度と俺達と関わるな、という。博士は口惜しそうに男を見るが、わたしの目を見ると、「戻って来たくなったら、いつでも通信しておいで。必ず迎えに来るから」と穏やかに言い残した。周りの衛兵達が、いいのですか、と口々に博士に尋ねるが、博士はそのまま振り返らずドアを開けて行ってしまった。
男は誰もいなくなってから、急に不安になったかのように、よかったのか? とわたしに尋ねた。ちいさな女の子の姿をしたわたしは、勿論、というように頷いてみせる。男は愛しくてたまらない、というように小さなわたしを抱き締めた。
夢の中で、ああ、これでよかったんだな、と思った。
2001年09月24日(月)
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