セクサロイドは眠らない

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2001年08月28日(火) 体が男を引き入れ、深い深いところ、高い高いところに到達してしまう。

「今日はきれいなのが入ってるわね。」
私が、花屋の店先で花に見惚れていると、花屋の青年が
「気に入った?」
と、笑い掛けて来た。

「ええ。素敵ね。」
私は、笑い返した。

「でも、もう行かなくちゃ。いつも見るだけでごめんなさい。」
「花、好きなんでしょう?」
「ええ。」
「これ。」
青年は、チラリと店の奥に目をやって、他の店員に見られてないのを確認すると、私が見ていた場所の花を数本抜き取って私に渡して来た。

「だめよ。」
「大丈夫。さ。早く。」
「ありがとう。」

私は、バッグの陰にもらった花を隠すようにして花屋の向こうの角を曲がった。

--

「遅かったな。」
男はイライラと、私をとがめるように見る。
「ごめんなさい。」

「その花は?」
「え?ああ。お花屋さんにいただいたの。」

いきなり、男は花を取り上げて、茎を折ると、ゴミ箱に突っ込む。

「ひどい・・・。」
「男だろう?」
「え?」
「男にもらったんだろう?」
「男って。店員さんよ。」
「だから、そいつ、男だろう?」

いきなり、私の手首を掴むと、私をソファに引っ張って行く。
「痛いわ。」
「そいつと寝たいと思ったか?」
「思わないわよ。寝たいなんて。」
「じゃ、なぜ、そいつは花なんかくれたんだ?」
「知らないわ。いつも見ていたから・・・。花をいつも・・・。」

「寝たい、と思ってその男を見ていたんだろう?」
男は、私の洋服を剥ぎ取って行く。
「そんなんじゃないわ。」
私の目は涙に濡れる。

男が私の肩を噛む。私の体から血がにじむ。乳房をつねり上げる。私の白い肌がみるみる赤く染まって行く。どうだ、こうされるといいんだろう?男の手が、私の体中を殴打する。

いたい・・・。

痛いほうが感じるんだろう?

いたいわ。

どうなんだ?ん?

ええ。いいです。

いいか?だろう?お前はこうされたほうが感じるんだろう?

私が悲鳴をあげると、男のものがますますいきり立つ。私の体に、みるみるみみず腫れが幾筋も走り、私は痛みに体中が燃えて、それでも、その男の激しさを迎え入れるたびに、潤いを増し、体が男を引き入れ、深い深いところ、高い高いところに到達してしまう。

ぐったりとする私に、男は、やさしく口づけをする。
「乱暴にして悪かった。」

私は、無言で頷く。

「当分、外出は禁止だ。」
男は、私に言い渡すと、部屋を出て行く。

--

数日。

一人でまどろんでいると玄関のチャイムが鳴る。

「誰?」
そこに微笑んで立っている、花屋の、あの青年。

「久しぶり。」
「どうしてここが分かったの?」
「いろいろ人に聞いて。」
「まずいわ。」
「大丈夫だよ。」

靴を脱ぐと、私を抱き締めてくる青年。喘ぐ私。
「もう、あいつは来ないよ。きみを苦しめていた、あいつは。」
耳元でささやく言葉に、私は、ああ、と納得する。

--

最初は、みなこうして優しいのだ。

そうして、なぜか、狂気にかられて、私を傷めつけるようになる。

私は、彼らの狂気の受け皿になる。

そうして。もう、耐えられないと思ったところで、また、誰かが救い出してくれる。

そう。最初の夫はもう、帰って来ない。そうして。あの人も。あの人も。

あなたも、きっと、そのうち・・・。


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